【SS-12】 君のことを誰だれも知らなかった頃 |
→ 詳細設定 ※魔法のない世界(零の世界)…「カナ名称」 <霜月シュン> ・真名「神崎零」 ・魔法のない世界の隼成り代わり主 ・いったした世界:モノノ怪 > BLEACH > P4 >>… 黒バス > ツキウタ。 ・一つ前の世界は【黒バヌ】の火神成り代わり ・前世(火神)の影響を強く引き継いでおり、口調と体質、怖いものなどまんま火神のまま ・魔法?なにそれって感じで使えない ・犬嫌い ・怪奇現象を呼びやすい体質のため、イメージすると異世界へのゲート(inTV)を呼び出してしまう ・“あちら側”では【P4】の技を発動できる 【知らないなら知ってもらうだけ】 〜 シュンな零 世界 〜 ――四年前。 まだ自分たちは売り出し始めたばかりで、知られているのは歌と名前と外見だけ。 性格も趣味もなにもまだファンにもしられていなかった。 だから、当時彼らはひどく驚いたのだ。 Procellarumのリーダーの儚い容姿と、そのギャップの差に。 誰も思わなかった。 まさか、彼があんな・・・・ 「霜月くんは大食いらしいね」 それはとある番組でのこと。 本当になにげない会話。 司会者からしたら、冗談を聞くつもりの投げかけだったのだろう。 司「どんだけ食べれるの?」 零「そうですね。ステーキなら五キロ3段重ねとか…おにぎりだと20個当たり前だし。大食いチャレンジのところで食べきるとお店の方に挑戦一回きりねと毎回言われるパターンです」 キラリとさわやかな笑顔でシュンに返された言葉に、司会者たちの顔が笑顔で固まる。 もう一度訪ねても答えは同じ。 司「…情報以上の凄さだった」 それがはじまり。 あるとき、また別の番組でシュンとカイがゲストとして呼ばれた時のこと。 またシュンがどれだけ食べるのかという話題になり―― 同じように大量の量を告げたシュンに、「まってました」とばかりにニヤリと司会者が笑みを浮かべた。 司「ですよね!ですが!それはネタなんではないかと疑惑が持たれてます」 海「疑惑、っすか」 零「ぎわく?なんで?」 司「だってこのみためですよ!全国の女性のうらやましがるこの細いボディ!! ええ。この見た目で大食いなんて! なので見た目を利用したただのファンアピールではないかと。実際はちょっこと人より食べれるレベルでは!?―――っということで!! 本日はそれを証明してもらおうとこちらをご用意いたしました! シュンさんと特別ステージ!!アグレッシブバーガーさんの8キロ特大ハンバーガーに挑戦です!!」 司会者の一声で登場したのは、ガラガラと台車にのせられた食べ物。 そしてステージの真ん中には、ドン!とテーブルが用意される。 よくあるバラエティの1コーナー。 この番組は、アイドルの一面を引き出そうと無茶振りなことを入れてくるので、これもその一つだろう。 ゲストでカイとシュンが呼ばれていた。 だがどうやらターッゲトは外見だけなら儚く神秘的と話題なシュンひとりのようだ。 お笑い芸人のMCはシュンが写った食事のパネルとユーモラスある言葉でシュンの大食いが疑惑なんでないか?とさらに場を盛り上げる。 目の前のテーブルの上の大皿にどんどんバーガーがのせられてく。 ちなみに皿は二つあり、だれか挑戦してみないかと司会者が声をかければ、大食感で有名な芸人が名乗り出てさっさと座る。 「では!食べていただきましょう!!!」 MCが高らかに宣言するとジャジャーンというBGMとたもに運ばれてくるのは直径が規格外のハンバーガーとそれを添えるには尋常じゃないポテトの量。 MCを含めた周りはシュンの自己報告を聞いた後でも「完食したにしても。最後らへんは苦しさで必死になるはず!!」が大半の予想だった。 が、しかし 指名されたシュンはテンション隠せないまま、顔をしかめるどころかむしろ嬉しそうに、いそいそとハンバーガーが鎮座する席につく。 MCがこのハンバーガーの説明をしている間、それをニコニコして静聴している。 そして、合図が鳴ると同時に、横の芸人はガツガツきたならしくたべはじめ。 シュンはというと、それはもういい笑顔で、ソっと手を合わせて一言。 零「いただきます」 シュンの容姿の考慮なのか、ナイフとフォークが傍らに用意されている。だが彼はそれをあっさり素通りし、遠慮無くハンバーガーを手で掴み口を開けた。 1口食むと目をパアッと輝かせる。 零「美味いっ。このハンバーガーすごく美味しいですね!月並みの表現力ですがパテはジューシー。この分厚さでこの肉の旨味…どうやってタネを作って焼いてるか素で知りたいです。このチーズソースがピリッとしてるのがまた魅力ですね。うーん。ポテトもカリカリ~」 ハンバーガーを優雅かつ丁寧にシュンは食べ続ける。 その手や口は止まることは一切なく――― 「おかわり、貰えますか?」 とキラキラとした笑みで空になった皿を掲げ催促を告げたのだ。 * * * * * 陽「お、懐かしい。この番組3年前か」 今日はシュンもカイも仕事でいない。 年中年少組のみで夕飯を食べてまったりモードのときルイが、一本の動画を手にやってきた。 涙「これ、見つけた」 DVDディスクのタイトルにはプロセラ初期当時に出演した番組ーーーカイとシュンのやつである。皆でヨル特製のプリンをデザートで食べながら鑑賞会の流れになった。 涙「夕飯後に見てよかった、ね。あのハンバーガーの大きさを見ながらだと箸止まった」 郁「あの番組からシュンさんが大食い選手と負けず劣らずの食欲だって認知され始めたよな」 涙「あ、そういえばバスケで有名選手と張り合っていた番組も盛り上がったよね」 陽「あった。あった。解説者がバスケ専門用語言いまくるけどあの解説に理解出来たのってハルさんとハジメさんとイクくらいだったよな」 夜「ハルさんが俺達に噛み砕いて説明してくれていたもんね。精々、知っててもダンクシュートとかスリーポイントとか体育で習う程度くらいかな」 陽「だな。フリースローラインからのゴールとかあるのに衝撃的だったわ」 郁「それに皆、ポカーンとしてたし“天職間違ってる”とか騒がれたっけな」 涙「失礼しちゃうよね。シュンは僕達のリーダー以外認めないよ」 夜「ルイ、ほらほら頬をプクーと膨らませない膨らませない」 たった3年前が懐かしいことである。 デヴュー当初、まだだれもシュンが本物の胃袋ブラックホール人間だと知んなかった。 ただのイケメンアイドルだと誰もが思っていた時のこと。 あのバーガー事件以降、シュンのギャップが真実だと知れ渡ったのだ。 今となってはシュンの外見と中身のギャップにはみな慣れたものだ。 だが、当時は衝撃的だったんだと改めて思い直す。 あの時のリーダーは、無意識でも猫被っていたんだな〜。とか。Procellarumの仲間たちはその後言いたい放題に感想を言い合った。 結論。 涙「今も見てもあの量はみてるこっちが気持ち悪いよ」 プチ魔王が口を押えて、顔を青くした。 ----------------------- |