外伝 ・ も し も 話
[花悲壮] → ツキウタ



【SS-10】 解散!?いいえ海さんです(笑)

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※魔法の国(字の世界)…『漢字名称』


<弥生字>
・本名《字》
・魔法のある世界の春成り代わり主
・転生した世界:狩人 > 海賊 >>… 大神 >>… 銀魂 >>> 攻殻機動隊 > .hack >>…… 復活 >>… 黒バス > ツキウタ。
・二つ前の前世は【復活】超直感引継ぎ
・一つ前の世界は【黒バヌ】の花宮成り代わり
・魔力豊富な世界で、生まれつき魔力0体質
・だれも本名を呼べないので、むかしは《花》と呼ばれていた
・芸名「春」
・前世から変わらず、見えてはいけないものが視える
・世界に嫌われてるのでよく死にかける
・始の魔力で生かされてる
・始は充電器か空気という認識









【SIX GRAVITYが解散するって本当ですか?】
 〜 春字 世界 〜



※注意!
記者、報道陣の皆様へ作者は悪意はありません。話の都合上必要だっただけです。申し訳ありません!!
あと二人は結婚しない。別にホモはいない!!!

---------------










「SIX GRAVITYが解散するらしいよ」





海『おい!大変だ!!!外で変な噂が出回って・・・いる、んだが・・・』

社長からそういう噂が流れている。と聞かされ、慌てて寮へもどってきた海と隼が、グラビの共有ルームの扉を勢いよく開ける。

そこには見事に全員がそろっていて――
真ん中のミニテーブルの上には教科書や資料がちらばり恋と駆がうめきながら必死に筆記用具を動かしている。
ソファーには、葵と新が座っているが、二人の目は駆と恋のさらに向こう側にあるテレビに釘付けで、TVは今まさにドラマの殺人事件のがトリックを暴露しているまさに架橋。海の声も二人には聞こえていないようだ。
絨毯の敷かれた床には、恋たちのミニテーブルに手の届く位置に始がソファーの足部分を背もたれにして、新聞を読みながらポテチを食べている。
春は、その始の足をまくらに寝っ転がるように転がり、何語かわからない謎の言語の本を読みふけっている。

そこにあったのは、解散前のギスギスした仲間たちではなく、家族団らんのような光景。


始『春』
字『もう。おかわりぐらい自分でとってよね』
始『じゃぁ、お前どけ』
字『え、めんどくさいからやだ』

どこの熟年夫婦だといわんばかりのやり取りをして、春は本を閉じて手を伸ばすとミニテーブルのうえにあった菓子袋をとるとそれを始が食べつくして空になった皿に盛り、 寝転がったままの始のそばに置く。
そのまま春は本へ視線を戻すかとおもいきや、始をみてムッとしたような表情をうかべている。

字『始、衣装さん困らせない程度でやめなよ』
始『はいはい』
字『そう言ってまた食べてるしー』
始『追加を持ってきたのはお前だろ』
字『そうだけど。寝たまま食べるのはさすがにどうかなって。それに夜ご飯はいらなくても知らないよ。っというか、残したら怒るよ?』
始『ん』
字『ねーそのうち豚になるよ?オレ、脂ぎった始はやだな〜』

春がしつこいからか、始はこれが最後とばかりに大きめのポテチをバリバリと食べると、手を春の方へ突き出す。
春は呆れたようなため息をついたあと、ミニテーブルのふきんをとると、ヒラヒラと手を振る始の手を拭き、その手から皿を受け取って、残りの開封済みのポテチ袋をジプロックにいれる。

葵『うそ!?あの人が犯人じゃないの!?』
新『交換殺人に見せかけた自殺だとは、これは予想外』

始『水』
字『始ぇ〜、あんなしょっぱいものばかり食べてたら、そりゃぁ喉乾くでしょ。自分で最初に飲み物ぐらい用意しときなよね。
新たちもちょうどおわったみたいだし。よいっしょっと、そろそろ恋も駆も休憩しよっか。お茶でも入れてくるよ』
恋『春さぁ〜ん大好き!!』
駆『あ、なんかもう少しでとけそう・・・始さん始さん、この問題が解けません。もうギブです』
葵『あ、待って春さん。俺も手伝います』
字『ありがとう葵くん。今日は庭でとれたレモングラスでハーブティーにしようかと思ってね』
新『はるさーん!!俺、俺には冷蔵庫の中のイチゴ牛乳を!!おねっしゃす!!!』
葵『新はまたぁ?』
字『はいはい』
始『駆。お前使ってる公式が間違ってる。こっちだ』
駆『は!?とけたー!ありがとうございます始さん!』
恋『カケルンもうやめよう。もうこんな問題解けないよ。春さんだって休憩にしようって言ってくれたじゃん』
新『恋・・・お前、教えてくれてる始さんの目の前でそんなこと言うなんて・・・勇気あるな』
駆『恋!恋ってば!うしろ!うしろに始さんが!』
恋『ふぁ!?さ、さっきまでポテチ食べてた手でアイアンクローはやめて!!!』
始『手ならふいた。春が』
駆『え。そっちなの』
恋『ぎゃぁー!!頭がわれるぅぅぅぅぅ!!!いたたたたたた!!!』

