【SS-21】 その花にこめられた言ノ葉は |
<詳細設定> 【弥生字】 ・本名《字》 ・私生活では『花』、芸名は『春』 ・魔法のある世界の春成り代わり主 ・二つ前の前世【復活】より超直感引継ぎ ・一つ前の世界は【黒バヌ】の花宮成り代わり ・魔力豊富な世界で、生まれつき魔力0体質 ・前世から変わらず、見えてはいけないものが視える ・超直感は今日も元気に活躍中www ・始の魔力で生かされてる ・原作とは違って、甘いのがめちゃくちゃだめ。辛党派。 ・ちょっと思考回路が人とズレてる、ボケてるともいう それはまだ兄弟ユニットProcellarumの正体があかされていなかった、SIX GRAVITYがかけだしだったころの。 ちょっとしたいざこざになりかけた、とある未遂に終わったできごと。 まだ“仲間”の大切を本当の意味で理解してないオレのしでかしたこと。 字『うーんと。困ったなぁ』 収録を伴う音楽番組のステージに立つ――その前の控室でのこと。 始『どうした春?』 字『うんん。なんでもないよ』 手にしたものをどうしようか考えつつ、ちょっとだけ“あの子”に会ってお話ししてみたいなぁ。な〜んて考えていたオレは相当のバカだった。 【その花にこめられた言ノ葉は】 〜 side 春成り代わり字 〜 はいはい、転生者の春さんだよ。 本当は「花」って名前だけど、芸名は春。 そんなオレは魂の性質上、実は毒やウィルスや薬、術といった類がまったく効かない。 魂の死がオレにはないので、転生を繰りかえす。けれどいつの頃からか、死にそうになりそうな“肉体に害あるもの”を無効化すべく、気づけば術という術がいつのまにか無効化されるようになっていた。つまり病気になりません、毒も術もききません。まぁ、こういうと不死っぽいでしょ。 でもこれにも実は穴があって、物理攻撃には弱いのがたまに傷。 つまり怪我は普通におうし、肉体的ダメージは普通にうけるってこと。 字『睡眠薬か毒薬か・・・その辺だったら何事もなく証拠隠滅できたのに』 オレが飲んでしまえば証拠は残らなかったよね。 さて。 なぜオレがいまこのような物騒な話をしているかというと、控室に用意されていた飲み物――それも始のだ――に、毒・・・というわけではないけど、飲んだら体には害がありそうなものが入っているのに気づいた。 蓋を開けてないのになぜわかったかというと、その辺は自分が前世から持っている異常なまでの勘の良さ〈超直感〉で、びびっときた。 たぶん鼻ではわからないレベルの微かな匂いと、カップの位置てきななにかを〈超直感〉は本能的に読み取って、そのカップに異物が入ってるって気付いた感じなのではないかと思う。 もはや本能レベルの警戒心が発動しただけ。 〈超直感〉の話はさておき、ふたを開けずストローにちょっと口をつけて、納得。 少し空気を吸ったらストローが詰まった。 これはオレが効かない薬類ではなく、物的証拠がありあり残っている。たぶん蓋をあけると胡椒とかタバスコが浮いていると思うよ。 水分はあがってはこなかったけど、かわりにストローから胡椒の凄いにおいが来た。 むせなかったオレを褒めてほしい。 これ、山椒を入れ手たらもっとひどいことになってそうだよね。だって山椒は少量でも空気中に漂って、においを出すから。 とはいえ、参照が入っていなくてもこれではもはや飲み物とはいえないだろう。 ねぇ、だれかスポーツドリンクの中にタバスコと胡椒をストローの吸い口が詰まるぐらいに入れて飲んでみなよ。 においだけでも、まずいから。 スポドリに物を混ぜるなら、レモン汁ぐらいにしてほしいよね。適量の。 胡椒入れて許されるのは、スポドリではないと思うんだ。そうだなぁ、胡椒を入れる飲料といえば、あ、麺ツユに胡椒を入れるなら許されるかも?いや、ラーメンならありな気がするよ。 あとタバスコを入れていい液体は、トマトソースぐらいじゃないかな。 タバスコいっぱいかけたトマトパスタなら食べたいかも。 オレは辛い物が好きだからね。 字『でもこれはないなぁ〜、うん』 ストローが一回で詰まって使えてませんよ!! 始にのまそうとしたのはいいとして、そもそもつまって飲めないとか、これは嫌味になっているのだろうか? 始『おい、春。なんでお前、俺の飲んでるんだよ』 字『だって喉乾いてたし、オレが一番乗りだったんだよ。一番手前にあるのとったっていいじゃない。 それに中身はみんな同じだって月城さん言ってたし』 うん。わかってる。 月城さんが飲み物を置いて、オレらがこの部屋に入るまでのほんのわずかな間の犯行。 結論てきに、始に恨みや妬みがある子。 ついでいにいうと犯人知ってますオレ。 この控室に入る前に、廊下を歩いていた隣の控室のバンドグループ△△△さんのひとり。 そのひとりがさっき、悪態をつきながら控室に入っていったのをみてしまった。 超直感って怖いね。 みたからあの子が犯人じゃないかて疑うよりも先に、あの子の姿を見た時点で、超直感はあの子が犯人だと断定しやがった。 うん。超直感こわい。 もしかするとトイレから帰ってきただけの隣の控室の子――だったかもしれないのに。あの子が“グラビの控室に何かをした”と超直感は告げたのだから。だからオレが一番最初に控室に入って、その“ナニカ”を見つけることができたわけだけど。 