09.就活するにゃコスプレでLet's Party! |
アニメ第13話「コスプレするなら心まで飾れ」より -- side 夢主1 -- 銀時から仮装大会するからこない?小太郎も来るよ〜。 っと、いうお誘いを携帯にもらったので、面白そう!とその場ですぐにOKした。 約束の時間まではまだ大丈夫そうだな。 うん。さっそく準備だ。 実は、こういときがいつかくるんじゃないかなぁ〜って、以前から用意しておいたパーティーグッズがある。 その中から、ウキウキと白いものを取出し頭に装着する。 白くて長い鬘は、真選組に来る以前と同じくらいくらい長い。 それを外れないようにしっかりヘアピンで固定して、そのあとになつかしの武州時代のようにポニーテールにくくる。 鏡をのぞくとちょっと懐かしい感じがして笑った。 今は白い髪にどうやってもならないので、これはこれで懐かしい。 あとは洋服かぁ。 たしか銀時が電話で、ジャンプで一番人気な海賊漫画のように、海賊になりきるんだと、パーティーの趣旨を教えてくれたけど。 それって噂のアレかなって思って、実はドキドキしてる。 前世の時から一度は聞いたことあるけど勇気がなくて行けなかったアレ!! 《コミケ》っていうやつじゃないのだろうか!?なんの略称かも忘れたけど、オタクが集うんでしょ? あるいは《ジャ○プフェスタ》っていう雑誌ジャ○プにのっている作品メインのお祭り! どちらにせよああいうのにはコスプレをしていくひとは多いと聞いてる。 楽しみだなぁ。 この世界も攘夷戦争のあとから、漫画とかアニメとか増えて楽しいし。 それじゃぁ、はりきって、ファッションの勉強をして鍛えた変化で、制服を海賊っぽいものに変える。 今日はいつもの着物ではなく、洋服だな。 色は元が制服だから黒になっちゃうけど―― 『オレの《セカイ》。爺様・・・。 オレ、やっぱし。まだまだダメみたいだ。爺様に会いたいよ〜』 海賊というわれてすぐに浮かぶのは、あなたのいた青い海の世界。 そしてオレが《セカイ》と呼ぶあなたのこと。 持っていた制服を水気を払うようにぱっと払えば、衣服はあっという間に“海賊王”のものに変わる。 思い浮かべた姿は、懐かしい別の世界の存在。 今はオレの左薬指にはまっている指輪に姿を変えた人。 爺様。《セカイ》。大切だったひと。オレの生きる居場所だった人。 オレがこうして生きてられるのも、爺様のおかげ。 この魂が壊れず流転し続けるのも。 そう。オレの指輪はただの指輪じゃない。そこに宿る魂は偉大なる王のもの―― 海賊王。 ゴール・D・ロジャー。 別の世界のことだけどね。 ちなみにこの世界のジャ○プにも【ONE-PIECE】ってあってね。そこにもあなたはでてきたの。 読むたびに涙が出そうになるぐらい懐かしかったよ。 もう前世の記憶なんてほとんど覚えてないのに。 どうしてかな。 あなたがいた世界だけがいつまでも鮮明。 それはきっと今もあなたがオレの側にいるからかもしれないね。 左手の指を飾る青い指輪に感謝をこめて一度額をつければ、思い出の中の漣の音が聞こえるようだ。 色違いだけどロジャーが着ていた服にそっくりになったそれを、思い出ごとぎゅっと抱きしめ、バサリと羽織る。 『さぁ、いこう!』 パーティーのはじまりだ!! 『レッツパーリィー!!』 え?最後のなにかって? なんとなく。 ノリだけど? あれ?オレ、なんでそんな元の言語がわからなくなるような微妙な発音で英語しゃべってんだろ。 やっぱさ、発音するなら、きっちりこう――『Let's Party!』みたいな。 パーティーって言いたいよね。 って。 あれれぇ? なんで音として発音しようとすると『パーリィー』になるんだろ。 だめだこりゃ。 ********** ウキウキワクワクコスプレ会場とやらに向かったら、なぜか履歴書を書かされた。 しかも会場ではなく、港だった。 『どういうことだこれは?』 