外伝 ・ も し も 話
[花悲壮] → ツキウタ



【SS-17】 フードファイト

<詳細設定>
【弥生字】
・本名《字》
・魔法のある世界の春成り代わり主
・三つ前の世界は【ナルト】、いのちゃんは嫁
・二つ前の前世【復活】より超直感引継ぎ
・一つ前の世界は【黒バヌ】の花宮成り代わり
・魔力豊富な世界で、生まれつき魔力0体質
・だれも本名を呼べないので、むかしは《花》と呼ばれていた
・芸名『春』
・前世から変わらず、見えてはいけないものが視える
・世界に嫌われてるのでよく死にかける
・始の魔力で生かされてる
・始は充電器か空気という認識
・ちょっとズレてる、天然ボケ
・最近ドジを踏んでいるところばかりある人たちにみられていて恥ずかしくて死にそうなキョウコノゴロ









『え?そのメンバーでいくんですか?』

字『うん。最近はいつもそうだね』
志『なにか、あるのか?』
朏『問題ないだろ』

『あ、えっと・・ちょっと予想外だったというか・・・』

志『そうか?』
字『そうなの?』
朏『俺に聞くな』


『つかぬことをお聞きしますが、どういったメンバーで?』

字『どうって』
志『見ての通りだろ』
朏『ただの――』







【好みが果てしなく会わないメンツだな】
 〜 side 春成り代わりな字 〜








オレ、弥生春。
篁志季、朏ユズルは、絶賛顔を突き合わせてにらみ合っている。
これは最近ではこれがオレたちの定番で、いたってオレたちは真剣である。

字『ふー・・・そろそろ決着をつけようか、うん(^v^)』
志『のぞむところだ』
朏『絶対!お前らの思うが儘にはさせねぇ』

字『じゃぁ、もう一度きくよ。だれか妥協できるひといる?オレは今日ばかりは譲らないよ』
志『ふ。俺の意志はかわらん』
朏『お前の意志なんか聞いてないんだよ篁ぁ。これは運だ』
志『負けない』
朏『俺もゆずれないんでな』

字『それじゃぁいくよ』

そうしてふるうは三つの拳。
大きく振りかぶって――



『『『じゃんけん』』』



『『『ぽん』』』



だされたのは――

オレがグー。
志季がパー。
ユズルがグー。

オレはじゃんけんに、負けたのだった。

志『ふ。勝った』
字『えぇー!また蕎麦ぁ!?やだよ!志季さんがいく場所いつも立ち食いなんだもん!そういう店ってオレには台が低すぎて食べづらいんだって!10cmの身長差ってすごく大きいんだよ。しかもうどんもない蕎麦限定しかない店ばっかじゃん!!たまには他のお店行こうよ!ね!ねぇ志季さん!』
朏『またかよ!おいこらぁ弥生!お前こういう時のそのみょうちきりんな勘だろ!なんで連続でまけてるんだよ!うどんならまだ許せた!!』
志『勝ったのは俺だ。今日は蕎麦だ』

優雅な立ち振る舞い、そして素敵な笑顔でさっそうとむかうは、いかにもなのれんが下がった蕎麦屋。

志『さぁいくぞ!(ホクホク)』
朏『あのやろういい笑顔で!(ギリギリぎり)』
字『・・・・また蕎麦。また・・・・たちくいそばかぁ〜っはは・・・ガックリ。あとで腰が痛くなりそ(涙)』

その日、オレとユズルの昼飯は、立ちぐい蕎麦となったのだった。



そもそもどうしてこんなメンツで出かけるようになったかというと、始まりはユズルと遊びに出かけた時お昼にそばを食べたくなったことが原因だ。
蕎麦なら、一番詳しいのは志季さんだ。っと、オレが「良い蕎麦屋はないかな?」と尋ねたところ、紹介してもらうどころかご本人が登場。そのまま志季というナビつきで案内され、昼飯を共にした。

