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【SS-05】 色気について追究した結果2
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【王を統べる者!】
 〜side シュン成り代わり世界〜



年の瀬迫る十一月末
雑誌の企画でグラビとプロセラが合同で三人一組で撮ることになった。
それぞれテーマも異なる四組となる。

メンバーの選出はカレンダーの順で

二月、三月、四月
五月、六月、七月
八月、九月、十月
十一月、十二月、一月

となっていた。
カレンダー通りなら一月が先頭だが、発売される時期が時期もあり『来年もよろしく』的な意味合いもあるようで、この順だそう

駆(俺はシュンさんとハジメさんかー)

ハジメとシュンは互いにグループのリーダーでもあり、一緒の撮影だって多い。
が、意外にその間に挟まれた十二月担当のカケルは、シュンとハジメと三人ででは初めての事だった。

テーマは色気。
なぜそのテーマなのかカケルが頭を悩ませたのは言うまでもない。
これはメインであるカケルの新たなステップアップとして決めたらしい。
当人も今までには着たことない大人な服―――創作和服にテンションが隠せないでいた。

駆「俺はどっちのが似合うかなぁー。ハジメさんは雅。シュンさんは漢って感じだよなぁ」

今年のリーダーズの雑誌を改めて読み漁り、うんうんと唸りながら自分のイメージを膨らませて就寝した。





――撮影日。

ハジメは紫、シュンは白、カケルは黄土と各々の色メインの創作和服と小物を着飾りスタジオに入る。
撮影セットもこれまた和モダンな雰囲気で普段馴染みのないカケルはソワソワする。
まずは各々のカラーを出すため単体からということでシュンが撮影に入った。

駆(気のせいかなぁ。なんかシュンさんが色っぽい)

深い赤色の椅子に座り指示通りのポーズを決めていくシュン。
カラッとした笑顔が当たり前になっていたので、こう静かに微笑まれるのは目に毒である。

大「んじゃ少し休憩を挟んで次はカケルの単体な」
駆「ふぁいっ!」

緊張のあまり変な声が出る。
するとポムっとカケルの肩にシュンは手を置く

零「深呼吸、深呼吸。いつも通り・・・とは言いがたいが、がんばれ、がんばれ〜」

シュンは小道具の扇子を開きカケルにおまじないのようにヒラヒラと扇動かすと、すごく綺麗な笑みで駆を微笑んだ。

駆(ちょっ直撃!!!)

駆「っっ!!」
大「なんだシュン。いつもと雰囲気違うな。はっ!?腹でも減ったのか?・・・・パンでも食べとくか?」
零「いえ、お茶だけいただきます」

あのブラックホールなシュンさんが、食べないだとぉ!?
というか、断り方が微笑みながらで、もうキラキラが何割増しと増えてるではないか!

駆「ハジメさん!ハジメさんハジメさん!!あれは本当に俺の知るシュンさんなんですか?」
始「ここ最近じゃシュンの中じゃ少ないがテーマは色気だ。アイツは本気になるとあのモードだから―――黙って撮影している間のシュンの隣は…まぁ、覚悟決めろ」
駆「いつものシュンさんカムバァァック!」





零「おーい」
駆「ひゃっ」
零「もうそろそろカケルの番だぞー」
駆「えっあ!」

始零「「落ち着け」」

始「パニックならなくても、カケル。お前なら出来る」
零「そうそう」

駆「い、行ってきます」

撮影に一度入ると、すぐに緊張は解けた。
指示通りに体を動かしシャッターが切られる。





すべてが終わったとき、カケルはぐったりと、その場にしゃがみこむ。

駆「の、乗り切れた」

ピンで撮った時は緊張がとけたが、ツーショット、スリーショット…大人の色気全開のハジメとシュンに挟まれカケルのHPは0に近かった。
よく、撮影でOKが出たと自分を褒めた。

駆「シュンさんの――初期設定忘れてた」

シュンはプロセラの初期に容姿に沿ったテーマが多かった。
つまり儚い、艶、華奢、ミステリアス―――という類である。
最近ではシュンの性格はすっかりファンの間にも浸透しきっていたため、お色気雰囲気はまれに見る程度になっていった。

始「お疲れさん。カケル」
駆「ハージーメーさぁんー。はい、あのシュンさんから生き残りました」
始「シュン自体〈色気を意識して生きたことなんて一度もねぇ〉って悩んでいたぞ。
俺を見て〈ハジメのように?タツヤや実渕さんのようなの?ムリだろ。難易度高い〉とかボソボソ言っていたな。
当人は差し置いて、ライブで色のある微笑みを自覚なく出して黄色い悲鳴と熱い視線を一気に集めるのに」
駆「ですよね!なのに、あの容姿で難易度高いとか!無自覚にこなすとか怖い!」
始「アイツいわくゲームやアニメの美形なキャラを意識すればなんとかなる―――と、鼓舞していたな」
駆「ブレない!あの雰囲気をまさかキャラを意識した結果なんてっっ」


その後、撮られた写真の出来栄えにカケル自身驚くほど大人びて見えた。

恋「ハジメさんとシュンさん侍らかすカケルさんカッコイイ!今回のカケルさんすごく素敵なんですけど!新たな一面すぎる!」
駆「はべら!??」


この雑誌が好評に好評を呼び、カケルに大人っぽい衣装が増えることが多くなる。
そしてリーダーズがシーツで一緒にごろ寝という衝撃的なピンナップを出し、当の雑誌がどこも売り切れの自体になるのもこれ以降の話である。



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