待ち合わせ場所には、小太郎も銀時もオレと同じような格好をしていた。 みんなキャプテンなんだってさ。 それはいいんだけどね。 『銀。コタ。オレらこれからなにすんだぁ?』 「コタでもヅラでもない!キャプテンカツーラだ!キャプテン志望」 「おなじくキャプテン志望〜」 『だからなんなのこの状況は?』 「「面接だ」」 今、オレたちの目と鼻の先には、海賊船がある。 しかもたちの悪いので有名なあの《宇宙海賊春雨》のもの。 だというのにかかわらず、銀時と小太郎は、船の入り口を見張っている天人に、「自分たちも海賊になりたいのだ」とさっき書いたばかりの履歴書を押し付けている。 海賊になるのに履歴書っているかなぁ。 まぁ、どうでもいいけどよ。 なに?今回の仮装大会ってのは、就活のためのコスプレのことなのか。 就活なら、きっちカッチりとしたスーツとか着物だと思うんだが・・・。 ってか。集団面接に無理やり持ち込もうとしている養い子たちの言動が想像の斜め上を生きすぎていて、おかしくて、思わず笑みがこぼれしてしまう。 ほんと、こいつらなにやってんだか。 そこでよくわからないままに、銀時と小太郎につれられて履歴書をかかされ、そのまま入団志望とか提出したり。 銀時は幼い頃から海賊にあこがれてて「ワンパーク」っていうのを探したいんだって。 しかも腕がフックだから、海賊になるしかないらしい。 あの大きなフックってどこから持ってきたんだろう? それにしても強引で有り得な過ぎる設定だ。 あまりの設定に、オレの指輪の中にいる本物の海賊王が、腹を抱えて笑っている気がした。 「せめて面接だけでも!」 「ほら履歴書も書いてきたんですよぉ」 「だからぁ。そういうの受け付けてないって言ってんだろう! ーっと…そこの白いおまえは?お前もキャプテン志望とかふざけたことぬかすのか?」 『あ、オレは脇役志望で頼む。 ま、なるなら海賊王になりたいもんだねぇ』 「「「脇役なのに頂点狙ってんのかよ!?」」」 『だめ、かぁ?』 銀時や小太郎だけじゃなく、見張りらしき門番にもつっこまれた。 だってオレにとっての《セカイ》たる爺様は、海賊王だったんだ。 そこはやぱっり、憧れるでしょ。 でもここではあまり目立ちたくないからさぁ。脇役ってことで。でも希望は言ってみた。 後悔はない。 そこで我に返った見張りやろうが「そういうのはうけつけてないんだ!」と「お前らなら何でもできるさ。ほかをあたれ」と、オレたちに背を向けたところで、魚人…じゃなくて、天人の首に、小太郎が抜身の刀を銀時が木刀をつきつけ動きを封じた。 最後にオレがそいつの正面に回ってそのまま回し蹴り食らわして、意識を刈り取った。 ナイス連携プレイだ。 ついノリで意識つぶしちゃったけどよかったのだろうか? そのままオレは二人に連れられるがままに、その海賊コスプレのまま《春雨》の船に侵入したのだった。 『っていうかさ。銀。お前、もんのすごい怪我してたりしないか?』 ついたときから思ってたけど。 オレの動物的な嗅覚に引っかかるものがあって銀時を見つめる。 できるだ限り銀時の異常を探ろうと目を細めてたせいか、鋭いと言われる目つきがさらに険しくなったせいか。とたん気まずそうに視線をそらされ、やっぱりかとため息が出る。 鼻につくのは、嗅ぎ慣れた錆びた鉄の匂い。 発生源は間違いなく銀時から。 しかもよくみてればその動きが若干ぎこちないのがわかる。 やれやれ。 この子、また無茶をしたのか。 『その怪我からいって、骨にもきてるだろ?どっかのビルから落ちたのか?』 「!?」 「そのとおりですシロウさん。こいつたまたま人を探しているうちに麻薬の取引現場にいて逃げる際に落ちたっていうんですよ!怒ってやってください!ぜひに!!」 「ちょ!ヅラぁ!!言うんじゃネェよ!!お前は先生に告げ口する小学生か!」 「フン。言ってろ」 人探し?麻薬?逃げる? 