外伝 ・ も し も 話
[花悲壮] → ツキウタ



【お題】 舞台オリジン 1

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※魔法の国(字の世界)…『漢字名称』

<弥生字>
・本名《字》
・魔法のある世界の春成り代わり主
・二つ前の前世は【復活】超直感引継ぎ
・一つ前の世界は【黒バヌ】の花宮成り代わり
・魔力豊富な世界で、生まれつき魔力0体質
・だれも本名を呼べないので、むかしは《花》と呼ばれていた
・芸名「春」
・前世から変わらず、見えてはいけないものが視える
・世界に嫌われてるのでよく死にかける
・始の魔力で生かされてる
・始は充電器か空気という認識









【舞台でオリジンをやることがきまったよ】
 〜 春字 世界 〜



総勢37人+ウサギ二匹。
そんな豪華なメンバーで、天使と悪魔になって演じることとなった――舞台オリジン。

衣装合わせのあと、さらに最終調整をし、衣装での撮影、一度は衣装を着たままの通し稽古も行う。

本日はその衣装合わせに、ツキウタ。メンバーだけが呼ばれている。
衣装担当の人員に限りがあり、一斉に37人を相手にするわけにはいかず、今回は12人だけということになったためだ。
このあとは、順々に日時を調整して、他のグループも同じ行程が行われる。

衣装合わせの段階で、誰の趣味なのか、グラビ全員の露出度がハンパナイ。
誰かが、「あの黒い集団からエロスがあふれでてるんですけどぉ〜」という呟きをもらした。それに白い衣装に身を包む天族組も激しく頷いている。

そんななか、ひとり異常なほど震えてる人間がいる。
肩のないノースリーブの黒いシャツは胸元が大きく開けられ、テールコートのようになっているそれの裾は正面の布が後ろ側より短いため、腹がみえている。 胸元のボタンもとめることは許されず、かなりはずされている。
さらには足も膝上まで露出していて、黒衣のズボンはまだ八部だけで済んでいるからよいものの、しかし横にスリットが入っている。
上にはおるようにこれまた黒い羽織があるが、薄いレース素材のそれは残念ながら防寒の役には一切役に立たない。
腰には羽織と同じ透けている黒い腰布で、スカートのように巻いている。
しかし、スケスケ感の方が強く、もはやその下の身体ラインがきれいに浮かび上がっている。
――これまたかなりの露出度の高い衣装(といってもグラビ全員そんな感じである)を着せられている春(もとい字)だったが、彼は衣装をあわせるどころではなくひたすら腕をさすっては、寒さで歯をカチカチといわせて、 目で見てわかるほどいっそかわいそうな程ガタガタと震えていた。

今は冬に入ろうかという肌寒い時期。
たしかに部屋のなかもヒンヤリと冷たい。

冷え性で寒がりの字は、もう裸足で足なんかついてられるか!とばかりに、つま先立ちで極力床に足をつけないようにして、震えている。
可哀そうに、元気にはねていた3本のアホ毛までしなびている。

字『さむい!むり!ほんと無理!!!ストーブぅぅぅ!!!』

衣装『あ、ちょっと弥生さん!!』

字『ストーブ、ない。ううう・・・寒い寒い。・・・・・お邪魔します!』
隼『おやおやwwふふwwくすぐったいよ、春』
衣『やーよーいーさーん!!!もう!寒いからって隼さんの衣装のなかにもぐりこまないでください!!』
字『ならせめて布を!面積増やして!!肩だしとか寒いよ〜天族ずるいよ〜』

陽『ずるいっていいますけど、俺、春さんより上半身の布の面積めっちゃすくないんっすけど・・』
字『陽はみてるだけで寒いから、夜の傍にいた方がいいよ?隼の次に夜がいっぱい着てるから』

陽『俺に夜をむけと!?』
夜『え!?』

衣『で、でも動いていればあつくなりますし!』
字『まず動けないよ!!内臓を温めたら、冷えた先端もあったまるんだよ!?なのに最初からお腹を冷やしてたら、内臓がいつまでたってもあったまらないよ!最初からお腹冷やしてどうするの!体が寒さで固まって、そもそも演技もできないよこれ!?隙間風がもう無理〜!!!!隼!!お願い!そのストールかして!!!』
隼『はい、どうぞ』
字『ぬくい。裸足までは許せても、お腹は冷やすと一番だめなんだよ!!腹巻きしていいよね!?もうまいちゃおっと!!陽のもかして!首もさむいー!!!』
陽『あ!俺だって寒いのにー!!!』