字『あ、海と隼も座って待っててね。いま二人の分もお菓子用意するから』



海『おい、隼。あれはどこの熟年夫婦だ』
隼『うーむ。あの状態グラビをみて、家族団らんの何物でもないような。ねぇ、解散ってどこからでた話なんだろう?』





字『それで、どうしたの二人とも。二人が駆け込んでくるなんて珍しいね』
始『どうせデマに踊らされたんだろ』
字『ん〜それなら“グラビが解散する”とか、そのくらいのインパクトのある噂かな?そうじゃなきゃ、隼まで慌てたりしないもんね』

隼『春にはかなわないねぇ。そのとおり、次のとある週刊誌に“SIX GRAVITYが解散!”って記事が載るらしいよ。その話題で事務所は大騒ぎ。そんな話聞いてないけどなにかしらないかって、僕ら社長にまで呼ばれちゃって』

始『ほぉ〜ずいぶん面白いデマだな。なぁ、春』
字『オレじゃないよ』
始『わかってる。“やれる”な?って話だ』
字『ああ、そっち。デマを流したのがオレだと疑われてるのかと思っちゃった。
さすがのオレでも有益にならないことはしないからね。
う〜ん。報道を流した人を廃人にすればいいのかな?それともそいつの悪い情報を流せばいいのかな?(゜-゜)』
葵『発想が怖いです春さん』
新『というかできるのか』
恋『春さんの新たな一面が』
駆『廃人・・・春さん、なにする気だったんですか(汗)』


始『だいたいは把握した。
このなかで、最近事務所移転とか。独立するとか。そういう話題を持ち掛けられたやつはいるか?』

駆『ないない(首を横にふりふり)』
恋『おなじく(首を縦にぶんぶん)』
新『俺もーなし』
葵『そんな話ないですねぇ』

字『「移転」・・・そういえば』

始『なにか思い当ることがあるのか?』
字『うーん。みんなに直接的にかかわる話じゃないし。オレのことじゃないんだけどいいかな』
恋『さすが春さん!情報に関しては春さんがピカイチですね。今回の噂の原因に気づいたんですか?』
新『・・・・ここ数年の付き合いからの経験だけど。なんか・・・“情報を知ってる”っていう状況じゃなく、“春さん自身が原因”のような』
駆『そもそもこの噂ってどこから出たんだろ。いやな感じ〜』
葵『でも事務所移転って、ひとりで決めるようなことじゃないよね』

字『・・・この前のはなしだけど。スーパーの安売りがあって。ほら、定期購入で食材が届くようになってるけど、たまに他に違うものが食べたくなる時は買いに行かなきゃいけないじゃない』
葵『春さん、情報は情報でも、今はスーパーの特売りの情報はいりませんて!』
字『いやそうじゃなくて、その特売りとき、夜ご飯の献立を考えてたんだけど。
関係ないとは思うけど、そのとき「始が移転するよ」って言葉をきいたなっておもって・・・』
『『『はぁ!?』』』
始『俺?』
字『あ、やっぱりその様子だと始自身は一切知らなかったんだね。そのあとも世間でそういう話題が一切出ないから、錯覚かと思って聞き流してたんだ』
始『待て春。なにを、聞き逃した。って?』
字『誰かの戯言?』
『『『『・・・・・』』』』
始『はぁー・・なんでそれが戯言になんだよ』
字『でもしらないひとだったし。なにより―――』

字『“本当”って感じがまったくしなかったから。だから“戯言”』

駆『ヒェッ!?』
恋『でた。超直感』
新『春さんのなにがこわいって“それ”だよなー、うん』
葵『あはは(苦笑)』

始『で?きめては?』
字『オレの直感が、こいつにかかわるなと言った』
恋『ハイ、アウトー』
葵『あ、決定打ですよねそれ』

字『最初は「はじめってひと」の悪口を永遠とオレに言ってきたんだよその人。そのなかに「移転」がどうのって言葉もきいたような気がして。
横にいた。なんだかしらないひとが、突然「はじめくんは・・・」って悪口を言い始めた。“彼にとってのはじめ君”の悪口かなとおもってスルーしてた。 しばらく愚痴った後は、突然その“はじめ君”を持ち上げ始めたんだ。
そのあと「はじめ君もうちに移転する。それならどうだい?」って――話してたおぼえがあるよ。
「〜しない?」っていう疑問形でなく、事後報告の確認のような感じで。そもそも誰にその人が話しかけてたのかもいまいちわからなくて。 なぜって。そのひとは、突然俺の横に立って、そのまま正面を向いたまま話してたから。
一応、“はじめ”の名前を言ってたから、“うちの睦月始”に話しかける勇気のない人がかわりにオレに声をかけたのかなぁとも思ったよ。 いや、でもそれも違うよな〜って会話の流れから“別人のはじめ君”と判断した。
またはオレが始の相棒だって知らなくて、始の知名度をねたんでたまたま傍にいた人間に愚痴を吐き出したのかなぁって。――その程度しか思ってなかった。
そもそもそのひと、オレの方見てなかったんだよ。 本当のことを言うと、言ってる言葉の意味がよく分からなかったんだ。ついさっきまで悪口を言っていたのに、突然「はじめ君こそ最高だ!」とか言いはじめるし。なんだか支離滅裂で。私情が多くて。
あ、そういえば、始の名前はよく出てきたけど、オレは一回もその人に名前を呼ばれてないんだよ。
そのときは「あ、やっぱり別の人に声かけたんだな」って思ってた。
いや〜でもごめん。スーパーの安売りに間に合わなそうだからあわててて、ほらウチって大所帯でしょ。プロセラの子もふまえ、みんなよく食べるし。たまに飢えてるし。 一緒に作った方がいいってなると12人分。っと、黒田。すっごい買わなきゃいけないものが多くて。 あまりに手が足らなくて、そのみしらぬ人にとちゅうまで人参とお芋を持ってもらった気がする』