蕎麦屋でいろいろ話が弾むと意気投合して、なぜかLINEまで交換して。

それからだ。
最近では、ご飯を食べに行くというと、たいがいこの三人が集まる。

だが、しかし。

字『うどん!』
朏『ラーメンだな』
志『蕎麦一択』

昼飯に食べたいものがいつも違う。
三人の意見が一致したのは初回の一回きりで、このメンツで何度顔を合わせても昼飯に関してはいつもあわないのだ。 飯といえば自然に集まるほどの仲なのにだ。
結果、三人で待ち合わせては、まず本日食べたいものの名称をあげ、そのあと譲り合いもないとわかると、次はじゃんけん勝負になる。そういう流れがもう出来上がっている。そんなレベルでオレたちはよくご飯を食べにいく。

だが志季は、蕎麦のためならとその運の良さをふんだんなく使ってくる。

結果、ここ数日、オレとユズルの昼飯は蕎麦だ。
もういい加減あきがきている。

字『もう立喰い蕎麦きついよー。カウンター低いよー(しくしく)』
朏『むしろオレは味に飽きた(ぐったり)』

志『マイ七味!これをかけると元気が出るぞ?』

朏『でるか。つか蕎麦は七味じゃない』
字『せめて椅子のある蕎麦屋にして!そうしたらすこしはましになるから!!』

志『そういなら、次から俺に勝つことだな』
字『おかしいな。オレの勘だと、今日はグーにビビッビ!ときたんだけどなー』
朏『それ、負ける方の、危険って警鐘間違いじゃ』

朏『この天然ボケと天然お花畑どもめ・・・』

志『だれかボケだと?なるほど春か』
字『え!?オレ、いつボケになったの?始にツッコミをいれるのはオレだよ!だからボケは始でしょ?』
朏『そういう謎の斜め上の思考にいくお前は変人だ、この花畑め』
志『春が花畑・・・では俺がボケだと?』
朏『芸能人がまったく変装も隠す気配もなく、マイ七味持って蕎麦屋にきている時点でアウトだ』
字『わーいてんぷら〜いただきまーす』
志『春だって同じだろうが。いまさら何を言ってるんだか』
朏『弥生は・・・・・洋服がまともなら。それ以上何も言う気はない。つか、ひとりさきに食うな』

志『そういえば春はこの前の昼飯の時はずいぶん愉快な服を着ていたな。いただきます』
字『ズルズルズル・・うーん蕎麦だ。え?なに?洋服?こないだのは始コーデ。今日のコーデは葵君です』
志『そうか』
朏『さすが皐月。さすが現役アイドル。センスいいな。だが睦月はダメだ(丼を持ち上げてスープをずずず)』
志『たしかに。この間の宇宙人もびっくりしそうなあれはやめたほうがいいぞ春。・・ここの蕎麦はうまいな』
朏『そうだな。美味いっちゃ美味いが、つゆが普通。よし、天ぷらでごまかそう。
弥生はさ、お前のセンスで服を選んできた場合、俺に近寄るなよ。というか睦月のいたずらに毎度ひかっかってそのままくるな・・・・うまいのは蕎麦、だけだな。あー・・飽きた。飽きた味だ。弥生、そのちくわのてんぷらくれ』
字『かぼちゃ半分頂戴ね』
朏『ん』
字『ありがとー』

志『今度天ぷらパーティーがしたいな』

朏『突然だな』

字『天ぷらっていったら塩だよね?』
朏『お前渋いな。俺はめんつゆ派。生姜とネギも頼むわー』
志『しち』
朏『言わせねー』
志『・・・春はツウな食べ方をするな』
字『抹茶塩とかいいよね』

