新シキ世界デ君ト円舞曲(ワルツ)ヲ
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05.我が子の将来を期待する





 -- side オレ --





 若干オレンジのようにもみえる赤い髪を揺らしてかけてきた子供を抱き上げ、嬉しそうにニコニコする子供の頭をなでつつ思う。
 うちの家族の能力は、どれも子供受けがいいものばかりだなと。
毛糸を操る能力者である母作の動くあみぐるみは、この子のよき遊び相手だ。
オレは描いた絵を具現化することが出来るから、この子供はすごい!と手をたたいてさらにはしゃいで喜ぶ。
念能力を使えない我が父はともかく、彼は彼なりにこの世界でも生きていくきぬけるようにと、この幼い子にいろいろな生きる術を教えている。
 父は道場をやっているが、実践向きな剣術を扱うため子供の入門者は居ない。
父は能力を使えないが、それでもうちの父もやはりいっぱしの父親らしく、剣の道の心得やら剣術指南の合間を縫っては、 この小さな子の面倒を見てくれるし、なにより生きる術を教えてくれている。
 ヒソカとう名の子どもを拾った時でさえ、彼は生きるためにあそこにいた人間たちを殺したのだといっていたほど。
この世界は生きることさえ難しい。ひとたび念など“しって”しまえば、そこから先は弱肉強食の力がものをいう世界。
本当に生き抜くのが大変な世界だ。
 瞳の奥には、まだ暗いものがあるし、思考回路が少しおかしいが、ヒソカも随分とうちになれたようでなによりだ。

 ふわりと子供特有のやわらかい髪をなで、くしゃくしゃにし、未来を考えて思わず視線が遠くの空を見つめ、無意識にふーっとため息が漏れる。

「師匠?」
「あ、ああ。なんでもないよ〜。オレがお前を絶対に変態にはさせないからな」
「ん?」

 こてんと首をかしげる小さな子供はめちゃくちゃかわいい。
母と、その母の作り出す人形と互角に戦えて、なおかつそれが楽しくてしょうがないと笑っている時点で怖い子供だが。
母のぬぐいぐるみたちよりこの子の方がぬいぐるみみたいで可愛い。やわらかいほっぺとか抱きごこちとか最高だし。
 ――それがなぜ。『ああ』なるんだろう?理解できない。
名前のとおりであれば、この子は原作に大いに関わるキャラクターとなるのだろう。
それは主人公にとっては良きも悪くも意識せずにはいられない相手。
つまりこんな愛らしい子供も将来決まっているのだ。変態・奇人・快楽殺人者の名をほしいがままにする“ヒソカ”になるのだと。

「……」

 根本的には、ただの同姓同名の別人であってほしい。
オレや父に似た金色の目とか、赤い髪とか、オレたち一家に似通った容姿に思わず愛着が出てしまって可愛くてしょうがないのだ。
これほど似てはいてもヒソカとオレたちは血が繋がってない。
本当にこの世界は人種や地域で色彩が別れて偏っていたりせずみんなばらばらだ。
なにせこんな夕焼けみたいな赤色だっていれば、ピンクや銀の髪の子もいるぐらいだ。
東洋人は若干童顔が多く、肌も黄色みがかっているが、しいえていえばそれだけだ。
古くからジャポンにいる父の一族は全員赤髪だ。髪も目も黒とかその辺には人種の差がない。
まぁ、うちの一族が本当に人間かはかなり突っ込みたいところだが、赤目に金目の東洋人であることは変わらない。
だから世界にはたくさんの多種多様で、似てない奴らがいっぱいいるわけだ。

だからどうか神様。

この子は原作のヒソカではなく、同姓同名のただ髪の色が同じだけの別人なんだと・・・祈らせてくれ。


 やはりオレがいた向こうの地球とこの世界では、似たような世界でも、生態系が微妙に違うんだなと実感させられたものだ。
生態系も違えば文化も変わる。
つまりこの世界で生き残るためには、無知であること体力がないことは危険であるということだ。
『識る』こと『学ぶ』ことがとても重要だ。
なので幼いうちからしっかり育てなければ。
そうさ。あんな変態にならないように気をつけるんだ!そうしてこの笑顔を守るんだオレ!










ヒソカの危ない遊びに、仕事場が赤く染まるので、彫師の師匠がうるさくなってきたのでヒソカを連れて実家に戻りました。
我が家の方が向いていたらしい。最近笑顔が柔らかくなってきて可愛い。
ん?
黒筆家の方がむいている?――ってことは、我が家って危険地帯!?








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