万事屋の依頼が、実はその根っこが繋がっていて、こんな大きな獲物に発展したと―――。 「一番はあいつらを取り戻しに行くんだよ」 『あいつら?』 「ヅラの仲間と間違われて神楽と新八が連れてかれたんだ!」 銀時がここにいるのは、ひとえに攫われたチャイナと眼鏡を救うためらしい。 小太郎は麻薬阻止のためだろう。 『そうか。救いに…』 それをきいて、不謹慎ながらながら嬉しく思ってしまった。 背負うのがもう嫌だと言って、背負うことを嫌って戦場を去った銀時が、また仲間を懐に迎え入れたことに。 その命を背負う覚悟を決めていることに。 そうでなきゃぁ、ここにこの子はいないだろう。 『よかったなぁ、銀。いい仲間じゃねぇか』 お前の死んだような心を動かすだけの“大切”。 そう思わせてくれるやつがこいつにも“また”できたらしい。 それが親として嬉しくて、横を走る銀の頭を昔と同じように撫でた。 照れたようにそっぽを向かれたが、さらに横にいた小太郎が生暖かい目で銀時を見ていて、銀時はそれと視線が合ったのかあばれていた。 『それにしても随分と懐かしい顔ぶれだなぁ』 侵入者だと襲い掛かってくるやつらを先陣切ってきりつける小太郎。 オレは剣を持ってないので、体術で勝負するかしかなく、なぎはらったり蹴り飛ばしたりして道を開く。 銀時は怪我人だから安静にと最後尾を任せて大人しくさせている。 捕まえたクルーから笑顔で脅して聞き出せば、あっさりチャイナや眼鏡たちの居場所を吐く。 二人がいる甲板にはオレと銀時が、小太郎が爆弾片手に船内の武器庫を破壊しに行く。 三人でこうやって走るのは、あの攘夷戦争ぶりだ。 一緒に走ることにちょっと高揚感が湧き上がり、思わず口端が持ち上がる。 『戦争でもおっぱじめんのかぁオレら?』 「まっ。似たようなもんだな。 にしても、なつかしっていうと、とうちゃ…じゃなくてシロウの髪の方が懐かしいなソレ! おれ、そのゆれるシッポみたいなの好きだったぜ!」 「ふふ。戦場でもあなたの長い髪は、猫の時のシッポを彷彿とさせていい目印になったものだ」 『あぁ?じゃぁ、猫のまま戦ってやろうか? ま、今日はおあづけな。オレは銀の代わりだ。人型で我慢しろよ』 「「了解大将」」 視界の隅で白いものがオレの動きに合わせて揺れる。 これもまた懐かしい感覚だ。 偽物の髪の毛だけどね。 でも色だけでなく、ここまで長いのも懐かしい。江戸に来てからは、ずっと髪を伸ばしていなかったから。 この髪が好きだと言ってくれるひとがいるのなら、また伸ばしてみるのもいいかもしれない。 ただし髪はもう白くはないんだけど。 ********** 真正面からいくには時間が惜しい。 なので眼鏡たちがいる船首のとは違う後ろの看板からでた。 なんとそれと同時にこの船のリーダー格らしい顔色悪い天人に人質にとられていたチャイナが「あしでまといになるのはごめんよ」と自ら海へと飛び降りた。 それを、とめる間もなく銀時がかけだし、そのまま船のマストからたれるロープを使って船の側面を駆け抜けると、チャイナを空中でキャッチし甲板に戻ってきた。 『まったくなにやってやがるあいつは』 まぁた、無茶しやがって。 こっちの心臓がもたないよ。 まぁ、このくらいでオレは死なねぇけどさ。 チャイナを看板に下ろす際に衝撃で傷がひらいたようで、いてててという銀の声が聞こえる。 そのまま銀時は怪我なんかしてないとばかりに立ち上がると、オールバックの眼鏡な天人に向け―― 「あのー面接会場はここですか?」 のんきな声ですねぇ。 本当に怪我を隠し通す気だろうか。 「こんにちわー坂田銀時です。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取。特技は目を開けたまま眠れることです」 「銀ちゃん!」「銀さん!」 銀時は入口のところの面接ネタをまた持ち出しやがった。 ワォ。そのままひきづるのかよ。 