有得 [アリナシセカイ]
++ 零隼・IF太極伝記 ++



外伝06 子供の姿になりました!2
<詳細設定>
※魔法はないが、前世もちが多くいる世界

【霜月シュン】
・真名は「神崎零」
・隼の成り代わり主
・前世は黒バスの火神大我
・一人称:俺
・前世の影響でとにかくよく食べる。胃袋ブラックホール
・バスケバカ
・運動するのが大好きで、現在は剣術をならっている
・火神の時に犬に襲われて以降、犬が怖い
・ペルソナの能力は、異空間でなら使える
・元、獄族
・獄族としては、氷系の能力者だった
・ハジメの契約者



獄族としての前世を物心つくころには思い出していた子供は、幼いころから大人びていた。
そんな息子に母は言った。

「最近はすっかりおちついちゃって!あ、でも貴方小さい時はよくまいごになってたのよ」

そんな失態をさらすはずがないと、記憶力のいい彼は首をかしげて頭上にハテナを浮かべる。
母の言うような出来事の記憶がない息子は、詳しく母に尋ねることにした。

「それでね、私よく上をむいてあるいたわぁ〜」

ほわほわした母の言葉はさらなる謎を生んだだけだった。







【子供の姿になりました!2(笑)】
 「太極伝奇・零」世界 〜side not〜








始「今度はお前か」

ハジメは目の前のものを見て大きなため息をついた。



昼、ハジメは大学のレポートも書き終わり、お茶を飲もうとグラビの共有ルームへやってきた。
共有ルームには先客がおり、彼はとても所在投げに部屋の中できょろきょろと視線を彷徨わせている。

始「はぁー。お前、何をしたんだ、ハル」

呆れたように額をおさえ髪をかき上げたあとにハジメは、もう一度大きくため息をつくと、リビングの真ん中にたたずむ“彼”の傍に近寄る。
そのまま上からハルを“見下せ”ば、小さな肩がビクリと揺れる。

ふわふわの淡い色の髪、戸惑う鶯色の目、そのすぐ真下にあるなきぼくろ。
着ている淡い緑色のシャツはダボダボで、トレードマークの黒縁の眼鏡は掛けていない。
普段はハジメより高いはずの視線は、今日に限ってはハジメの腰よりもはるかに下にある。

それでも目の前の存在が誰かは一目瞭然だ。

始「今度はお前か。このパターンだと獄族組全員なるのか?次はルイかヨウが幼児化するのか?・・・あり得るな」

驚いたことにハルは、幼稚園生くらいの子供の姿になっていた。

否、驚いたというのは、寮に見知らぬ子どもがいたことにであって、それも一瞬のこと。それが誰だかわかってしまえば、驚きよりも最早あきれのほうが強くなる。
なにせこの寮ではなにがおきてもおかしくないのだ。
能力者や術者なんてものも当たり前。
前世も含めれば人外だったやつも多数いるほど。
しかも現在進行形で、人外もこの寮にはいるほどだ。 人外の筆頭としては、例えばシュンがTVの中で拾ってきた異世界生物?とうい名の動くダンボール。 はたまたTVの中からついてきたという小さな手乗りトナカイやら、カレーを食べるペンギンとか、糞とかしない何でも食べるパンダもどきとか・・・・・。
ミラクルに耐性がありすぎた。

ほんの一瞬で我に返ったハジメは、相棒の見たことがない幼い姿を眺めつつ、「ハルにも幼少期があったのだな」とひとり納得していた。
そんなハジメの服がクイっとひっぱられる。

それにつられて足元を見下せば、小さなハルがハジメのズボンをひっぱって、不安げにこちらを見上げていた。

春「あ…あの!そ、その・・・こ、ここどこ?おかあさんは?ハルくん、おうち、かえりたい」

したったらずな声には若干の震えがまざっている。
大きな目は泣きそうに潤んでいて、そのハルの様子にハジメは眉間にしわを刻む。

始「おい、ハル。お前、あざとすぎだぞ。俺にそんなものきくと思うなよ」

思わずいらっとしてしまい、きつい声を出してしまう。
以前、シュンが同じように小さくなった時があったが、そのときのシュンは今の人格のままサイズだけが縮んでいた。
だから今回もそうだろうと思ったのだが――