志『パーティーをやろう』
字『天ぷら?』
志『もちろん蕎麦も用意する!流しそうめんならぬ流し蕎麦!このへんはきっと隼と始と翼が喜んで協力してくれるだろ。
天ぷらは里津花にたのもう。あわよくばメンバーは増やしたいな。もっと賑やかに!』
朏『相変わらず、篁ひでー。確実にパーティーやらせるきだ。お仲間さんに同情するわ。・・・・おい弥生、茄子の天ぷらこっちにいれただろ。何してくれてんだお前。俺の椎茸返せ』
字『あ、ばれたか。どうしてもその、茄子の食感がいやで・・・』

朏『篁は果てしなくマイペースだし。弥生は勝手にひとの天ぷら奪ってくし、おいてくし・・・はぁー・・・もうしょうがもわさびも飽きたなー。もういっそ今日は七味いれてやる。篁』
志『はいどうぞ!俺のマイ七味です(ドヤ)予備もしっかりあるので、たくさんかけて大丈夫ですよ(キラキラ)』
朏『最近の芸能人は売れると調味料までグッズとして売りだすのか。葉月のカレーといい、お前の七味といい。・・・・なぁ。お前らんとこの事務所ってどこにむかって突き進んでるんだ?』

字『・・・・茄子の天ぷらが倍になって戻ってきたorz』

字『あ、えっとそれでなんだって?天ぷらパーティー?』
志『グラビも参加しないか?』
朏『決定事項か・・・そうか、天ぷらパーティやるのは決定事項か。料理できる奴はこうして振り回されると。かわいそうにな・・・・なんだこの七味。絶妙だな』
志『そうでしょうそうでしょう!ふっ。なにせ俺が調合したからな』
字『天ぷらパーティーかー、いいね〜。あ!ならSOARAも呼ぼう!天ぷらといったら塩!塩といったら宗くんだよ!』
志『なるほど。それは名案だ。帰ったらさっそくきいてみるか』
朏『ごちそうさん。あ、俺は誘わないでくれてかまわないから。むしろ誘うな』
字『わかった。ユズはきのこもってきてね』
朏『なんでだよ』
志『朏さん、マイタケもお願いします(キリッ)』
朏『・・・・・・お前らなぁー・・・・・・・・・・あ、次ピザにしてくれんならいいぜ』

字志『『・・・・・・』』

志『そこはそこ』
字『これはこれってことで』

朏『こういう時ばっかお前ら気が合うな・・・ピザな(ニッコリ)』
字『チゲ鍋』
志『蕎麦』


朏『こうなったら、料理できる奴、全員買収する(真顔)』
志『それは困る』
朏『まずは弥生春、お前だ!』

字『ん?ちくわ?ちくわはもうないよ?』
朏『ちくわはもう俺の腹のなかだ。
チゲ鍋とパスタとうどん。その他イタリアン。スペイン料理でも、いくらでも付き合ってやるから、パーティのとき、皐月と睦月と長月、葉月をまるめこめ!次の飯は、ピザでいいよな?な?』
字『うん、今度はピザだね。わかったー。あ、鍋の時はもつもいれてね!キムチチゲにもつ!白菜もたっぷりいれてね!うん!パーティーにはプロセラもつれてけばいいんだね。了解』

志『あ。春が・・・朏さんなんて卑怯な』

朏『多数決により、明日はピザだ!・・・・・・・・・・・・始じめからこうしておけばよかったな』
字『その次はイタリアンか鍋だよ!お昼はさ、もうオレが作るよ。うん。はじめからこうすればよかったんだよね』

志『蕎麦・・・俺のorz』





* * * * *





朏『お前は人の話を聞いてなかったのか?』

志『ん?この服のどこに問題がある?春とはちがってましだろ』
朏『芸能人オーラ!!!隠せてないから!まったく隠せてないぞそれ!せめて帽子とかサングラスでごまかすとか!眼鏡とかしてこいよ!』
志『目は悪くないぞ?』