『『『それだ!!』』』

新『やっぱり春さんが原因だったか。なんかしでかしてると思ってました』

始『春。再現』
字『え。えーっと。
時計を見たらスーパーの特売時間まであと30分で、□〇TV局を出ようとしたんだ』



これならゆっくりいけばちょうどいいかなって。
たくさん人が出入りしていて、人込みを縫うのが大変だったよ〜。

そこでバス乗り場でぼ〜っとまっていたら、隣にいた人が突然「はじめ君って所詮親の権力を使ってると思うんだよね」と言ってきた。それが第一声。

まずこいつ誰に何を話してるんだろうと思った。
他にも列には人がいたし。オレは肩をつかまれたわけでもないし、名前を呼ばれたわけでもない。いかにも横に並んでます的な風を最後まで装っているから、相手はこっちをみもしない。

「あんな七光りの能無し奴のそばにいるなんて大変だろう?」「もっと目立ちたいと思わないか?」「はじめ君より私の方がお金をもっているよ」「あんなやつきにせず一人でも活躍できるようにしすぐにでもなる」「そうだはじめ君にはない華がある」「あいつはしょせん口先だけの音痴の口パクやろうだ」「はじめ君は権力で大学も入り、アイドルになったから・・・」「はじめ君は、私たち庶民なんてゴミくずか何かのように見てやしない」「あいつの隣にいるなんて重圧が酷いだろう?」「ここでくすぶってるようなことはさせない」「はじめ君は強欲で、傍若無人で我儘で・・・」
とかなんとか。
よくそれだけ悪口が思いつくなぁ〜ってぐらいに、“はじめ君”とやらの罵倒をしてた。
そのまま勝手にしゃべってるから、放置した。

あと、うちの始も自分でお手拭きもとらないぐらい傍若無人で我儘だなぁ。“はじめ”って名前の人はみんなそうなのかなぁ〜とそこだけ納得した。
それとゴミくず発言。あれが誰が誰に向けた考えなのかは、名称がなかったからそいつの発言からは理解できなかったけど、正確にはする気もなかっただけなんだけど。ふと、オレも考えたんだよね。オレが、始をどう思ってるかって。
オレなんか始のこと空気扱いしていて、いないものも同然に扱ってたな〜って思うと、ゴミくずよりもっとひどいこと考えてたって、ちょっと反省した。

ここまででオレの名前を一切言われてない。睦月の名前も出てない。
なら相手が言ってるのは俺には関係ない。始って人も別人と判断した。

相手は帽子を深くかぶっていて、しかもオレじゃなくて正面を向いてずっとボソボソ言ってるから。独り言がはげしいひとだなぁって。――そう思うことにしたんだ。

時計を見たら特売時間まであと10分になっていた。 そういえばバス停までいくのにも10分の時間がかかってるし、ついさっきバスがでてしまったばかりだから、これはあと数十分待つなと思った。

ちなみにそいつの背後にいた女子高生の鞄に、紫のツキウサがついていてね。
「あ、この独り言のおじさん、彼女に刺されるんじゃないかな」って。下手するとさっきまでのおじさんの会話は“睦月始批判”にもとれたからね。おじさんの夜道の心配しちゃった。だって彼女、凄い形相だったもの。
おじさんはいまだに自分がいかに正しく素晴らしいかとアピールしつつ、“はじめ君”の悪口やひとりごとのようにブツブツと言っていて、背後の女子高生のことも気づいてないみたいだった。

あまりにおじさんが夢中で正面の空間に向かって語り掛けてるし、オレが横から移動しようが気にもしてなかったから移動したんだ。
その間にオレは彼女を説得しに行くことにしたんだよ。 正確には謝罪したよね。 「あれは睦月始のことじゃないから大丈夫だよ」「始のファンでいてくれてありがとう。でもそんな怖い顔しちゃせっかくの可愛い顔が台無しだよ」と般若の形相だった彼女の頭をなでて、なんとか怒りを収めてもらった。
うんうん。かわい子には犯罪者にはなってほしくないし当然だよね。
「は、春さん!?」「あの!私、始さんだけじゃなく春さんのことも大好きです!!!」と彼女に言われたので、もちろんお礼を言っておいたよ。「オレも好きなものを大好きって笑える君が好きだよ」って。

で、そのときもう一度時計見て、めっちゃ焦った。
だって特売時間まであと5分を切ってたから。



字『――その後、彼女にはお詫びを兼ねてサインを送りました。始の!あと寝起き写真もつけておいた。もちろん始のだよ(ニッコリ)』

『『『・・・・・・』』』

新『たらしだ』
恋『たらしがいるよ』
葵『どの辺が謝罪とお礼!?ちがう!違います春さん!それは口説いてるっていうんですぅ〜!!』
新『その彼女さんにナム〜』
隼『ふふ。流血事件のにおいがするよ(笑)僕なら死ねる(ドヤ)』

駆『というか、そのおじさんってひと・・俺の勘違いじゃなかったら、始さんをけなすことで春さんによくみせようという魂胆が見えるというか』
海『あれだな。春を極秘裏に勧誘してるように見えるっちゃ見えるな』
字『え、空中に話かけてたのに?』
葵『う、うーん(苦笑)』
新『そのおっさん、凄い自意識過剰ぉー』
駆『いやな奴で十分すよそいつ!始さんに酷いこと!そんな奴無視して正解です!』
恋『そうだそうだ!』


