白と赤色の物語
- 銀 魂 -



16.ネコでヒトなオレ





『オレがなにかって?』

そんなもの きまってるだろ



オレは―――





* side 夢主1



こないだのことがあって、赤いの白いの黒いの――オレのことがばれた。
いやね、むしろまだあんたらオレが真選組の人間だって気付いてなかったのか。
オレはそっちにびっくりだったよ。

「いやいや父ちゃん。何も言ってねーしこいつらに」
『そういえばあんまり会う機会なかったなぁ』

総悟とかが万事屋のだれそれと会った〜って報告してくるときは、大概寝込んでいたり外出していたような気もする。
すれちがってたみたいだな。

現在、《万事屋銀ちゃん》にて、眼鏡とチャイナに呼び出しをくらって、事情説明中だ。
いわく。こないだの祭りの話はなんだ!?とそいういうことらしい。

「粗茶ですけど」
『おー、わるいな眼鏡』
「新八です」

見回りの最中、たまたま道で遭遇した眼鏡くんに誘拐のごとき勢いで《万事屋銀ちゃん》に連れ込まれたオレは、真選組の黒い制服のまま髪の色もそのままで上がらせてもらっている。
こちとら仕事があるんで適当に話したら帰るけどな。

「それで。銀さん、シロウさん。シロウさんって本当はなんなんです?」

オレの分だけ茶を出されました。
ありがたくいただきますが・・・もしかしてそんだけ生活苦しかったりする?
その辺は、きかないことにしておこう。

全員が机を囲むようにソファーに座わり、め、じゃなくて新八が、銀時に視線向ける。
チャ、じゃなくて神楽は、興味がなさそうによこの定春をなぜている。
オレの横に腰を下ろす銀時は、相変わらずの死んだ魚のようなうろんとした目で、まじめな顔で睨む新八に何を言えばいいんだとこちらに助けを求めてくる。
たしかに。
オレの素性って、説明が面倒だ。
しかもオレはもとは白猫でしたなんて言って信じる要素が何もない。なにせ、今のオレは赤いのだ。
この黒い髪なんかは染めてるだけだから、水で洗えばすぐに色堕ちるから赤色を出すのはたやすい。
だけど白いなんて信じてもらえるだろうか?

『銀、写真とかもってないか?』
「そういうのは近藤さんがもってんだろ?」
『・・・え!?近藤さんもってんのか!?』
「こないだお妙をストーカーしてるときに落とした警察手帳から、お妙と武州の時の写真がでてきた」
『オレの?』
「いんや。一人だけじゃなくてまぁそっちの仲間がチラチラいた・・・とは思う(どれも視線会ってなくて盗撮に見えたけど)」

はぎれわるいな。

まぁ、いい。
武州時代っていうと、まだ子供らが戦争に参加してなくて、オレが銀時つれてあっちへいったりこっちへいったり彷徨っていた時のものか。
それならオレの髪がまだ白かったときのものだな。
借りてこれないかなと席を立と言うとしたら、銀時にかたをおされ、再びソファに沈む。

「あー。説明メンドイからおれが近藤さんからもらってくるわ」
『結局説明役はオレか』
「本人なんだからしっかりな〜」

そう言った銀時はのそりと立ち上がると子供たちが「逃げた」と騒ぐのにゆらりと手を振って、事務所を出て行ってしまった。
やれやれ。あいかわらずのようで。

銀時がいなくなったので、正面に仲良く座る二人のこどもたちに視線を向ける。
いつのまにか神楽までこちらを真剣なまなざしで見てくる。
オレなんか、そんな態度を取られるような大そうな生き物でもなければ、たぶんきたいさせるような事情もなにもないんだがなぁ。



『さて。おめぇらは何から聞きたい?』


「ハイ!シロウさんって本当はなんて名前なんですか?」
「そうね。なんてよべばいいアルか?お前、名前おおすぎヨ」

先生質問ですとばかりに手を上げて聞いてきた新八に、予想外の質問で思わず思考が憑いて行かず眼をしばたく。
神楽にもいわれて、ようやく言われたことが脳にしみこんで、小さなことだとおかしくなって笑う。

『いまは土方十四朗。あだ名はシロウだ』

《シロウ》――それはどの姿でもいまでは、そう呼ばれてる。
毛色が白かったときのなごり。
《白》から《シロウ》になった。
それが始まりの原点なのだから。
だからきっとどんな姿であれ、その名を呼べばおれは振り返る。