ところで。 字『うーんと。困ったなぁ』 本当に困った。 喉が渇きました。 喉が渇いていたっていうのは嘘だったんだけど、こう塩辛いようなしょっぱい空気を吸った後だとほしくなるもので・・・。 ニコニコとしてごまかしてみますが、この手にしているものは飲めるようなものじゃない。そもそも味とか以前の問題で、ストローがすでにアウト。使えないよ。 この飲み物の代わりに、胡椒が入っている今うどんとかラーメンとかトマトパスタがあっても困るけど。 それもステージに立つ前に飲むものではない。 まぁ、ここにはそういったノドがべたつきそうな飲み物というか飲食物じたいないけどね。 オレの手元に唯一あるのは、オレの腕の中にあるストローが詰まってなにも飲めない――スポドリにタバスコとコショウが大量に浮いているだろうものだけ。 ちらっ〜と他の子たちを見てみるんだけど。うん。彼らにもしっかり水分は必要だよね。 なにせこのあと、踊るわけだし? 自販機に・・・・・ あ、まずい。財布とか、いま全員分月城さんがもってる!? 字『ありゃ。ピンチかも?』 とりあえず声をかけにきたら、月城さんに、飲み物を用意してくれるように頼もうかな。 字『オレがバカだったよ』 ステージまできてくださいと呼びに来たのは、別のスタッフさんだった。 しかも「SIX GRAVITYのみなさん次お願いします」と伝えたと思ったら、オレが声をかけるより先にあわただしく引き返してしまったし・・・。 えぇー、まじかぁ。 どうしよう。 収録用のステージとはいえ、舞台で踊って歌うのは当たり前。 それだけでも喉乾きそうなんだけど、その後のトークとか大丈夫だろうか。 トークのときは、飲み物を簡易テーブルに置かれてることが多いけど。 いや、むしろもっとやばそうな飲み物が番組の一環としてでたり・・・しないよね? 食べ物的な意味で。 こっちは喉が渇いてるんだけどなぁ。 もし、差し入れが飲み物じゃなくて、チョコレートを食べろと差し入れをもらったら。 あるいはシフォンケーキとかだったり!? うわーどっちも嫌だなぁそれ。 乾きすぎた喉に張り付いて窒息しそうじゃない? 喉に張り付いて窒息っていうと、海苔とかもらったら死ぬね。 あ、煎餅なんかも乾燥してるし。 そんなものだされたら・・・。 思わず遠い目をして明後日の方角を見ていたら、元気な始さんに頭をスパーンとたたかれた。 あーびっくりした。なんて力が強いんだろう。 ガクンときたね。 首がどうにかなるかと思ったよ。 字『は、はじめさん、オレはいますごーくおもったんだけどね。 始はすこし自分の力が人よりも強いことを学ぼう、ね。そうじゃないと春さん、頭が吹っ飛ぶかと思ったよ』 始『で?お前は何を悩んでたんだ?』 字『なんでもないよ』 始『そういうやつが死んだ目をするか』 字『そ、それもそうだねぇ。えーっと・・言わないとだめ?』 始『吐け』 字『その手は何かな始?ああ、そう。まぁ、いいや。実はね。いま、せんべいを食べたら死ぬなぁっておもってね』 始『は?』 字『その様子を想像しちゃったんだ。 いや、もしかしたらシフォンケーキとか海苔とかだったらもっとやばいよね!?あとたっぷりのパフェとか、生チョコとか、大福とか。 そういうのがゲスト用に用意されてたら嫌だなぁって。 もしかしてデミグラスソースとかハンバーグがでてきて食べろとか言われたら? ほら、もうすぐお昼だし! ど、どうしよう。 あ!でもアイスはいいね。いまなら、アイスとかかき氷ならオレ食べるよ。 でもメロンソーダはもはや飲み物じゃないよね。あれは食べ物だ。って、今なら断言できるよ?』 しまったと思ったときには遅い。 ちょっと心の声という名の本音が漏れすぎて、「そんな重ったるいものが番組で出るか!」とか怒られてしまうかもしれない。 でも今は水がほしいんだ切実に。 だから重たくてドロドロしてたり、甘すぎるものとか・・・・出てこないでほしいって、本当に切実に思っていて! ただ一番重要な、“始たちを心配させるようなこと”はオレの口からは漏れてないはず。 一番に飲み物を受け取って口をつけた癖に。って、思うかもしれないし。 あれ?もしかして喉乾いてるってばれた? しゃべりすぎた口を押えてチラリと始を見ると、呆れたようにため息をついている。 始『安定の春節だな』 その言葉に、メンバーと遠巻きに見てるスタッフさんたちも頷いている。 ハルブシってなにかな? 鰹節でもおちていたのかな? とりあえず“始のボトルの中身がやばいものだった”っていうのは、ばれてないみたいだね。 〈超直感〉も大丈夫って言ってるからよさそうだ。 それで。いまは鰹節の話だっけ。 字『鰹節でとった出汁は美味しいよね。うどんが今食べたいんだけど』 ニコニコ告げたら、周りから笑いがこぼれた。 正確にはうどんのスープだけでもいいぐらい。 なんだかわからないけど、みんなお腹がすいているのでは? 時計を見ると、お昼をちょっと過ぎた時間。 字『みそ汁には白いご飯だよみんな!鮭とかあったら最高だよね』 ご飯を食べるなら残さずしっかりたべようね。と告げたら、笑いながらみんなが早く行けと合図を出してくる。 いや、だからご飯にはみそ汁と。 恋『さぁさぁ春さん!