24時間のキセキ
- HU NTER× H UNTER 原作軸 -



09.暑苦しいむさくるしい





 -- side オレ --





 ジンを洗ったあとにネテロ会長をまじえて雑談をした。
その流れで、なぜかもう一度ハンター試験を受けることとなった哀れなオレ。
あれからすぐに旅の支度をさせられて、ホォッホォッホォと笑うネテロ会長の飛行船で揺られて…途中でなぜかジンに気絶させられて、目が覚めたら心配そうな顔をしたマーメンさんがいたわけだ。

「大丈夫ですかさん」
「あー久しぶりマメちゃん。ってかここどこ?」

 話は伺っていますと苦笑を浮かべるマーメンをみて、オレもなんとなくすべてを理解してしまった。
なんとなくイヤな予感がしつつも左右を確認したところ。
どうもトンネルのような場所にいるらしい。
壁に寄りかかって寝ていたというか、置いていかれたらしい。

ハンター試験第1の会場。

「オレ…何日寝てたか知ってる?」
「あ、はい。会長からさんを預かったのは本日ですが、それまでは四日間ジンさんが拘束していたようですね」
「あ〜うん。なんとなく記憶があるや。目が覚めそうになるたびに手刀を食らってたような…」
「お疲れ様です。それと、これは受験プレートとお弁当です」

 気の利くマーメンから手渡されたのは、1と書かれた丸いプレートとずっしりとしたバスケットだった。
中からはいいにおいがすることから、弁当がはいっているのだとわかる。

「こんなに融通してもらっちゃっていいの?」
「今はひともいないですし。さん小さくなっちゃったんですし、これくらいはさせてくれと会長が…」
「うん。当然だよね。オレ、四日も何も食べてないし」

 そんなこんなで、ピクニック用としかみえないバスケットから敷物やら水筒、弁当を取り出し食べ始めた。
中にはちゃっかり今のオレサイズに合う着替えまであった。
あと、オレが愛用していた墨壺。筆、針、刃物、墨汁、酸化鉄、折り畳みナイフやら商売小道具がはいった――黒い小さなポーチまで入っている。

「あ、これ。オレの?」
「ええ。こちらのあなたが亡くなる前までつかっていたものですよ」
「そっか・・・ありがとな」

 ハンター試験やジンとの腐れ縁経由で仲良くなったマーメンは、食べ終わったら邪魔になるでしょうから回収しますよと、オレが食べ終わるのを待っていてくれたが断らせてもらった。
結構量があったし、せっかくだから少し食料は残して、念でガードしてそのまま試験にもっていくことにした。
プレートは覚えやすいイコール顔を誰かに番号で覚えられるのがいやだったので、バスケットにしまっておいた。
マーメンに「ダメですよ」とつっこまれたけど、

「1番なんて目立ち過ぎだっての!!
ただでさえジンに体縮めさせられて、あげく未来に飛ばされて、ハンター試験受けろって拉致られて!!
これ以上目立ちたくない!!」

 頭を抱えて叫んだら、「試験を受けたことがあるのは言ってはダメですからね」と念を押されるに説教はとどめられた。
うん。オレ、被害者だからもっといたわって。





 目が覚めた知らない地下道で。マーメンからご飯をもらって食べた。っで、しばらくしたら人が来た。
次々にやってくるのはむさい男ども中心。
たまにイケメンがきても男。
また、たまに可愛い女の子が来ても周りを警戒強いてピリピリしていて近づきたくない。
たまに声をかけてくる人間もいる。
ふとった男が「君新人だろ?ナンバーいくつ?ジュースでもどう?」となれなれしく声をかけているが、 そのときには具合が悪くて意識が吹っ飛びそうだったから無視してら去って行った。
しまった話し相手を逃したとは思ったが時すでに遅し。まぁいいかと諦める。

それからも来るのは、人、人、ひと、ひとひとひとひとひとひとひと…

時間がたつごとにむさくるしさが増していく。
人ゴミがいやで結果、どんどん奥の方へとオレはおしやられ、しまいにはあまりの空気の悪さに完全に具合が悪くなった。
そのまま壁によりかかって膝を抱えてうずくまった。

 転寝するも目が覚めたら、さらに人数と熱気にあふれていて、あまりのことに眩暈を起こして、再び倒れそうになった。
むさくるしい男たちの群れの中に放り投げられたオレ。
ああ、なんて可哀そうなんだろう。

「ジンのくそったれ。ジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそったれジンのくそ…」

 呪詛でもはいていないと、この何百人もいる男9割の群れの中で生きていける自身がない。
オレってば、自然豊かな場所で育ったせいで、ジンやゴンじゃないけど鼻が利くんだ。
途中で本気で吐き気がしてきたところで、念で空間つなげて逃げようかとたくらんだところで、なにやら視線を感じた。
視線を追って上を見えると、パイプの上にサトツさんが座っていた。
オーラで『念能力はできるだけお控えください』と宙にかかれたのをみて、諦めた。

 サトツさんの視線はすぐに興味を失ったようにそらされた。
あの様子から、たぶんオレの事情を知っているのは、ネテロ会長とマーメン、ジンだけなのだろうと思った。
あの視線は久しぶりの再会によろこぶものでも、可哀そうなオレを労わるものではなく、知らない貧弱な子供みるだけのそれだったから。
なぜサトツさんのあの無表情でわかるかって?そりゃぁ無口無表情の代表と言ってもいいようなうちの父がいるからな。 サトツさんのほうがまだ感情が読み取れる。

そうして人酔いから始まったオレのハンター試験。










第287期ハンター試験 一次試験会場








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