有り得ない偶然
++ アルナシセカイ ++



[ツイッター・ツキアニ軸] 世界に嫌われたこども
「春」成り代わり夢主1の世界…『漢字名』。
「隼」成り代わり夢主2の世界…「カナ名」。





【世界に嫌われたこども】
 〜side 春 成り代わり世界〜



駆『名前が呼べないから・・・だから春、か』

恋『どうしたんかけるん?』
駆『ふと思ったんだけど、みんな名前で呼ぼうとするから呼べないんだよな〜って思って。いっそ“弥生”ってよべばすむだけじゃないんかな〜って。ほら始さんとか、出会ったときと今じゃ、春さんの呼び方を変えてるみたいだし』
恋『それもそっかー。そういえばアイドルの“春”は芸名で、他の人たちは春さんを“花”って呼んでたっけ』
駆『そうそう。弥生ってよべば、名前をかえないでもすんだんじゃないかっていま気付いてね』

始『それだとこいつの親も“弥生”。こいつの妹も“弥生”だぞ』

恋『あ、そっか』
駆『ヤヨイなんていっぱいいるもんね。誰を呼んでるかわからなくなっちゃうか・・・・・って!?うわー!!は、始さん!?いつのまに』
隼『ついでに僕らの大学の○○教授の下の名前も“ヤヨイ”だね』
恋『っと隼さんまで(汗)』
隼『やぁ、ごきげんよう。おちびさんたち』
涙『僕もいるよ』

恋『隼さんと始さんと涙なんて興味深い組み合わせっすね、どうしたんです?』
始『それはこちらの台詞だ。お前らが興味深い話をしているなと思ってな』
隼『涙と僕はたまたまそこで居合わせただけなんだけどね。なんだかおもしろい話をしてるからって始につれてこられたんだよ。っというか、そこに始がいたから面白いことがありそうな予感がして、ふふ、思わずついてきたんだよ』

恋『はは、安定の隼さんだ』
駆『だね』



始『それで?春の名前の話だったか?』

恋『そうです!なんで名前を呼べないのかな〜っと』
駆『あれ?そういう話だったっけ?』
恋『あれ?違ったっけ?』

始『まぁ、いい。春の名前に関してだな。あれは―――』





始『――っというわけで、美しい弥生母に嫉妬した悪い魔女がかけた呪いは、そのまま当時弥生母の腹の中にいた春にかかってしまったというわけだ。
そのせいで春は、魔女に名を奪われてしまい、だれもあいつの本当の名を呼べなくなってしまった。
あいつの名を取り戻す方法はただひとつ。
恋をして、その人と結ばれない限り、あいつは眼鏡で三本アホ毛で本当の名前をよばれないままなんだ。
死ぬまでに魔女の呪いが解けないとやがて名前をうばれた春は存在そのものも消えてしまう!
だが魔女の呪いを和らげる方法が一つある。それは仮のものでもあいつの名前を呼び続けてやることだ。そうすればあいつにかけられた呪いは効力が弱まる!!はずだ!きっと!たぶん!!』

駆『うううう(涙)な、なんてかわいそうなんですか春さん!』
恋『この恋!春さんのためにも!しっかり呼ばせてもらいます!!!』
涙『悪い魔女はそのあとどうしたの?』

始『悪い魔女は弥生父と弥生母の愛の力によって浄化されたが、生まれた春についた呪いはそのままだ。だからみんな苗字じゃなくて下の名前であいつを呼びまくってやれ』

始『・・・・“呼ばれない”よりは、“まだまし”だろうからな』
隼『そうだね。きっと“その方が僕らの記憶に残る”よ』

隼『それにこの寮ではみんな名前で呼んでるのに、春だけ苗字なんて、さびしいでしょ?仮とはいえ、名前で呼んであげてね』

恋『名前を呼べない魔法!かけたのはいったいどんな魔法使いか。これは名探偵こいっくの出番・・・は、さすがにない予感』

涙『ねぇ、隼。その呪いは隼でもとけないの?』
隼『うーん。勘違いしているようだけど、僕だってできないことはあるんだからね(苦笑)』





字『ふふふん〜♪〜ひらひらりウグイスコードよ鳴り響け♪君のいない空を〜』

『『はるさーーーーーーーーーーーーーーーんん!!!!!!!!』』

バタバタバ!!!ドゴォッ!!
ぐはっ!?

字『ぅ・・』

春が鼻歌を歌いながら洗濯物をほしていたら、背後からドタドタと大きな音を立てて、年少組がかけつけてきて、そのままタックルしてきた。
腹と腰に来た衝撃に、春は低いうめき声をあげるが、泣きついてきたこどもたちをみてそれ以上の痛みを感知させまいと変化をすぐに覆い隠して苦笑を浮かべる。

恋『うぇーーーーばる゛ざぁーん!!』
涙『はる・・・』
駆『ぐす。はるさんしんじゃいやです!!!』

次々にに飛び出す言葉に、春は目を点にする。
抱きついてきて離れない子供たちは全員涙目だし、どうやら自分が死ぬらしいと・・・
死ぬ?

