04.落ち込んだ黄色に手をさしのべる |
-- side 夢主1 -- 「ピィ〜カ、チュウ〜」 シフトもおわり、サトシも店から追い出し、ロケット団もうまくサトシに出会うよう誘導し、一息ついたところで、ションボリしたサトシのピカチュウをみつけた。 『あいつがひとりでいるなんてめずらしいなぁ』 ちなみにうちのピカチュウたちは、サトシと入れ違いになるように戻ってきている。 そのままオレにベッタリで側から離れないが。 理由を知っているかと、カザハナとハナビに視線を向ければ、きょとんと首をかしげつつも、何か思い当たるようで、カザハナに「サトシは?」と、逆に尋ねられた。 「ピカ、ピィーカ?(主、サトシは?)」 『あれ?カザハナは会わなかったのか? あちゃー。じゃぁ、ピカチュウのやつすれちがったか』 「ピカチュウピカ(ああ、それで落ち込んでいるのですね)」 「チャァ〜(マスターと離れるなんて…可哀そうですの)」 なるほど。どうやら入れ違いになって、ピカチュウはサトシと会えなかったようだ。 きっとサトシもさがしてるんだろうなぁ。 でもサトシは、今頃ムサシ・コジロウ・ニャースのロケット団トリオたちに誘拐されているはず。 しょうがない。つれっててやるか。 オレが話しかけるんじゃぁ、さっきのこともあるし、オレが仕組んだのがばれかねない。 ここはカザハナとハナビに任せることにする。 『悪いけどあいつのところ言ってくれる?』 お使いだ。そう、サトシのピカチュウを指して告げれば、顔を青くして震えだす二匹。 こいつらなぜかオレからはなれると捨てられると勘違いしてるんだよな。 だれだよそう刷り込んだの。 めんどくせー性格に育っちまったじゃねぇか。 「ちゃぁ」 「ぴか。ピカピカァ。ピッカ」 ――わたしたち、いらないです? ――主に、嫌われた。嫌われた。どうすれば いや、ちげーから。 なに、その勘違い。 『はぁー。ただのおつかいだ。だから終わったらお前たちはオレのもとに帰ってこないといけないの。わかる?お使いだよ。報告はきっちりね』 「「ピッカー!(それならよろこんで!)」」 あー、はいはい。元気になったところで、あっちの子も元気にしてきてあげてね。 花でも飛び散らすように嬉しそうに笑顔で手を振った後、二匹はギザギザしっぽをゆらして、さびしそうなサトシのピカチュウのもとへとかけて行った。 『……』 ピカチュウって生き物はさ、どうしてこうもあの後姿がわいいかねぇ〜。 つい抱きしめたくなってしまうじゃないか。 |