衣『腹巻するぐらいなら!腹だしじゃない衣装つくるから!!!
首元もあったかそうなのつくるから!
やめて!天族の子たちの衣装脱がさないでーー!!!
ファーーーーー!?Σ(゚Д゚)霜月君!?きみどこからそのバカ〇ンのパパの腹巻みたいなの出したなの!?え!?モモヒキ!?却下ぁ!!!やめて!その肌色の喜々として着ないで!! お願いだから弥生君、腹巻はやめてぇぇ!!!あああああああ!!!!せっかくの衣装に!黒くてかっこいい衣装の上に、昭和のおっさん風腹巻がぁぁ〜!!!!orz』



恋『うわー・・』
新『なんだかあっち、壮絶なことになってるなぁ』
駆『こうなると陽があわれです』
始『うちの春の寒がりは尋常じゃないからなぁ。あんな露出度高いとアウトだろ。凍えて動かなくなるのがおちだな』
葵『あの衣装では、時期がちょっと悪かったですね(苦笑)』



――その後、衣装さんとの壮絶なバトルと、衣装係の血のにじむような涙の末に、あらたな字の衣装が出来上がったのだった。
それはグラビの中で一番露出度が少ないコートタイプの衣装で、襟元はあきすぎてしまうが、本番以外はしめていいという許しをもらっていた。
それをみた字がしたことは、内側にホッカイロをはれるぞ!という喜びだった。

字『わーい襟が大きい!これで寒くないね。首元って結構寒くて、いつもストールとかしてたけど、これならぬくぬく〜(花)』

恋『いまだとほわほわしすぎで、悪魔に見えないですけど・・・・・そうえいば、これ、本番だと春さん眼鏡を取った状態ですよね・・・』
始『そうだな』
新『色んな意味で恐ろしい』

駆『どうせなら、春さーん!眼鏡外してこっち向いてくれますか〜』
新『おまえ、なんてことを』

字『ん?いいよ〜。これでいい?』

駆『そのまま始さんをにらんでください』
字『睨む?ん〜むらさきむらさき・・・ジー』

恋『ア、コワイ』
新『美人が怒ると怖いってのは本当だな』
葵『怒ってるわけじゃwww
普段眼鏡をかけてる人が良くやるんですよね。目を細めてじーっと睨むように見つめるやつ。今の春さんそんな感じ?なのかな』

始『・・・・意味もなくこっちを見つめてくるのはやめろ。目つきが悪くなってるぞ春。
ふむ。襟がでかいせいか、いや全体的な衣装のせいだな。今のお前、俺を差し置いて魔王にみえるぞ。というか、今回参加者の中で一番の悪者に見えてるからな』
字『えー魔王?うーん。・・・ま、いいよ。前世は唯一の悪役だったし。うん、そういうこともあるよ』

駆『NO---------------------!!!』

恋『春さんが悪魔とかぁ!!!SIX GRAVITYはたしかに黒がメインだけどぉ!!!』
駆『グラビの聖母が悪魔だとぉ』
新『おう。マミー・・・』

字『オレ、黒に合わない?』
陽『そういう意味じゃないって』
葵『うんうん。他のグループは、グループごとにわけてのいろわけというより、そのキャラに合わせた色でわけてるからねぇ。俺達はなぜかグループごとで色分けされちゃって。それが残念だなぁって話ですよ春さん』
字『そっかぁ〜。じゃぁ、悪魔らしい演技で頑張らないとね』

新『聖母のほほえみ〜。あ〜和むわ。角あるけど角あるけど』
陽『春さんはやっぱり悪魔属性は向いてなさそうだよなぁ。いや、できるんだろうけど。しってるけど。狂気じみた役もできるの知ってるけど!普段の春さん見てると無理じゃないのって思うわ。
そういうと、隼はたしかに白いけど、なんか違う。そこ天使でいいのかよ!と、思わなくもない』
隼『そうだねぇ〜。なるなら僕は魔王。僕こそが悪魔側だと思うんだけど・・・なんでだろうねぇ』

駆『なんで春さんて、こういう舞台になると、うらぎり者っぽいというか、なんか腹黒そうな役ばっかりんなんでしょうかねぇ〜。前の帝国のときもそうでしたよね』
始『あいつ腹ぐろいからじゃね?』
新『始さん、容赦ねー』

