新シキ世界デ君ト円舞曲(ワルツ)ヲ
- HU NTER× H UNTER -



02.揺り篭の中からみた外の世界





 -- side オレ --





 黒筆 (クロフデ )――。
現在、レッツファンタジー世界で 男の子 をしています。

 なぜ女だった“わたし”が男かというと、自分の両親らしきひとたちが "息子" だといいきったから。
それすなわち今世の自分は『男』ということのようだ。
前世では女だったので、新鮮だ。
 でも、もともと恋愛ごとよりも冒険に憧れる性質だったので、男には一度なってみたかったので、どんとこい!状態で、その事実はあっけないほどすぐに受け入れられた。
まだ目の見えきらない赤ん坊で、自分の体を好きに動かすことができないとしても、自分の性別が分かったからには、いろいろ心構えもできるというもの。

 そうだ。
これからは「わたし」ではなく「オレ」といおうかな。

いいんじゃね?オレ。



 さて。わたし…もといオレが生まれたのはジャポン。
日本によく似た文化を持つ小さな島国だ。

 どうもジャポンというのは、地球でいうなら江戸時代とかそのあたりの文化らしく、建築様式は長屋や平屋の屋敷がメインで、さらには忍とかが当たり前のように(我が家の屋根を)走っているのを目にした。
あれをみたときは思わず「NARUTOかよっ!!」とつっこみそうになったが、ここの忍はきちんと忍んでいるので、黒服がメインだ。
 そんな場所で、オレの家は町から少し離れた場所で道場を開いている。
ちなみに家のすぐ裏は森である。


 自分の新しい父親はジャポン出身で、長く続く剣術を伝える武門の家の者。
名を――黒筆 芭雪(クロフデ ハユキ)。

体はがっしりしていて顔もいかつく、黄色人種の特徴だった黄色い肌はすっかり健康的に日焼けし小麦色をしている。
いかにも武士のようないでたちの父だが、これでもみてくれだけではなく本当に強い。
たぶん中途半端な念能力者など軽くあしらえるだろう。

 武術に秀でたものが集い、その血を脈々と継いでいるため、父のような奴はこのジャポンにはごろごろといる。
ちなみにジャポンの中には、あのネテロ会長が師範をやっている心源流拳法なるものも元はこの国から発生した武術らしい。
それほどにこの国は猛者で満ちている。
 だけどその多くがハンターではない。
というか、ハンターになろうとする者が少ない。
 ジャポンはあまり国外交流がないらしく、ハンター試験にいく者はめったにいないそうだ。
同時にこの島国の住人は、『念』を知らない代わりに、『気功』を使う。
合気道とか、前世の世界では想像できないほど実用的で凄まじい。
要領は念と同じで、体内をめぐる生命エネルギーを操るのだが…。
ゆえに純粋なジャポン出身者のハンターの多くが、肉体の強化やら活性化を得意とする強化系が多いのだとか。

 我が家の父も見事な強化系だが、ごっついみてくれのわりには、穏やかで優しい性格をしている。
そのミスマッチなところが最高!と褒め称えたいのが、我が父だ。


 母は、黒筆 風花(クロフデ フウカ)――新しい母は、代々続く遊牧民族の出身。
羊の毛を刈って暮らす穏やかな一族出身だが、そのなかでも母は一際闘争心と探究心が強かったらしい。
ひとり伝統の技をもちだし、ハンターとなり、そのまま武者修行の旅に出たとか。
その母は十代の頃、強敵を求めて一族の集落を飛び出し、強敵を倒して回っていたらしい。
そうして偶然立ち寄ったこのジャポンで母は父と出会い、父のそのたくましさに惚れて結婚を決めた最強の女である。

 彼女はジャポンの外で育った生粋のハンターだ。
念能力は縛ること。
 操作系で、自分の毛糸で作り出したものを操る能力だ。
この能力は羊毛をかてにしていた一族ゆえの特徴らしく、故郷には似たような操作系能力者は結構いたらしい。
同時にハイレベルなものとしては、彼女の毛糸で編んだ服を着ている者をあやつったりできる・・・らしい。
 毛糸が怖いと思ったのは始めてだ。
 ちなみに父は、その技でよくしばられては捕獲されている。
どんなに念で針金のようになった毛糸でも、気功でもって強靭てきな肉体を誇る父の筋肉には食い込むことはない。

・・・。 いや。それもちょっとどうかと思うけどね。

母は怒ると怖いけど、笑顔が耐えなくてあったかい。そんなひとだ・・・・・・たぶん。


 ちなみに我が家は、山の中に家があるため、森に住む獣がよく侵入してくる。
生まれてからずっと思っていたが、せめて村とか町に住もうよと思う。
落ち着いた暮らしがしたいなぁとか思ったり。





 ――まぁ、そんなこんなで、自分は今ハンター世界で波乱万丈の日々を送っている。





 生まれてしばらくたってから、改めてわかったことだが、“ここ”はこないだまでいた地球という世界とはまったく違った。しかもこちらの世界は、あちらの世界では、HUNTER×HUNTERという漫画になった――というか、酷似した世界観である。
そう。この新しく自分が誕生した世界は、漫画に酷似した世界、またはそのものであることが判明した。
 なぜって。
『ハンター』とう単語が絵本の中にもでてくるし、日常的に何度も聞けばさすがにね。
そんなわけでHUNTER×HUNTER世界で赤ん坊から始めることとなったわけだが・・・この世界はどれだけスリリングなんだか。

 だって・・・自分のすぐ脇を包丁がとんでいったよ。
オレ、今、赤ん坊!?
ベビーベットが包丁の刺さった衝撃でガコンとゆれたし!!
しかも新しい父が見事なまでに磨きぬかれた愛刀で、母がさらに投下している包丁やらナイフやらを弾き飛ばしている。
これが照れ隠しとか、夫婦喧嘩と呼ぶのだから、うちの両親は何かがおかしい。
さらには突如、開け放たれた縁側から、凶悪な顔面の獣が入ってきた。
それにオレがびびっていると、母が父との戦闘の片手間に『念』で人形を操りだした。
母手製のあみぐるみたちは、窓から飛び込んできた怪獣モドキを毛糸で縛り上げたり、みごとなアッパーやらナイフを繰り出したりしてそのまま野外へと放り出す。


「・・・・・・・・・・・・・あぶぅ・・・(こわっ)」


本当にハンター世界ってのは、スリリングだね。










さすがハンター世界というべきだろうか
それともうちのおかんが可笑しいのだろうか
世界が広いと身をもって知った日
世界にはまだまだ自分の知らないことが満ちていそうだ(遠い目)








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