でも銀時の登場に、捕まっていたこどもたち(眼鏡とチャイナ)が喜々とあいつの名を呼ぶ。 しかも目の前のあのオールバック天人は知り合いらしく、やっこさんは銀時が変な自己紹介をした後、驚いたように声を荒げた。 「てめぇ生きてやがっ」 っが。 『フン。割り込むぜぇ。面接会場はここだってきいたんでな。オレはとりあえずモブその1。海賊王志望だ』 オールバックな天人の言葉を遮るように、オレはマストの上から飛び降りざま声をかけてやる。 ノリと会話の内容はアレだ。銀時をまねてみました。 モブですよオレ。でも心の奥底では大きな夢を見てるんです――という設定で。 と、そんな冗談は置いておく。 銀時の正面、天人と銀時の間にはいるように飛び降り、オールバック天人の言葉を遮らせてもらう。 スタっと軽い音だけして、その場に着地したオレに、銀時が苦い顔をしながら手を振ってくる。 「ナイスタイミング、シロウ。シロウがくっと、おれの出番がショートカットされちゃいそうだなぁ」 『それでいいんだよ。銀。お前は病人だ。さがっとけ。 そもそもお前という奴はぁ馬鹿なのか。 あれほど生きるための手段を選べと教えてきたのに。 本当に後先考えネェな、毎度毎度。今回なんかは傷ひらくような無茶をしやがってぇよぉ。 いいか銀。あとでその傷に塩塗りたくってやるから覚悟しろ』 「あーそれは勘弁」 「シロウさぁん!?え?でも髪が白ぉっ!?」 「赤じゃなかったね。髪が銀ちゃんと同じ色ある!若白髪アルよ!」 「『若白髪じゃネェし!!生まれつきだ!』」 ま。とはいえ、いまのこの髪はウィッグで、あげくオレの髪色は赤いんだけどね。 やれやれ。さっきまでのシリアスモードはこいつらにはつうじないのか。 オレたちと子供たちのやり取りに、ツッコムすきがなかったようで、オレが言葉を遮ってやった天人がデコに血管を浮かび上がらせてプルプルと震えて、こちらをきつく睨み付けてきていた。 怒って睨んでくるのなら、ならばオレは嗤ってやろう。 『さぁて。うちの愚息をビルから突き落としたってぇ輩はどいつだってぇ? オレが銀にかわって、その骨粉微塵にしてやるぜ』 あんまり怪我人の銀時に無茶させたくなかったので、ここまでくる途中でぶっとばしたやろうから拝借した刀で肩をたたきながら、誰がお目当ての敵なのか声をかける。 挑発すれば、一番偉そうなあのオールバックが前に進み出てきた。 「わたs」 ドッカーン!!! っが。これまたタイミングよくオールバックな天人やろうの言葉はおしくも遮られたのだった。 「こんどはなんだ!!!」 「倉庫で爆発が!!」 今度はなんだと鳴り響く爆発音に周囲が騒然とするも、すぐに艦内から小太郎、否、キャプテンカツーラがさっそうと登場した。 両の手に爆弾持ってるところが、もうすっかり《爆弾魔》が板に付いちゃってとかしみじみ思わせるには十分だった。 「俺の用は終わったぞ!あとはお前の番だ銀時!好きに暴れるがいい。邪魔する奴は俺がのぞこう」 『まてコタ!今日の銀時の出番はおしまいだ。はっぱかけんじゃねーっての!やるのはオレだ』 「コタじゃない!キャプテンカツーラだ!です!シロウさん!」 「わーヅラがイケメンにみえるよ。ってかよぉ、ヅラぁ。なんでお前、そうシロウの前だと丁寧語なの?残念なイケメンになってんぞぉ」 「うるさい!これは癖だ!!」 「あーはいはい。ま、わりぃなヅラぁ。今日はおれの出番はないらしいぜ。 呼んじまったからにゃ、今日はシロウにまかせるさ」 わかってんじゃないの銀時。 ちなみにこれ以上自分で動こうなんてほざいた場合は、オレがお前を沈めていた。 「あ、いま悪寒が…」 こっちをみて一瞬ん顔を青くした銀時の頭を昔と同じようにポンポンとなでて、大丈夫だとあとはまかせろと笑ってやる。 『さて。就活希望者三人組がそろったところで。一番目の面接官はどいつだぁ?』 「シロウさん!こっちはまかせてください!あとは俺がぁ!!」 オレたちよりも高い位置に姿を見せた小太郎を見て、天人が目を見開く。 