みそ汁よりもステージですよ!』 駆『そうですよ!いっぱい踊って!そうしたらこの後のお昼ご飯はもっとおいしく感じますよ!』 年少組二人に背を押され、ステージの方へ連れていかれる。 そういえばステージに向かう途中だったね。 なんだか気分的にご飯の話に脱線していたよ。ごめんね。 というか、春さんはいまステージよりも水分がほしいです。 へー。 脱水症状ってこういうのを言うのかな? 激しいダンスの後にステージ脇にまで引っ込んで、飲み物を手渡されて。 容器からして始のだけ違うんだけど!!! これまた〈超直感〉が大働き!今度は始の方が先に手を取ってしまったけど、容赦なく始のをもう一回奪う。 もちろん口をつける気はなくて。 うん。今度はたぶん生姜入りの水かな?なにそれ!おいしそう。って思った人、たいじょー。 確かに世の中には生姜湯とかあるけど、これたぶん。そういう体に優しいものじゃない。 でもこれは・・・ありがたく飲むべきなのか?いや、でもちょっと生姜の量が多そうなのでやめておきます。つぎは風邪の時にでも持ってきて。オレ、風邪ひかないけど。 そのまま生姜湯モドキをもっていたら、ふいにくらりときた。 ぐらぐらぐらと視界がゆれて、体がなんだかまっすぐにたたず、ステージの幕にたどり着いたときには、足に力を込めてるのかさえもあわからなくなって、その場にぺたりとしゃがみこんだ。 かわいた喉からは、もはや唾だけでは補え切れず、乾いたヒューヒューという音しか出ない。 それさえも苦しくて。 意地があるので、意識だけはなんとか保っているけど。 これ、ふつうの人なら意識が吹っ飛んでるんじゃないかな?前世経験豊富なオレだからもってる感じ。 あ、やっぱりこうなるぐらいなら、舌がマヒする覚悟で生姜湯飲んどけばよかった。 なるほど。これが脱水症状か。と納得した。 ついでにいうと、吐き気とちょっとしただるさがあるので「低張性脱水」だと思う。 痙攣は・・・あるのかな? ないのかあるのかもちょと霞がかかった脳内では、あまり理解ができない。 脱水症状には大まかに分けてふたつある。 いま、オレがなっている「低張性脱水」。 水分と一緒に血液中のナトリウムが不足してしまう状態のことで、だるさや吐き気、けいれんなどの症状が現れる現象で、長時間のスポーツなど、発汗をともなう際に発症しやすい。 「高張性脱水」 体内の水分だけが不足する状態のこと。 発熱や激しい口渇状態、意識の混濁なども起こすこともる。 始はオレのことをよく理解している。 オレが、ウィルスや毒、薬も効かないってことはよぉーく知っている。 そんなオレがこういう状態になるってことは“異常”だ。 たぶんそれをすぐに理解してくれる始なら・・・ 始『ああ、わかってる。あとはまかせろ』 このあといつのまに傍にきていたのか、背をさすりながらそういわれホッと肩の力が抜ける。 まだステージはつづく。 生ではなく収録だから修正とかきくだろうけど、あと一時間ぐらいなかったかな?後で編集して短くするらしい。 うーん。あわよくば、その編集の時にオレを後から追加・・・とか、そんな卒業式の時休んだ生徒の写真みたいな都合がいい修正でも。いや、いいや。修正いらない。 もう取り直す時間ももったいないし、取り直しさせるための日付調整をさせるのは申し訳ない。 もうギャグ調子で「春さんはトイレの渋滞に巻き込まれているよ(笑)」てテロップでも出して、オレ抜きのまま放送してくれればいい。 もうこの際オレ抜きで構わない。このまますすめてほしい。 だって迷惑かけたくない。 めいわくを、かけるつもりは・・なかったんだけどなぁ。 本当は、“こうなった原因”については、当事者である始には気づかないでいてほしかったけど。 オレがぽかしちゃったからそうもいかないね。 きっと始はもういろいろ気づき初めているだろう。 「大丈夫。“話”は自分でつけるよ」それだけ伝えて、オレはあとの収録をすべてたくした。 たぶんオレの持病というか、魔力ゼロのことを聞かされてる仲間たちはひどく動揺しているだろう。 始が上手くそれをごまかしてくれてるといい。 パチリ。 ――っで、目が覚めたら。控室で点滴を打たれて寝ていた。 横には心配そうな顔の月城さんがいた。 始たちはまだ収録中らしい。 月城さんに聞いたところ、病院嫌いなオレを思って、控室に運んでくれたとのこと。 わざわざスタジオの近所の医者を呼び出してきてもらったとか。 診断はやはり脱水症状。 もうすこし点滴をうったら、自由にしていい。 それらのはなしをぼぉーっとした頭できかされる。 城『みなさんすごく心配してましたよ』 そりゃぁ、そうだろう。基本的にオレが倒れるときは、命にかかわるときだからな。 顔に出ていたのか、オレをみおろしていた月城さんの顔が歪む。 ああ、そっか。 “そう”じゃないな。 生死とか関係なく、オレの周りにいる子たちは、ちょっと体調が悪くてもきっと心配する。それが誰であってもだ。 そういう優しい子たちだった。 字『ごめんなさい』 城『わかればいいんです』 月城さんにも心配かけちゃったみたいだね。 もっとシャンとしないとだめだなぁ。 ついみんなが優しいからいろんなことに甘えちゃう。うっかりも最近多くなってるし、うん。