朏『こっちもかよ!お前ら二人とも芸能人だという自覚はないのかぁ!!!』

志『いままでこれで問題なかったんだ。気にするな』
字『芸能人?ああ、そういえばそうだったね〜。志季さん、スーツばっかしだと、 蕎麦のつゆがはねて汚れちゃうからってユズが心配してくれてるんだよ。やっぱりここはもうちょっとカジュアルな服にした方がよかったんじゃない?』
朏『その心配じゃない!芸能人が素顔さらして堂々としてるんじゃないって・・・・弥生、お前もまた残念なかっこで。で?その服は自分で選んだのか?いや、お前にしては若干センスがいい。別の誰かだな。だが、今日はお前は俺たちから5mは距離を置け』
志『大変だ春。グラビのロゴがないぞ』


またまたある日。
いつもの《飯行くぜ隊》三人がそろった日。

やってきた志季をみて、ユズルがげんなりとした顔をして、芸能人ならもう少し変装してこいと怒りはじめた。
そのあとにオレをみて、さらに大きなため息をつく。

なんでかな?


ちなみに本日の私服チェックの流れとなり、今は志季の視線もオレを上から下まで見つめている。
今日の衣装は涙っぽい感じになってるはずなんだけど。ユズルの感性てきには、だめなようだ。

志『白か』
字『うん?今日は灰色だよ?(こてん)』

朏『何か透視してはいけないものをみてしまったみたいに言うのやめろ篁。弥生は律義に答えんでいい』

志『いや、下着ではなく春の全体イメージを言っただけだ。白いなと』
朏『わかってるから真顔で平然と言い直すな』

朏『で?』
字『うん?』

朏『篁はもうしょうがないとして、お前はなんなの弥生?』
志『うさぎ・・・だな。さすがツキウタメンバー。これはいいな。カジュアルのなかにかわいらしさとグループのアピールがある!今度俺もリッズの』
朏『お前はまねしようとするな』

二人の視線と会話から、ようやく納得する。
今日の服装のことか。
やっぱりちょっとオレの服装もダメらしい。
本当にユズルの審査は厳しいなぁ。

字『あ、洋服かぁ。今回のコーディネイトは白年少組がやってくれました〜。シャツは涙が選んでくれたやつで、なかが濃い色ならって、 外は白だよねーってなって。郁がパーカーをかしてくれてね』

オレの今回の服は、白のズボンとシャツとパーカーってありふれたものだよ。
ただシャツはね、涙のものなんだ。
だから緑っぽいっていっても青に近い色合いで、涙がよく着てる服がダボッとした大き目のものでワンピースみたいにロングたけメインだから、春も着れると言われて、着せられた。 オレがまんま涙のそれを着ると、ワンピースみたいに見えたりお尻が隠れることはなくて、普通にTシャツぐらいの丈に見えてしまう。
だけどひらっとした裾の部分的に長かかったり、飾りがついていたりして、とってもおしゃれだ。
それを細めのベルト数本でとめている。ベルトは年少組がどこからか用意してきたものだ。
上にはパーカー。これはライブで使ったウサ耳パーカーを郁がかしてくれた。
ライブ仕様なので、しっかりロゴが【Procellarum】とはいっている。志季が言っていたロゴがグラビじゃないのは、プロセラのものだからだ。
最後に腰のベルトのところに、6月と10月のツキウサ人形を御守りとしてつけられた。
ツキウサには「お土産よろしく」という札がくっついていた。
お昼を食べに行くのに、お土産って。何を買えばいいのか困るよね。

そういえば持ってきた鞄もたまたま白だったなぁ。たしかに今日のオレ、白いね(笑)

あと涙が、つゆものを食べるとき邪魔になるだろうからって、ヘアピンをしてくれた。気づかいできる子って本当にいいよね。将来いいお嫁さんをもらえそうだ。
ユズルたちに言われるまで気づかなかったけど、どうやらそのピンは白いウサギのものと、花のついたピンだったらしい。

