01.面倒くさいから上に行こう |
-- side オレ -- ハイ、ドーモ☆ 前世の記憶を引き続き継続中のオレ様何様様です。 今回たどりつういたのは、死後の世界。 そりゃぁ、死んだんだから当然だよね。 って、いう冗談はさておき、ズバリ霊魂だけの世界なわけだよコレがね。 しかもこの世界は、完全和装世界だったので、生前のままの赤い髪は相変わらずここでも目立ちまくりです。 赤い目、明るい黄緑の目。 黒や茶色しかいない黄色人種の中に、それで目立たないほうが可笑しい。 “こっち”にきてからは、オレの特徴でもあった顔面刺青は綺麗さっぱり消えていたので、 髪や目以外などでは特に目立つ要因はないはずだ。 だけどなんかやたらとからまれることが多いのは不満だ。 生前と変わったことは、いくつかある。 ここにきてまず、先程もつげたように刺青が消えていた。 同時に生前まで使っていた『念能力』と呼ばれるオレの能力が、一切使えなくなっていた。 たぶん刺青が消えた要因として、この能力の消失が大きく影響しているのだろう。 オレの刺青は、墨を生み出し墨を操るオレ自身の能力でもって彫られたものだったから。 刺青には愛着はあったが、世界を越えてしまった今はそれもまたいたしかたないといえる。 だ け ど・・・ 能力をなくしたことも大事件だが、オレにとってはもっと遥かに重大な問題が実はある。 実のところ能力が使えなかろうが、ここがたとえば漫画の世界であろうとしったこっちゃないし、それもまた問題ではない。 問題なのは、オレの姿が縮んでいることだ。 なんと、死んだ年齢よりも二十才以上近く若返って、十代頃の子供にまで外見が戻ってしまっていたのだ。 原因なんか知るはずもない。 だけど若返ったのは事実なんだ。 なにせオレが死んだのは、たしか××歳にもなろうかといういい年したおっさんの年齢であり、 外見は童顔期をやっとぬけて、やっと成長期に入り、十代後半になんとかみえるようになった――そんな矢先の死だった。 なのになぜか今のオレはまた十歳ほどに縮んでいる。 ありえない。 おかげで、修羅場をくぐりまくってきたはずのオレに迫力はなく、この世界にきてからは、 みてくれでチンピラどもにターゲットにされまくっている。 小さい?弱そう?あ゛ぁぁ?なんだってごらぁっ!!悪かったな童顔な一族出身で!! *************** 「なによそみしてるんだよガキがぁ!」 「いいご身分だなぁ、ええ?身の程って物をわからせてやるぜ!」 「・・・・・・・」 うっとうしいな。 とりあえず今オレは不機嫌なんだ。うっとうしい。そう思わせたんだ。責任ぐらいとってくれるよなぁ?ねぇ? ドガッ!ゲシッ!バキッ! 「死にたくなかったらなにかよこせ」と下卑た笑いで呟く気違いとか、 「死ね」とか軽々しくほざいてくれた相手には、問答無用で逆に殴り飛ばしておいた。 さてさて。 さっきからひっきりなしに襲ってくる現地住民&ぶっ潰させていただいたアホどもは無視して―― えーっと、オレの記憶が正しければ、ここは【BLEACH】の世界における魂だけ死後世界。 ぶちゃけ海と宝と海賊の【ONE PIECE】世界の住人であったオレが、例え向こうで死んだとしてもこの世界に来るなんてありえないし、“尸魂界(ソウル・ソサエティ)”なんか関係ないはずだ。 「ああ、でも。あれか?」 オレの場合は転生とかトリップを経験している分、死んだことによってまた別の世界に飛ばされることもありえるのか。 だからってさ。 「なんでオレが80地区なんだよ!!コンチクショウめがっ!!」 ドゴオォッ!! 記憶どうりなら、ここはその死後世界。それも魂魄の大多数が住む内の貧民区――“流魂街(ルコンガイ)”。 死者は死後尸魂界へ辿り着くと、まず担当死神により各所へ無作為に振り分けられる。 