「てめぇは“カツラ”!!」 「ちがう!おれはキャプテンカツーラだ!!」 まだその設定貫き通すのね!? にしても、小太郎って攘夷志士だからって理由にしては顔が売れすぎてないか? 爆弾って威力が強いから警戒されてんのかもね。 あとは髪が長いことあたりが、“攘夷志士の桂”だとわからせる要因となっている気がする。 まぁ、そうこうしているあいだに、小太郎は頭上から勢いよく爆弾をオールバック天人やろうに投げつけると、オレたちから他のクルーたちを引きはがすように別の方向へ去っていく。 そのあとを「桂の首をとれ!」と天人海賊一味がおっていく。 「てめぇら終わったな。 完全に《春雨》を敵に回したぞ。今に宇宙中に散ってる《春雨》がお前らを殺しに来るだろう」 オールバックが言った。 その手には剣。 両刃の、つきさすようなタイプの剣だ。 それはその重さによって薙ぎ払う。 刺さった獲物はえぐる剣。 体重ではなく速さを重視したオレや銀時たちがあつかう日本刀には分が悪いものだが。 「しるかよおわるのはてめぇだ」 『銀に激しく同意する。 剣ってぇのは武器だ。お前“殺される”覚悟はあるんだろ?』 目の前で殺気をあふれさして武器を取った。その瞬間に、奴はオレの敵となった。 殺すための道具を持ってそれで何かを殺すということは、自分がその逆に殺される覚悟もあるってこと。 オレはそう教わった。 命のかけひきをする道具を使うということは、自分の命もかけてるのだと。 奪い奪われ。 そして、背負う覚悟があるか。 その在り様は、偉大な海に生きる前世の仲間がそう教えてくれたもの。 「この船は《春雨》の一部でしかない。宇宙にどれだけの人員がいるかわかってるのか?」 「『それがどうした』」 オレと銀時の言葉が重なる。 剣を持ったまま。そのままベラベラしゃべるオールバックに、話を聞けば聞くほど、の威を借る狐に見えてきてしまう。 違うのはわかるんだけどね。 あのオールバックさんが、そこそこ強いのはわかる。 だけどうちの子たちの足元にも及ばないのもたしか。 なにって覚悟の度合いがさ。 腹にくくった一本の槍とたくさんの武器。どちらが強い?って、以前麦わら帽子をかぶったゴム人間の側の人間が言っていた。 それと同じ。 たった一つの信念の方が、力よりも上なんだろ。 覚悟がなければ、どれだけ力を持っていようと、一本の枝もおれやしねぇ。 「いいか。てめらが宇宙のどこかで何しようとかまわねぇ」 ひらいた傷口が痛むのか、オレの背後で銀時がチャイナたちに支えられながら足を踏みしめて立つ。銀時は痛みに顔をしかめつつも言葉を紡ぐ。 「だがな。オレのこの剣。こいつがが届く範囲は、おれの国だ! 無粋にはいってきて、おれのもんにふれるもんは将軍だろうが宇宙海賊だろうが、隕石だろうがぶったぎる!!」 「――っと、いうわけで、あとよろしくぅ」 『まかされた』 「なにいまのー!!そこまで言うならあんたが戦えよ!」 「銀ちゃん、期待してたのにぃ」 銀時のやつ、いいこと言うなぁと思いきや、こちらにすべて投げてよこしたことで、感動していたチャイナと眼鏡が物凄いツッコミをいれていた。 ふふ。あれくらい予測しときなよ。 まだまだだねぇ。 大きな剣を振りかぶって雄たけびを挙げながら迫りくるオールバックな天人に、オレも意識を切り替え、借り物の刀をかまえる。 「うおおおおおおおおおお!!!」 『いさましいのは声だけかぁ?』 「うるさい!」 速さと重さの剣。 けれどそれにかかされた想いの重さがちげぇんだわ。 どちらが早く斬るかというより、相対する距離も短かったから、ほんとうに一瞬。 剣を打ち合わせることなく、相手の急所を狙った一本勝負になった。 結論から言うと、オレは勝った。 困ったのはこいつらを麻薬の容疑で逮捕すべきかそうでないか。 ここで《真選組副長土方十四朗》としての、本職の仕事したほうがいいのか悩む。 