オレが笑って答えれば、新八は神楽と顔を見合わせた後に

「なら、シロウさんとよばせてもらいますね」
『どうぞ』

きまじめな眼鏡君は、今までと同じ呼び方でオレを呼ぶことにしたらしい。

「どうして赤毛じゃないアル?」
「たしかこないだの《春雨》の時の白いのはカツラって言ってましたよね?」
「でも助けに来てくれた時、銀ちゃんと一緒になって生まれつきって言ってたあるよ」
「・・・赤いですよね?」

『今の髪の地毛は赤だぜ。お湯とタオルかしてくれるか?』
「え。あ、はい!」
「なにするつつもりネ?」
『見せた方が早いだろ。今はただ髪を染めてるだけだからな』

黒い色の髪は、染粉で染めてあるだけだ。
それはお湯とか使うとすぐに落ちて元に戻ってしまう。

お湯の入った桶に渡された手ぬぐいをつけて、真っ黒な髪をぬぐえばタオルはすぐに黒く染まり、オレの髪は地毛の赤色がでてくる。
まだらでもまぁいいか。あらかた色をおとし、水気を絞った手ぬぐいで髪を乾かす。
新八と神楽は、本当に染めてただけだったのかと驚いた表情をしていたが、オレの赤い髪を見て神楽は「夜兎あるか?」ときいてきた。
期待を込めた目で見られたが、残念だからと首を横に振る。

「そうアルか。シロウも夜兎なら、戦う、本能どうやって抑えてるか聞きたかったヨ」
「神楽ちゃん…」
『はは。お前らはそのままでいいじゃねぇか。
チャ、じゃなくて神楽はいつも美味しそうにス昆布食べてるよな。め、新八は、給料もらえなくてもいつも一生懸命で。
そのままの、ありのままのお前らが、オレは好きだぜ』
「シロウ・・・」「シロウさん」
『そのままのお前らを気に入ってくれてる奴とかちゃんといるんだから。うちの銀時みたいにな』

じわりと目に光るものが浮かんで、こどもたちの顔がぐしゃりと歪む。
おいでおいでと手招きすれば、なにかをいろいろこらえているこどもたちが、涙を目に貯めたまま不思議そうな顔をして机をよけてオレの側にやってくる。

『ふたりともかわいいなー!イイ子だなぁ!!』
「ちょ!?シ、シロウさん!?」
「なにするね!?」

両脇から近づいてきたふたつの頭をガシっとつかむと、そのまま抱き寄せてわしわしと頭をなでる。
あらら。こんなオレの腕にすっぽり二つともおさまっちゃったよ。
まだまだこんな小さいのにね。

それでもそれぞれがいろんな悩みとか感じて生きてきたんだろう。

『あんな破天荒なやつの側にいると大変だろうが、どうか頼むぜあいつのこと?』

腕の中でモゴモゴとうごめいていたこどもたちが、くすぐったそうに笑いながら「しょうがないですねぇ」「しかたないからみてやるアルよ」と答えた。










* side 坂田銀時



「おーきーたーくん」

シロウにあとをまかせて、定春の散歩コースにある真選組まで足を運ぶ。
屯所の入り口で大声で呼べば、だるそうな感じで沖田クンがきた。

「なんでい旦那。シロウならいやしませんぜ」
「うちの父ちゃんの若いときの写真もってない?ポニテの白いやつがいいかなって」
「近藤さんならもってるんじゃないですかい」
「ああ、やっぱし近藤さんか」
「おれは猫バージョンのアルバムしかもってやせんぜ。みますかぃ?」

猫アルバムぅ!?みたい。とんでもなくみたい。
でもいまは違う方が必要だ。

「興味はあるけど。いや、いそいでんでそのうちな。
ちょいとあがらせてもらうよ」
「近藤さんならそこ左の奥の間でさぁ」

案内してくれたり、送ってはくれないらしい。
さすが沖田クン。らしすぎる。



「こんどーさーん。おーいゴリラー」

ってぇ!?左行けってどこだ!?
勝手知ったる何とやら・・・ではないが、勝手に上がらせてもらって近藤さんをさがすも部屋はけっこうあって、どうしたらいいかわからなくてひとまず声を上げて呼んでみる。

「あれぇ旦那じゃないですか。土方さんはでかけましたぜ」
「万時屋なんでてめここに!」
「よろずやぁ!?」
「副長なら。えっーとあれ?どこいったっけ?」
「土方さんならみてないよ」
「あー、シロウならいないぜ?」
「シロウならさっき・・・・・・」

