白と赤色の物語
- 銀 魂 -



30.どこの親も子は愛しいもの
[アニメより]
第40話 子作りは計画的に
第41話 タイトルだけじゃ映画の面白さはわかんない
第42話 みみずにおしっこかけると腫れるよ





夢『へぇ〜。あのチャイナ娘の父親がきたのか。ちゃんとごあいさつしたか銀?』
銀「父ちゃん、父ちゃん、あんたも会ったでしょうに!!なに目ぇそらしてんの!
あのおっさん、地球に来て真選組に最初に行ったって言ってたぜ。しかもターミナルをエイリアンがのっとたとき、真選組もどんちゃんやったでしょうがさ!」
夢『父ちゃんなぁ、人間じゃないけど。妖怪まで堕ちちゃぁいるけど、そこそこ常識という人間社会のルールに馴染んでいたつもりだったんだよ。 っで、できないことってのもやっぱりあるもので。だからさ!だから!!!あんな化け物じみたエイリアン倒せやしないよ!!』
新「世界中の父親がみんな星海坊主さんみたいに、あんな化け物を倒せると思うなよ!!」
楽「テカ。ターミナルに最後のトドメウッタノ、シロウのトモダチネ」

夢『・・・・・・』

夢『松平のとっつぁーん!!なにしてくれてんのぉー!!!!!』
銀「なに言ちゃってんの父ちゃーん!こういうときは責任から逃れするためにだまっとくんだよぉ!! アレ撃ったのが誰とか、知り合いとか!そういうの言っちゃダメェ!!」







 -- side 沖田総悟 --







宇宙船にくっついてきていたエイリアンが、なんと憑依型タイプだったらしい。

そのエイリアンが、人に憑りつき、銀行で大暴れ。
ゲロンゲロンなドロンドロンだった。
そこにたまたまいた万事屋一行。
そこへチャイナの父親、星海坊主(ウミボウズ)が、圧倒的な力でもってゲロンゲロンでデロデロなエイリアンを傘一本で倒した。
俺ら真選組あ銀行強盗だと聞いていたのだが、ついてみればいたのはエイリアンで、その死体で、娘を迎えにきたらしい星海坊主で。

俺らは結局、銀行内にとびちったエイリアンの残骸処理をする羽目になった。

なんか・・・。
そのとき土方さんが、生暖かい目で、星海坊主とそれにひっぱられるチャイナを見ていたのが、ぶっちゃけひいた。





* * *





その憑りつくタイプのエイリアンは、あの銀行強盗の事件により星海坊主によって死んだはずだった。
しかしその死んだはずのエイリアンが生きていた。
なぜかターミナルの船に紛れ込んでいたらしく、今度はターミナルの船を襲った。

船の中でいろんなものを飲み込んだらしいエイリアンはとんでもない増殖をみせ、船はターミナルから飛び立つことはできず、逆にターミナルにつっこんでいた。

ターミナルは宇宙への転送するためのエネルギーためているので、エネルギーの宝庫だ。

建物を破壊するように衝突した船は、いな、エイリアンは船を経由して、今度はターミナルそのものにも浸食を始めた。
そうして船をのっとたエイリアンが、ターミナルからエネルギーを吸収しはじめ、 さらにばかでかくなりやがって、デロンデロンなドロドロだったエイリアンによってターミナルとそれに繋がる街道がやばいことになった。





* * *





エイリアンによる浸食。
その連絡を受けてかけつけた俺達真選組は、場所がターミナルということで、政府が絡んだ建造物であるため手を出せずじまいだった。


チャイナをつれて帰ろうとしていた星海坊主。
どこへ?とは、彼らの話を聞いた限りだと、「“家”にだろう」とはたやすく言葉を返せる雰囲気ではなかったけれど。

あのエイリアンに襲われた船に、父親とチャイナ娘が乗っていたらしい。
TVにエイリアンが増殖&巨大化して、船とターミナルを襲っていると報道されたときには、帰ったはずのチャイナ娘が宇宙船にまきつくエイリアンと戦っているシーンが映し出されていた。

それをみてか。
俺ら真選組がターミナル近くに到着した時に、同じように万事屋の旦那があの巨大犬にのってどこからともなくかけつけてきた。

エイリアンは船を中心にそのままターミナルを飲み込んで、巨大化した蛇のような一部が、ターミナルと繋がっていた道路へと幅を伸ばしていた。
そのエイリアンの一部が、ターミナルを遠巻きに見ていた報道陣や俺達真選組にまで襲い掛かってきた。

坂田銀時は、そのタイミングでさっそうと現れ――

なぜか《エイリアンVSヤクザ》の映画の宣伝を報道陣にしたあと、口を広げせまりくるエイリアンに特攻していった。


っが、しかし。


バクリ。

万事屋の旦那は、巨大犬ごと、襲い掛かってきたエイリアンに喰われた。

さっきの意気込みはなんだったんだよ!!!
さっきの「いくぞ!」っていう雰囲気はどうしたんだよ侍ぃっ!!!