字『話つづけるよ〜。ここから特売に話は続いていて』



オレが女子高生のもとにいっていたのもおじさんは気づいてなかったんだよね。

「・・・というわけではじめ君を筆頭に僕のところには素晴らし人材が集まるんだ。僕のところにきたら君を一番にしてみせるよ。君を誰より優遇しよう。だから君もうちにくるよね?」
「あ、まずい!タイムセールはじまっちゃう!!ここからだともうバスじゃまにあわない!?スーパーまで20分。あ、でも車を使えば少しは短く・・・タクシーをよぶしかないか。いや待てよ、たしか海が子の近くまできてたはず。海を呼んだ方が早い、かも?えーっと海の予定は」
「それなら僕が送ってあげるよ」
「え!ほんとですか!!」



字『そのときは本当にあせてったたんだ』

なにせ業務用スーパーまでは、車でも10分はかかるからね。
っで、とにかくしらないそのおじさんをせかして、運んでもらって、「僕も手伝うよ」といわれて。
ああ、でもそんなゆとりはそのときのオレにはなくて、スーパーへの道順をナビすることで精いっぱいだったよね。
でもスーパーについたらもうタイムセールは始まっていて、もう客の争奪戦が酷くて、残りわずかの秒読みカウントダウンってところまできてて、手伝うって言ったからにはしらないおじさんでも使うよね。あわてて買う物をつたえて列に並んでもらうよね。
っで、大量に戦利品ゲットして、レジで会計して、お芋と人参をうけとって。
「通りすがりの知らない人なのに送ってくれてありがとうございました」って、スーパーの前でお別れした。

今、ふと思ったんだけど、近くの駐車場に車を止めていたのに、なぜあのおじさんはバス停に並んでいたんだろうね。



字『まぁ、そんなわけで帰りは両手がふさがってたし、そこからは海を呼んだよ』
海『あの大荷物の時の“しらないイイヒト”か!』
字『それそれ。そういえば別人とはいえ“はじめ”って名前がでていたな〜と、今思い出した。
あれって、やっぱりオレに話かかけてたんだね。視線が全く合わず一人でしゃべってるから、絶対妄想と会話してる変な人だと思っていた。
というか、あの人、本当はオレのこと知らないんじゃない?名前、一回も呼ばれてないし、名乗られてもいないよ?』

始『その様子だとお前が“自分を知ってること”を前提で話していたようだな。だからそのおじさんとやらも名乗ることもしなかったんだろうな』
葵『なんというか・・・』
新『春さんらしいといえばらしい』
海『名乗らず、ただ買い物に付き合ってくれたっていうし、本当にとおりすがりの“いいひと”かと。
あー・・・なんだ。
あれは春に完全スルーされた勧誘で、いい人でもなければただ名乗り忘れただけの・・・残念なやつ。だったわけか』
隼『春の名前に関しては、本当に呼べなかっただけかもしれないけどねぇ。呪いのせいで』
駆『春さぁ〜ん。そんなに。そんなに俺たちのことを考えてくれたなんて!』
字『あ、このスイートポテトはそのときの戦利品で、訳アリ品でなんと20本で400円でした』
葵『20!?え?いったい春さんどれだけ買ったんですか』
恋『うま』
字『段ボール箱1箱だよ〜』
始『はぁー・・・っで、その芋と人参のやつはだれだ?』

字『しらないけど?』

隼『〇〇事務所だよ』
海『もとは春が〇〇事務所に移動になるから、グラビが解散になる・・・っていう噂だからな』
始『そこを先に言え』
海『わりーわりー』

字『へぇ〜そうなんだ。寮を追い出されたらちょっと困るから、オレ、ツキプロから動く気ないのにね』
始『俺がいるからか?』
字『そう。あんまり始と離れたくないんだぁ、オレ。理由は分かると思うけど。 ロジャーさんを始の手元に置いておいてもらえれば世界のどこまで行っても魔力は供給されるんだけど。やっぱりちょっと怖いし。できれば傍にいたいんだよね』

海『なぁ、それってさ、始、結婚できんの?』
隼『おやおや、春にちゃんとお嫁さん紹介するんだよ始』
字『どうして?始、結婚できないの?』
始『俺をみるな春』

海『いや、春と始ってワンセットすぎて、だな。あとお前らなんか距離感近いし。お前らの間にわってはいるような女子がいるのだろうかと・・・』

字『だって始は空気なんだよ』
始『確かにゴミくずより存在感がないな。俺的にはお前よりもう少しましだ。俺からしたら、春は充電器。お前はおもちゃ。どうだ、ゴミくずよりましだろ』

恋『存在感比べwwwwどんな基準ですかそれwww』

海『いや・・・お前らの認識は。うーん』
隼『海、あきらめなよ』

字『オレの許可なく、ここを出ていってもいいんだからね始。ロジャーさんだけ連れてってくれれば!』
隼『まぁ、命かかってるもんね春の場合は(笑)』
始『そもそも結婚なんて、したければ俺は勝手にするぞ。なんで春の許可がいるんだよ』
字『え。始、結婚するの?始が好きな人できたら、生暖かく見送るよ。見守る気はないけど。見送ってあげる。笑いすぎて破談にならないことを祈ってる。うん。切実に』
始『うっさい春。あとなんで海が春をくっつけたがるのかわからんが、俺の理想としては、こんな筋張った固いやつより、柔らかい・・・』
字『オレは芯のしっかりした子が好きだなぁ〜。それでき』
始『おまえののろけはいいんだよ。俺はそういうんじゃなくてだな。もっとこう』