出会う奴らの8割がいちゃもんをつけてくる。
それにたいし、残りの2割は、おれが何かを言う前に、シロウの名をだす。

「・・・」

おれ、そこまでわかりやすいだろうか?
たしかに家族大好きだけどよぉ。



「近藤さんはいるぜ」

知り合いの隊士に案内してもらって、ついた部屋の戸をあければ、近藤さんはいた。
いたのだが

「おーなんだギンじゃないの。シロウならいないぞ」

第一声が、やっぱしシロウのことだった。

「なんでみんな同じこと言うかなぁ〜」
「いや、だってお前父ちゃん大好きっこだろ」
「好きだけどさー。
あー・・・その“シロウ”の、白いときの写真近藤さん持ってない?うちの子たちについにシロウが白いのと赤いのであるってばらしちゃったんだけど、あのこたち頭固くて信じないのよ」
「あーそういうことか。あれは実物がないと説明しずらいからなぁ。
あるぞ。ちょっと待ってろ」

そう言ってどこかにでかけて戻ってきた近藤さんは小さな箱を抱えていた。
渡された箱には、近藤さんの道場に十人も門下生がいないときの写真から、いろんな時のものが入っていた。

「よくこんなもん撮ってなぁ」
「シロウがどこからか写真機をもってきたんだ。その試し撮りだな」
「うわっ。これ、おれがまだガキのときのじゃん!?」
「ん?そんなものまで入っていたか」
「これ、試し撮りって量じゃないだろ」
「そうだな」

10歳くらいの三人のガキが映ってる写真。
白い頭の土方だけがはらをかかえて爆笑していて、その指差す先には――だるそうな銀髪の餓鬼と茶髪の生意気そうな餓鬼がとっくみあいの喧嘩をしている。
これはあれだ。《白》が《土方十四朗》になって、初めてオレに会いに来てすぐのことだっけ?首根っこつかまれてつれて、突然武州まで連れてこられたときのやつだな。
一日で州を超えるってどんな脚力だよと思った覚えがある。

写真をあさっていくと、しだいにおれの映る写真はなくなり、かわりに騒がしい芋侍達の間に、違和感があるぐらい大人びた雰囲気をまとう人物が移り始める。

白いひとが穏やかに笑ってる写真。

「やっぱ…ガキの頃は、それなりにガキっぽい笑い方してたんだな」
「いまでもたまにするがな。
だがトシの“アレ”は性分だろう。あいつは一度身内ときめたもんはとことん守ると決めてる。気付くと、いつも俺たちの後ろにいるのは・・・」

取りこぼしがないように。一番最後にいて、それを確認してんだ。
あいつは―――


“見送る側”だからなぁ。


「なぁ、ギンよ。二百年は、長いなぁ」
「・・・・・・」
「あいつをもっと甘やかしてやってくれ。お前だけがあれの子供なんだから」

懐かしそうに写真を見ながら言った近藤さんの言葉に、おれは何も言えなくなって、思わず手にしていた数枚の写真を見ることで視線をそらす。

見なおした写真のうち、一枚は集合写真。
道場を前に、門下生たちがいるなかで、ひとり白いのが隅のほうにいて、笑ってる。
思わずさっきの近藤さんの言葉がよみがえり、写真の中の白い奴に文句を言いたくなる。

みんなに慕われてるのに。
お前は真中じゃねぇのかよ。
近藤さんの横があんたの位置じゃないのかよ。
なんで自分からそんな位置を選ぶんだよ。

好き勝手して、ついでに気楽にただ笑ってればいいのに・・・。


「お。こんなのもあるぞ」
「なんだよ」

おれのなかでもやもやするものを切り裂くように近藤さんが話しかけてきて、別の写真を持ってきた。
渡されたのはたったひとりの青年が映ってる写真。
白くて長い髪をポニーテルにした土方が、三毛猫を抱き上げて猫に嬉しそうに頬釣りをしている写真。

「これ、ぜってぇー会話してんだろうなぁ」
「まぁ、トシだからな」
「だよなぁ」

なんか、もうこれでいいや。
そう思えて、近藤さんに最後に渡された一枚を借りて屯所を出た。



「待ってくだせぇ旦那!」

去り際、なぜか後を追ってきた沖田クンが、なにやら風呂敷に包まれた四角いものを渡された。

「おれの秘蔵ファイルでさぁ☆」

なんか最後の最後で歯をキラッと光らせたような、そんな効果音が聞こえた気がした。
包みを開けてみると、《ネコシロウの一日No3》と書かれたタイトルが見えた。
丁寧に包み直し――