待ち合わせ場所までいくあいだに、首元がちょっとさむいなーとフードをかぶっていったら、「いい大人の男がウサ耳」とユズルにめちゃくちゃ渋い顔をされた。
そのまま頭をはたかれるようにフードをはがされる。
フードをはがされたら、ヘアピンが見えて。
それをみたユズルにさらゲンナリされた。

そこへ志季が到着して、上の問答となったわけだ。


さぁ、そんなわけでやってきました定番おなじみの三人で昼飯!のお時間です。

字『せーの!』


字『鍋』
朏『四川料理、四川料理、し・せ・ん・料・理』
志『蕎麦!』


一人、いつにもましてアピールしてくるひとがいるなぁ〜。
ん?と思って横をちらっと見たら、物凄く真剣な顔をしたユズルが、さっと懐から3枚の、チケットのような紙を取り出した。

字『そ、それは!!』
志『な、なんだと』


そこにかかれたものをみたら、もうその紙が神々しく思えてしまった。

なんて畏れ多く尊き存在だ。ああ、なんて眩しい紙だろうか!
いや、紙じゃない!あれこそまさに神だ!


朏『おまえら、当然――来るだろう?』


字『そうだよね〜鍋も四川料理も同じだよね!さぁいこう!!オレのお腹はもうぐーぐーいってるよ!』
志『さぁ、いくとするか。春、お前白い服は今日はまずかったのでは?借り物だろう?』
字『脱ぐからいい!』

さっと意見を変えたオレと志季に、ふところに“カミサマ”をしまいつつユズルがニヤリと笑った。

朏『そうだろうともそうだろうとも。さぁ、いくとするか』



朏『四川料理フルコース無料ご招待へ!』

志字『『おー!』』



朏さんがお仕事をともにした俳優さんからあまりものをもらったらしい。
なんてすばらしい。
断るなんてとんでもない!
せっかくの無料。
せっかくの!!!むりょーーーー!!!!

志季と一緒に、東京ラブジャンキーなんか一緒に口ずさみながら、思わずスッキプしそうなこころもちで、満足げにさっそうと進んでしまうユズルの後をついていったのだった。



食レポ?
そんなもの無理です。
ひたすらに、とてもおいしかったです。

字『今度、寮のみんなにも食べさせてあげたいなぁ』

よし。そのうち、四川料理も作れるようになろう。





―――そういえば。

作るといえば、志季が言っていた天ぷらパーティーだね。
いつやろうかな。

さすがに知り合い全員を集めることは、みんなそれぞれ活動しているわけだから難しいかな。
あ、でも宗くんには塩をもらいたい。
あと里津花さんには料理を手伝ってもらいたい。きっと具材の間にとても美味しそうな別の調味料やたれを用意してくれそう。
そうだ。あとで練り梅を使った垂を試作で作ってみようかな。よし。今日の夜ご飯は、オレが天ぷらつくろう。
あと、流しそうめんだっけ。あれはいやだな。あ、流しそうめんならぬ流し蕎麦か。って、よけい嫌だ。

字『むしろ流してる間に伸びるのは、いただけないかな』

志『どうした春?』
朏『嫌な予感』


字『蕎麦と天ぷらパーティーについて』


志『本当にやってくれるのか!?(キラキラ)』
朏『篁がこうなるとわかっていたから、その単語は聞きたくなかった。はぁ〜・・』
志『俺が腕によりをかけて蕎麦を打とう!』
字『え。“流し”はだめだよ。流し蕎麦なんかしたら、みんなの茶碗の中に到着するまえにのびちゃうし。とりそこなうとごみになっちゃうのは・・・食材は無駄にしたくないので却下ね』
志『普通に盛る!朏さん!マイタケの他に生姜もお願いします!たくさんすらねば』

朏『せっかくうまいもん食った後に・・・また蕎麦。蕎麦・・・・そしていつの間にか俺が参加者に加えられてる件について』


朏『俺はなんでこいつらと一緒に飯を食ってるんだ?』
字『えー。そんなもの一番最初のが原因だよね。ユズが旨い蕎麦屋を探してて、蕎麦屋に精通してる志季を紹介して、オレの気分があのとき蕎麦だったから?』
朏『・・・・お前に聞いた俺がばかだった。お前の勘を信用して呼んだのに。天然がもう一人付属してるなんて・・・・きいてない(がっくり)』








