07.熊男現る!? |
-- side オレ -- 「ふざけんな!くそったれ!!」 外部との接続を切られて戸惑っていた【黒姫】を抱きしめ、二人(?)で強制転移に目をつぶって耐えた。 気分?気分は最悪だ。 なんだか一瞬で飛ばされたというよりは、ぐるぐると流れるトイレの中にでも流されたようだった。 やがて眩暈が終わって、濃い緑のニオイに目を開けると…… おっさんがいた。 「だれ?ってかここどこだよ!?【黒姫】場所わかる!?」 いかにも山暮らししてますといった風なヒゲ面の山男を無視して、抱きしめていた【黒姫】を宙に放す。 【黒姫】は水の中を泳ぐ普通の鯉と同じように、宙をゆらりと泳ぎ。 やがて何かがおかしいと首をふるふる横にふった。 「【黒姫】って、まさか“”か!?」 「オレに魔獣の知り合いはいません!!人違いです!」 小麦色に焼けた肌は、体全体薄汚れて泥まみれ。 服という服はなく、下半身の大事な部分を布切れ一枚で覆っただけ。 しまいには体長5メートル以上は優に超える巨大な魚をロープ一本で肩に担いでいる。 そんでもってダンブル○アも真っ青なロングヒゲヅラ。 魔獣にしかみえなかった。 だけどその声は聞き覚えがある。 ありすぎてムカついたので、無視させてもらった。 「【黒姫】…逃げるぞ」 「まて!!」 とっさに逃げようとしたら、数刻前同様に肩を掴まれた。 イヤイヤながらも、振り返るとキラキラと目を輝かせた――ジン=フリークスがいた。 しかもオレが知っているよりも随分ふけた顔だ。 「死んだと思ってたが。本当に=クロフデか!? お前随分縮んだなー。もしかしてオレが作ったG.Iで『魔女の若返り薬』でものんだ副作用か?」 「…本当にジンか?」 オレのこの姿を見たときと同じジンの笑い声。 楽しそうにペシペシと頭をたたかれるのも慣れた感覚。 つぶれると思うほど乱暴なソレ。 そして話される驚愕の事実―― 「はぁ!?あの恐怖の人体実験からもう十年以上たってるだと!?」 しかも、この時代の俺はすでに死んでいるらしい。 まさかあのまま帰ってこれなくて死亡認定されたのかと思いきや、死んだのはおととしのことらしい。 なんだ。けっこう長生きできたんじゃん。 死因とかは未来が変わる可能性があるからと教えてはくれなかったけど、特にその辺は興味ないかな。 だって、前世ではけっこう若く死んでしまったし、40歳以上生きれれば満足だ。 「イヤ…なんというかな。ってかな。死んだというか行方不明というか」 「…ふ〜ん。まぁ、オレてきには、その死亡原因より、あの恐怖の人体実験後、オレがいつ戻れたかの方が心配なんだが。あと今は何年だ?」 「あ、ああ。そうか。あのときは24時間で戻ってきた。 今はだなそろそろハンター試験が開催されるんだが、なんと今年はオレの息子が試験を受けるって聞いてな。ワクワクしてる」 「へぇ〜。お前の子供とかまじでどうでもいい・・・・って、ちょっとまて!ゴンが試験!?もうゲンサク開始かよ!!」 「またゲンサクか。お前いなくなるときも言ってたよな」 「それでさ…」 「どうした?」 「いや、ま、ともかくさ」 あんた服着ろよ。 トラブルにより気付いたら未来に飛ばされていたオレ。 なんと今度は、原作軸からの開始らしい。 うぇ。メンドイ。 かかわりたくないなぁ。 24時間で元の時間に戻れるようなので、それだけが救いだ。 ただいま原作直前。秒読みカウントダウン |