07.君とかいてトラブル。の去った後 |
-- side 夢主1 -- あのあと? ロッケト団はオレと別れた後、サトシと合流して、デパートで買い物をしてサトシを女装させ、エリカのいるジムに潜入。 その後、オレへの恩も忘れてロケット団が本業よろしく、香水を奪おうとして、ジムの一角を爆破させた。 彼等はその爆破の威力で吹っ飛んでいったが、ジム自体に植物が多かったこともあり一気に火事が広がった。 「ここにピカ様がいたら氷でも作ってくれるんだろうけどなぁ。カントーのポケモンで水タイプがいま手持ちにはいないんだよな」 「ぴぴかちゅ?(ピカおじいちゃんは電気タイプでは?)」 「いいんだよカザハナ。うちのピカは規格外なんだ。あいつ炎もあやつれるぞ。空中の水分を電気分解して指定の位置を爆破するのが趣味だしな。それに化学式の理論上では絶対零度とやらで氷が作り出せるとかで。ピカはそれを実践できるんだよ」 「ちゃぁ〜(もうピカチュウじゃないですよそれ)」 「ちゅ(です)」 「オレもそう思う」 オレはそうそうにトレーナーをやめているため、こういう日を想定したわけではない。そのため、ピカチュウ二匹を抜かすとカントーのポケモンではないのだ。 手持ちに水タイプは一匹いるが…。 そうこうしているうちにジムのスタッフがポケモンをボールにいれてでてきたが、どうやらエリカのクサイハナだけがいなかったようで・・・ 「ちょ!?サトシぃ!?」 「ぴっか、ちゅう!?(どうします主!?)」 「どうするもこうするもないだろ」 オレたちが見ている前で、クサイハナを探しにサトシが炎の中に飛び込んでしまった。 なんて無茶を!? 水タイプ専門のカスミだっているのになにをしてるんだあいつは!? いや。でもいまの彼等の水タイプポケモンじゃぁ、レベルも威力も弱いのか、ゼニガメたちも頑張ってはいるが火が消える気配がない。 「しかたないなぁ」 「ぴか(いいんですか主)」 「これ以上ひろがるのもふせがないとな。人命優先だ。たのむヤドキング!」 「やどやど〜(状況は把握してるよ)」 「ヤドキング〔ネンリキ〕!!」 「え?なに。あのポケモン!?」 「っていうかなんで〔ネンリキ〕なの?」 オレがモンスターボールをなげたとたん、現れたヤドキングがヤドンの進化系とは思えない凛々しい顔つきてキッ!と炎を見据える。 それにすぐに支持をだす。 ヤドキングは水タイプであもあるためもちろん〔みずでっぽう〕も、氷技も使えたけど、今は水より、火の広がりを抑える必要がある。 あとサトシとクサイハナの抜け出すためのルートを確保しないと。 火を消すために動き回っていた数人のジムのスタッフたちがこちらに気付いたが、エリカがオレに気付くと目を見開いた後ペコリと頭を下げ、そのあとは彼女が「あれは別地方のポケモンです。火の回りをあの方が抑えている間に早く!」と周囲に説明して落ち着かせてくれていた。 「さん、中にクサイハナと挑戦者の男の子がまだ」 「知ってるよ。みてたからな。 それで相談だがエリカ。ジムを氷漬けするのと水浸し。どっちがまずい?」 「どちらも御免こうむりますわ。そのまま〔ねんりき〕で」 「りょーかい」 スタッフたちをおちつかせてこちらにかけつけてきたエリカが、オレのポケモンたちの技の威力を知って顔をひきつらせた。 うん。やっぱりヤドキングには〔ねんりき〕で頑張ってもらうしかないようだ。 ヤドキングは技を駆使して炎の動きを制限し、広がらないように押さえている。 そうこうしているうちにクサイハナを抱きかかえたサトシが、ヤドキングのおかげで炎がよけていた入口から現れる。 それにほっとして一気に炎を押しつぶすように〔ネンリキ〕の指示をだし、ほとんど火が消えたところでさっさとヤドキングをボールにもどす。 他地方のポケモンなんて、いまはあまりしられないほうがいいからな。 特にサトシには。 「ありがとうなヤドキング」 「やど!」 それにしても。 サトシがすぐに出てきてくれたからよかったけど…。 もし怪我でもしていたら、肺を火傷してたらと思うと、気が気ではない。 家事の危険は外見だけではなく内臓も痛めてしまうところだろう。 サトシは大丈夫だと聞くまで、オレは内心かなりびくびくしていた。 サトシが傷ついたら。近所のお兄さんで腐れ縁のオレだって心が痛む。 ましてやそうなっていたら、オレはいまごろサトシのママに嫌われていたに違いない。 ハナちゃんの気苦労がいまわかったよ。 そんでもって、サトシはエリカからレインボーバッチをゲットしたのであった。 「なぁ。さっき建物の入り口付近の炎が変な動きをしてさ…」 「ああ、それは、我がジムは植物系タイプが多いので、入り口だけは耐熱加工をしていたんですのよ。そのせいですわ」 「なんだそうなのか」 サトシとエリカの会話を聞いたオレは思ったね。 さらっと嘘つく、エリカ嬢、恐るべし。 それにひっかる君は君だ、サトシ。 ********** ハイ。ここはヨヨヨタウン。 オレはあの火事の一件で別地方のポケモンを披露してしまったため、あわてて周囲に口封じをして、バイトもやめてひっととび。 次の街はヨヨヨタウン。 大きなビルがあって、都会といってもいい。 そこでこの間のようなことがあると面倒なので、ポケモンをカントーのポケモンといれかえることにした。 そのためにポケモンセンターにいき、ヤドキングには昨日の感謝を述べてからギャラドスと交換した。フライゴンとは、同じ飛行が可能なオニドリルと。最後に涙をのんで群青さんもといヨーギラスに手を振ってマダツボミと交換した。 『なんじゃいお主。まだカントーにおるのか』 「ユッキー。もといオーキド博士。オレをなんだと思ってるのさ。オレはトレーナー優遇が聞かないからね。お金ないんだよ!稼がないと次の街に飛ぶのも大変なんだぞ!!」 『わしはってきり“情報”のために、すでにシンオウにでも渡ったかと思っておったんじゃよ。あそこは伝説の息づく地じゃからなぁ』 「そこまでひっととびできるポケモンがいたら、目撃情報がすごすぎて話題を呼ぶじゃないか。オレは話題の渦中にいたくないの!目立ちたくないの!!」 『それもそうじゃな』 交換を申し出たら、同郷出にして昔馴染みのオーキド・ユキナリが、あきれたように言ってきた。 金がねぇんだよとつっこんだら、笑われた。 『金、のぅ。それは本職を厳かにしたお主が悪いじゃろ。バイトばかりせんで本職の仕事もちゃんとすべきじゃったのぉ』 「断固拒否だ。オレの旅はトレーナーを追えても終わらないんでね!そんな一か所固定の事務処理なんかしてられるかよ。 それにこれでもバイトで料理の腕を上げたせいか、店を一件まかさてるんだぞ」 『オーナーの善意であの会社の社員食堂を貸してもらっとるだけじゃろう。そもそもその店自体閑古鳥が鳴いていると聞いとるが?』 「くっ!!あのやろう言ったのかユキナリに。ってか、オレの店の料理はうまい!っが、オーナーがすぐに部下の皆さんを出向させてしまうんで本部に人がいないんだよ」 『それはあやつも人が悪いのぉ』 「はぁ〜。その話はもういいよ。 ところでユッキー。オレ、しばらくカントーにいるから。…“なにか”あったらよろしくな」 『……まだ、みつからんか』 「ああ。“まだ”だな。ま、気長に行こうぜ。いままでもそうしてきたじゃん。 あ、ジョーイさんきたからまたな!」 『気をつけるんじゃぞ』 顔なじみの老人に手を振って電話の受話器をおろすと、ラッキーをつれたジョーイさんにピカチュウ二匹と今交換で受け取ったばかりの三つのボールを手渡した。 交換したばかりとはいえ、ポケモンたちに休暇は必要だ。 五匹をあずけてから、肩をほぐすように背伸びをする。 そう。オレには、トレーナーとしてではなく、旅をする目的がある。 第一に、ストーカーに狙われているから。 第二、第三を抜かして、第四は料理の腕を上げてもっとオレの店の味を広めること。 そのために必要な究極のレシピをもとめている。 そのなかでもいまはコーヒーの美味い入れ方にはまっているが、それはまぁおいといて。 「さん!よかった!あのおあずかりしたポケモンたちが…」 「はぁ!?」 カントーもどってきてから、次から次へといったいなんなんだ。事件がおおすぎだろう!? 元気だったはずなのに、ぐったりしてるオレのポケモンたち五匹を見て、思わず頭を抱えた。 「次から次へとなんなんだ!!」 その日から、行方不明の子供たちがではじめ、ぐったりしたポケモンたちがポケモンセンターにはこばれてくるようになった。 もちろんトレーナーもいるわけで。 なぜかオレはポケモンや彼らのための食事を作るために、その三日間ポケモンセンターでフライパンをふるいつづけていた。 その間にポケモンたちがおかしいのは、ポケモン大好きクラブの連中によるスリパーが原因だと判明したらしい。 それを解明したのがサトシというから・・・あの子、本当に事件に好かれてる気がしてしょうがない。 「本当によかったです。お預かりしたポケモンは元気になりましたよ。 それとありがとうさん。あなたがいてくれたおかげでうちのポケモンセンターもなんとか無事だったわ」 「あ、ああ。それはよかった。 カザハナたちのことありがとうございましたー」 なんだかわけわからないままに、ヨヨヨタウンでの事件は幕を開けてしまったらしい。 ついでにいうとこのときたまたまポケモンセンターにいたコダックが最後まで頭を抱えていたことでサトシたちにあずけられ、あげくコダックが勝手にカスミのモンスターボールにはいってしまったため彼女の手持ちに加わったらしい。 「どんだけ《らしい》の連続だよ!?そんでもってサトシくん!?あんたどんだけトラブル体質だよ!!」 【注釈】 無印 第26話:エリカとクサイハナ 無印 第27話:スリーパーとポケモンがえり!? |