有得 [アリナシセカイ]
++ 零隼・IF太極伝記 ++



外伝02 子供の姿になりました!
<詳細設定>
【霜月シュン】
・真名は「神崎零」
・隼の成り代わり主
・前世は黒バスの火神大我
・一人称:俺
・前世の影響でとにかくよく食べる。胃袋ブラックホール
・バスケバカ
・運動するのが大好きで、現在は剣術をならっている
・火神の時に犬に襲われて以降、犬が怖い
・ペルソナの能力は、異空間でなら使える
・元、獄族
・獄族としては、氷系の能力者だった
・ハジメの契約者



朝起きたら、シュンが縮んでいた。

「なにがどうしてこうなった?」

見事に縮んだ体。
小さな掌をみつめ、呆然としている白い子供。

ああ、だいたい小学生ぐらいか。
この頃のシュンの小さい姿はずいぶん懐かしい。
小学生の時、前世とかまだ思い出しておらず、前世のオマケの小姑&舅もおらず。 あの頃は幸せだったな。なんて、考えてたら思わず口端が持ち上がった。

それを目撃したハルに、抱っこしていた小さなシュンをうばわれた。
なぜだ!?
そいつは俺の契約者で

「ハジメにうちの子はまかせられません!」

おのれ姑ぇ!!!







【子供の姿になりました!】
 「太極伝奇・零」世界 〜side ハジメ〜








グラビの共有ルームにて

春「シュン可愛い!懐かしい!!」
海「おぉ〜この姿って何十年、いや何百年ぶりになるかな。こっちの世界では幼少期は一緒にいなかったからなぁ〜。いやーなつかしいwww」
始「服がダボダボだな。戻るのが分からない以上、子供服を用意すべきか?」

見た感じからして10歳頃と思わせるシュンは上のセーターがワンピースになっている。
流石に、首元が開きすぎてるため、襟を手繰り寄せ雪のブローチで留めているが

春「………ハジメの反応が普通で俺は心底驚いている」
始「俺をなんだと思ってるんだ…」
春「だって最近の君は自分の行動を理解してる?アレ、お巡りさん呼ばなきゃイケないレベルなんだからね!うちの寛大なシュンだからゆるされてただけで」
海「まぁ、記憶戻った直後なんてシュンが添い寝しないと不眠まで陥っていたしな。
いやぁ、今日シュンを起こしにいってこの幼い姿で隣にハジメがいたら確実に通報もんだったわ。良かったな!ハジメっ(笑顔)」
始「……ぐっ」


確かにここ最近の己の行動は言い返せない。
シュンから抱きつくときに締め付けるのをヤメろと怒られるのは反省してるしな。
今、いつもの調子でやればシュンが病院行き確実だからこそこっちは腕の力を極力緩めているのだ。

始「幼馴染だぞ。出会い当初より幼い気がするが見慣れてる」

零「懐かしいなー。手ぇ小せえ。まぁこのての現象って翌日か3日あたりとかで戻るんじゃかいか?」
始「――この通り中身は今の成人したシュンだしな」
海「シュンが今日から長期オフって、ベストタイミング読んでるよなぁ。仕事前には戻ろうな(笑)」
零「俺としちゃそのベストタイミングとか仕事の相棒であるはずのカイの反応に複雑以外の何物でもない」

原因がどうとか問答してる内に、シュンは幼い体に抗えず眠気におちた。

始「寝落ちしたか」
海「まぁ体は適応されてるだろうし」

俺がシュンを抱きかかえソっとソファに寝かせるとハルが渋い顔をする。

春「傍から見るとショタこ・・」
始「お前、わざと言葉を選んでいるだろ」
春「嫌だなぁ。素直な感想だよ?」


そこへ。グラビの年下組がやってくる。
小さなシュンをみて、目を丸くしていたが、すぐに笑顔で駆け寄ってくる。

駆「こ、この子!シュンさんですか?!うわぁぷにぷに〜」
恋「小さくても将来有望フェイスだと分かる顔の良さ!いや、結果は現在のシュンさんで知ってるけれど!」
新「写メ写メ…で、プロセラの皆に届けー!シュンさんの寝顔送・信!!」
葵「うーん。この服じゃシュンさん流石に動けなさそうだなぁ。俺の着なくなった服を子供服に改造しようか?」
新「アオイ〜。ヨルから似たような返事が返ってきたぞー。 子供服を買うか作るか相談してからがいいんじゃないか?」

