字春が魔族になりまして 03 |
どうしてあの子が“知識の王”とよばれているのか。 どうしてオレが“探求の王”とよばれているか。 探求とは、知識を追いかける者。 そして知識を自分のものとする。 それはすなわち、“探究者”もまた“知識人”であるということ。 『結局のところ、根本ではどちらも“知識”をしめすんだから、オレ達の場合は同意義なんだけど・・・どう思う?』 『セフィロトの愛し子たちには、勘違いをさせておけばいいと思うよ? どうせ僕らが“真実”を語らなければ誰も知りはしないことだもの』 『真実も間違った事柄も。すべてが知識』 『『知識とは全。そのなかには当然理さえ含む』』 『おかしいね』 『笑える』 できごとを“知れ”ば、その瞬間に、それは“知識”となるのだ。 それは今この世で起きているすべてが、知識という情報となりえるということ。 ならば、それはすなわち世界の理さえ示す。 『ふふ。その事実をしらない子からしたらゾッとするだろうねぇ。僕らは二人で一つの役目を担うと誰が理解するだろう』 『でも“オレ達”はそういう存在だからねぇ。今更じゃない?』 『そうだね』 『そういえばセフィロトの始まりの子が、与えたはずのない生命の神の情報を持っていたようだよ。そのせいでいまロンゲブームになってるみたいだけど』 『おや。ずいぶん気になる話題だねぇ。とはいえ、それはそれは・・・・・どれだけ前の話だい春?僕ら、うまれてないじゃないか』 『うん。陽からきいたんだけどね・・・・・』 【03. 髪の毛は長いほど魔力がたまるって本当ですか?】 〜 side 春に成り代わった字 〜 字『髪の長さ?』 新『髪の毛は長いほど魔力がたまるって本当かなって思って』 陽『そう!周囲のやつらが、短いのはダメだーとかうっさくて。特に年寄りども!!!』 新『うんうん。っと、いうわけで、そこんとこどうなのか、知識量がすごいと噂の春さんに教えてほしくて』 字『毛が固くてちぢれ髪のひとって、毛質的に長く伸ばせないらしいよ』 陽『そうじゃない!!そこじゃない!』 新『おぉ‥。予想外きたー』 字『お年寄りがうるさいっていうのはね、・・・ここだけの話だけど、ほら、あそこまで薄くなってくると、もう、ね。(とてつもなく悲しげに) 抜けたら生えてこないからね。だからのばしたがるんだよ。 だから許してあげて。ね?(とっても慈愛のこもったまなざし)』 陽『違う!それも違う!絶対俺たちがききたいことじゃない』 新『いや、もしかするとそれが真実なのかも・・・だから“いまのうちから”ジジババどもが髪を伸ばせとキャンキャンうるさいのかも』 陽『ひらめいた!みたいに語ってんじゃねーよ新!』 字『うんうん。髪を伸ばせっていうのは、きっと年寄りたちの良心ゆえのおせっかいだよ。彼なりの気づかいだよ・・・若くして剥げないように』 陽『やめろ!なんで二人そろって俺をみる!!!はげねぇよ!!』 春『だって、陽のお兄さん・・・』 陽『同じ枝の葉からうまれたとはいえ!ちげぇ!!!あとうちの兄貴のアレはハゲじゃない!!自分で刈ってるんだぁ!!!』 陽『“そう”じゃなくて!』 字『ん?』 陽『髪が長い方が“セフィロトからの力”がたまりやすい――って本当なのかって話だよ』 字『嘘だね』 陽新『『即答!?』』 新『え。まじなの?』 字『うん』 陽『で、でも隼も始さんも。実際上位のやつらはほとんど髪が長いし』 新『だな。春さんだって髪長いし』 字『オレ?オレのは切り忘れただけだよ。 のばすと、もっさーーーーーーーーってするんだ。ふわふわしたくせっけだからね。本当にのばすと酷いよぉ〜。 