ハジメの胡乱気な空気に、小さなハルは顔をぐしゃぐしゃっとゆがめていき、その目にさらなる涙を溜め始める。

春「ふぇ」
始「は?」
春「うっ…うぇぇ〜」
始「!?」

小さなハルはハジメの服をつかんだままグスグスと泣き始めた。
それに戸惑うハジメは、同様のあまりにビキリと固まって対処することができない。

そんなとき、扉がひらき、救いの手がやってきた。

海「ハル、いるかー?スマホに既読ないんだがなにかあったか?あのさー今度の撮影で・・・」
始「カイっ!!ちょうどいいところに!」
海「お、ハジメじゃん♪って!?そこにいるのは?・・・・・・っはぁ?!まさかそれ、ハルか!?」

共有ルームに現れたカイにハジメが助けを求めようとしたとき、ハルが泣きながらカイへ突進し、そのまま抱きついた。





零「おそい!」

しばらくたってもグラビの階からカイが戻ってこない。


それに業を煮やして、シュンの成り代わり主こと零がカイを迎えにいくと、そこでは幼い姿のハルを抱き上げあやしていたカイ。ハジメは終始戸惑いを隠せず手を伸ばそうとしたり引っ込めたりせわしない。


零「子供?と、ハジメ?・・・なぁ、どういう状況だこれ?」


零の声で彼に気づいたハルは、涙目でコテンと首を傾げた。

春「おにぃちゃんはだぁれ?」

――数秒零は固まり、そして次の瞬間にはいい笑顔でニッカリと笑い、ハルに口を開く。

零「俺の名前は霜月シュン!君のお名前を教えてくれるかな?」
春「ハルくんはハルくんです!やよいハル!5さいですっ」

ハルのかわいらしい良い笑顔が炸裂した。
シュンの笑顔が深まる。
カイの顔がめちゃくちゃでれんとした。
ハジメの眉間にさらなる皺が寄った。





とりあえずまずはひとまず落ち着こうと、ソファに全員座らせお茶を淹れる。
幼くなったハルはピトッとカイに寄り添い、小さな両手で大きなカップを抱えてココアを飲んでいる。

海「俺の名前はカイ。で、こっちのお兄ちゃんはハジメな。ハルのお母さんは今お出かけ中なんだ。それまでハルは俺達と一緒にお留守番してような〜」
春「うん!ハルくんいいこでおるすばんする!」

スラスラと今のハルにわかるようにかみ砕いて嘘をまぜた状況を説明をするが、大人3人はなんとなく罪悪感が湧いていた。
元々ハルそのものは成人した大人のため問題はないが、まるで今の説明では誘拐犯の常套句のようにも聞こえてしまう。
むしろこんなふわふわで無垢なこどもに嘘をつくのは、相手が誰であってもとても心が痛む。
ましてやシュンが子どもになった時は記憶も保持していたため、このような展開は予想外であり、こんな嘘の設定など作る必要なかっただけに余計だ。



始「そういえば。今日、弥生家に顔出す予定だったらしいから連絡入れてくる。あと月城さんにも」
零「そりゃ必要だわな。いってらっしゃい」

スマホをもって廊下へ出ていくハジメをみおくれば、零とカイだけが残される。
小さなハルはココアを飲み終わると、零とカイを交互に見上げ、嬉しそうにキャッキャと笑いながらカイに抱き着く。

春「カイおにいちゃんはやさしいからすきー!あったかい!ぎゅーってして」
海「はははwwwお兄ちゃんでよければいくらでもだきついていいぞ!」
春「やったぁ〜」

はにかむようにエヘヘと笑う姿を見たカイはその場で倒れた。

春「カイおにいちゃん?」
海「アーーーッ!!!!この世の天国かっ!いや、ハルだからこの世の春?!昔会った時は大人だったし再会したのも数年前だし!こんな幼いハルと話すことがあるなんてっっ」
零「大変、(前世の)父さんが悶絶してる(棒読み)」

記憶ない純粋な、それも小さな小さな子供の姿。
その姿で最近はめったにもらえないツンデレのデレ部分。むしろデレしかない。そんなものをくらったカイは、床に倒れて壮絶に身悶える。