幼い姿のシュンを発見した年下組がブランケット持ってきたり寝ているシュンの頬を突っついている図は微笑ましい以外の表現が見当たらない。

始「………今思えば前世の記憶がないにも関わらず子供らしからぬ奴だったな」

原因が分からないため、ドツボにハマる前に話題を変える。まぁ、たんに俺が話したいだけなんだが

海「――というと?」
始「主張はするが子供の我侭かと聞かれればそうでない。 妥協や妥当を上手く使い分け、大人が無理だという道理や線引きを理解示してる節はあった。 あの性格だが同年代と遊ぶには大人びいていて、年配者と話すほうが違和感なかった。 余程、俺のほうが子供らしい子供だったなと思い返せる」
春「……うーん。俺の場合知ってるのは中学の時のハジメからだけど…子供らしいって」
海「ハルからすれば違うのか?」
春「顔や体格でこそ歳相応だけど、中身は歳相応と言うには威厳あり。当時からしてキングぶり」
始「……言っておくが、お前も人のこと言えないからな」
春「そりゃぁ、前世の記憶持ちだから嫌でも年の功が出ちゃうよ」

春「そういえば…前世のシュンは生活には困らないけれど、世界や獄族の常識について識らない子だったなぁ」
海「それって確か生まれてすぐ教えるわけでもなく理解してるって獄族の特徴だったよな」
春「そうそれだよ。一番分かりやすいのは太陽の下が自殺行為って獄族は本能から識ってること。 それを識らず太陽の下歩いていたシュンを発見した時の俺の血の気の引いた感覚は忘れられないよ」
海「あ〜、容易に想像出来るわ」
春「慌てて森の中に避難させたけど、キョトンとしてたから本能ですら欠如してるのが判明したわけなんだよね」

始「それは――――が、関係しているのか」

春「ハジメ?」


始(真名が関係しているのか)


シュンの真名が《零》であること

獄族が有していないペルソナ

世界に適応しない知識

始(………おそらくシュン……零は獄族以前の前世の記憶もあったんだな。それも複数の)

ところどころチグハグに感じた一瞬の数々。
そして、獄族以前のは記憶を継続していたのではないか。
“あの頃”だけでなく“今”このソファに眠っているシュンは数多の記憶と前世で形成されたものだと。

ハルの話で昔からあったアイツの違和感が少し解けた気がした。

真名での契約は魂の結びつけを強くする。
この世界にまで継続し睦月・霜月の因果関係で生まれたのもそのシュンの真名や特殊さだからこそ成し得たんではないかと。
それに
シュンはついぞ理解し得なかったが、シュンの青い数珠…業が増えた理由は世界の理を越えた真名を俺に明け渡したからでないかと今に思う。


春「あのさぁ」
始「なんだ?」
春「また話題変えちゃうけど、今世の睦月と霜月って陰と陽、ハレとケ、切っても切れないんでしょ? まさかと思うけど、この関係性ってハジメが原因ってことは…」
海「ハルー。いくらなんでも穿ち過ぎ――」
始「さてな」

春海「「こっわ!なんか怖い!!!」」

わざと含みを持たせて微笑めば、2人は声を揃えてガタガタさせる。
流石前世のペアだけある。仲が良いな、お前ら


葵「あ、そういえばハルさん。今日は午後から仕事では」
春「あ!今朝からのインパクトで忘れてた?!」
海「そろそろ迎え来るんじゃないか。俺も夕方から単独で仕事だから準備しねぇと」
春「鞄取ってくる…!」


アオイの指摘で慌ててハルは仕事の準備すると階段を降りようとし―――俺に向き直る。


春「今日明日のハジメって奇跡的にオフなんだよね? 年下組も仕事や学校で常にいないだろうからシュンの面倒ヨロシク……………くれぐれも変なことしないでよ」
始「俺の信用が底辺過ぎないか?!」



結局、次の日の朝には、起きたら戻っていた。








U ←Back U TOP U Next→