葵『あの。恋愛話で話がずれてるんですが。いや、本当にお二人の好みの子とか、のろけってなに!?とか、春さん好きな人いたの!?とか・・・本当はすごい気になるですけど。・・・その、解散の噂ってどうするんですか?』


海『もういっそ、そこのお前ら二人付き合ってることにしちまえよー』


始字『『は?』』

海『恋人同士なんで引き離すなんてありえないって、移転なしのいいわけになるんじゃないか。二人がカップルだってほうが解散ネタよりすっごい週刊誌も食らいつくだろうし。そうしたら解散ネタなんかあっという間になくなりそうだし。
そもそもそんなこと言わなくてもお前らもう熟年夫婦だろ!!逆に違うというならその証拠を見せろと言いたいわ!』

恋『珍しく陽じゃなく海さんがツッコミしてる』
隼『わお。すっごい強引だけど、理にかなってるね〜。見事に一瞬で全部解決しちゃいそうwww』
始『はぁ?なんでそうなるんだよ』
字『あ、オレ始とキスできるよ〜。キスとかふつうにあいさつでしょ?よくやってるよね、みんなにオレ。イタリアとかほっぺすりすりが挨拶だよ?』
始『それを日本でやるなと何度言ったらわかるんだお前は。キスは日本では好きな人にだけだ。俺としてみろ。好きな奴と結婚できなくなるぞ』
字『えー。オレ、好きな子以外と結婚したくなーい』
隼『春はいろいろ飛躍しすぎ。でも二人が恋人でした。っていうのをしばらく隠れ蓑にしておけば、二人は本当に好きな子とも陰でこそこそあってあわよくばおつきあい、結婚までできちゃいそうだよね。
全部終わったころに、じつはつきあってたのはカモフラージュでした!っていって、実はちゃんとした彼女ともう結婚までしてましたwwwって公表すれば』
字『まぁ、一番の解決かもしれないけどねー』
始『断る。俺が楽しい要素がない』
字『だよね。・・・それに勘違いがそのまま周囲に定着してる可能性もあるよ。へたすると本物のお嫁さんの方が、カモフラージュって思われるかも』

字『っていうかさ、駆たちがよく始をエロイとか色気があるって言ってるんだけど、そんな人がホモだとわかったら。男のひとに始、襲われちゃわない?まずいよねそれ。オレ?オレは薬効かないしー。気配が近づいてきたら投げ飛ばすことにするよ。っていうか、始のどこがエロイの?』
始『やっぱり却下。ありえない!!まじふざけんな春!お前の想像がきもいんだよ!!!』
字『最近の現代のひとってよくわかんないよー。エロイっていうのは始みたいなのをいわないで・・・・・・・・・・・ん?なんだろう?・・・そういえばオレ、誰かをエロイなぁとか、色気があるなぁとか思ったことないかも。かわいいって感覚はわかるけど。
長く生きすぎちゃったかなぁ。
ねぇ、エロイってなに?髪の毛の艶がきれいな人のこと?』
隼『あー・・・・そうだったねぇ。春の中身はとっても仙人だっけ』
葵『すみません!うちの春さん、なぜか髪の毛に異様な執着心があって・・・(遠い目)』
海『そのーなんだ。春、おまえさ、エロ本とか、R18ってかかれたもんみてどう思う?たとえば胸が大きい女の子とか!裸の子とか、こう!なんか思わないか?』

字『ん?女性の胸を凝視するのは反則だって誰かが言ってたよ。誰だっけ?
あと、基本的にDより胸が大きい人だと、心臓を一突きにされても脂肪のおかげで一命を取り留めそうだな〜ってちょっと思ってる。
いたんだよね〜遠い知り合いに。胸を刺されたのに脂肪のおかげで助かったピッチピッチの肌したおばあちゃんが。
裸?裸のままだと風邪ひいちゃうよ?人間は動物と違って皮膚を守るものがないんだから、なにか着ないと。
オレ、風邪とかひかないし、病気しないから何とも言えないけど。でも冷え性だから寒いのはよくわかってるつもり。寒いと普通は風邪ひくんでしょ?あとウィルスが強さを増したりするよね。あったかくして、過失を忘れずにね。ちゃんと身だしなみは整えないと。
・・・・あ!思ったんだけど、オレって医者にはなれなさそうだね。人の感覚わかんないところ結構あるし。ウィルスきかないしー。いや、医者になろうとか思ってないけどね!』






駆『やっぱりずれてる。会話の流れも。春さん自身も!!急募軌道修正求むぅ!!!』
恋『ひゃ、ひゃー・・・・お、おれはついてけませんよ///ついてってないですよ!なにも聞こえなーい!!!(/ω\)』
葵『下ネタなのいまの?それとも春さんがおかしいって話なの?』
新『この会話の流れからして、春さんからみた女性の胸とは、ただの胸筋ってことがよくわかった』






字『ところで噂って75日っていうけど、たぶん芸能界においてはその法則は効果ないよね。いつまでもひきずるのが芸能界だと思うし。今後の対応次第でいろいろ後にも影響出ちゃうと思うけど。どうする?』