陽『春さんが天使・・・そうすると、衣装交換をするなら海あたりと立場逆転か?参謀だし』
新『でもさ。海みたいな超さわやかな悪魔ってどうよ』

『『『・・・・・・・ないな』』』




字『?ねぇねぇ、なんで年長組でオレだけ蝙蝠の羽根なのかな?さびしいくない?』

恋『ほら!こんな純粋そうなほんわかしてるうちのお母さんが悪魔のわけないじゃん!!』
始『バスケのときは豹変するがな。まさに悪魔のごときというか鬼のような・・・』
葵『(ニッコリ)春さんはただの仙人ですよ』
始『天使というか、ただのボケ爺の間違いだな』

字『あ、でも鳥みたいな羽根だと重いか。うん。オレさびしくないよ。グラビ全体でみればお揃いの子いるし!むしろ始とか隼とか海みたいな羽根じゃなくてよかったなぁ〜って、心から思ったりしてないよ。
肩こり辛そうだね。肩こりに効くツボはここだよ!舞台、がんばってね!(生温かい目)』


年長『『『お前のツッコミはそこかっ!!!』』』


始『・・・・ハァーさすがお前の思考回路はずれてるな。
どうせ以前の帝国の舞台みたいに、動物たちは「そこにあると、心の目で感じて、見てください」って注意を入れて、いるふりをして演じただろう。今回も同じように、羽根は、狭い舞台のなかでは邪魔だから、小道具でもあまり翼をつける機会はほぼないんじゃないか?
後々ブロマイド撮影の時や、パンフレットのとき、TVのCMのときは、小道具の羽根かCGで合成するだろ』
字『そっかぁ。じゃぁ、さびしくてもあきらめるよ。それにグラビ全体で見れば、同じ羽根の子もいるしさびしくないもんね!』

恋『天使だ。天使がここにいる』
葵『あいかわらずかわいいですよね春さんの考え方って』

陽『このやりとりみてたら、よけいに春さんに白い服を着せてー・・・・・』
新『それ、たぶん無理だって。もう一人の眼鏡ことSOARAの守人さんと絶対かぶる。前回の妖怪の守人さんの衣装は、春さんにも似合いそうだったし〜』
葵『あ、でも今回、守人くんは悪魔側だって』
陽『なら春さんが白くてもいいじゃん。あ!そうだ!この際、海と春さんじゃなくて、隼と春さんの役を交換しようぜ!衣装も!絶対おたがいめちゃくちゃぴったり似合うこと間違いなし!』
始『・・・・・隼のような部下はいらん』

始はその瞬間、「はじめらぶー!」を常に訴えてくるうっとうしい部下を想像した!
始は顔をしかめた。



恋『それにしても春さん、年々悪役っぽいの多くなってきましたね〜。なんでだろ』
字『ん〜っと。普段からオレって参謀っていわれてるじゃない。
参謀って、宰相とか国王のサポート役ってイメージだし、狡猾?とかずるがしこいとか、策略的、知的・・・・とかそういうイメージあるから、オレなんかはこういう役が多いんじゃないかなぁ?』
始『・・・十分おまえは策略的だろ』
字『バスケでPGやってたからねぇ。九割は勘で指示して動いてるんだけどね』


字『でもね、“本当に”オレが魔族なら。
オレはなにもしないよ。
心の傷はどう処理をするの?そんな“後始末”が面倒だから、オレは関わらない道を選ぶよ。
だから、率先して国を滅ぼそうとか、魔王やったりとか、戦争おこしたりとか。統治も。絶対しない。
傍観してたい。むしろ傍観もせず誰の視界にも入らないところでダラダラしてたいなぁ。楽したい。めっちゃ楽したい』

始『なんだ?この舞台設定は、魔族と天族が争ってるのか?』
字『むしろまだ台本もらってないからわかってないけど。
ま、本当に種族間でばかげた戦争しているようなら、オレは戦争とかどうでもいいんだけど。 戦争に参加もするきもなければ、武勲とかもいらないしー。 誰かが心の整理がつかなくなるような、そんなものはいらない。 他人の心のことまで考えなきゃいけない戦争なんて、面倒なだけだよ。お金もかかるし』
始『相変わらずだなお前は。それで?お前は面倒くさいと思いつつ、今回はどういう悪魔を演じるんだ?(ニヤリ)』
字『ん?そうだねぇ〜。じゃぁ、始が魔王ってことならオレは参謀で―――』

字はそのまますっと腰を下ろすと、始の前に膝をつき、騎士のような礼を取る。

字『我が王の望みとあれば。
あなたが国がほしいというなら。天使どもがほしいというのなら。 貴方の望みどうりに。 この身は、我が王のもの。この足は我が王の足、この手も同じく。この目は、我が王のかわりとなり、世界のすべてを見てまいりましょう。
王よ。なにを望む?
その望みがためなら。我が王のため、オレは貴方へ策という絶対的な勝利の祝福を授けてごらんにいれましょう』