オレ、年長さんだし、もっと頑張ろう! 城『!?いえいえ!頑張らないでくださいってことですよ!春君は一人でなんでもできてしまうんで、なにかあったら周りを頼ってほしいと・・・そういうはなしで!』 字『え?たよってますよ?』 城『なら、今日はどうして倒れたんですか!』 字『あ〜水分のみわすれ?』 城『控室で一番に飲んだって聞いてます』 字『うん。飲んだね。飲んだけど、でもストローがつまってて飲めなかったんです』 城『そういう重要なことは僕でなくてもいいですから、とにかく誰かに相談してください!そもそもストローがだめならふたを開ければいいでしょう』 字『あ、その発想はなかったです。でもひとりでなんとかなりそうだったし』 城『なってないじゃないですかぁ〜。もう、だめですよ春君』 たぶん始は“始のボトルにしこまれたナニカ”に気づいてしまっただろうし、あのあときっと確認したと思うんだけど。 月城さんには言わなかったようだ。 なら、起きれるようになったら“いかないと”いけないね。 月城さんには申し訳ないけど、これからちょっと会いたい人がいるのでお菓子を買ってきてくれるように頼もう。 菓子おりがいいかな? ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 字『――っと、いうわけで勝手に失礼しまーす! いるのは分かっていますよ!逃亡とかしないでくださいね。隣のグラビの春さんでーす!こんにちわグループ△△△のみなさん!あ、これお近づきのしるしのお菓子です。よかったらどうぞー』 っと、ノックして中に気配があるのを確認して、遠慮なく扉をあけて中に入る。 やってきたのは、始のボトルにいろいろ仕掛けをしてくれたであろう子が入っていた隣の控室。 こちらは俺達とは違って、バンドマンのグループ。 ノックはしたけど、確認する前にバーン!と開けて、怒涛の勢いで挨拶してみた。 オレの突然の訪問にしばらく△△△グループの人たちは唖然として固まっていたけど、すぐにそれぞれが我に返り、面白いぐらい別々の反応を見せる。 ひとりは「あ、これはどうも〜☆」と笑顔で菓子を受け取りにきて、ひとりは「なんだ隣人か」とばかりに軽く目であいさつした後音楽プレイヤーに意識を戻してしまう。 ひとりは犬のようにキャンキャン嬉しそうに「わー!グラビだ!生のグラビだ―!あの尊敬してます!!」と凄い嬉しそうに駆け寄ってきて、お菓子のひとに笑顔で首根っこをつかまれひきとめられていた。 最期の一人は舌打ちした後、ちょっと眉間にしわを寄せてそっぽを向いている。こっちには一切の愛想も挨拶もなしだ。 まぁ、ごまかす演技をしていないのであれば、もう犯人はお分かりですね。 うん。演技下手。犯人はお前だ!とばかりの対応ありがとう。 あのそっぽ向いてる子が、始の飲み物にいろいろ仕掛けてくれちゃった犯人です。 これは超直感がなくてもわかるかな。 あ、でももし嬉しそうに駆け寄ってきた子がこの事件の犯人だったら、超直感以外には断定できなかったかもね。 だってみんな“なにごともなく”普段と同じような態度らしいので、“やましいことがありました”的な雰囲気がないので気づかないよ(笑) 今回は一人だけそういう雰囲気を出している子がいるけどね(苦笑) でもね。 彼の演技がどうこうというより、オレの超直感だけの判断でもなく、見てしまったんだ。 オレ達が控室に入るよりも前に廊下を歩いてるあの子の姿をね。 残念ながら、これは超直感がなくても犯人があの子だってわかってしまうよね。 少し他の人に軽く挨拶をし、唯一口を開かずにそっぽをむいていた子の傍までまっすぐ歩みよる。 彼の正面に立てば、さすがの彼もイライラしたように乱暴にこちらを見上げてくる。 彼が嫌そうに何か言葉を紡ごうとしたけど 言わせないよ。 字『オレは弥生花。花って呼んでね!よろしく!』 ニッコリわらって、本名(に近い)方を名乗って握手を求めた。 さすがに言葉をさえぎった挙句、予想外のことをしたものだからさらい唖然とした顔がむけられる。 名のを名乗ってくるとは思いもしなかっただろう。 それはわかる。 でも、オレは別に彼を批判しに来たわけでもののしりに来たわけでもないから、これでいいと思う。 オレが怒ってもしょうがないんだ。 オレに謝られてもしょうがないんだ。 彼がしたことを自分で悪いことだと理解しているなら、謝るべき人は別にいる。 だからオレはオレがしたいことをしようと思う。 それが名乗り。 あまりに驚過ぎたのか、彼の顔には先程の嫌そうな、イライラした雰囲気は霧散してしまっている。 オレは彼の友達になりに来たんだ。 いや、だってね。 ほら「さっきの敵は今の友」って言うでしょ? え?言わない? うん。まぁ、正確には「昨日の敵は今日の友達」だっけ。 まあ、ニュアンスがあってればいいよ。 そんな理由で、いたずらの犯人のいる控室に乗り込んだのか。とかだれかに怒られるかな。 でもだよ。お友達になってしまえば、敵ではないわけでしょう? だから名乗って、握手を求めた。 *『・・・・・・弥生春じゃないのか』 え。つっこむのそこなの!? 呆然としたいてからこぼれた言葉に思わず目を丸くした。 