『『『春(お前)が元凶だよ!!!』』』




真面目な顔をして聞けば、全員に突っ込まれ、春はきょとんするが、しばらくパチパチと瞬きを繰り返したら、納得したように頷きつつポンと掌をたたく。

字『じゃぁ、責任とって、オレが処理はすればいいね』

海『するんかいっ!』
隼『むしろできるんだ(遠い目)』

字『えーっと、あとで社長に連絡するけど。
これからバカげた会見とか受け付けないように言わないと。あ、月城さんが大変そうだなぁ。まぁ、いっか。
あとは、噂が出回ると「やめないで!」ってファンがCDの爆買いを始めかねないから、そのときはみんなに 「そんなことをしなくてもやめません!」 「こんな解散宣言をネタに売り上げを増やそうなんてこと思っていない」「俺たちは実力で売り上げを伸ばします」ぐらいは宣言してもらおうかなぁ』

始『春、何を考えてるんだお前?』
隼『いいのかい?会見拒否ってことは、噂を肯定するようなものじゃ』

字『肯定はしない。仕掛け人にそのまま返すよ』

春は不安そうな表情の仲間たちを見まわし、全員の視線が自分に向いているのを見て、彼らの緊張をほぐすように表情を崩す。

字『協力してねみんな』

しかりと頷く仲間たちに、春は「ありがとう」と笑うと、さっそくとばかりに、数回電話を掛けると今後の支持をテキパキと行う。

電話を終えると、自分に向けられた硬い表情の仲間たちに、春は「大丈夫だよ」と柔らかく告げる。
春の様子をかたずをのんでみまもっていた仲間たちに、次の行動を支持する。
その表情はなんだかピクニックに行こうとでも言わんばかりに、いつも通りである。

字『あとは“そういう話題”を番組内でふられたら、みんな真顔じゃなくて、笑って。くすぐったそうに、いつもみたいに笑うのでもあり。始くらい爆笑してもいいから』
葵『爆笑って、どういことです?』

字『ふふ、困ったことに、報道陣の勢いって本当にすごいからね(苦笑)。
でもね、今回はその勢いにおされた方が負けなんだ。だからかわりに笑い飛ばしてやろうかと思ってね』


字『だから会見だけはひらいちゃだめ』

新『会見?』
字『他にもあるよ』

硬い表情はだめ。

字『ほら新〜笑って。そうそうそんな感じ』
葵『いや春さん、新笑ってませんよそれ』
新『いちおう口端は動いたはず(キリッ)』

字『そうそうその調子だよみんな。
笑っていこう』


オレたちは認めはしない。
報道陣の質問に対して怖いことはない。だって嘘は何一つ言ってないんだから。
嘘をついてるのは向こう。それでこっちが責められるのはおかしいよね?

始『ふっ、ずいぶんと簡単に言ってくれるな春』
字『ふふ。だってね、オレは怒ってるんですよ王様。大切な仲間を不安にさせてるんだもん。・・ん?原因はオレか。まぁ、そこはごめんねみんな』

なので意表をつこう。

字『始も、ほら笑って。楽しいことを思い出して、笑って。
報道陣の質問に「そんな事実ありません!」「事務所をとおしてください」「ノーコメント」とかも、しちゃだめだよ。
解散しないことが真実だとしても、「そんなはずありません!!」みたいに、全力で噂を否定しちゃダメ』


強く言うと、人の印象にすごく強く残る。
大々的に今広まってる言葉を否定することは、まるで真実を隠してるように、ひとによってはみえる。
固い言葉、硬い表情は、不安を押し隠しているように見えてしまう。

そうすると周囲の人は、「火のないところに煙は立たない」って思う。


字『君たちが否定すればするほど、不安を見せれば見せるほど――SIX GRAVITYの中でも、思い当ることがあるんだ。
って、勝手に思い込んじゃう。
それは世間の皆様にどんどん波紋となって広がって、噂は一人で歩き出す。彼らは仲が良くない、仲間割れをしている。だれだれは我が強いから、いい気になって事務所移転をして独立したがってる。〜なぁんて、オレ以外もターゲットにされかねないからね。
だから、この噂を否定するときは、冗談を流すように・・・・笑って』

本当は重く取らなきゃいけないことだけど、それは噂が終息した後にみんなで反省会をしよう。

字『だけど今は、できるだけ人の印象に残らないようにしたい。
そのために今回のことを重くとっちゃだめだ。
プロセラの子たちもきかれるとおもうけど、そのときは「え。そうなんですかーしりませんでした」とか「ないでしょあんなに仲いいのにwww」って笑って、そのまま司会者の興味を本来の番組の内容にそらさせるようにして。たとえば「それよりいいんですか?番組の趣旨は〇〇でしょうに」みたいな?
とにかく噂の話は軽く流すようにして』


春は今にも泣きそうな恋に手を伸ばすと、その頬をむにむにとつまんで微笑む。
その頬を両手でつかんだまま、春はコツンと恋と額をあわせる。

字『笑って恋。だいじょーぶ。“なにもなかった”んだよ。オレたちはまだ先に進むんだから』

ふふと笑うと春は恋から手を放し、もう一度周囲を見渡す。
なかには涙ぐんでいる者もいる。
そんな彼らに涙をふかせ、春はこどもたちをいたわるよにやさしく目を細め、本当にいつもと同じように、楽しいことを話すように笑う。
そのふんわりとした春の陽だまりのような暖かな笑顔に、不安を顔に浮かべていた仲間たちもつられて笑う。

字『むしろ笑いのネタとして「解散をネタに売り上げ伸びちゃいそうですね。これはラッキー?」ぐらいふってしまってもいい。売上のためにツキプロが誤報を流した――なんて方向にも向かないように“オレ”がする』