それをハルはキョトンと眺めていた。
零が冷めた目で見つめている。これぞ安定のカイである。

そして小さなハルにさらに心配そうにみつめられたカイが鼻血を流して気絶した。

零「純真さの殺傷能力……末恐ろしい…」
始「殺傷能力とか・・・他にましな表現があるだろう。とはいえ、これはやはり殺傷力の領域にはい・・・はいるな」

零「あ、お帰りハジメ。連絡終わったんだな」

始「年齢問わずカイを殺せるなんて、どんなハルでもさすがだな」
零「あー・・・チビハルは本心をストレートに言ってるからなぁ。殺傷力以外の何物でもないだろこれは」

零「弥生家にうまく言い訳けできたか?」
始「ああ、だが」
零「ん?」

カイがたおれてすぐ、廊下に出て電話をかけていたハジメがなんとも言い難い顔をして、スマホをみつめつつ戻ってきた。
どうしたんだときけば。

始「ハルが5歳になったからそちらに帰れそうもありませんと報告したところ」
零「ストレートに言ったのかよ?!」
始「俺もそうとう動揺していたようだ。
だが、ハルの母は「あらー。そうしたらまだ上手く風が操れなかった頃かしら?ふわふわ浮くから迷子ひも付けていたのよねぇ。 懐かしいわぁ。子供になっちゃったなら風に飛ばされないようにあの子のこと見張っていてね」と、それはさわやかな笑顔で返されたんだが・・・・」

零「・・・・・・」

その場にいたものたちから言葉が失われた瞬間だった。





それから、小さいハルをかまってやれば、どうやらハルはすっかりカイを気に入ったらしい。
逆にハジメはすこぶる嫌われていた。

文月家長男というカイは、兄弟が多いため幼子に手馴れている。 そういうことも有利にはたらいたのもあるだろう。
だが、記憶のないハルがこの短い時間でカイにここまで信頼を寄せているのは、やはりカイが前世での契約者であったことを本能で理解してるせいに違いない。
元獄族の本能が、主の傍にいるとほっとさせる。それを安心ととったようだ。
零もペルソナ世界に居た時に従妹であった小学生の堂島奈々子と生活していた経験が物を言い、小さなハルともうまくコミュニケーションが出来ていた。
ただし最初の印象が悪すぎたらしく、小さなハルはハジメにはビクビクと接する。それに影響し、子供の扱いに不慣れなハジメまで固まっていた。

春「は、ハジメおにいちゃんは。その・・・」
始「な、なんだ?」
春「あの!あの!しゅ、シュンおにいちゃんのことすき?」
始「とってもな(良い笑顔)」
零「即答かっ!!」

春「そっかぁー!カイおにいちゃんとハルくんとおなじだね!」
始「そうだな」

話題が零のこととなった途端、険悪な雰囲気であったハルとハジメは打ち解けた。

春「ハルくんもシュンおにいちゃん好き!ハジメおにいちゃんはシュンおにいちゃんのどこがすき?ハルくんはね〜」

ハジメが心をひらいたのを悟ったのか、小さいハルはニコニコと笑顔を浮かべると、シュンの事をハジメに聞き話題を広げる。
幼いながらも広げ方のうまさに舌を巻く。
あざとさとあいまって、これに質問されたらどんな人間でもつい自白してしまいそうな勢いであった。

零「ハジメの力強い即答―――なぁ、カイ。俺はどう受け止めたらいいんだあれ?」
海「喜んどけよ。・・・いやー!黒年長組微笑ましいな!!」
零「カイ、いつの間にハンディカム持ってきたんだ」
海「記録は大事だろ!!この世界の科学技術万歳だっ!!あ〜!ハルかわいい!!!」
零「まぁそれには同意だけど・・・・なんだろう。最後のセリフがあれすぎて全力で頷けない」


始「ほら、おやつだ。ありあわせで作ったから、ホットケーキぐらいしかないが」
春「ハジメおにいちゃん!このホットケーキおいしいね!ハルくんこれ好き!」
始「そうか。チョコレートソースとかアイスもあるぞ。それとも苺にするか?」
零「…微笑ましいな。いつものハルにもやればいいのに」
海「つか、苺って。それ新のじゃ」
始「可愛いは正義」
零「始がらしくないことを言ってる」
始「というのは冗談で、俺が今のように作ったら大人のハルは警戒するぞ?あいつオレに対してはひねくれた感情しか持ってないから」