海『お。あれが噂の飯トリオか』
陽『あの店から出てきたみたいだけど・・・あの三人が入ったということは、四川料理店じゃなく、あの店ってああみえて蕎麦屋とか?』
夜『え』
隼『ふふ。それにしてもなんだか面白そうな話をしているねぇwww』


夜『あ!なんだか空気が不穏な感じに・・・何を話してるんでしょうか』
隼『ふむふむ。どうやら蕎麦とうどんとラーメンでどれがいいかって、言い争いが始まったようだよ』
陽『くだらない・・・つか、隼は地獄耳か!』
隼『さすがの僕だって、聴力も視力も普通の人間だよ陽!聞いたんじゃない。読んだんだよ!唇の動きをね』
陽『そっちの方がすげーよ』
海『まぁまぁwww お、あっち迎えが来たみたいだぞ』
夜『あ、里津花さん』

隼『( ,,`・ω・´)ンンン?こ、これは』
海『どうした隼?』

隼『彼はとてもすばらしいダークホースだねぇ』
陽『今度は何だよ』
隼『どの麺が好きかっていう争いに、彼は“ナポリタン”と言ったんだよ。それで三人は黙り込んでしまってね』

『『『・・・・・・』』』

陽『なぁ、それ、どうつっこめと?』
海『ほんとそれな〜』
夜『お、俺たちも思わず黙り込んじゃったよ』

隼『いちおうあの店、ちゃんとした四川料理の店みたいだよ?』

陽『あ、そうしめるんだ』





* * * * *
 




字『いーやーだぁ!!オサナイデクダサイ!!』

志『ふむ、なるほど。押してくれってことだな』
字『違うから!本当に押すなってことで!あ!ちょ!やめて!!やめろっ!!』
朏『言い出しっぺはお前だ!!ほら、いけ!すすめ!』
志『里津花が待ってる。早く!春、さめたらまずくなる!!』
朏『早くいけぇ!皐月に迷惑かけるんじゃねぇよ!!なんでこういうときばかり粘るんだお前は!』
字『無理無理無理!だめだって!みつかる!ばれる!目撃される!また壁に激突する!!』
志『しーお!しーお!しーお!』
朏『あんまりダダこねると蕎麦じゃなくてお前を湯の中に突き落として煮るぞ!』
字『どんだけ大きな鍋用意してるの!?』
志『安心しろ春。人が入れるような鍋はうちにはない。
それにしても、塩はちゃんともらえる手筈なのだろうな?』
字『も、もらえるはずだけど!その前にGrowthの子と遭遇したらオレは死んじゃうよ!?』
志『その辺はどうでもいいな。まずは塩だ。あわよくば普段では味わえないようなものを!(周囲に花)さぁ!早くもらいにいくぞ。ああ、きっと素晴らしく天ぷらには合うだろう』


それはQUELLの双子が、グリム童話をベースにしたミュージカル【グリム・ザ・ストーリーズ】に出演することが決まって、しばらくしたある日のこと。
練習にとマンションをでたところで、双子は不思議な組み合わせが、エントランスの手前でもめ(?)ているのを目撃した。

壁に張り付いて引きはがされまいと大きな身体をつっぱって必死な声をあげているのは、同じ芸能事務所先輩アイドル「SIX GRAVITY」の弥生春。
それを外から押し、エントランスのなかへ押し込もうと奮闘しているのは、舞台俳優として有名な朏ユズル。
二人のすぐ横で、真顔だがキラキラ輝くいききとした目で、謎の「塩コール」をしているのは、双子と住まいまで同じくする「Solids」篁志季だ。