あー、でも。さっき、幕府のおえらそうなやつの名前を耳にしたような? 大量にしょっぴくの・・・今はちょっとまずいか。 政府のオエライノと繋がってそうだしな。 うん。 おわったら、すべからく。颯爽と。風のごとく逃げよう。 願わくば、この一件にオレがかかわっていたと、後藤さんたちにばれないように・・・。 『・・・・・・』 だめじゃん!? ばれたらだめじゃん!! 『逃げるぞ銀!!!超ダッシュだー!!』 ********** その後、小太郎をだしに《春雨》の海賊船を脱出し、銀時たち万事屋と港でお別れ。 だって仮装大会って言われてきたのに違ったし。 今度そういうお祭りに行ってみたい。 とりあえずだまされて呼び出されたので、もう用はないようなのでさっさと帰る。 ほら、みたいドラマの再放送がはじまっちゃうし。 でも。あとでお見舞いに行こう。 銀時は病院に入れないとな。 ま。いまはドラマが先だけど。 それではまたあいましょう、みなさん。 『またな〜』 【後日談】 夢『おー。相変わらず布団とつれそうのがよくあうお姿で』 銀「シロウかぁ。仕事はいいのかよ?よくくるけど真選組って暇なの?」 夢『大事なもんはさ。目を離したすきになくなってるなんて…いやだろ?それだけだぜ』 銀「へ。そうかもな」 新「あ。今日のシロウさんは髪の毛は赤い!しかも短いし」 夢『よぉ邪魔してるぜぇ眼鏡』 新「シロウさんってなんで髪が赤かったり白くなったりするんですかー」 神「赤毛はどこにいったあるか?」 新「化け猫って色も変わるんですか」 神「白いからシロウあるか?安直ある。ださ。ぶふふーネーミングセンスうたがうあるよ」 銀「ぐふぉ」 新「それもそうか。カツラさんがヅラって言われてるのと同じレベルですよねー」 銀「ぬ…」 夢『…もうやめろよお前らぁ。さすがにむごい。というか、銀がすごいダメージうけてるから!』 新「っで?どうして今日は赤いんです?」 神「そうそう。なぜね?」 夢『ああ。こないだのは、銀が仮装大会やるからこいっていうからウィッグつけた。 ちなみにここまで赤くなる前は白猫だったんだぜオレ』 神「地球の猫は、人間になるだけじゃなく毛の色も変わるね。わたしはじめてしったよ」 新「いやちがうから!!シロウさんが変なだけだって!たしかに冬になると茶色の毛が白くなるウサギとかはいるけど……赤くはならないって!」 夢『ああ、赤はないよなぁ』 銀「だなぁ。その派手な色はちょっと目立ちすぎるしなぁ」 夢『ま。オレもオレ以外でこんな化け物見たことないし。はは。見たら面白がって売るわ』 新「自虐ネタで心の底から楽しそうに笑ってる!?」 夢『いやだって、オレみたいのなのもうひとりいたらおかしくね?』 神「ス昆布どれくらいぶんの価値アルカ?」 夢『そうだな〜。一万箱ぐらいはよゆうで買えるんじゃネェか?』 神「!!もしいたら。そいつ、わたしにゆずるね!ス昆布買うよ!」 夢『その時にはオレにも一枚おくれよ』 神「一枚だけね」 新「だったらシロウさん売ればいいんじゃ!?」 神・銀・夢「「『心もない鬼がここにいいるよ』」」 新「!?なんでそんな白い目で見られるんですか!!元ネタふったのシロウさんですよねぇ!!しかもあんたたちがもう一匹いたら売ろうとしてたんじゃないかぁー!!」 神「シロウは売れないアルヨ」 銀「うん。だめ。このひとはだめ」 新「なんでだよ!?」 神「・・・シロウ。強いある」 夢『うん。売られ前にオレが叩き潰してにげるなぁ?』 銀「そのときの被害の方が売値より高くつくと思うから。こいつはやめとけ新八」 新「やっぱり。なんで僕が捕まえて売ることになってんのー!!!?同族売ろうとしてるあんたらの方がタチ悪くないか!?理不尽だー!!」 夢『っくっく。面白いなぁこいつら』 仲間か 懐かしいねェ 銀は いぃモン(仲間)背負ったようだなぁ アニメ 第13話「コスプレするなら心まで飾れ」より |