12.親しいからこその口喧嘩。でもちょっと労わって |
-- side オレ -- たったかウキウキ長い道を走る我が子を見て思うのです。 なんか周囲から視線が痛いよ。 そういえば、オレを今担いでいるのは【あのヒソカ】だったことを思い出す。 原作どうりの――姿形のヒソカ。 ちなみにすでにオレが意識を飛ばしている間だか、その前に、この子は、一人の人間を試験から落としたらしい。腕もついでに落としたとか。 やってくれたなと思ったが、そういう風に育ててしまったオレが悪い気がして大きく言えない。 でもいえることはあるのよ。 「家はくれてやる。っが、いい子だから離そうね〜。ねぇ、ひ〜そかくん☆」 「い・や◇」 いやもないもないっての! 君に担がれてると目立つんです。悪い意味で。 しかもオレの小ささをより具体的に実感させられるのでいい加減自分で歩きたいのです。 なのにこのこときたら。イヤってなにそれ。 ぶちっときましたね。 そのときのオレは笑顔だったかもしれない。 「なめてっと燃やすぞ」 思わず低い声が漏れました。 っが、しかし相手の方が上手でした。 「その前にボクが君を殺して あ・げ・る☆」 「空間ごと噛み切る」 「きられちゃいやだな〜◇今のクロサンぐらいなら、ボクでも余裕で殺せるんじゃないかな?体力もなさそうだヨネ☆」 「ちっ」 「うん☆それじゃぁ、一緒に青い果実を狩ろう!」 「いやだつってんだろうがっ!!!!」 「能力使っちゃダメナンデショ?ボクが知っている“”より、はるかに体力がなさそうなクロサンじゃ、この試験。一次審査も無理でしょ?次の会場までつれてってあげるよ◇」 「いやだ!!ってか離せクソガキ!!誰がてめーみてーな変態と群れるか!!!まだ野生児親父とバトった方がましだ!!」 「あっちにさっき青い果実があってネ☆いいよね〜◇くく。ねぇ、ゾクゾクするよね。興奮しない?」 「するかっ!!!オレをお前達変態の群れに巻き込むんじゃねー!!」 「【達】って…もしかして“知ってる”の◇ボクが何に属してる――とか☆」 「あ゛ぁ?それがどうした?もうやだ“お前たち”どうしてそうもおかしい方に猟奇的に走っちゃうわけ? むしろなんで変態になりたがるの? オレわかんないっての」 「ここ数年死んでたくせに、どうして“そのことまで”知っているのかな?」 「うっせーよガキ。ガキガキガキ!オレは足がいっぱいあって長くてうごめいてるものが好きじゃないんだ。なのにはじまりの12本分刻んでやったのはオレだぜ?オレがオレ様で何がわるい?」 「クロサンってさ。なんで変態とかの話題になるとすぐにキレルのかな◇」 「お前がキモイからだろ」 「それ、育ての親のせいじゃない?」 「“”か!?“”のせいなのか!?(未来のオレ、なにやってんだよ!!)」 「ボクはパパを愛してイタヨ☆」 「なんか、お前が言うとマジキモイ」 「ヒドイナー(ニコニコ)」 元の時間軸では「師匠」以外にも「パパ」とよく呼ばれたのだが、言われても嬉しくなかった。 今目の前にいる成長した原作そのもののヒソカの笑顔で「パパ」と呼ばれた瞬間、ゾワリと寒気がしたのは、どうしようもないのだろう。 やっべぇよ。こいつすっかりピエロがいたについてる。 むかしの可愛いしぐさが似合わないほどだ。 いったい未来のオレはどんな育て方をしたのだ。この子、自由すぎるよ!? あまりに自由すぎる。 オレの苦労が実らず、原作そのものの性格だったのなら・・・いつかこの子に殺されるかも。 親だから殺さないとかもう言ってられるレベルじゃないのだろうね。 ヒソカはきっとオレがだれであろうと、邪魔だったら殺すのかもしれない。 でも。オレはこんな未来の世界で殺されるわけにはいかないがな。 だって過去においてきた小さなヒソカに申し訳ないだろ。 まだあの子と、もっともっとやりたいこともあれば、もっとかまってやりたいことはあるのだから。 それにオレは過去の世界では24時間後には戻ってきたという話だ。 無事殺されることもなく過去に帰れるのだろう。 「くく。冗談だよ◇」 「おまえ、笑い方、こわくなったな」 思わずため息が出た。 もうなんというか昔の名残があるのに、それがさらに磨かれ、猟奇的な人格になっちゃったのね。 とはいえ、出会った当初から殺人衝動はあったがな。 やれやれ。めんどくさい子になっちゃって。 まぁ、これからオレが過去に戻ったらガンバレばいいことだけどな。 しかたない。 しばらくは、コチラのヒソカと仲良くしよう。 「あーもうしらん。とりあえず“”のことは置いておいて。実際1時間も走れる気がしネェ。あと頼むわ」 「そのめんどうくさがりも相変わらず☆」 「寝る。…あとで協会に言っとけよ。オレはお前の殺人衝動とは一切無関係ですとな」 「なぁんだ『気付いて』たの?」 「うぜー。そのねちっこい殺気をどうにしかしろよ。お前の上でゲロっていいのか?」 「それはちょっとやだね。んー。じゃぁ、寝ててイイヨー◇」 たくさんジンの手刀を浴びて運ばれてきたことと、大量のむさくるしい男たち。人の気配。さらにヒソカのねっとりした殺気。それらのせいで具合悪いのが、悪化したように思う。 っで。 あのやろう。寝てていいよと言った瞬間、こちららの腹を殴りやがった。 こんなときに腹に攻撃を食らえば誰でも死ねる。 念でガードさえしてねーよ。 肋骨いったかも… 「うん☆おやすみ」 「カハッ!」 物凄い衝撃と痛み、そのあと血の味がして意識はブラックアウトなされました。 ・・・・。 寝ててって。寝てって…!? 「昇天しろ」とかそう意味だったの!? ちがうにしても、痛いわボケ。 第287期ハンター試験 一次試験開始 ひたすら道をかけている最中のできごと |