みんなが不安にならないように。
不安の種は己が引き受けよう。
責任は発案者である己がとる。
上の立場の者としてきっちりと責任を取るから、下は自由に動いていい。

君たちが、そしてツキプロに迷惑が掛からないように。みんながこの先も進んでいけるように――


春は年長組。支ええる側だ。
その役目を全うしようとしている。

字『メディアの前で話してほしいのは、日常!
オレたちの普段の日常を存分に語って、周囲に自慢してきてください。
グラビのこたちは特に日常のことをそのまま話していいからね。
「始さんに勉強見てもらったばかりですよ〜」とか「始さんがポテチ食べた手で頭を撫でるんです」でもあり。
「春さんなんか始さんを枕にして本読んでましたよー」とか「春さんが昨日お菓子つくってくれたんです!おいしかったですよ」
でもよし。
噂をおおげさに否定せず、ただ本当に日常のことを言ってくれればいい。
ひとからみてもオレたちはたぶん仲良しだ。
そうでしょ海、隼?』

隼『だね。どこからどうみてもただの家族だよ』
海『だな』

字『その“見え方”を利用させてもらう。この寮にいる人以外にも、オレたちの日々の暮らしを知ってもらえば、不仲だとは絶対に思わないでしょ。
なおかつ始とオレが普段と同じようなテンポで話ているところを視聴者が見れば、逆に「解散って本当なの?」って思い始める。まぁ、その辺は“他”にも手はうたせてもらうけど。
オレの移動話が原因ってことみたいだから。オレにまったく移動の気配がなければ、周囲は“そう”思わざるを得ない』

いい案でしょと笑う春はとても穏やかで、仲間に向ける表情は、お茶会をしているときとかわらない。
けれど――

字『相手だって火のないところに煙を立ててるんだから、こっちだって“そう”みえないのなら、“そう”みえるようにするだけだよ』

笑っているのに、その目じたいは笑っていない。


字『みんなも協力してね。っと、いっても、いつもみたいに普通にしていればいい。噂は気にしなくていい。
たぶんしつこいぐらい報道陣から質問があるかもしれないし、今にも外は囲まれているかもしれない。だけど1日目はしらなかったで通して。
そのあとは、もうふっきれちゃっていいよ。
いつもみたいに行動しろっていうのは無理かもしれない。気にするなっていうのは無理かもしれない。
でもできるだけ“普通”でいて。
噂に対しては、笑って流す。
あとは、かわりにオレたちの日常のことを好きに暴露しちゃっていい。
言えなかった暮らしぶりを話せるいい機会だと思って。ここはぶっちゃけ楽しんでくれていいよ。報道陣を逆に手玉に取るぐらいのつもりでもいい』

字『できないことはオレがカバーする。
フハッ。良い時代に生まれたよねオレたち。“情報戦”なら、(目をうっそり細めて)まけるきはしないねぇ』



字『できるだけ世間の人たちが軽いジョーダンでもきいたようにしてみせる。
噂を75日より前に完全消滅させるから』(柔らかく)




笑っていて―――。





 









隼『こわいねぇ。あは、本当にこわいなぁ〜春はww』

海『隼?』
隼『春、いや・・・《字》を敵に回すのはとても怖いよ。海も敵にならないようにきをつけてね』
海『どういうことだ?
つか、今誰を敵に回すって言ったんだ隼?』

隼『ふふ。やっぱり君も“聞こえない”か。こればかりはしょうがないねぇ』


隼『ねぇ、海。情報戦って軽く言うけどね、ここは物語の世界じゃないんだ。現実だよ。ハッキングとか一般人ができるわけないよね。
なら、どこから情報の操作を行うかってことだけど。
春もたぶんツイッターやホームページとか・・・まぁ、あの子なら“他”のメディアからも介入するかもね。
春がいう今回の作戦は、噂や人の感情の誘導を行うのを中心とした心理戦。
いまだって、あの子は僕らの感情を前向きな方へ動かした。その言葉一つで。
だけどね。春はほわほわしてるし、子供が大好きだし、痛いのも誰かが死ぬのも嫌いで、虫も殺さないような顔をしてるけど。あれは、不要なものをあっさり“切り捨てられる”。自分の懐に入れたもの以外に興味がないんだ。
だから、世が世であったなら、きっと殺しもいとわない。そんな子だよ。
だから怖いんだよ』
海『おい隼。それは・・・』
隼『大丈夫。春は、ぶをわきまえてる。世界のルールの上に彼はちゃんと立ってる。殺人事件とかはおきないよ』
海『そ、そうか。それで?いったい春が何だっていうんだ』

隼『こわい。って話かな』

隼『《字》は僕らとは違うんだと思う。
本当の孤独を知る魂は・・彼は、僕らと違うものをみてきたはずだから。“知っている”ことは、きっと“僕ら”よりはるかに多い。
たかだか数千ちょいを生きただけの文明しか持たない人類が、かなうはずもない。
たとえば“未来”の知識を持ってこられたら、僕らにはなすすべもないよ海。
今回のでそれがよくわかったよ。
彼の行うこと。
その心理も。その戦い方も。
見てるだけでゾクリとしたよね』


隼『ふふ。こわいこわいwww』


だって考えてもごらんよ。




隼『逃げもせず、隠れもせず、反抗も抵抗もせず、ただいつもどおりに笑っていろ。そんな作戦想像できるかい?』





 


* * * * *





 


