外伝 ・ も し も 話
[花悲壮] → ツキウタ



【お題】 デビューしたら

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※魔法の国(字の世界)…『漢字名称』
※魔法のない国(零の世界)…「カタカナ名」

<霜月シュン>
・本名「零」
・魔法のない世界の、隼成り代わり主
・【ものの怪】の薬売りの弟子→【P4】主人公成り代わり→一つ前の世界は【黒バヌ】の火神成り代わり
・前世の影響で大食い
・口調がまんま「火神」な外見隼
・魔法?なにそれって感じで使えない
・怪奇現象を呼びやすい体質のため、イメージすると異世界へのゲート(inTV)を呼び出してしまう
・“あちら側”では【P4】の技を発動できる
・睦月ハジメとは幼馴染

<弥生字>
・本名《字》
・魔法のある世界の春成り代わり主
・一つ前の世界は【黒バヌ】の花宮成り代わり
・魔力豊富な世界で、生まれつき魔力0体質
・だれも本名を呼べないので、むかしは《花》と呼ばれていた
・芸名「春」
・始の魔力で生かされてる
・ロジャーという蝶は字の魂と連結している存在(現在、始に張り付いて魔力を常に供給してもらっている)
・ロジャーがいないと情緒不安定になる
・始は充電器か空気という認識









【ギャップ萌えアイドルでも狙うとするか】
 〜side シュン成り代わり世界〜



火神大我から霜月シュンとして転生をした、零(レイ)だ。
シュンとして生まれてから早くも20年。
はっきりいうと、未だにギャップに戸惑うことがままある。


零(我ながら火神大我としての人生がしっかり染みついたもんだよなぁ)

前世では、バスケに生き、そのまま人生をまっとう。
大往生だった。

死んだと思った次の瞬間には、霜月シュンとして産まれていた。
もともとトリップや転生で“次”があるのは慣れているし、死んでもなお自分の意識があるのことに驚きはなかった。
あるとすれば――

この世界はどこだろう?

てな感じで、最初のとまどいぐらいだ。


そこからは、霜月家=名家という項目を除いて、概ね一般的な日常を歩んできたつもりだ。
まぁ、家柄的にどうしようもないこととして霜月家の嫡子としての立ち振舞いを筆頭に、着付けや書道、華道、武芸等と中々古風なのも稽古として学ばされた。
元来、和風の習い事は気になっていたので、はっきり言ってのめり込んだ。

そもそも俺のすることに今世の両親は、煩くはない。むしろノリノリで応援してくれた。
榊さんというお付きの方はいるが、彼には「身の回りのことを一人でこなしちゃって、まったく手の掛からないのも寂しいものですね」と苦笑いされたくらいだ。
それに関しては前世で一人暮らしが長かったために身に付いたものだと・・・もちろん榊さんでなくとも誰にも言えるわけがない。


っで、なぜかお姫様ことウサギの白田を拾った。
あの出会いから、霜月シュンとしての転機は訪れた。
まさか前世バスケバカと自他ともに認めるような俺が、アイドルになるなんて、思いもよらなかった。





―――さて、前置きが長くなったが、本題に移ろうか。

零「なんでこの企画なんだ」
大「うーん。お前の見た目だろうな」
零「大さん。俺、お茶なら紅茶より緑茶抹茶派。どちらかならコーヒーのが好きなんですけど?!」

手元の企画書には、紅茶を俺が紹介するみたいなものである。
何故か巷で儚い白い人だの雪の王子様みたいな異名を取り、それに沿った仕事が舞い込むようになった。
だが、自分の本質には程遠い。
そして何より前世が前世だ。成り代わり転生とはいえ火神大我を自分が演じていたなんて言葉で収まらない。魂の大半は染まっていた。