相手もオレの行動の意味が分からないようで、オレが何か言うたびに目を丸くして首をかしげていた。 しまいにはお互いに首をかしげあってしまうしまつ。 *『お前は俺のやったことに嫌味を言いにきたんだろ?』 ああ、君はやはり“わかって”やったんだね。 なら、それはちょっとやりすぎてしまっただけ。 君のやりたかったこと。きっと大切な人たちのためを想いすぎて、すこしばかりまちがってしまっただけ。 わかっているなら・・・ 君が“やるべきこと”は、オレに対してじゃないよね。 うちの始に。 そして君の仲間に謝ってくれればいい。 オレはそんな君だから―― 字『だから友達になり来たんだよ?』 *『はぁ!?ざまぁとでも思ってるんだろ!こんな無様な姿を見て楽しいか!?』 字『え、君カッコいいよ?始と違って身だしなみきっちりしてるし、そこらへんで隙あらばみたいな感じで寝たりしてないし』 *『お前らが腹立って乗り込んできたのはわかってんだよ!』 字『え。なんで腹を立てるの?むしろ君の方がなんか怒ってない?というかオレ、ひとりだよ?』 *『だから俺が睦月に嫉妬して・・・』 字『眉間の皺の数が始の方が多いからだね!君よりあと一本多いぐらいだよ!気にする必要はないと思うよ! むしろ眉間に皺をよせすぎると、あとが消えなくなっちゃうって言うから少ない方がいいって!』 *『皺が!?・・・・え?とれなくなるのか?』 字『らしいよ。だからアイドルを始めたからにはそういうケアもしないといけないから、始が眉間にしわを寄せるたびに潰すようにしてるんだぁオレ。ぐりぐりって』 *『痛い!?それ絶対痛いだろ・・・・ん?』 字『ん?』 *『お前は睦月の代わりに物を言いに来たんじゃないのか?』 字『わかっているなら謝罪はオレにしても意味はないよ?』 *『っ!?』 字『だからね。オレは始の代わりに君と友達になり来たんだ』 *『友達?』 字『オレたちもう友達だよね?』 *『はぁ?』 字『え、だってオレ名乗ったよ。礼儀にのっとって、芸名じゃない方を名乗ったし!ほら、もう知り合い♪ね、もう友達でしょ?』 *『どこの幼稚園生だ!!』 字『失礼だなぁ。オレは大学生です!』 *『ちょっとまて。さっき、芸名って言ったか?本名?』 字『まれに呼べない人がいるから、芸能界に入るときに「春」って芸名をもらったんだぁ。本名は“弥生花”。親しい人には花って呼んでもらってるよ』 君なら、オレの名を呼べると思ったから。 オレの本当の名は、字。 これは魂に刻まれた名前。 けれどそれはこの世界ではあまりに強い力となって影響しすぎ、異常なものとなって世界が認識した。 魔力があるこの世界では、魔力と相性がとんでもなくよい人間でしか聞き取ることができない。 かわりに両親がオレにつけたのは「花」という名前。 これは魔力のある者からみたオレの魂の本質を表している。無意識に魂に最も近い名をみつけ、それをつけた結果。 つまりこれも魂と魔力には大いに影響する。 おかげで、戸籍などは「花」なのだが、魔力があまりに低い人間には聞き取ることができない可能性が若干あるのだ。 本当にまれにだが花と名を聞き取れない人間がいる。 名を呼ばれないということは、実はオレにとって死活問題なのだ。 魔力は生命エネルギーであるこの世界では、魔力がないオレは存在感すら薄い。記憶から忘れ去られることもたびたびあった。 そうならないために、名前を呼んでもらう必要があった。 なぜならば名を呼ばれることで相手の記憶にオレという存在をうえつけ、オレという存在を明確なものとし、存在を固定化しているためだ。 忘れないでほしいから。 オレは名前を呼ばれることが好きだ。 友達にはどんどん下の名前で呼ぶように促すほど。 だから友達として、彼にはちゃんとした方の名前で呼んでもらいたかったから、あちらを名乗った。のに。 字『だって敵は、戦かった後は友達になるものでしょう?』 *『・・・どこの脳筋説だ』 字『ポ〇モンアニメ!(ドヤ)』 *『せめてジャ〇プにしてくれよ!そもそも俺はいつお前のライバルになったんだ!?おまえなんかしらねぇーよ!!』 字『俺達の控室が君たちの横に決まった瞬間。えっと、たしか月城さんが・・・あ!昨日だね!やったね昨日の敵は今日の友達っていうしピッタシ?』 *『だからいつ友達になったんだよぉ!!』 字『だから今日!今だよ!』 やったね。いつのまにか友達だけじゃんくてライバルまでゲットしていたようだよ。 さすがお子様筆頭アニメポ〇モン! 歴代ライバルと友達数が凄い多いアニメ主人公の言葉だけはあるよね! もう名言でいいんじゃないかな? あれ?これって主人公の言葉じゃなくオー〇ド博士の言葉だっけ? まぁ、いいや。 その言葉のおかげで今日いっぺんにライバルで友達ができたのは間違いないし。 あのあと名前を聞き出し、彼の手を握ってブンブンとふって新しい友達に喜んでいたら、「なんだかわからないけどおめでとう」と友達さんの△△△お仲間に拍手をもらった。 △『おー!うちのツンデレ筆頭***に友達ができた!』 △『わーいやったー!SIX GRAVITYのツテゲット!!ありがとう***!春さんと友達になってくれて!春さん!あとで駆さんに司会の極意教えてほしいって言って下さい!!お願いします!!』 △『***、おめでとう』 △『今日は祝いだな。収録終わったら***の友達記念日として飲みに行こう!リーダーがおごってくれるそうだ』 △『はぁ?!え?なんで俺ぇ?』 △『なんでもこうも、***のためだろ』 △『えー・・・まぁ***のためならしかたない!お前らの分まで驕ってやらぁ!!てめぇーら!今日は遠慮してのめよ!!』 △『リーダー心が狭いwww』 △『わかった。遠慮せず飲む』 △『遠慮しろって言ってんだろ!!』 オレが***を友達と言ったら、こちらの様子をうかがっていた△△△さんたちは一気に盛り上がってしまった。 呆然として声も出ない***そっちのけで、△△△さんたちはオレと彼の間で友情ができたことを心から喜んでくれていた。 ヘッドフォンをしてこちらに興味がなさそうだった人まで、パチパチと手をたたいて喜び、このあと行く予定の場所の案を出している。あのひと、聞いてたんだね。バッチリこっちに興味津々だったのか、あれで。 うん。いい名前だね***って。 字『***?』 *『あ?』 ***っていう芸名には、違う国で別の発音があって、それは花をさす。そしてその花には花言葉がある。 その言葉の意味はとても素敵で。 オレは彼が、どれだけ“ ”なのかを理解してしまった。 ああ、やっぱり彼はイイヒトなんだろうって思った。 だから余計友達になりたいなぁって思ったんだ。 あまり花言葉には詳しくなさそうな彼だから、その花言葉だけはたまたま何かで知っていたのだろう。 それでもその名は、彼の“光”がなんであるかを明確に語っている。 こういうときばかりは、回答をくれる超直感に感謝だ。 字『***。***』 *『なんだよ』 字『***って、すごいイイ名前だね。――――って意味があったよねたしか』 *『なっ!?なんでそれを!』 『ふっふっふ。春さんは春ペディアっていわれるほど博識なんですよ♪』 『うんうん。普段はちょぉーっとズレてますけど』 ふいに聞き覚えがありすぎる声が聞こえた。 『『どうも!SIX GRAVITYです』』 振り返ると、いつのまにかしめたはずの控室の扉が開いており、ビシッ!とポーズをきめた駆と恋がニッカリと笑みを浮かべて立っていた。 その背後の扉はあいており、入り口の枠に寄り掛かるように始が立っている。 扉の外に気配があることから、年中組までいるのだろう。 ありゃ。さすがにみんなを待たせ過ぎたか。 乗り込んでくるとは思わなかったかなぁ。 ことを大袈裟にしたくなかったんだけど。 始の姿を目にするなり、***が気まずそうに視線をそらした。 その様子に始花にも言わず、ただ静かに目を細めた。 怒ってはいないが、この後の***の行動次第ってところだろうか。 やっぱり始が何かを言うかなぁと思っていたら―― △『あ!駆さんだ!駆さんがいる!!!!生グラビー!!!!』 あの最初からSIX GRAVITYに好印象を持っていた小柄な子が、目を輝かせて飛び出し、そのまま駆に抱き着いた。 あ、あの子、駆と身長同じくらいだ。 頭をすりつけるようにしてその小さな体でギュウギュウと駆に抱き着き、予想外のことにさすがの本人もきょとんとしていた。 駆『え!?まさかの俺のファン!?始さんじゃなくて!?』 △『駆さんの!ファンです!! 俺!ただのチビで!顔とかよくないのに!!最近司会の仕事が多くて!!でも緊張して!いつもうまくできなくて!そもそもバンドしかやったことないのに司会とか・・・うわーん!!!むりぃ〜〜〜!!ベースのことしかわかんないよぉー!!そんなときに駆さんみて!!みならいたいっておもってて!!!』 駆『わかる!わかるよぉ!!!司会は顔じゃないよね!!でも緊張するよね!!!』 △『な、生!生のかけるさんが!駆さんが俺に優しい!!わ゛わかっでぐれでありがとーございますぅー!!!ぅわぁぁぁん!!!!(涙)』 なんか二人で目に涙をためながら抱き合って、熱く語りあいはじめた。 あ、苦労多いんだなぁ。 ぶっちゃけ、オレ達より少しだけ早く芸能界デビューしていた駆は、司会やラジオなどオレたちでは呼ばれないような仕事も多くこなしている。 ごめんね。さすがにやったことないものの苦労はわかってあげられなくて。 苦労多いよね。 字『二人とも、いつもありがとうね』 頑張ったね。と声をかけたら、抱き合っていた二人がこっちを見てきて名を呼びながら突進してきた。 あはは、くすぐったいよぉ。 そのまま二人がグズグズと鼻をすすりながら、今までの苦労を語ってきたので、よしよしと頭(だって撫でやすい位置にあったんだもん)をなでながら、チリ紙もらって鼻をふいてやりながら話をきくこととなった。 △△△さんたちはそんな二人の苦労話に共感したのか、話の最期の方にはホロリと涙を流してはしきりにうなずいていた。 △△△というグループは、ロック系のバンドグループだ。 衣装がいつも凄い派手で、トゲトゲした服は痛そう。みんなからは怖い感じって言われていた。 だから怖いひとなのかなぁって思ってただけど、△△△さんたち、意外といい人たちだよね。 涙もろいというか、友情に熱いというか。フレンドリーというか。ああ、信頼しあってるなぁって感じ。 あと礼儀正しいよね。 だって、みんな自前のハンカチ持ってたよ。 