「沖田クングッジョブ!」
「癒しは大切でさぁ!」

おれは爽やかな笑顔を浮かべている沖田君に親指立ててほめたたえた。
その包みを落とさないようおれはしっかりファイルをかかえて、大事に持ち帰った。










* side 夢主1



「あれ?これ。どういう状況?」

なにかをわきに抱えて帰ってきた銀時の第一声はそれだった。
どういうって――見ての通りだ。

《ぐぉ!たすけろギン!いますぐ、助けてくれ!!》

ボロボロのボコボコにされてなおエヘヘ〜とあやしげに笑っている眼鏡が床に倒れている。
床で腹出して寝ている定春の上に猫姿のオレが乗っていて、そのオレごと枕にするように腹の上にチャイナ娘が涎を垂らしながら寝ている。



なにがあったかというと。

こどもたちとたくさん話したのだ。

オレがなんであるか。
どうやって銀時と出会ったかとか。
マヨネーズはすばらしいエネルギー物質だとか。
猫んは本当はイカをあたえてはいけないのだとか。
犬にはたまねぎやネギはダメなんだとか。

せがむからいろんな話をしてやったんだよ。
でもオレの思い出話っていうと、何十年分の記録だ。話して聞かせたいことはたくさんあるが、その分長くなる。
色々語ってるうちに、こどもたちがこどもらしくなつきはじめ、ポカポカした陽気のせいか転寝を始めた。

そのまま神楽や新八がオレの肩にもたれかかるように寝てしまったので、まぁいいかと、頭をなでてていたら・・・

眼鏡が「母上」と寝言でぼやきながら抱きつきながらほおづりしてきたので、おもいっきりグーで殴り飛ばした。
うつらうつらしつつ目を覚ました奴は、眠気でボーっとしたままオレの横まで戻ってくるとまた寝た。

しばらくしてチャイナが熟睡し始めたようで、涎を垂らしてオレの肩に滝をつくってくれたので、定春の方に投げ飛ばした。
立ち上がったせいで眼鏡がこっちに倒れ込んできて、そのまま「姉上〜」「おつうちゃぁん!」とズボンを脱がされそうな勢いで腰に抱き着かれたので、足蹴にしておもいっきり蹴り飛ばした。ふっとんだ先が寝ていた定春の鼻の先で、そのまま奴は頭をガブリとくわれていた。


「おいおいなにそれ?銀さん、だれを心配すればいいんだよソレ?」
《ここにいてはヤバイと判断し、いち早く逃亡しようと猫の姿になって窓に向かってダッシュしたら》
「え?まだつづくの?」
《したら、チャイナがムクリと起き上がって》


くいものー!!!

《って、鬼気迫る勢いで襲い掛かってきた》

アレは怖かった。
思わず口から心臓が飛び出るかと思った。っていうか、悲鳴が出た。
逃げて逃げまくったら、たまたま定春が吐き出した新八が目の前に転がり出てきて、それにつまづいてこけた。
その隙をついてチャイナにつかまった。
寝ぼけてるらしく、「うまそうなチキンある」ってオレを見て言うんだ。
グス・・・。
チャイナはそのまま生で食べようと言うのか、オレをだきあげたままくちをあけて、いただきますと言ったんだ。
両手をふさがれてたから爪はだせないし、もうマジでくわれると思ったね。

そこで寝ぼけた眼鏡が「おつうちゃんは僕がまもる!!」とかっこいいんだか悪いんだかわからない発言をして、いまにもオレにかじりつこうとしていたチャイナの足元をゴロゴロゴロゴロゴロところがっていったんだ。
なにがしたかったのかはわからなかったけど、そのまま眼鏡はチャイナを倒すと、壁に激突して停止した。
チャイナはオレをだいたまま横に倒れ――定春の上にたおれた。

そのあとは見てのとおりだ。

オレはチャイナにより抱き枕にされ、逃げようともがいていれば今度は膝枕ならぬ腹を枕にされ。



《今、まさに死にかけていたところだ》

そもそもはじめは膝枕をしていただけだろうに。
そのあとは子供が昔話をせがむから語って聞かせ。
あーあ。チャイナのせいですっかり毛がガビガビだ。
シッポなんかみろ。いちぶかじられてしまった。はげてたらどうしよう。


呆然として、死んだ魚のような目をさらにどうしようもないほど虚ろにさせて固まっている銀時の腕から抜け出し、台所に向かいそのままヒョイッと流しに飛び乗る。
蛇口をひねって水をだして、あびる。