字『・・・みたいな?
こんな感じの演技はどうかな〜。わ〜オレ参謀っぽいね。どうかなどうかな(ドヤ)』
始『そのドヤ顔はゆるいので、-30点』
字『ふふ、70点かぁおしいね〜』
始『さっきの演技?を評価するなら、あれは参謀じゃないぞ春。なんというかまさに悪魔のささやきのような。あと王様とかやめろムカつく。
ああいう意味深な笑顔が胡散臭いんだよ。だから悪魔役とか裏切り者あつかいされるんじゃないか』

字『ふふ、国を落とすのって面白そうだよね』
始『お前はどこの国をおとしてくるつもりだ。そもそもそういうのは面倒だったんじゃないのか?』

字『冗談だよ?』
始『調子にのるな眼鏡』
字『本番では眼鏡ないよ!』


新『・・・・・・ああいう不敵な笑顔というか、妖艶な笑顔で、ああいう言葉を言われると、やっぱり春さんは悪魔かと納得してしまう自分がいる』
恋『く、くに・・・どこ落とす気だろうあの二人(gkbr)』
葵『二人そろうと文部の知恵って言うよね』
陽『黒年長やばくね?まじでどっかの国をおとしてきそう』



* * * * *



衣装合わせのあと。
37人を総出で常に舞台の上に出しているのは難しいこともあり、各属性ごとを一つのグループとし、普段は天族魔族関係なく一緒に暮らしているという設定が作られた。
その属性ごとの各チームの日常生活の様子なども舞台の一つだ。

そのチーム分けの、顔合わせにて――

字『け、剣介くんと一緒・・・そ、そんなのムリーーーー!!!いやぁぁぁあぁぁあぁぁーーーー!!!!!!!!!!!!』

剣『またこのパターンか!!春さんが逃げた!!追えー!!!』
英『え、えっとあの』
グ『やれやれ。ケンスケがダメならだれならいいんだか』

字『Growthのこは無理です!!いろいろダメなところみられてる!みられたぁぁぁぁ!恥ずかしい!!!!!!!!!』
剣『こっちの「勝利」の鍵は春さんなのに!!あ、またあんなところまで!!』

いつだか、字がいろいろしでかした事件をGrowthメンバーに目撃されている。 それを忘れられず、恥ずかしがった字が、逃亡するという緊急事態がおこった。
バスケできたえた足はとても速い。
しかし追って側には学生もいる。
少しまではADという仕事で動き回っていて足腰を鍛えていた青年もいる。
もちろん若者はなにも剣介だけでない。

涼『でもGrowthのメンバーのいる地点てさ、「勝利」を囲んでるんだよね。
横の「基礎」なんか衛と昂二人もいるし。「王国」には俺がいるし』


剣『あ!リツカさん!春さんがそっちいったらかくまわずにつかまえてください!』
里『え?あ、うん。よくわからないけどわかったよ』

柊『すごいなあっちの騒ぎはwww』
空『なんであれほどGrowthの子から春さん逃げてんの?』
海『まぁ、こっちきたら春を捕獲してやれ。あいつ子供大好きだから。大はいつもどおり茶でも誘って引き留めてやってくれや』
大『あ、はい。わかりました。お茶・・・今日は紅茶・・・でも用意しておくか』

空『あ、剣介が漁猟ようの網取り出した』


―――あっけなく捕縛された字が、両手で顔を抑えて隠しているが掌の隙間から見えている顔は真っ赤だ。
そのままイヤイヤと悶えて、床を転がっていたが、「床でダダこねるなんて、そっちの方が恥ずかしいと思うよ」とだれかのつぶやきで、我に返り、ピ!!と居住いをただし、それはもう何事もなかったように『これからよろしくね!みんなでこの舞台がんばろう』などといつもの笑顔でさらりと告げたのだった。



隼『ふふふwwwなんだかあっちは楽しそうだねぇwいいなぁ。僕も参加したい』
夜『却下です』

始『ぶっふwwwwあれか。迷子のwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』
昂『あのひと、まだひきずってるのか・・・おかげで話しかける隙もなく最近は逃げられる(しょぼん)』
衛『コーウくん。春さんとおしゃべりしたいの?なら猫を追いかけていくといいよ』
昂『ねこ?』
衛『猫のいくさきは意外と春さんにつながってるから』
始『ファーwwwww』
陽『だからあんたはイメージ壊れるから笑うな!』

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