そんな火神大我な俺と、霜月シュンでは――見た目が180度、真逆過ぎる。

バスケで鍛えあげた前世。それが今世は、抱き締めたら折れそうと言われるほどの華奢さ。
肌もそれなりに焼けていたが、今は苗字のごとく白い。
顔だってタツヤ(前世の義兄弟)のような美人に入ると、客観視出来るほど。
赤ん坊を卒業し、体の自由が効くようになってから欠かさず筋トレは続けているが、何故か前世と同じ体型にはならないのだ。

むしろ――

零「大食い大会とかバスケとか食べ歩きとか、カイに付いて行ってサバイバルのが性に合うのに……」

っと、ぶっちゃけ、今の俺は外見と中身が一致しないキャラとなっている。

大「・・・ほんと見た目を裏切るな、お前」
零「大食い選手権・・・」
大「あー・・・それは追々な。そんだけ意外性の引き出し多いなら、徐々に定着させていけばいい」
零「ウィッス。あと、次の俺の初シングル曲なんですけど……俺、和風ロック系とかのが好きです(´・_・`)」
大「グラビのリーダー 睦月ハジメとプロセラのリーダー 霜月シュンの、和と洋の位置付けだから呑み込んでくれ」
零「うぅぅ…この台詞を俺が言うのが」

一人称「僕」ってどいうことだってばよ!って言いたい。
実は、つい先日渡された歌詞には、曲の中で台詞を言うのだが・・・俺の“見た目”にはピッタリのものがある。つまり俺としては歯が浮くような台詞が、記載されているのであった。
え、あれを俺が言うの?それに一人称は「俺」なんだけど、今更「僕」と言うのか!?という疑問もある。
いや、あくまで曲なんだけどなっ。
あの歌詞を見せたら、あの堅物なハジメが珍しく爆笑したのが忘れられない。


始「見た目には似合ってるぞ、見た目にはな」

零「絶対に自分の好みを世間のイメージに定着させてやる<●><●>」
大「アイドル、ひいてはお前の顔にあるまじき表情をするな」

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【そこはアイドルとしてこらえて!】
 〜side 春 成り代わり世界〜



オレは弥生字(ヤヨイアザナ)。
年季の入った転生者だ。
まぁ、いろんな事情があって、本名を呼べるものがいないため、私生活では《花》。芸名は《春》で呼ばれている。

自分ではあまり、おかしいことを言っているつもりはなにもないんだけど、ちょっと転生しすぎたせいか記憶容量オーバーぎみで、新しいことを覚えると少し前の記憶忘れちゃうんだ。
だから口調がいままでの前世と違うのもそのせいだね。
今世の親の影響を受けてるので、口調も父親そっくりってよく言われるんだ。
ちょっとほわほわしてるって言われるけど、これは別にボケるための口調じゃないからね。

っで。ボケてるというか、ぬけてると最近よく言われるようになったオレなんかと長い間一緒にいたせいか、幼馴染みの始はちょっとばかり笑いの沸点が低くなってしまった。
そんなにオレ、普通と違うことしてたかな?っていつも不思議なんだけど。なにかおかしいと聞けば、なぜか始がよけいに笑いだすから、もうあきらめてる。
しかも始は家の都合らしいんだけど、隼という“面白いこと”を追及しているような友人とも出会ってしまって、いまではすっかり二人そろって愉快犯だ。

ただ始ってすごい真面目なんだよね。いつも全力投球で。・・・・ただ、どうしようもない愉快犯だけど。
なにが言いたいかというと、始はとても公私をきっちりわけてる人だってこと。
笑い上戸というか愉快犯な面は私生活でしか出さないし、アイドルとしての仕事で始が腹をかかえて笑ったことも噴き出したこともない。
TVに映る始は、いつも鉄壁の表情と大人の笑顔で、落ち着いた対応しかとらない。

隼は遠慮なく、結構笑ってるけどね。
それでも公私はある程度分けてるみたいで、さすがにアイドルのイメージをくずすようなことは公ではしていない。

駆『あの公私混合しない始さんでも耐えられなかったか』
恋『世間の皆様は騙されてる』
字『だよね。始のどこをみてクールなイケメンって思うんだろう?』
葵『さ、さっきの音声見事にはいっちゃってるんじゃ!?これまずくないですか』
新『あー・・・撮り直しか』