ハンカチとポケットティッシュ持ち歩くって、最近の若者にしてはすごくない? それで感化されちゃってでた涙を拭いてたし。 え、ハンカチは良く汗をかくから? あと花粉症の仲間がいるから? あー、そうなんだ。 そういえばいまは夏だから余計熱いよね。 え・・・夏にも花粉症ってなるの?!うわぁーそれはきついね。 本当に△△△さんたちはいいひとたちだなぁ。 ねぇ、いいひと筆頭の***さん。 君もそう思うよね。 ほら、仲間を褒められてどこか嬉しそうな君は、やっぱりいいひとだ。 だから 字『オレと友達になろう』 *『なんでそうなった!!!』 字『だから昨日の敵は今日の友でしょ?』 *『あーもう!わけわかんねー!何なんだよお前は!!』 字『オレは花。花って呼んで***』 *『や、やよい・・・でいいだろ!!用がないならさっさと帰れよ!!』 字『ある。オレは花』 *『さっきから弥生って呼んでるだろ』 字『よんでないよ!ちゃんとオレの名前聞こえてるくせに!花だよ!はーな!』 *『ぐ!』 なんでそんなにかたくななんだろう。 ちゃんと「花」で聞こえてるはずなのに。 む!こうなったら呼ばれるまでにらめっこだね!***はもうオレから目をそらしてるけど!負けないよ!! 字『***。花。花だよ、はーな』 *『・・・・・』 駆『これ、さっさと言った方が恥ずかしくなかったんじゃ』 △『もはや公開処刑だろwww』 恋『花さん、変なところで曲げませんからねぇ(笑)』 △『言わせるまであきらめないタイプ?わぉ!?外見とは裏腹にけっこう強気だねぇwww』 △『花さんって、そっちの名前の方がかわいいのに』 △『だなwwもったいない』 恋『うちの自慢の参謀です!(ドヤ)』 駆『なんでそこで恋がドヤ顔するの?』 で、すっかりSIX GRAVITYと△△△さんたちが見守る中のにらめっこ。 いえいえ、オレがひたすらじーーーっと見つめていただけですが。あ、仲間たちも見てるね。 さぁ、あともう一息!! *『は・・・はな』 視線も合わないし、なんでか***の顔は真っ赤だし。 周囲からは大歓声が上がるしよくわからないけど。 *『こ、これでいいだろ!!もうあっちいけ!!』 真っ赤にして手をはらう***だったけど、そのあとも花って呼んでくれたから、どうやらオレは彼とのにらめっこ対決に勝利したらしい。 うん。やっぱり名前を呼んでもらえるのはいいね。 それだけで、不確かな自分の存在が確固たるものになるような気がする。当然気がするだけ、だけどね。 それでも名前一つで魂に新しい縁がつながった感覚は確かにする。 暖かい縁の力が、オレの欠けたもののかわりに、オレという存在をこの地にまた一つつなぎとめる楔となる。 字『ありがとう***』 たしかなつながりに嬉しくなって***の手を取って感謝を述べれば、***が悲鳴を上げ駆け出してしまった。 字『え?えぇぇ!?ちょ!?な、なんで?どっかいっちゃった・・・』 始『ふっ。相変わらずの春節には勝てなかったようだな』 新『どうやら援護射撃は必要なかったようで』 葵『えーっと、これは、いちおうよかったってことでいいのかな?(苦笑)』 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 『・・・わるかったな』 『かまわん。うちのバカが勝手に突っ走っていろいろやらかしただけだ』 『バカって・・・』 『今日は不問にしてやる。仲間を想うなら、なぜあんな奇行に走ったか知りたいところだが。もっと別のやり方があっただろうに』 『それは・・・』 『あのバカ曰く、お前は熱血らしいな』 『はぁ?!なんでそうるんだよ!?』 『“そういうこと”にしておけ。あまりに周りが見えなくなっていたあげく、怒りがたまり安直な結果に走ったお前が悪い』 『う・・・そうだけど』 『つぎはないからな』 『次なんかいらない!俺たちは実力であんたたちの前を走り続けるだけだ!!』 『はじめからそうしてればよかったものを』 『そ、それは!頭に血が上って・・・・・いや、本当にすまなかった』 『俺たちも十分教訓になった』 『それ、俺への嫌味だろ』 『ふっ。このくらいの嫌味ぐらいいいだろう?』 『あんた、けっこう・・・』 『周囲が言うほど。お前が嫉妬するぐらい俺ができた人間にみえているのならそれは幸いだが、俺もしょせん人間だ』 『そうだな』 『俺は少し焦りすぎたみたいだ』 『こちらからは、お前の仲間たちには何も言う気はない。ケジメは自分でつけるんだな』 『ああ』 『***』 『俺達はまだまだ進む。いつかお前たちさえも超えてみせるぞ』 『そう簡単には先輩の座は譲れないけどな!』 『昨日の敵は今日の友・・・か』 『本当にあいつのいうとおりってか』 『“あいつがそう言った”からには、こうなるのは予定調和だったのかもしれないな』 『・・・・・・なぁ、あいつって』 『ただの脳内お花畑だ』 『ははw・・本当に、名前の通りのやつだなwww』 『いいんだよ、あいつはあれで』 『まぁ、今回ので、あいつの花畑具合の酷さがよぉーくわかったが。 さすがにあいつの脳内花畑から花をつむなりして、少しばかり“かわってもらわないといけない点”はあるようだがな』 『・・・・今のあんた、すげぇあくどい顔してるぞ。