「ねぇ、知ってる?グラビが解散になるんだって」

「ああ、あの噂」

「それよりあの番組みた?」
「みたみた!春と始が“ラキバ”してたよ!」
「“ラキバ”ねwww面白いよねあれ。プロセラとグラビではやってるラッキー月さんにだきついて、幸運をわけてもらうってやつwww」
「絶対あれの起源って、カケルンだよねwww」
「うんうん。不運だしね」
「どう考えても解散とか有り得ないよね」
「仲良しじゃん。どこから解散って話でたんだろうね」
「昨日の番組では、アンラッキー月の始以外のメンバーもうずうずしてて、そのままみんなが一列に並んで春にハグしてもらうのまってたの。かわいかったよ!」
「年長組もノリがいいよね。列の中にちゃっかり隼と海もいたよ」

「海っていえば・・・」





とある報道機関にて。

「日本語って難しいなーとつくづく思うわ」
「総理大臣とかの一言も。失言ってとられてめっちゃ言われるもんなー。俺もきをつけよ」
「だよなー。“今回の”とか酷いもんな」
「だな」
「俺、この仕事好きでやってるからさ。やっぱ一番のネタって芸能人じゃん?そうなると強引にいったり、はりついてないと話題とれないだろ」
「まぁ、そうだな」
「捏造なんてありきたりだけど、ああいうオチは遠慮したいわ」
「俺いま一瞬寒気したわ。俺の未来は無難でいいから、あれはいやだ」
「だなー」

今、世間をにぎわせているとある話題に、記者のふたりは自分の未来を想像しため息をつく。
話題になっているのは、SIX GRAVITYの解散にともなう報道。
報道機関としては、情報を伝えるためにやらなければいけないことがあるのだ。
伝えるという義務のためには、徹底的に追究する。それが報道機関である。

で、あるのだが・・・・





 

―――海っていえばさ。


「あのデマ報道って聞き間違いが原因ってしってる?」
「聞いたきいたwwwうけるーwww」



《はーいじゃぁ、グラビは海さんと。春さんはこの書類をもって〇〇事務所へいってくださいね》



「っていうマネージャーの言葉を聞き間違ったってやつでしょwww」
「それそれ!「SIX GRAVITY」「解散」「〇事務」移転!?って思ったらしいよね。報道陣相手に、報道流した人をかばうように困ったように、そのときの話をしてくれるマネージャーさんがかわいかった」
「ツキプロってマネズもイケメン多いよねー」
「つか、私たちよりその記者日本語出来無いんじゃない?」
「わたし国語より数学がだめだわ」
「わたし英語」





 

報道機関関係者が、聞き間違いをして、それを自分の手柄と大々的に発表してしまったという、誤報問題で、日本は今少しばかり揺れている。
そのゆれが、怒りや不安からではなく、苦笑であるのだが。
本人からしたらたまったものではないだろう。

「日本語って音が同じだったりするからなー」
「ややこしいっちゃ、ややこしいが。兄弟ユニットの文月海さんが一緒にいた時点で、大半はこの人のことを指すのに―――やっちまったなぁこいつ」
「そう言ってやるなって――スクープ欲しさに聞き間違いしたんだろ?」

「―――なぁ〜んて今頃世間で大笑い。
ああいう感じで、社会人をリタイアしたくないわなー」

「やっぱり日本語って難しいなー」
「だなー」





 


* * * * *





 


恋『海さん→カイさん→かいさん→解散wwwwって、この記者どんなききまちがいしたんですかwww』
字『ねー。本当に、日本語って難しいよね(´v`)』

始『春。おまえ・・・』
字『なにかな始?』
始『・・・いや、なんでもない』

新『み、みごとに2倍になって跳ね返ってる。これもしかして・・・』
隼『僕、もう春に逆らわないことにしようかな』

海『春もほどほどにな』
隼『いや春じゃなくて、報道陣にそれ言ってあげてよ海』
海『無理言うな』





 


* * * * *





 


『ご機嫌用。記者様―――うん。要件はわかってるよね』


『君、〇〇のひとと取引したでしょ?』


『だめだよ。ああいうお金を持ち出すような悪い人と手を組んじゃぁ。ほら、現に君、大変な目にあったよね?』

『ああ、君だけじゃないから安心して。 あのひとは、あのひとでちょっと報いをうけてもらうよ。 助けてもらったことがあるからそこまでひどいことはしたくないけど、困ってもらおうかなぁとは思ってるから。どうするって――事務所からタレントもらっちゃおうと思って。
ふふ。やだなぁ〜。“できる”んじゃない。“やる”んだよ』

『君には、オレが道をあげる。批判の中心にさせてごめんね。でも君の実力は買ってるんだ。だからそのお詫びに・・・・・・とは思ってるけど』

『ああよかった!受け入れてくれるんだね』

『ふふ。どうして君の夢を知ってたかって?さぁ、どうしてだろう?オレが、オレだからかな』

『だから君は夢を叶えていいんだよ』

『もちろん君の名前は外には出させないよ。安心して』





『――やだなぁ、怖がらないでよ』



『だって・・・君が自分からやったことだよ?』

『なにって・・・ぜーんぶ。同じことをしてあげただけだよ?』


本来、世間から批判を浴びるのは、オレたちだった。
世間から消されるのは、オレたちのはずだった。
世間から仕事を奪われるのは、オレ達のはずだった。
世間から家族までバッシングをあびることになるのは、オレたちのはずだった。


『フハッ。ざまぁねーな自分の蜜はどんな味だった?甘い?それとも・・・・・・・・・・・なぁ〜んてね』





『ごめんね』

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