っで、毛玉が歩いてるみたいだと始に爆笑されていらい、自分で切ってるんだけどね。 こうここの部分が今長いのは・・・不器用で残った毛が放置していたらのびただけ・・・みたいな。 あ、グリにうねりが出ないようにすいてもらって、量を減らしてもらってるんだ。いつも整えてもらって・・・・・・Σ(゚Д゚) さ、最後の、グリにお世話されてる部分は、その秘密で!』 陽『・・・え、まじで、“力”がたまるって嘘なのか』 新『むしろ春さん、毛玉って。毛玉って・・・え?』 字『毛玉だねぇ』(視線をフッとそらす。なんだかイケメン臭をただよわせているが。言葉の中身は残念である) 新『緑の毛玉とかモリ〇ーか!?』 字『なんだっけそれ?聞いたことあるような気がするけど・・・。 さっきも言ったけどね、オレは切るのも面倒で・・・放置してたんだ。本当にそれだけだよ。 今伸ばしてる・・・というか、伸びた分は、髪すいてるのわかる?ま、そうでもしなきゃ、毛玉の二の舞になるんだよね』 字『うちの“勝利”の部署の子たちは、みんなおしゃれさんで。 おかげで、オレが好きな格好でうろついていると怒り狂ってはさみを持って来るは、違う服を持ってくるわで・・・(遠い目) 大昔はゆったりした感じのらく〜な格好をしてたんだけど、今はほら髪もさっぱりしたから、服も厳選しなくちゃいけなくて。 オレいつも選んでもらってる。だってオレが服選ぶと怒るんだもん。あの子たちなんであんなに怖いんだろう(真顔)』 陽『というか服のセンスぅ・・最近かっこっ良くなったと思ったら、部下のお仕事だったとか・・・・』 字『そもそも』 新『はる、さん?』 字『空気中に満ちる“力”を髪にとりこんで、それを己の力として変換している。っていう考え自体間違っているんだけど』 新陽『『え!?』』 春は少し考えるように顎に手をやり、視線をさまよわせた後、ひとりごとなのか、誰かに聞かせるつもりはなかったように首をかしげる。 ――たぶん始まりの子の“記憶”に残っていたのかもしれないなぁ。消したつもりだったが。残るものもあるんだなぁ。 陽『?』 春のその小さな独り言を聞いたのは、真横にいた陽だけ。 いぶかしげに眉をよせる陽をそっちのけで、春は呆れたようにため息をついた。 それはまるで、昔の情景に頭を抱えるように・・・。 字『はぁ〜・・・誰だよ最初に嘘広めたのぉ。 うーん、もうここまで浸透してたらしかたないとはいえ、ひとの想いの力は意外と強烈だって今実感したよ。 ・・・・・・・まぁ、今はさ、みんな似合うからいいんじゃない?ロンゲ』 新『あ、さいごなげやりなきが』 陽『・・・なぁ、春さん。“それ”って、誰かから教わったとか図書館の資料とかからの知識?』 字『ふふ、本の知識でも教わったわけでもないねぇ』 陽『はぁ・・・たまに思うんだけど、春さんの“知識”ってどうなってんの。どこからその膨大な“情報”を得てんだよ』 新『知識って言うと隼さんあたりからとか?』 字『どこって・・・今回の髪の毛に関しては、だってふつうに目の前にあるから見てればわかるでしょ』 陽『ん?』 新『みれば?』 陽『いやいや、ちょっと待ってって見える?え?何が見えるって?』 字『髪の毛。と、“力”の〜動き?』 新『え?力の流れが空間じゅうにあるって感覚はなんとなくはわかるんですけど、“見える”とか、嘘ですよね?』 陽『さすがの春さんだってそれはないだろwww目に入るから髪の毛に宿ってないのが分かる。とか、どんなチートだよwww』 字『なんでって、視えないの?』 新陽『『・・・・むしろなにがみえてるの(遠い目)』』 陽『つか、俺達は人間に、天使や悪魔ってばれる上位種だけど。