笑顔がどす黒い・・・』 『なぁ』 『なんだ?』 『・・・その手、なに?なんでニギニギしてるんだよ!?こえぇよ!?』 『安心しろ。お前をしめようというんじゃない』 『しめっ!?』 『ただの準備運動だ。気にするな』 『気になるだろ!なにするきだよあんた』 『アイアンクローってしってるか?』 『!?』 『っと、いうわけでこれから少しばかり花を摘みに行ってくる(ニヤリ)』 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 恋『結局、***さんでしったけ?あのひと、なんで始さんに嫌味まがいのことしようとしてたんだろ?』 駆『まぁ、全部春さんにカンパされちゃってましたけどねー』 葵『だよね。あんなたことしたら、へたしたら大事になってたのに』 新『ばっかだなぁーお前ら。わかるだろ。なにせうちの始さんだぞ。始さんだからこそだろ』 始『俺だから?』 新『容姿端麗、文武両道、家柄もよい――しかもいっちゃぁなんですが、俺達けっこうぽっと出のくせに、なぜかありがたいことにもうそこそこ人気のアイドルですよ。最早嫉妬の対象でしかないでしょうに』 葵『嫉妬・・・』 駆『でもよくそんな人に春さん友達になろうってかけてきましたよね?』 字『え、だってイイコだってわかってたから』 恋『どの辺が?』 字『そんな嫌そうな顔しないの』 恋『でもー!あいつ飲み物に細工して!!』 字『うん、そうだね。嫉妬も強くあるだろうね。 たぶんだけど、ね。それを抜きしても勝ち取りたいものがあったんだよ。それはとっても大切なもので。 だから始をどんな手段で蹴落としてでも、それでもささげたい勝利が。 栄光、勝利――そういったものすべてをあげたい人がいたんだよ。 △△△という仲間たちに、もっと見せたい光景があの子には会ったんだと思うよ』 字『憧れ、希望、自分が土台になっても彼らを上へ。 きっと***にとっては彼らは光のようだったのかもしれないね』 葵『“たぶん”って春さんが言うってことは、それはいつもの“勘”ですか?』 字『うん、そうだね。決定打は彼の名前を聞いてからだけどね』 葵『なら、“そういうこと”にしてあげます。 今日だけですよ、春さんが勝手に無茶するのを許すのも。ああいう輩を許すのも』 字『うちの子たちは本当にいい子だなぁ〜』 恋『そもそも名前がなんでイイコにつながるのか。そこがわからない』 新『たしかに』 字『ふふ。それね』 字『あの子の名前をいじって、この単語を別の読み方をすると、同じオトで外国語で花をさすんだよ。 ほら、この花の名前になるでしょう。 実は、この花言葉ね――』 ―――――――――――――――その花の名は『友情』といった。 始『――あいつが仲間想いなのは分かった』 始『ところでだ』 字『うん?』 始『仲間想いじゃないうちの弥生春はどうしてくれようか。なぁ、はーな』 字『!?ちょ!その手は何かな!?仲間想いじゃないってなんのことかな!?オレはみんなが大好きで!あ!あだだだだぁぁぁぁぁ!!!!!』 始『仲間だとおもってるなら。俺らを頼れバカ』 葵『はっ!そうですよ花さん!倒れた時、俺達すっごい心配したんですからねっ!』 恋『うぅぅ!!ほんとそれ!!!』 駆『花さんが倒れたときびっくりしたよね。もうああいうのはいやです!花さん元気でいてください!』 新『そうですよーあれは本当に心臓悪い。あ、俺達の心配した分ももっとしめちゃってください始さん』 始『当然!』 字『いだだっだだだだだだだだ!!!!!しまってる!しまってるよぉ!!!!!ほんとうにしまって・・・・・・・・あ(ガク)・・・・』 始『ふむ。こんなもんだな』 新『灰になってますね花さん。よし、あとでみんなの元気をわけるべくヨシヨシしておこー。ヨシヨシ』 駆『うーん。これ、目、さましますかね?よしよしヾ(・ω・`)』 恋『俺も!元気パワーを!!!』 始『もっとやれ恋。そのアホ毛をストレートになるまで頑張れ』 葵『ちょ!?恋ぃ!?始さんまでぇ!?そんな高速で頭なでたら花さんのあたまがはげちゃうよ!!!摩擦で!・・・・えっと、俺も ヨシヨシ。 でも・・・・・・本当に心配したんですよ?』 新『花さん、気づきますかね?』 駆『グス・・・俺達すっごい心配したのに〜』 恋『・・・無事でよかったよなーほんと』 始『そのうちだな』 葵『でも“そのうち”なら、、俺待ってますよ。俺達の心配が早く花さんにも届くといいですよね』 恋『俺もまつー!というかもはや全力でアタックしてく所存です!』 駆『うん!待つより行こう!』 新『だな。花さん、にぶそうだし』 始『おまえら・・・・まぁ、こんなやつだがよろしくな』 恋『当然!』 駆『もちですよ!』 葵『はい!』 新『っというわけなので、そこで狸寝入りしてる花さん、覚悟してくださいね。俺達の愛は重いですよw』 字『ふふ。いーよ。オレも心配かけてごめんね』 始『俺達はまだまだこれからだろ?』 字『そうだね』 字『もっと先までいこう!』 そのときは、オレも一緒に 字『みんなで!!』 字『あ!忘れてた!!あの放送のときにオレが抜けたシーン流すならときは“春さんはトイレ渋滞にいってるよ!”ってかいてもらないと!!』 始『はぁ〜・・・・アホかお前は』 |