たぶんその場にいた全員の心がその瞬間一致した。


そんななかで、ギャクなその展開につっこみとは違う感想を抱いた人がいて。
その光景をみて、顔を真っ青にしたおひとがひとり――

夢『ぎ』

今にも叫びそうな土方さんだったが、あせりすぎなのか、それともあまりの衝撃に声の出し方さえ忘れたのか。喉がひあっがって声が出ないのか。
鮮やかな緑の瞳を信じられないぐらい見開いて、その口からは音がなく鯉のように口をパクパクと開け閉めしている。
だが、それもしだいに小さな声がこぼれはじめる。

沖「あ、やべぇー。おーい、みんなーこっちおさえろー」

そういえば、ここにはチャイナの父親の他に、もうひとり“父親”と呼べる存在がいたなと思い出し、 呆然として固まっていた真選組のやつらに声をかけて、暴走しそうなそのひとを抑えさせる。


夢『ぎゃ、ギャァーーーーーーーーーーーーー!!!!ギーーーン!!!!!!!!!


悲鳴を上げた男の名は、土方十四朗。
ああ、みえて坂田銀時というデカイ子持ちの・・・親ばかである。


パトカーに乗ってエイリアンから逃げていたはずのおひとだが、そこからいつのまにか飛び出していて、 そのまま万事屋の旦那を食らったエイリアンへと向かって駆け出そうとしていた。
なんて素早い。
っと、いうよりそんな奇怪な行動予測済みさぁ。

状況を把握した隊員が、特攻していきそうな土方さんを即座にとらえ、必死に抑え込んでいる。

隊「ちょ!!副長おちついてください!」
隊「副長がご乱心!!!!」
山「まってください副長!」
隊「あばれないでくださいよぉ!!!」

夢『く、くわれた。銀が・・・』

もぐもぐとばかりに閉じた口を動かしているエイリアンをみて、土方さんが今度こそ動きを止め、そのままパタンとたおれた。
近づくと「銀が食われた」とブツブツつぶやいているが、どうやら興奮しすぎて、なんだかいろいろ精神のパラメータの臨界が突破してしまったらしい。
脈を図ってもとくに異常はなさそうなので、ただ気を失っただけらしい。
そのまま錯乱されたり、刀を振りまわして突撃されるよりは、ましだろう。
このひとが意識がない状態で刃物を振り回すなんて、考えただけでたまらん。危なくてしょうがネェ。


どうせ万事屋の旦那のことだ。
死なねぇでしょあいつ。
俺が何度、改造バズーカでもってあいつの命を狙ったかしれねぇ。
それにあいつ、土方さんもといシロウさんの子供だし。なら、そうたやすく死ぬとは思えねぇわけで。
子ってことは、ほら、あれだ。シロウさんの図太さと、寿命を受け継いでいるんだろうし。

うん。ほら、そんなことを考えていたら、なんだかいろいろばかばかしくなってくる。
ぜんぜん大丈夫な気がしてきた。


まぁ、こいつを言い訳に、のりこむってのも・・・まぁありかもしれねぇさね。
弔い合戦とか言ってあおげば、真選組も逃げにばかり回らずに行動を開始するだろうか。





しばらくして。
俺の考えがは当たっているのを知った。

エイリアンの本体がいる船の方で、チャイナがエイリアンにつかまった時、 案の定、万事屋の旦那がエイリアンの頭部爆発させて中から犬と一緒にでてきた。

喰われた後、体内を移動していくとは、過激な発想だ。
それにしても派手な登場だ。

沖「おー。やっぱり生きてやしたねご銀の字の奴」





* * *





山「沖田隊長ー土方さんどうします?」
沖「そこのパトカーに突っ込んどきゃーいいでさー」

とりあえず、なぁに考えてんだか、近藤さんが戦車を向けて砲撃をはじめた。
エイリアンがターミナルを中心に、徐々に江戸へと手を伸ばそうとする。
こちらもついに反撃を始めたわけで、ターミナルがどんどんボロボロになっていく。
主に真選組の戦車のせいで。

隊員がその事実につっこみ「館内設備もうメチャクチャなんですけど!!いいんですかあれ!」とか言っていたので、「エイリアンのせいにしとけ」と言ってみた。
それを報道していた報道アナウンサーのアナが、「聞きましたか!?我々の目の前で不正が!」と言っちゃダメなこと言ったので、 カメラに蹴りを入れて一時放送を停止させた。


