04.俺のぶっとばし人生 |
-- side オレ -- 生きると決意を決めてから、すぐにオレは母と父により修行をつけてもらった。 まずは肉体作りからということで、日中は母に裏庭という人外魔境につれていかれた。 ある程度体力がつくまでは、家に辿り着く前に夜になり力尽きていた。 しばらくして起きていられるまで体力がつくと、今度は父が道場の奴らとは別に修行をつけてくれることとなった。 ちなみに体力づくりと言っても、母とすることは簡単。 生き残る。それだけだ。 裏庭体力作りにおけるサバイバル生活。その1。 はじめは母もともにいて、サバイバル生活を送った。 怪獣と思われるような生物たちと暮らしていく方法、獣を狩る方法、料理の方法などなど。 今、思えば、体力づくりの度合いを超えているなにかな気がするが、このさいそれはいい。 そこでなぜかオレは獣にやたら襲われまくった。 嫌われてるぅ!?と思ったのだが、母が言うには良いハンターは動物に好かれる…らしいが、それとこれは違うだろう!?と、思う。だって殺気が。殺気出してるよ!涎も出てるよ!硫黄的な炎はいてるよ!? そう訴えれば、そうねぇ〜と不思議そうに首を傾げ、彼女は言ったさ。オレが弱そう。あるいは、美味そう。なのではないか。とのこと。 そこからが本当に大変だった。 気配を消すことを心がけるのよ!と、いわれたが、体力づくりはどうしたとかそっちのけで、もう逃げるのに必死だった。 必然、体力はついた。 サバイバル生活 その2。 元はただの一般人だったオレ。ついに生で獲物を狩って、捌くなんて芸当ができるようになった。 あと森の中で何を食べていいのか悪いのとか、動物にはテリトリーや独自の習慣などをあることを学んだ。実体験で。 よくいままで命があったものだと、逃げるのに日々を費やしていたオレはお空の星を拝めたことを感謝した。 サバイバル生活 その3。 母がもう一人でも大丈夫ねと、置いてかれた。 日中は山で恐怖の追いかけっこ。そのあとは、家に帰って父に剣術の指導+人体の仕組みについて教わっていたときだ。 念がひらいた。 まだ五歳にもなっていなかった。 そんでもってそれは、意図的なものでも望んだものでもなく、修行の結果ひらいたものではなかった。 ただ、それはひらいた。 そのときオレはいつもどおり、恐竜モドキに襲われていた。 母もおらず、ずーっと追われていたこと、最近寝不足気味であったこと、疲れていたことが重なり逃げ延びれそうになかった。 恐竜の足がせまった。 そこでもうだめだ死ぬ!本気でそう思った。 せまりくる地響きと殺気。 疲労に足が絡まって倒れればもう動けなくて、大きな影が自分を覆った。ダメダ!と目を閉じた。 っが、しかし。巨大な牙も圧力もなにもこなくて、恐る恐る目を開ければそこは山のふもとの村だった。 ちなみにそこで物凄い疲労にかられ倒れた。 倒れる前に見えたのは、たぶん自分のオーラだろう。ひとのオーラとかみたことあったけど、自分から出ている物を見たのははじめてだった。 次に目を覚めたとき覚えた感覚は、自分のオーラが身体にまとわりついている不思議な感覚。 きっとこれが念能力の開花だったのだろう。 それ以降死にかけたりするたびに、別の場所にいて、ようやくそれが能力だと知った。 自分で好きな念能力作りたかったのに。 それからはなにが原因かはわからないままに、死にかけるとおかしな場所に飛んだ。 それから何度かわけのわからない場所に行く当ことを繰り返しているうちに、怨念めいた赤い影がいっぱいいる大きな屋敷に飛んだことがあった。 こわいと泣いていれば、ジャポンびいきだという粋のいいおっさんに保護され、おいしいお茶の店を教える代わりに、自宅に送ってもらった。 「おー。うちの息子より小さいのぉ。どうやってはいったのやら」 「おっさんだれぇ?ここどこ?いっぱい、こわいのいるよ」 「ん?いっぱい、こわい?ふぅむ。何が見えるのかの?」 「ひと。…の、重い想い」 「だじゃれ?」 「違う。重い気持ち。残留思念的として残ってしまうほど強い想い。おっさんはたくさんひとの、死をみたね?でもそれを覚悟してるから、こわいの、おっさんに近づかない」 どこにでるかわからない、きっかけも原因も不明な能力でたどりついたのは、幽霊にまとわりつかれてる人たちの屋敷でした! 怖すぎる! それでたぶんおっさんが殺し屋なんだろうと思った。 この世界にはそういう人種がいることもそうしなければ生きていけない人がいるのも仕方ないとわかってきてたから、だから目の前の人が殺人鬼でも気にせず話をした。 殺されたくはないが、それをふせぐほどの実力なんか修行始めたばかりのオレにはない。 だから相手が俺を殺すまでは、大人しくしていることにする。 まだ殺されてないので、とりあえず家に帰るだけだ。 自宅の場所を言えば飛行船で送ってくれて、大陸を超えて転移したのを知ってビビった。 いままでは近所だったのに。でもその出会いのお蔭か、そのあとはまるで座標でも定まったように、突然の転移先がやたらとおっさんの場所になったのは、どこにとぶかわからないよりはましだったと思う。 おっさんに送ってもらってから、オレが念能力に開花したことがばれた。 あとオーラとか幽霊が《視える》ことも暴露された。 そういえば…言ってなかった。 向こうの世界では、言えば変な目で見られるのがわかっていたから、言わないことが当然だった。 そう思っていたから、新しい両親にさえ言うのを忘れていた。 