見えてるものは、人間と同じように目の前にあるものだけだからな!』 新『力の流れが見えてる天使も悪魔も知りませんよー』 字『見えるものは見えるんだけどなぁ。まぁ、いっか。 ん〜っと。じゃぁ、髪の毛に魔力が〜の説に関しては、オレが“視ている”ものでは証明できないので。 勝手にこじつけちゃおうっか。 そうだなぁ〜。じゃぁ、神様とか“はじまりの存在”あたりが、ロンゲだったってことで』 新『簡素にまとめただとぉ!?』 陽『おい!それでいいのかよ』 字『いいんじゃない? 理由があれば信じるんだったら、それなら理由は作っちゃおう♪ そんなわけで、神様にあこがれ、少しでもその特別な存在に近づこうとした部下の天族と魔族が、ロンゲ信仰をはじめた。って、 そういうことにしておこうか。 うん、間違ってないはず。 そんなわけで後継者たちは上司へのあこがれでロン毛を始めた先代たちがかわいそうにみえてきたので、せめてロンゲには意味を持たせてあげようと。そうしてはやらせたのがロンゲ説の起源―――ってことで』 新『ちょっといろいろあれだけど、なんかとてつもなく納得できるのはなぜだろう』 陽『こうなると、春さんが最初に言った“老人の髪の薄毛ゆえのロンゲ説”ってのもあながちまちがってないような気がしてくるわ(遠い目)』 新『つか、ロンゲってうけるwwwなんだろう、“髪が長い”だと受け入れられるけど、“老人ロンゲ説”って、言葉だけ聞くとwwwうける(真顔)』 字『楽しめたなら何より(*´▽`*)』 * * * * * 陽『なぁ』 新『んだよチャラいの』 陽『ちゃらいの言うな!』 陽『春さんってさ』 新『あ?』 陽『絶対、髪の毛というか“力”のこととかさ、“本当のこと”を知ってそうじゃね?』 新『だから“視えてる”から、力が髪に宿るのは嘘だってことを知ってたんだろう。 それに今のやつらがやたらとロンゲにうるさいのは、過去のやつらの上司憧れからくる伝統だ。 それとも春さんの言うことが嘘だって言いたいのかよお前』 陽『ちげーよ。むしろ上司憧れによるロンゲ説はめちゃくちゃ納得したけど。 そうじゃなくてー・・・あー、なんていうのかな』 新『?』 陽『そう、あれだあれ!』 新『あれでわかるか』 陽『まるで俺らの祖が髪の毛を伸ばし始めた理由も。そのすべてを“みてきた”ように語るなぁって』 新『だから“視えてる”んだろう?』 陽『“力”の流れじゃなくて――“髪をロン毛にした始まりの現場”を』 新『んなわけ・・・・』 陽『だよなぁ。あの長生きの代名詞の始さんでさえ、“始まりの存在”らについてはしらないし。始さんが生まれるより前にいた老人ども知らないって言ってるし。 そもそも始さんと春さんが同じ年ってことは、あきらかに老人どもより春さんは後に生まれてるもんな』 新『爺さんたちが若いころに春さんがいたなんてことは言ってなかったし。春さんがずっと生きてたとか、お前のおもいすごしだろ』 陽『だな。あー・・。らしくもなく深読みしちまった』 新『まぁ、あの人は、なんというか隼さんに近い不思議オーラがあるというか、いつも言葉の言い回しが意味深というか。言葉巧みで悪魔っぽい悪魔というか・・・気にしないほうがいいぞ』 陽『悪魔と言うか・・・ただの天然でなんかずれてるんじゃ』 新『陽!』 陽『なんだよ。突然かしこまって』 新『これだけは覚えておけ陽。ぶっちゃけ、悪魔より、天然のほうがたちがわるい!』 陽『・・・・』 新『あと天然タラシ・・・やばいぞあれは(gkbr)』 陽『あー・・・ナルホド(遠い目)』 * * * * * 字『流れるは星々の煌めく天の川。 