そんなことをしていると、ふいにエイリアンが船の方へ集まっていく。
なにごとかと思っていれば、船の中心で、銀の字と星海坊主がとんでもない戦闘を繰り広げていた。
あれは人間技じゃない。もはや化け物同士の戦いだと誰かがつぶやいた。

っとか、のんきに実況している間に、今度は空から松平のとっつぁんが、艦隊をひきつれ現れた。





* * *





同じようなタイミングで、ターミナルのエネルギーを吸いすぎてでかくなりすぎた核が、船底を破ってとびだしてきた。

だけどここで問題発生。
なんとチャイナがあの核にとりこまれてしまった。

とっつぁんは、かまわず砲撃しようとしたが、近藤さんが「民間人のガキが一人取り込まれている!」と拡声器を使ってとっつぁんに訴えていた。

っが、とっつぁんは“まっちゃん砲”とやらを発射しようとする。

そこへ“まっちゃん砲”のたどりつく先に立つ人影が。
ハタ皇子を人質に、万事屋んところの眼鏡が、いた。
「五分だけ待て!」と騒ぎはじめる彼らの話をつなぎあわせるに、五分時間をかせげば、核に取り込まれたチャイナを救い出すとそういうことらしい。
そのためにハタ皇子を盾にして国際問題をアピールするも・・・。


――――まぁ、このあとのはいわずもがな。


あの破壊神といわれた松平のとっつぁんだぞ。
人の話なんざ聞くわけもネェ。

もちろん五分も三分もまたず、とっつぁんは“まっちゃん砲”を撃った。
人質、国際問題そっちのけで。
それはもうあっけないほど躊躇なく。娘のパーティーにいくからだとほざいて、ポチっと。スイッチを押した。


っが、そこで核の中から、チャイナと銀の字がとびでてきた。
どんだけタイミングがいいのか。
タイミングより、本当に強運としかいいようがない怒涛の展開である。


そのすぐあとに万事屋の旦那と、星海坊主のふたりが、己の武器を振るってついにエイリアンの核を破壊した。


そこで近藤さんが「砲撃を止めろ」と告げたんだが、とっつぁんは、なにを勘違いしたんが、「娘が泊まる」とおかしな感じで聞き間違えた。 というか、砲撃を止める気さえなかったようで。

そのまますぐに“まっちゃん砲”がターミナルを直撃した。



ああ、これは、土方さん死んでてよかったわ。
砲撃が発射されたとき、エイリアンの核の上にはまだ銀の字がいたし。

だけど、本当にあの光景を土方さんが見てなくてよかったわ。
自分の子供が喰われた=死んだとおもっていたら、生きていて。 ほっとした次の瞬間には、回避不可能な砲撃が自分の子供にむけて発射されたのをみたら――土方さんでなくても普通の親はとち狂いかねない。



とはいえ、やっぱりというか。
有り得ないというべきか。

結果からいうと、やはりあの万事屋たちはみんな無事だった。
五体満足にとは言い難いが・・・。

まぁ、あの星海坊主が傘一本で、とっつぁんの“まっちゃん砲”をとめてみせたから、万事屋の旦那もチャイナ親子もみんな無事なんだけど。
本当に、どんな強運なんだかね。
だって、あの“まっちゃん砲”のせいで、こびりついていたエイリアンは、あとかたもなくなったのだから。
ターミナルもボロボロだ。
なんで彼らだけは生きてられたのか。
まじ、夜兎族の傘すげぇわ。





* * *





山「そういば副長は?」
沖「ああ、チャイナと一緒に救護班にはごびましたぜぇ。あれはしばらく目を覚ましそうにはないな」

増殖するエイリアンによる騒動が沈静化し、俺たち真選組はターミナルの状況を確認しにやってきた。
ターミナルの中はひどい状態で、あのエイリアンだろう物体が黒く焼き焦げて山となっていた。


山「うわーすごい光景ですね。ターミナルが死骸の山ですよ」
沖「たしかに。これはすごい量ですぜ。おかげでターミナルもしばらく運休らしいし」
山「これは上に何言われるかわかったもんじゃないですねぇ」

その通りだと思うが、その辺は近藤さんや目が覚めた後に土方さんが何とかしてくれると祈ろう。

沖「それにしても・・・」

思い出すのは、あの“まっちゃん砲”を、傘一本、片腕だけで持ちこたえた星海坊主の強さの異常さ。

沖「ありゃぁー噂通りの化け物でさぁ」
近「ん?」
沖「星海坊主でさぁ。エイリアンなんかよりあのおっさんの方が俺は恐ろしいと思いやしたぜぇ」
近「そうかぁ?俺には奴が化け物なんかには見えなかったがなぁ。娘を守ろうとじたばたするただのひとの父親に見えたよ。
ガキに手をやくその辺の、ただの親に・・・」

