有り得ない偶然
++ アルナシセカイ ++



[ツイッター・ツキアニ軸] 寝起きドッキリ編
「春」成り代わり夢主1の世界…『漢字名』。
「隼」成り代わり夢主2の世界…「カナ名」。

アニメ 第10話「アオイホノオ 」 より





【驚かされたのはだれだ?】
 〜side シュン成り代わり世界〜



葵「い、いいのかなぁ。本当にこんなことして……」

アオイとコイは、ただいまツキノプロダクション所属タレントが住まう寮の前にいた。
バラエティ番組の企画で、グラビとプロセラのメンバーに寝起きドッキリを仕掛けることになったのだ。
だがアオイはあまり気が進まず困ったような返事をするばかり。
相方のコイは逆にのりのりだ。

葵「はぁ〜。なんとかヨウとルイは成功しましたね〜」
恋「まさかカイさんとイクが起きてるとは。というか、ルイは成功なんですかね?」
葵「はは、ちょっと出遅れちゃったかな。
さてと。残るはハジメさん、ハルさん、シュンさん、ヨルか・・・・・たしかシュンさんはオフだとこの時間は就寝中とのこと」
恋「若干、お寝坊さんですね」

運動系の仲間は六時に突撃では遅かったようだ。
結局寝起きドッキリで成功したのはヨウだけという現状。
ルイはなにをしても起きなかったので、寝起きもドッキリもあったものではない。

リボーターであるコイとアオイの方が個性的なメンバーに驚かさられてばかりで、スタッフからも苦笑がうかがえる。

そうして一行がやってきたのは、プロセラリーダーシュンの部屋である。

「「お邪魔しまーす(コソッ)」」

声をそろえつつ小声で開いた扉の中は予想外にも和風でアレンジされた空間が広がっていた。

恋「わぁ!シュンさんの外見では洋風って感じだったけど、予想外に和テイストな部屋だった」
葵「そっかぁコイはきたことなかったっけ。・・・あ、刀が。これ、本物かなぁ。そういえばシュンさんとハジメさんって一緒に居合やってるってきいたような?」
恋「あ!みてくださいよ!バスケボールにバッシュもありますよ」
葵「こう見ると・・・シュンさんって多趣味なのがよく分かるね。外見に似合わず本当にアウトドア派なんだな〜」

部屋はフローリングなのだが、いかっくに畳がひかれ、神棚や小さな棚がある。
シュンはふだんんはそこに布団を轢いて眠っているが、すでにかたされたあとでひとがいない。

周囲を見渡せば、窓際の近くには棚や机があり、棚には漫画やゲームなどのグッズがこじゃれた具合にかざられていて、静謐なイメージのある畳の周辺の雰囲気とは真逆のカラフルな空間と化している。
その棚を何気なくのぞいたコイの目が見開かれ、一瞬息が止まる。

恋「っ!?」

葵「どうしたのコイ?」
恋「あ、あれは?!最新のとう○ぶフィギュア!!シュンさん三日月推しのようです!?プライベートのコスプレでは鶴丸してくれましたが!そしてさり気なく並ぶアニメゲーム、BDやグッズっ。あああっあれはガ○ダムエ○シアのプラモデル!」
葵「………本当にシュンさん多趣味です」