海零「「ああ、なるほど」」


始「カイ。ミミとハルルのぬいぐるみと七月の月ウサぬいぐるみ持ってきたぞ。存分に撮影してやるからハルに構ってやれ」
海「ハジメは天才か!!!」
零「ほら、ハル〜。パンダさんですよ〜」
春「わぁ!ぱんださん!ウサさんも!青いウサさんおーきい!すごいふわふわぁ!シュンおにいちゃんっ、ハジメおにいちゃんありがとー!」
海「まじハル天使!最高!!ほらぁ〜“青い”うさぎさんですよぉ〜」

始「あれだけを一番に手を取って渡すとは、歪みないな」
海「だな」


始「ところでハル」
春「なぁに?」
始「カイのことどんだけ好きだ?」

ハジメはとても優しく問う。
問われたハルは両腕をめいいっぱい広げ無邪気に笑った。

春「これだけでもたらないくらい!いっぱい好きー!!」

海「ぐはっ!!!」
始「そうかそうかー(ニヤリ)」
零「嗚呼…………ハジメがスマホ構えながらとても悪どい笑顔をしている」

零は気の毒そうに幼いハルの頭を撫ぜた。
カイにはティッシュをなげつけておいたのだった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



三日後

零「ハルさんやーい」

ハルが元の姿に戻った。
しばらくはぼぉ〜っとしていたが、「この三日のこと覚えてるか?」と問われ、しばらくしていろいろ思い出したようでハルは顔を真っ赤にすると両手で自分の顔を覆ってうずくまってしまった。
そんなハルにさらなる追い打ちをかけたのはハジメだ。

ハジメはダンゴ虫状態で丸まっていたハルを捕まえると、いい笑顔でリビングにつれていき、そのままここ三日で撮りためた映像をハルにみせつけたのだ。


そんなこんなで、ハルはただいま羞恥地獄に見舞われていた。
零は赤面のまま床に撃沈している大人ハルの背をそっと撫でてなぐさめている。

零「大丈夫か?」
春「今、羞恥心ト葛藤中デス」

弱々しくシクシクと泣いているハル。
思い出したとたんハジメが現れ、そのままリビングに連れていかれたのだ。しかも何事かと思えば―――

春「ハジメが良い笑顔で動画三日分を延々俺の前で流すわ!オレのスマホにカイと映った写真を送ってくる上に、グラビ共有グループにアルバム作成するし! 《参謀組両親》ってアルバム名なに?!そのカイはいつもより砂糖ぶち込んだかのような甘さで接してくるし!分かってるよ!覚えてんだから!!!」
零「覚えていたのかー。これはダメージスゴイ」
春「正確には思い出したが正しいんだけど。
今日も年下の子たちは微笑ましい目で優しくしてくれんだけど!!ヤメテ!オレは五歳児じゃないんだよ!」

これ以上ないくらい真っ赤になったハルの耳が見える。
巨大ウサを抱きしめ顔を埋めているところなんてかわいいじゃないか。
余程、顔を見られたくないらしい。
そりゃ事あるごとにカイに好き好きアピールしていた行動は精神が子供ゆえだろうが、その羞恥たるやお察しとしか言いようがない。 しかも、年下の子たちが嬉しそうに三日分の動画を眺めているから、物理的に壊すや消去も不可能。
なにせハルは仲間が大好きだ。そんな大好きな年下組たちの顔を曇らせることをハルはよしとしない。
ましてや実際にそれをやれば、絶対カケル達は肩を落とすのが目に見えている。 あの幸せそうな笑顔で「撮ったんですよ〜」「小さい春さんかわいかったです」「大切にとっておきましょうね」と言われたあとに、壊すなんてできようはずもなかった。

春「シュンは記憶ありで子供の姿だったのに!なんで!!?」
零「そりゃケースバイケース?」
春「うわぁぁぁぁぁ!明後日、カイと撮影とかなんて拷問!!!」
零「わーぁ」