沖「ああ、そういえば子供のためにジタバタしてテンパッテ気絶したおひとがそこらにいましたねぇ」

山「まぁまぁ。副長、家族大好きですからね(笑)」


近藤「・・・探し物とやらは見つかったのかね海坊主殿は」



エイリアンによる物理的攻撃のせいか、それともエイリアンがエネルギーを奪っていたからか。
エイリアンが建物内にも浸食していたからか。
真選組が戦車で大砲撃ったからか。
松平のとっつぁんが“まっちゃん砲”を撃ったからか。

さてさて。何が原因でここまでボロボロになったのかわからないが、エイリアンの死骸であふれるターミナルを眺める。


あー。こりゃ、ダメだ。
超ボロボロ。

山「万事屋の旦那も怪我したらしいですね。あの状況で腕一本かすり傷程度で済んだってどんだけだよって感じですよ、まったく。 できれば副長が目を覚ます前にあの怪我も治ってくれるといいんですが。ほら、じゃないとまた副長がさぼってでも見舞いにいっちゃいますし」
沖「まったくでさぁ。だから子離れしておけってんだ」
近「だが、親ってのはそういうもんじゃないか総悟。どれほど離れて暮らしていようと、子離れができていようと、親は子が心配なもんさ」
山「局長いいこといいますね」
沖「・・・そういえばもっと子離れできてないすごい親がいやしたね」
近「え?だれかいたか?」
沖「松平のとっつぁんがいい例でさぁ」
近山「「ああ」」
沖「おかげでターミナルが部分的に吹っ飛びやしたし」
近「あれ!?これ全部とっちぁんのせいにしちゃう系?え?いいのそれで!?」
沖「っていうかーそういうわけで。そういう方向で処理よろしく。いけー山崎、全部の責任は俺達にはないと報告だ」
近「えええええ!?ちょ、ちょっと待ってー!!」








それから。

土方さんが目を覚ましたのは、全部終わって、俺たちが真選組に帰った・・・そのさらに後だった。
銀時もかなり怪我はよくなり、くわれたという事実は抹消したかに思えたが。
全部を夢にするにはターミナルの復旧が追い付かず、土方さんはやはりだまされてはくれなかった。
まぁ、詳細を語ったわけではないため、銀時たちが無茶をしたらしいぐらいにしか分からなかったようだけど、 目を覚ました後は、銀時ごと神楽も新八も含めた三人を、ぎゅうっとだきしめて「無事でよかった」と彼らの無事を喜んでいた。
ホント、身内には甘いおひとだ。

だけど、ああいう親が側にいるってのは、きっといいもんに違いねぇ。


それはさておき。

なぁ、土方さんよぉ。あんた、本当にそろそろ、銀の字を猫かわいがりするうのやめなせぇ。
あんなのを心配してたら、いくつ心臓があっても待ちませんぜ?

なんせ万事屋の旦那は、あんた以上に波乱万丈なやつで。
とんでもなくしぶとい生き物ですからねぇ。























【後日談】

坊「なんだこれは?」

住所不定なのに手紙が届いた。
ふってみるとカサっと軽い音がする。
感覚的には紙一枚。

ひらいてみると――


【パパ友の会へご招待】


坊「・・・・・・」
夢『会員はただいまオレと西郷と松平だな』
坊「・・・あんた、だれ?」









※注釈
アニメ3話分のオハナシをギュゥ〜っとまとめてみた。
神楽のお父さんが現れるシーンだけど、 銀さんに「お前の親の顔が見てみたいよ」と星海坊主が言ったり、 「持ってないやつの方が大切なもんが〜」とか。親子や家族っていうものについてしみじみとしたセリフがたくさん。
でもこの世界の銀さんは、お父さんいるからねwww
激しく突っ込むよちがなく、沖田さん視点で、銀時シーンをカットという暴挙に出てみた。
土方さんもとい夢主が気絶してるので、本来土方さんが語るセリフは沖田さんや山崎が話しています。

※注釈2
この世界の住人は、猫から人が生まれるわけないとわかってはいるけど、 みんな違和感なく“銀時=夢主の実の子供”だと思い込んでいる。
たぶん「シロウだから」という理由だけで、桂や高杉を含めた多くの者が納得してしまっている。
第二の要因は、銀時と夢主(本人たち)が血がつながらないとかどうとか興味ないため聞かれないと語らないし、 初期夢主の髪色と銀時の髪色が似てること、テンションやノリ(性格)が近いこと。二人とも義理でも親子だという認識なので、どこからどうみても親子にしかみえないためと思われる。
たぶん事情を説明されている松陽先生と近藤さん以外は、銀時は夢主の実子だと絶対思ってる。








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