シュンの部屋に飾られたもののにうかれつつしっかりテレビカメラに向かって解説(グッズの)をしつつ、ほくほくとするコイ。
乾いた笑いを返すアオイがいたのだった。

その後、あまりにテンションがあがり、趣味について熱く語りすぎたコイの声に、周囲から苦情が来た言うまでもない。



恋「そういえばシュンさんは・・・」
葵「窓見て、コイ。あの裏庭にいるのシュンさんじゃない?」


ヒュッ ヒュンッッ

耳を澄ませば、朝の空気に風切り音がきこえてくる。
慌てて窓にかかったカーテンを開けば、庭先で、袴姿の人物が、木刀を振っている。

まるでそこに敵がいるとばかりに木刀を横に、斜めに。
時には垂直に豪胆に素振りをする全身が白と呼ばんばかりのその人は――

恋「つるま・・・げふんげふっ・・と、しゅ、シュンさん!?」
葵「全身真っ白……朝靄と相まって儚げ美人MAX」

零「お!goodmorning。どうだ、驚いたか(笑)」

コイたちに気づき( ノ゜Д゜)ヨッ!と片手を上げるのは、上下白の道着を着たプロセラルムリーダーの霜月シュンだ。

零「なんか上下白の道着で素振りしなきゃいけない気がしてなぁ」
葵「どんな予測ですか!?」
恋「それはそうとシュンさんお寝坊さんでは?」
零「ああ、今日は早く目が覚めちまってな。で、なんで撮影?」
葵「なんというタイミング…!」
恋「まさか!ハジメさんが度々話すシュンさんの野生の勘……!」
零「え、ハジメまでそんな命名していたのか。っで、これはどういう状態だ?」

葵「えっと本題に戻りまして、実は朝のドッキリ企画なんです」

零「それで撮影チームか。
プロセラのメンバーの半分は早いから仕掛けられなかったと見た」
恋「全くもってそのとおりです」

せっかくだからと二人はシュンに演舞の一部を披露してもらい、次の犠牲者もとい仕掛けるべく向かうこととなった。
撮影チームは朝のドッキリだけでない新鮮な画が取れたとホクホク顔だ。



夜「おはようみんな」
「「おはようございますヨルさん!」」

まっしろなシュンもつれて、コイとアオイたちは、次はキッチンにむかう。
そこではみそ汁を作っていたヨルと遭遇する。
こうなってはもう、得てるものの方が少なそうである。

夜「ちなみにシュンさんも料理が好きで一緒に作っているよ。
でも最近。その・・・シュンが料理してるのを見るとちょっとね。
芝居で稽古を見てもらった以来―――本当に包丁が違う意味で様になるんだ(ボソッ)」

恋「え」
葵「そういえばさっきシュンさんの部屋で刀をみ」
夜「うわー!!!!!!その話はしないで!!!ΞΞ(((ノД`)!!」

恋「あ、ちょ!ヨルさん!?」
葵「いっちゃった」



葵「・・・えっと、じゃぁ、ちょっと遅くなってしまいましたが今度はグラビの方へいきましょうか」

零「ん?次はハジメ?ハジメのとこに寝起きドッキリ仕掛けるのか?・・・付いていこうか?」
葵「え?」
零「二人だけだと荷が重いと思うぞ」

葵・恋「「???」」



さて、最後にグラビのリーダーと出会って、朝のドッキリもとい取材は終わりとなる。

だがしかし彼らの想像を超える者がそこには、待ち構えていたのだった。。


――それからしばらくして。
ハルの忠告を聞かずハジメの部屋に入ったコイの悲鳴が寮にこだましたのだった。



結局放送はいろん意味で見送りというか、大幅にカットすることとなった。
なお、チラリとその動画がやがていつかどこかの特番で流れるのだが・・・テレビをみていた多くの者が、一瞬だけ映るハジメの寝起き映像に鼻血を流すこととなる。

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【驚かされたのはだれだ?】
 〜side 春 成り代わり世界〜



字『オレの起きる時間?そうだねぇ、習慣で6時には起きて、まずは体力づくりかな』
海『あれ?お前も?なら今度一緒に朝はしらね?』
字『いいよ。最後はちょっとだけバスケにつきあってね』
海『おうとも!』

現役バスケ選手である春の朝は早い。
さらにこの調子だと陸上選手である郁も、運動が大好きな海も、朝の6時には起床している可能性がある。
それを事前にきいていた恋と葵は、番組スッタフと話し合い、予定の6時を変更して4時半に寮の前に来ていた。

恋「ねむい・・・はっきりいってもうしにそうですぅ〜」
葵「うう・・・しっかり恋!かくいうおれもちょっときつい時間です。
えーっと、現在の時刻はなんと朝の4:30です。ニワトリさんもないてませんね(苦笑)」