異色の組み合わせにして、言っていることとやっていることがよくわからない現状に、久我一星と久我一流の双子たちは思わず足を止めた。

流『なにあれ?』
星『なんだろう?』

雰囲気が雰囲気だ。話しかけづらい。
声はかけるべきではない。
気づかれないようによけて隅をとおるのがベストだろうと、双子は視線だけで会話をすると、気配を消すようにして、そぉーっと3人の横を通り過ぎたのだった。

流星『『あ』』

エントランスをなんとかくぐりぬけ、花壇を通り過ぎ際――二人は、脇に隠れている人影――奥井翼と睦月始と視線が合ったが、「しー」「静かに」と言われたので、みなかったことをして素通りした。
だって、人気筆頭グループのリーダーにして、キングであり、イケメンでクールな人物として有名な睦月始が、いまにも吹き出しそうに口を押えて、茂みに隠れてるとか。だれでも見なかった振りをするというものだ。
あと組み合わせがコチラも謎だった。

双子たちはそのまま何も見ず、なにも語らずを決めて、さくさくとその場を後にした。



わきでそんなことがあったのも気づかず、蕎麦な三人はあいかわらず扉の所でギャーギャーともめている。
字春は相変わらず、Growthと遭遇しそう=ドジをしそうと連想ゲームをしたらしく、Growthがいそうな場所にはいきたくない!でも塩がほしいと!入り口に張り付いたまま。

朏『これでもだめだと・・・・よし、やれ篁』
志『了解です』

さっととりだしたるはスマフォ。それになにか打ち込みだしたところで、春の顔色が悪くなる。
彼もいい予感はしないのだろう。

字『・・・・・・な、なにを』
志『始を呼んだ』


始『実は背後にいた』
翼『翼君もいるよ〜www』

始翼『『おもしろそうな気配を感じて待機してました〜/していた』』

志季が通話ボタンを押すと同時にすぐそばでなったベル音。
それとともに現れた愉快なこと大好き同盟ズ。

もうこれは無理だと知り、かたまった春を――いい笑顔で始がかかえあげ、それによりようやくマンションのなかへ三人ははいれたのだった。



その後、途中の階でSOARAの神楽坂宗司に塩をもらいに行く際、案の定とばかりに、春はGrowthの四人と遭遇することとなった。
Growthの四人はたまたまエレベータに乗り込んできて、何とも言えない格好で運ばれていたところを目撃された春が顔を真っ赤にして悲鳴を上げたのは、いうまでもない。

それからSolidsのお部屋で、集まれる人間だけ集まっての天ぷら&蕎麦パーティがひらかれ、大賑わいだったとか。









字『おいしいんだけど・・・』
朏『もう蕎麦はあきた・・・(ソバずるる)』

葵『ふふ。でもあと数か月したら次は年越し蕎麦ですよ』

字朏『『年越しそばだろうが、もうみたくない』』

蕎麦をすすりながら遠い目をする二人がいたとか。いきいきと蕎麦をうち、蕎麦をゆでる志季がいたとか。それを爆笑しながらみつめる始と翼がいたとか。

朏『これにつきあったんだ。もう次からはいいかげん蕎麦はやめろよ篁』
志『ことわる!』
字『・・・・・・』

そうして続く、この三人謎の飯会であった。



始『嫌なら他のやつと食えばいいだろうに。うちの駆なんか喜んで食らいつくだろうに』
新『朏さん負けず嫌いですしーおすし。あ、お寿司食べたい』
翼『志季は皆で飯が楽しいだけだと思うぜ』

字『はっ!?おもいつかなかった!そっか他のメンバーといけばいいのか』

始『お前…気付くの鈍すぎ。
ところで春さんや、天ぷら蕎麦でオススメは?』
字『それならなんと〇〇駅近くのビルにーーー(: ゚д゚)ハッ!蕎麦情報が瞬時に』
始『ふぁーwwwwwwwwww』

里『なんか、うちの志季がごめんね(汗』
大『ふー』










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