字『歌詞をみたとき、いや・・・最初の視聴の段階で、気づいてはいたよ。
寮で歌詞を見た瞬間の始が、醜聞気にせず噴き出してたし。
なんとなく本番はこうなるんじゃないかという予感はあったんだけど。なにもいま、始の腹筋が限界にならなくてもいいとおもうんだ』

SIX GRAVITYのメンバー全員で歌う曲を録音中。
一度目の軽い合わせは、振り付けも歌も最後までうまくいった。 そのときのは、アイドルの睦月始らしいクールビューティーさを発揮して、真顔で、ときには笑顔をふりまいていた始だったが、さぁ通しでもう一度!「かっこよくキメていこう!」という段階だった。
その本当に一番最後の始がふりつけで、髪をかき上げるシーンはいわば一番の見せ場であるのだが――



〜の衝動♪ (Get Down!)
くしゃくしゃにしたいよ

T, T, Take It Easy Now
感じたままに
Da, Da, 抱き寄せて
Let’s Dance
目を奪われたらKiss!
Good Love! Good Love!

GRAVI


始『TIC-LOぶっふぉ』


一斉にみんなが振り返った。
始は「どうかしたか」とそれはもういつもの公私の“公”の真顔の表情で、まるでなにもごともなかったように答えた。

字『はじめぇ〜』
始『なんだ春』
字『なんであと少しこらえられないの!最後のセリフじゃん!!いまのキメポーズだよ!キメゼリフのはずだよ!!』
始『なんのことだ』
字『笑ってたじゃん!今回の収録は短縮版だよ!!短いんだからこらえてよ!もーなんであそこで笑っちゃうかな〜』
始『笑ってない』
字『真顔で嘘言わないでよ』


始『髪をかけあげ・・・くっwwwぶっwwwあははっはははっwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

その後、「髪をかきあげる」や「Ahhh…」のシーンになるたびに、始がミスを連発し、しまいには「も、もう限界だ!」っと幕の裏にかけだし引っ込んでしまう。
始は人目(カメラ)から遠ざかったとたん腹をかかえて床を転がりだし、歌のフレーズを言い直しては床をだんだんたたきながら爆笑していた。
そんな始の声が舞台裏から永遠と響いていた。

つい先ほどまでの歌っていた人物と同じとは思えない。
むしろ公で見せたことのなかった始の素をまのあたりにし、普段の撮影と今の始のギャップから、己の見たものを信じられないスタッフが相次ぐ。
周囲が始の笑い声をBGMに呆然とし、一時場が静まりかえる。

なお、始クラスタである隼が収録を見に来ていたが、笑いだした始を見て愉快なことが好きな隼のツボにきたらしく「こうなるだろうなって気はしてたけど。なに、してんのかなはじ・・めぇwwwwぷ!wwゆ、床たたたくとかwwwぷぷぷっwwwww」と口を押さえながらも笑っていた。

はっきり言おう。
始にしろ隼にしろ、笑っているのが丸わかりである。


字『・・・やめてよ』


駆『春、さん?』

字『どうして笑うの!?ねぇ、やめてよ!!笑うの、やめて』

4年もかかってようやく大きなステージたてることになったのに。
これはそのためのリハーサルで、このあとには本撮りもあって。 これが落ち着いたらオレたちはもっと大きな舞台がまっているはずで・・・。

字『始も、隼も・・・ひどいよ』
葵『春さん・・・』
新『あーあ、リーダーズが春さん泣かしたー』

字『せっかく、ここまできたのに。これからオレたちは頑張ろうっていう、せっかくのグループの収録なのに。
ようやく・・・』





字『始が笑わずここまで頑張ったのに、二人とももう隠せてないよ!!!





恋『春さんツッコムのはそこじゃないです!!!(必死)』

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