それを包み込むは、偉大なる宇宙の漆黒の帳。 その優しい腕(かいな)に抱かれしは、蒼天たる命の惑星――地球』 隼『随分懐かしいね。以前も君にそう言われたことがあるよ』 字『そうおもうならさぁ、天の川と称された君の綺麗なストレートヘアーの手入れの仕方を教えてよ』 隼『手入れ?』 字『そう。今日ロンゲについて語ったところ、自分の毛は仲間が切ってくれてるわけで。 そうじゃなきゃモサモサだし。 そういえば隼は、以前から髪の毛が綺麗なストレートだったなぁと思い出してさ、自分のくせっけがうらめしくなって相談に乗ってもらいに来ました〜』 字『で、どうなの?ひとりのときは、やっぱり自分で手入れしてたの?』 隼『ふふ、そうだねぇ。僕はきちんととかしていたよ。君と違ってね』 字『と、とかしてはいたよ。オレだって。ちょーっとからまりやすいっていうか・・・』 隼『はぁーる。指ですくってのは、とかしたことにはならないと思うよ。君の場合は特に』 字『ううう・・・どうしてこうもオレの髪の毛って頑丈なんだろう』 隼『頑丈っていうか、質自体はふんわりしててやわらかいよね。クセとハネ具合が強固なだけじゃ。 でもね春。その髪型もいいけど・・・』 隼『僕は“前”の君の髪型も結構好きだったよ』 隼『羽根も服も。あの長い髪には白が似合っていたのに・・・ごめんね』 字『でも黒の方が、しっくりくると思うけどなぁオレ。黒い角と赤黒い羽。っていったら服もやっぱ黒系でしょ』 隼『淡い髪は波打つようで、それに白が光輝いて見えて僕は綺麗だなぁって思ってたよ』 字『えー。あれこそまさにただ放置してただけだよ』 隼『どうせならまたのばせばどうかな?髪の毛が淡い色だから、今の衣装にはとても髪がはえるよ』 字『なぁに隼。オレにもう一度毛玉になれと?』 隼『毛玉、ねぇ。前髪だけ切れば、毛玉は回避されないかな?以前もそうしてたじゃない』 字『あれは邪魔だから編み込んでたの。おでこみえてたでしょ。 でもやっぱり髪が長いとつまづいてよくこけるんだよねぇ。それで何度か服は破けるわ、すぐに泥だけになるわで懲りたんだよ(遠い目)』 字『あ、できれば、髪の毛よりしっぽがほしかったな〜』 隼『・・・・春にしっぽ?それ髪の毛と同じようなふっさふさの猫みたいなやつかな。それならよく似合いそうだね。魔族の威厳がなくなりそうだけど』 字『え!ちがうよ。恐竜みたいなかっこいいやつ。それで角は2本じゃなくておでこか鼻の上に一本か2本がいいな。それで筋肉モリモリで〜尻尾の一振りでたくさんの範囲に風が起きて〜口から火の玉はいて、破壊光線とか出せたらいいよね♪・・・・やだ!なにそれすっごいかっこいいねオレ!ケンタウロスもめじゃないよ!それで運命の女神に一矢報いてやるのはどうかな?そろそろ再戦の時期だと思うんだよね』 隼『待って!待って春。やめよう、やめよう春。それだけはやめて。しっぽはせめて新みたいな小悪魔的なやつにして!! というか、なんかどんどん違ってきてるから!違うから!なんか違うから!!!』 字『よーし人間の世界から筋肉をつけるというプロテインをとってこよう!通販って異世界まで届けてくれるかな?』 隼『だれかー!!春のマッチョ化怪獣計画をとめてーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』 陽『春さんが怪獣になるのと』 新『春さんが毛玉になるの』 陽新『『どっちがましなんだ?』』 郁『どっちもアウトです』 涙『でも怪獣・・・見てみたいな』 隼『やめてー!!!』 字『運命の女神への再戦ってところにツッコミがない件について』 |