朝のドッキリ部隊は順調に郁、陽、海、涙ときて、涙以外は成功したものの、あまりに早すぎたせいでみんな二度寝をしている。
なお隼の部屋には、部屋じたいに入れなかったとだけ告げておこう。

そんな一行が次に訪れたのは、緑で花が描かれたプレートのかかった部屋。

恋『じゃーん(こそっとしずかに)こちらが春さんのおへやです』

恋『さっきは涙で失敗しちゃったけど次は絶対大丈夫!』
葵『さすがにこの時間には起きてないとちゃんとご本人から言質を得ていますからね』

恋『それでは』
葵『しつれいしまーす・・うわぁ、ちょ。入ったとたんいいにおいがするんですけど』
恋『なんだか森の中の陽だまりのようないいにおい・・・ああ、この置物。おこうなんだ』

葵『それにしても意外というか、想像通りというか。緑系統の小物が多いですね』

フローリングの真ん中に置かれているのは、小さな折り畳みテーブル。
テーブルしたにひかれた緑色の小さなカーペット。
椅子の代わりにあるのは、大きめでやわらかな丸い緑のクッション。まるでぬいぐるみのようなそれは、ホケキョくんをイメージして春みずからが造った小鳥の(ただしサイズは小鳥サイズではなくでかい)クッションだ。
寮共通のテーブルには、ノートパソコン。
バスケットボールの横には、植木鉢に入れられ育成途中の小さなパイナップル。
壁からさがった鎖にはいくつかのいくつかの植物が、まるでどこかのインテリアのようにうまい配置で飾られている。
ちらりと視線を動かせば、ハンガーには「マッスル!ハッスル!!」という文字と筋肉の絵が描かれたなんとも形容しがたい絵の描かれたTシャツがかけられている。

それらをみて「そういえば」と恋と葵の中で同じことが思い出される。
ここ最近はずっと衣装担当というものがいたのですっかり忘れていたが、春の服のセンスは皆無と言っていい。特に私服のひどさといったら、形容しがたい物であることを二人はほぼ同時に思い出した。

葵と恋は無言で視線を交わすと、そっと壁のソレから目をそらす。

せめて視聴者には、かわいいとか色っぽいとかはもうアイドルだからしかたないとして、“かっこよくない春さん”だけはうつさせまいと、恋と葵は変ガラシャツをみせないようにそくさくとスッタフをこんもりともりあがったベッドへと案内する。

『『おはようございます春さん!』』

ワクワクとしたおももちでそっと近づき、二人がガバリと盛り上がった布団をめくる。
っが、しかし。

恋『あれ?春さんが、いないだと?!』
葵『さすがにこんなに早く起きてるわけ・・・はぁっ!?』

そこには、悪趣味なほど凶悪な顔をしたヒヨコのぬいぐるみと、“巨大”な3月ツキウサがよりそうように存在しているだけで、当の本人がいない。
あまりの眼力のすごさに、ぬいぐるみといえ思わず眉の太い悪人面のヒヨコ(たぶんきっとこれも春作)から視線がはずせずたじろぐ葵。
かわり身の術をほうふつとさせるように春のかわりに布団に入っていたツキウサぬいぐるみを手に取り、「忍者か」と思わずつぶやいた恋。
それからしばらく春の部屋を見渡すもどこにもいない。
むしろ寝た形跡がないと気づいた二人は、そこで思い当たることがあり、声をそろえる。

『『あ!もしかして』』

春は始の服にはりついている自分の魂(ロジャーという名の蝶)を無意識に求めては、始の“服”にくっついていることが多い。
朝などはたまに始の部屋にいることもある。
布団にもぐりこむこともあるそうで・・・
まさか今日も!?とあわてて恋と葵が駆け出す。

葵『ちょっと恋!これって放送できるもの?』
恋『だめでしょ!絶対だめでしょ!視聴者の皆さんの勘違いが目に見えるようで。ああ・・・orz
不安になると若干しぐさが幼くなるというか、幼児退行するというか、洋服がほしいだけでも。はた目から見るとヤバイ構図ですよアレ!!』
葵『だ、だよね』