後日、CM撮影でハルのポーカーフェイスは保たれなかったらしく、何度もリテイク、難航したらしい。
マネズ曰く、そのリテイクの間もカイの顔は緩みっぱなしだったようだ。
真っ赤になって「オレはこどもじゃなぁーい!!」と叫ぶハルと、そんなハルをそれはもう穏やかに見つめているカイ。そしてそれを生暖かい目でみつめるスタッフたち。 いったい子ども扱いをされるような何があった?とは聞けず。とりあえず撮影は終始和やかではあったようだ。
そして出来上がったものは、ハルにとても優しく微笑んでる(デレデレ顔ととても小さな子を見るような慈愛にあふれた眼差しの)カイに、 某呟き所ではカイのファンが歓喜の悲鳴、ファンクラブ会員も激増したらしくその商品は品薄となった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



零「――つまり、あのときの弥生母の言葉って」

春「うん。あのあと詳しく聞いたんだけどね。
どうやらオレ、生まれながらに記憶があったと思ってたけどちょっと違ったみたい。
母さんの話を聞くとどうも、物心というか、自我がついた頃に記憶がもどったみたいなんだよね。
そこからは“世界が違うから力は使えない”と思い込んでいた。だからカイと出会って能力を試すまで、使えなかった。
でもそれより前、記憶がない中でも。オレは本能では、自分が獄族だったって理解していたみたい。 自我が芽生える前、5歳くらいまでは完全に自分の意思で、風を自在に操っては空中散歩とか普通にやってたらしいね。
親はファンタジー定番の“大人になったから能力はなくなった”と思っていたみたい」

零「そりゃぁ親も超常現象の耐久つくわな。つか、自我が芽生えた途端、空を飛んでいたお子様が高所恐怖症になることにまず疑問になったろうなぁ(遠い目)」
春「空で怖いことがあったから高所恐怖症になったあげく、能力をなくした――と、考えてたみたい」
始「だから風をハルが操ろうが、弥生家は違和感もなく対応してきたんだな・・・「あら、能力消えてなかったのね。やったわねハルくん!」っておばさん言ってたぞ」

春「え・・・それってどういう意味の「やった」なんだろう」

始「・・・家帰ったら洗濯物乾かすの手伝ってほしいそうだ。あと天窓の掃除」
春「あ、そうなんだ」
零「わーすげー」

春「オレ・・・便利グッズ扱いされてない?」

郁「なにいってるんですか!それって小さいハルさんもおうちの手伝いをよくしてたってことですよ!ハルさんは昔から家族思いですね(キラリ)」
春「やだ。いっくんイケメン!もうくらくらしちゃう!あとありがとう」
零「そうだぜハル!ハルがイイコで手伝ってたからおばさんたちもまたやってほしいなって思ったんだって!絶対便利グッズとか思ってるはずないって!」
春「ふたりがいいこすぎる!!癒し!」

始「便利グッズ・・・」


春「ハジメ、君には手を貸さないから。重い荷物も自分で運んでよね。あと君の部屋を掃除してやる義理はないから、そういうのもちゃんと自分でやってよね」
始「ちっ」





 




 




【後日談】

始「おやつだぞー」

春「わーい!ハルくんこれ大好き!いただきまーす!!ハジメおにいちゃんのつくるおかしおいしー!」

「「「「「・・・・・」」」」」

普段は唐辛子よりもハジメにたいしてのあたりが辛い口が、ハジメの料理をべた褒めして文句ひとつ言わずに、しかもおいしそうにほおばっている。
そんなハルに思わず全員の動きが止まる。

春「ん?みんなどうしたの?」
葵「ハ、ハルさん、いまハジメさんをおにいちゃんって」
春「え?」
恋「自分のことハルくんとも言ってました」
駆「あのハルさんが」
新「ハジメさんに文句ひとつなく、笑顔でベタボメでした」

春「ぁ!」

始「ハァル、うまいか?(ニヤニヤ)」
春「はぅ!?あ、あ・・・・・・・・・・・・・・・お、おいしいです///////」

子供になっていた間に、おやつはいつもハジメが作ってくれていた。
そのせいでハジメが「おやつ」というと、大人にもどったあともハルは条件反射で一番に席に着いて、笑みをこぼして素直な感想を述べたのだった。


それから少しの間、小さなハルに教え込んだことを大人のハルが無意識に繰り返すという現象が続いた。

なお、お菓子を口にほおばってからしばらくして周囲が静かになったのに気づき、それからようやく自分の一連の言動に気づき、ハッとして顔を真っ赤にしてあわてふためくハルの姿がしばらく続く。
それを小さい春を思い出して微笑ましそうにみるツキウタメンバーがいたとか。








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