前世の記憶があいまいすぎて正確なのか自信がないが、たしか流魂街にいる死人たちには前世の記憶がない(曖昧な映画情報)らしい。 ここまではオレの記憶どおりだ。 ――そして今オレはなぜか80地区の更木にいる。 うん。どっかで聞いたことのある名前だがそれどころじゃぁない。 先程そこらのチンピラに襲われたとき聞きだした話だと、流魂街は瀞霊廷の周囲・東西南北の4区域からなり、さらに各区域は80の地区に分かれ、それぞれ名称が付けられているんだとか。 っで。 地区の数が大きいほど治安が悪い。 つまりオレがいるこの地区が、もっとも治安が悪い。 「なにブツブツ言ってやがる!?ああぁ?なめてんのかよ!!」 「しねやぁクソガキがっ!!」 「死後世界にきてまで死んでたまるかぁっ!!」 すべての死後の世界が繋がっているのなら、ここには“オレの爺様”もいるのだろう。 いや。そんなことありえないとわかっている。 でも。 『もしも』という淡くて儚くて物凄く細い希望(光)の線。 その願いのために・・・。 ただ――もう一度会いたい。 そ れ だ け・・・ そのためだけに。 だから 「どっけってんだよ!!」 ドカッ!!バキッ!! 「ぐはっ!!」「うぐっ!!」「!!!」 「ひとがまじめに考え事をしている間に襲ってくんじゃねーよっ!!」 オレは刃こぼれしまくりの刀をもって切りかかってきた男達を気合いで蹴り倒す。 邪魔はさせない。 例えここが死後でもオレが今生きていることにはかわりない。 だからオレが生きることを止めさせはしない。 止めようとする奴はすべて滅べばいい。 「こんなところで天下のシャンクスの息子であるこの様がくたばるかってんだよバーカ」 本当に前世の記憶がみんなないのかはわかんない。 とりあえずオレは、記憶があることは黙っていようと思う。 事件や厄介ごとは嫌いだからな。 だってオレがでかい動きをして、歴史に関わるような原作破壊のようなことになるのも、 人に奇異な目でみられるのも、なにかをどう処理しようか・・・考えるのも面倒だ。 ああ?面倒くさがりであるかったな。 でもこの地区にいる限り、オレは面倒ごとにまきこまれ続けなければいけない。 だからオレは上に行こう。 面倒ごとも、世界を動かすような何かを考えるのも嫌だから。 「どうしてだろうぁ〜」 殺しはしていない。 意識だけを刈り取るように倒した大人3人をみやり、空を見上げる。 この世界の空は青く澄んでいる。 あまりの気持ちよい青さに―――むなしくなる。 ここは死後の世界のはずなのにと。 死後の世界なのに、人は争うことやめず、そしてまた命が失われていく。 それが一番顕著なのがこの『更木』だ。 力ある者しか生きられない。 力を持たぬ者から死んでいく。 例え知らない相手だとしても、命が失われるのを見ていて辛くないはずがない。 ここにいる限り常に目にしなければいけないソレは、その“辛い”と思う気持ちをずっとひきずらなければいけない。 もし自分が殺したのなら、その命の重さを背負わなければいけない。 この世で一番面倒な作業。 それが――『心』。 その想いの処理はひどくやっかいだから、オレは面倒ごとに頭を使うのが嫌なんだ。 だってオレは、いまだに数十年以上も前に起きた“爺様”の死をひきずっている。 ここでは“ソレ”を思い出させるように、都合よく死後の世界だ。 しか周囲には死者が溢れていて、そして日々“生を求めて”戦闘が行われている。 死神になればこのやっかいな感情とも少しだけ遠のくだろうか。 見知らぬ者の生死を毎日気にしなくてもすむだろうか? ああ、本当に―― 「めんどくせー」 一方的な喧嘩が終わってもすぐに、またワラワラと野党じみた輩がオレの周囲を囲む。 力がすべてだというならオレがテメェらぶったぎって上に行ってやる!! そんなに早死にしたいならくればいい。 オレは普通じゃないんだからな。 え? 自分は殺人鬼の、元、親ですが?それがなにか? |