たとえ春の目的が、始ではなく、始の“服”だけであるとしても、服に張り付いたロジャーにだきついてるつもりでそれを身にまとう始ごとホールドするので、なんだかあの空間は甘ったるくも見えるのだ。
なまじロジャーに抱きつくときの春が、なにかしらの不安から行動が幼くなっているせいで、まるで始に甘えているように見えるだ。
それを放送させまいと、スタッフより先に始の部屋に突撃し、スタッフが部屋を除くより先に扉を閉めたふたりだったが。

『『いやぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』』

そこに春はいなかった。
しかしかわりにいたのは、眠りの中にいるくせに色気ムンムンとたれながしているグラビリーダー始で。
シーツに優雅に横になっている寝姿はまさに王者の貫録はなっていて、男の色気がただもれで。
顔を真っ赤にした二人が、物凄い勢いで部屋を飛び出たのは言うまでもない。

なお、この場に隼がいたら喜んで添い寝をする。そして起きた始に叩き出されるのがオチである。
春であるならば、普通に始めに向かって「おはよう」と笑い返すのだろう。春はこの色気に免疫があるとかではなく、人の美醜が分からないというだけあって色気など気付きもしないし、そういったことにまったくといっていいほど興味をしめさないので、いつもどこでも普通の対応をしてくるのだ。
始とて春が自分にくっつく理由などわかりきっているため、隼とおなじように無碍にすることもない。


恋『はーはー、し、死ぬかと思いましたよ。
われながら、いつものことですが、なんかみちゃいけないものをみたというか、あけちゃいけない扉が開きそうな恐怖を覚えますね』
葵『あ、あんなの・・・刺激強すぎ』
恋『いつも思うけど、あれにまったく反応もみせない春さんって、偉大ですよね(遠い目)』
葵『あ!その春さんだよ!どこいったんだろうね』

始の寝顔から逃げてきた二人は、水を求めてか、無意識にリビングへと足を運んでいた。

葵『そういえば昨日からベッドを使った様子がなかったよね。もしかして仕事から帰ってきてなかったのかも?』
恋『でも今日はオフのはず・・・ん?昨日から?』
葵『だよねぇ。昨日の夜はちゃんといたからいないってのもおかしい・・・昨日の夜?』

葵『ねぇ、恋。そうえいばさ、昨日って洗濯物ほしたっけ?』
恋『ほしてたら今頃、リビングに洗い物がほしてあるはず・・・まさか』
葵『だろうね』

次に二人が向かったのは脱衣所。
案の定、そこに春はいて、洗濯物が終わるのを待っていたのだろう。そのまま寝落ちしてしまったようで、洗濯機に寄りかかるようにしゃがみこんだまま眠っている。
その周囲を温めるように黒田、ヤマトとコロッケがそばにはりつき、身体の軽い白田と中井さんが膝の上に。頭の上にホケキョくんが。
いちおうディアボロも温めようとしたのか、それともただ参加したかっただけか。春のそばにいっそりとレタスのダンボールがあった。
普段はヤマト以外近寄りもしないのに、さすがにこのまま寝るのはよくないと思ったのだろう。春の周囲には動物たちがあつまって、一緒に気持ちよさそうな寝息を立てている。

葵『はーよかった。春さんいたよ』
恋『なんだか微笑ましいですね〜』

ほんわかした空気に恋も葵もスタッフも微笑ましく見守った。
そのあとは風邪をひいてしまうと、申し訳なくも春を起こし、つきそって春を部屋に寝かせた。

スタッフたちは微笑ましい光景が撮れたことに満足して帰って行った。
なお、結局撮影することさえままならなかった隼の部屋については、見直した時になぞの異世界の光景だけが映っていたという。







―――春の眠っていた横で、洗濯機が、ガッタン!ゴトン!と、 “中”から何かが体当たりをしているかのように、ドン!っと暴れているような音を立ててゆれていたなんて

・・・だれも、なにも見なかったふりをした。

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