《ったく。どうしてくれんだよ。
あああああー!!!シッポ!あーあ。オレのシッポがぁ!?みろよ銀!どうしてくれんの!?ちまたのうるわしいオネェ様(猫)たちに優美だと評判だったオレのシッポが!!ちょっと短くなってるよ!!ザンバラカットにしてはひどすぎるよ!?歯形まで付いてるし!!まずいっていって出すぐらいなら最初から食おうとすんじゃねぇよってしっかりチャイナに教えてやってよ!?っていうか人間になった時に頭の毛が剥げてたら育毛剤でも請求するからな!あーもうなにこれ。オレのシッポぉ〜。ひでぇ。ひどすぎる・・・》

水で流したらわかる。身体の異常。
いたるところに歯型はあるし。毛は抜けてるし。千切れてる毛もある。
涎を流し落してブルブルと身体を振って水気を払い落す。
オレの自慢の毛並みなんか、舐めて毛づくろいしてもゴワゴワがぬけない。
総悟がいつもブラッシングしてくれたのに。
あの艶がないよ!?

これで人間の姿になったらどうなるんだろう。
なんかもうはずかしくてお嫁にいけない系?


《銀。手ぬぐいとか貸せいますぐ。こんなみすぼらしい姿を世間様にみせるぐらいなら・・・オレオレは・・・はほっかむりでもしていくわ!!》

「いやいや、おちつけって。そっちの方が絶対目立つから!ネコなんだから身なりなんか気にしなくたっていいだろうが!!どうせ猫同士で喧嘩したぐらいにしか見えないから落ち着けってシロウ!」
《そんな。そんなことをしたら・・・》
「ほっかむりをしたネコのほうが百倍目立つから!」
《オトメさんに喧嘩っ早くて野蛮で破廉恥で禿の露出狂っておもわれるー!!!》

「オトメさんってだれだぁ!!!!」


結局オレはみすぼらしい姿のまま外に出ることはできず、風呂敷につつまれて銀時の懐に入れられて真選組まで送迎された。




















【後日談】

夢『・・・・・』
山「俺の変装道具とかでなんとかできませんかねぇそれ」

風呂敷から顔だけ出してそこからでたくないとニャーニャーと駄々をこねる猫なオレは、真選組あづかりとなり、そのまま仕事がたまってるんでと総悟に部屋にほうりこまれた。
イヤイヤ人型になったら――
髪の色は赤いままだったが、その毛の半分がごっそりなくなっていた。否。ザンバラカットになっていた。
着ていた制服もあちこち破れてぼろぼろで。
床でくたばっちえた眼鏡なみにボロボロだった。
あげく、顔にはあり得ない形で定春に噛みつかれたように顔のよこ半分を横切るようにデカイ歯形がくっきりと。
どんなエイリアンと取っ組み合いしたんでさぁと総悟に突っ込まれた。
どうしようもない悲惨な状況に、総悟が山崎をつれてきて、変装技術とか化粧とかで何とかなるんじゃとがんばってくれたのだが。

山沖近「「「・・・・・・」」」

山「すいませんでした副長!!」
沖「土方さん・・・すんません。このおれの腕をしてもだめでさぁ」
近「トシぃ・・・」

夢『・・・なぁ。オレ、これからひきこもってもいいか?』

猫の姿になれば、バリカンを持ってきた総悟にさらに部分的禿を増やされた。お前、ブラッシングの腕はいいけどトリマーには向いてないよ。
ついでに人型のオレにだっさいリボンつけてくれたり、化粧でごまかそうとおしろいぬってくれた山崎は、ふざけてるのか本気なのか誰かその脳みそえぐって問うてほしい。
山崎によってなにかがいろんな意味で終わらされていく気がするオレの様子を間近でみていた近藤さんは、変装?が終わったオレをみて、なんだか涙目で見つめてくる。
その同情が痛いわ。

鏡には“化け物”が映っている。


夢『・・・もうやだ』





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銀「なぁ、シロウ。オトメさんってマジでだれだよ」
夢『だれって。お前も知ってるだろ』
銀「銀さん、新しい母親なんていりませんよ?」
夢『散髪屋さんにいるフルロングコートのとても美しい灰色の美猫(ビジン)だが?』

銀「猫なのぉ!?」









〜たぶん注釈的ななにか〜
夢主は、ほんとうはそのまま神楽と新八と名前で呼んであげようと思っっていた
しかしお子様たちの暴挙にプッチン(笑)
これにより夢主による名前呼びは取り消され
再びチャイナと眼鏡と呼ばれるように・・・








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