でもこっちの世界では幽霊ってのは、オーラのことらしい。つまり念の一種。 そんなことがあってからは、ちゃんと念の修行をすべきだと言われ、母との修行に念の修行が開始された。 はじめは基礎の前段階の更なる基礎たる四大行とやらを教わるのかと思いきや、あのひと、しょっぱなから本番の四大行を決行しやがった。 ちなみにオレが特に覚えたのは、オーラをまとわせることで何かを強化できる技ではなく、ひたすら気配察知と気配を消す技メインで訓練した。 ぶっちゃけそれ以外をすべて無視した勢いだった。だってそうしないと、裏庭の獣たちにいつか食われるのがわかっていたから。 おかげで攻撃防御は苦手に成長を遂げたが、逃げ足だけは早くなったぜ。 「絶」や「陰」という気配やオーラを消す技を学んだ。 逃げやすくなったと、このころは獣たちをスルーできるようになって安堵したのだが、しばらくすると――獣が念を習得しやがった。 新たなサバイバルを必要とした。 どうやら「絶」というもので気配を消すと、そこだけぽっかり空いたように何もないように感じてしまうらしく、野生の動物にはよけいばれることが判明した。 獣対策に常日頃気配を消していたが、これにより新たな気配を消す技を独自に開発した。 そしたらそしたで、普段から存在感がないとまで言われるようになってしまったが、一度ついた癖はなかなか抜けず、オレは存在感の薄い逃げ足の速い人間へと成長した。 そのころには念修行も進み、まずオレは特質系であることが判明した。 使ったコップの中の水が墨に変わった。 そこから一番初めにしなければいけないこととして、あの突然転移する体質を何とかすべく、転移に条件を付けた。 もとから影に覆われると影のある場所に転移していたのは、しりあいの殺人鬼のおっさんの協力でわかっていた。 いまのところ不自由もなかったからもうちょっと修行で身体を鍛えてから、必殺技たる「発」を作ろうと、転移の能力以外を放置して、身体を作るので日々を過ごした。 十五くらいのとき、兄弟子と共にハンター試験をしろと追い出された。 もともとオレと兄弟子は、母の弟子ではなく、父の剣術道場での師弟関係であり、剣術については学んできたがハンター試験なんて興味もなかった。 突発的な母の行動にオレたちは逃亡しかかったが、あの素敵すぎる母の笑顔を思い出しカエルに還れず、なんとかその試験を受けた。 年月がたち、オレは水を墨にする能力――というか、勝手に備わっていた――を利用して、絵描きになることにした。 前世の影響もあり絵を描くのは嫌いじゃない。墨なら水さえあれば無尽蔵に作れるのでよかった。 っで、なぜか刺青師の爺さんに弟子入りをしたところ、オレが「練」というのをして作り出した墨で描いた絵が実体化した。 それが付属能力だと知り、二つ目の必殺技を作ることとなった。 墨で描いたものに「能力」をひとつ付与すると、具現化する。っと、わけわからない墨能力になった。 それから墨を使って絵を描きながら、刺青彫師として仕事をしながら、全国ぶらり旅をしていた。 やっぱし獣に襲われるのは相変わらずで、いつのまにか珍獣ハンターという名をいただいてしまった。 数年後。刺青彫師としての仕事をしていく拠点としていた家の前に、あるときたくさんの死体が転がっていた。 何事だと思っていたら、そこには血まみれのこどもがいて、思わず「生ごみの日は昨日だ!」と叫んでしまった。 子供に対してお前がやったのかとか、すでにこの世界になじみはじめていたオレには関係なくて、とりあえず生きているのが子供だけだと判断するとその子供を風呂場に叩き込み、死体の山置き場となった自宅前のグロッキーなものを能力で消した。 風呂が長すぎだろうとか思っていたら、風呂場で子供が倒れていた。 よくよくみてみるとオーラが溢れている。 どうやら先程のとんでもない殺戮現場に居合わせたせいで、精孔がひらいてしまったようだ。 オレは怪獣とのおいかけっこで精孔がひらいたけど…。 殺されなきゃ殺される。それが子供を風呂場に入れる前に言った言葉で、その現実をこんな小さな子供に突き付けられ思わずため息が出た。 それがこの世界の現実だから。 それからオレは倒れている子供を無理やりおこし、オーラを体内に貯めるように教えた。 このまま放出していては死んでしまうからだ。 オレはオーラをみることができたから、ゆっくりと方法を教えていく。 しだいにオーラが安定してきたおころで糸が切れたように子供は意識を失った。 それからオレと子供の生活が始まった。 こどもは戸籍もなく捨てられたらしく、めちゃくちゃすれていて、人を殺すことをためらうことはしない奴だった。 時は流れ、原作開始二十年ほど前。 今度はハンターとして試験管をしないかと言われた。 会場につく前に、たまたま飢えて死にかけていた人間を踏み潰してしまったことで、わびとしておごった。 そのときの試験は、オレの試験が来る前に終わった。 合格者はたった一人。オレが踏みつぶした人間にして飢え死にしかけていた奴――ジン・フリークスだった。 たぶんそこからオレとジンの腐れ縁は始まった。 あのときのこどもは、十にも満たない年で念を開花させたため、人殺しだろうとなんだろうとかまわずオレがひきとり、能力とか身の守り方とか教えることとなった。 殺さなくても生きていける方法とか、母直伝のサバイバル方式もいろいろ教えてみた。 ――そんなオレの半世紀。 こどもの名前は、ヒソカといった。 ヒソカの念の師匠になりました。 |