字『なんのこと?』

駆『春さん!絶対に魔女の悪い呪いになんかときましょうね!』
恋『好きな人ができたら絶対のぜーったい!教えてくださいね!ねっ!!絶対結婚式には俺たちよんでください!』
駆『いつか春さんの名前呼んでやるんだから!!!うわーんウァーン・゚・(ノД`)』
恋『そうです春さん!絶対に呪いなんかに負けちゃダメです!!!』
涙『がんばろう春』

字『ん?え?ちょっと、名前がどうかしたの?っというか、え?魔法?オレ、魔法にかけられてるの?』

意味が分からないよ!?結婚がどうしたって?死ぬ話じゃなかったのか?
どういうことだと、混乱の極みに達した春がこどもたちに聞いてみれば、どうやら原因は、愉快犯な黒と白の王様たちが、面白おかしい話を子供たちに語って聞かせたらしく――

駆『始さんが!』
恋『隼さんが!』

字『なにしたのあのふたり』

恋『春さんにかけられた呪いは恋をしないと解けないんだそうです!!ふつつかながらこの如月恋!春さんに好きな人ができるまで、全力で春さんの恋を応援したく。あと魔女の呪いを緩和すべく、春さんの名前連呼させてもらいます!!!名前があれば春さん死なないって!隼さんが!!』
駆『そうですよぉ!俺たちこれからいっぱい春さんの名前呼びますからね!呪いの魔法なんか吹き飛ばしてやりましょうよ!』
涙『ぼくも手伝う』

字『ふふ、それは心強いね。・・・でもひとついいかな?』



字『オレ、いつ魔女に会って、呪いにかかったことになってるの!?


恋『え。だって始さんと隼さんが、魔女に呪いをかけられて春さんが大変だって。言ったよねかけるん?』
駆『うん。言ってた』

字『そこでなんでこの世に“呪いの魔法”なんてあるって信じてるの?
だってふつうそういうのは、ゲームとか小説の中の話だじゃない。
たしかにこの世界には魔力があるのは確認されてるとはいえ、魔法なんてないでしょ!!!なんで君たち始の愉快な解説まにうけてるの!?』

『『『え。だって隼(さん)が普通に魔法つかってるからあるのかと』』』

字『しゅーん!!!こどもたちになに変な認識与えてるの!!』

どうやら子供たちは、大人たちの戯言をまるっと信じたらしいと春は気付き、元凶である白い魔王(きっといまごろウィンクでもして笑っているのだろう)を思い、絶叫を上げた。





* * * * *





この世界には、万物すべてに魔力が宿っているとされる。
魔力とは、“力”。
物質すべてに存在するエネルギーをさす。

それは動植物問わず、空気にさえ存在している命のエネルギーなのだという。

もっとも顕著にそれを感じ取るのは自然に生きる者たちであり、それを動かすにたけているのは人間であるともされる。
魔力のエネルギーを“感情”によってコントロールするのだ。

そして人は、それを無意識に行っている。
そういったエネルギーの循環を見守る女神がこの世界には不可欠であるのも。“調停者”という存在が人間のうちから選ばれたのも、ひとえに魔力が“感情”の波にのるからである。



あるとき一人の子供が生まれおちる。
その子供は、生まれながらに魔力を持たずに誕生した。

普通であれば意識せずとも呼吸するように取り込まれ、血液と同じように身体中を流れる魔力は、その子供には恩恵を与えず、子供の身体はうまく魔力を循環することができずにいた。

魔力がない。
それが障害となっているのか、子供は名付けと同時に、その名を消された。
正確には、彼にだって名前はある。
しかしその名を、名をつけた当の親でさえ呼ぶことができないのだ。

魔力のないこどもにつけられた名前は《■》。
■■■と読む。

現在、その字を読むことも、音にすることもできる者はいない。





* * * * *





『始』
『なんだ春』
『随分面白い話を年少組としてくれたみたいだね』
『事実だろ。眼鏡だし、アホ毛だし・・・・・・名前を“奪われ”てる』

『ふはっ。魔女“に”じゃないけどね』

自分から名を奪ったのは、この世界そのもの意思。
世界が自分の魂を異分子とみなし、世界にふさわしくないから、誰もがあるべき魔力という恩恵がない。
世界が《字》という存在を認めていないから、誰にも本当の自分(名前)を認識されない。

だからどれだけ“仮”の名でよばれようと、どれだけ仲間や家族たちが、自分のことを呼び、自分という存在を忘れないようにその名を刻もうとも・・・忘れてしまう時は忘れてしまう。
世界に生きる者が、その世界そのものに抗うすべなどないのだから。

きっと自分が死んだ途端、世界中から自分という存在の記憶は消されるのだろう。
もしかすると“弥生春”という本来あるべき存在の記憶として書き換えられるのかもしれない。
なんにせよ。この世界に《字》という名は、誰かの記憶にも記録にも残すことはきっとできない。
身内さえも名前を呼べない――その事実が発覚したときから、その未来はわかりきっていたことだ。




『別に・・・世界に嫌われるのは、慣れているよ』

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【世界に嫌われたからってそれがどうかした?】
 〜side 春 成り代わり世界〜



え?
誰があそこで終るって言った?
そもそもシリアスだってだれが言ったの?
そんなわけないじゃない(笑)


あ、オレ、だれもよべないほうの弥生春こと字です。戸籍上は弥生花って名付けられてます。

いやだなぁ〜オレが死ぬって?
だれかな?そんな変な噂を流しているのは。
ああ、うん。ちょっと愉快犯しめてくるから待っててね。





おっ、またせ〜。

たしかにオレにはあるべき魔力がないし、名前も呼ばれないし、やがてこの世界から消されるだろうけどね。
それは確定なんだけどね。

みんな忘れてない?

オレ、魔力がないから体に魔力循環もできなくて、そのせいでロジャーさんさえ生かすことができなかったって話覚えてる?
じゃぁ、誰がそのロジャーさんを生かしてくれてるか。

もうわかったよね(´∀`)/

始だよ。

始がロジャーさんに魔力を提供し続けてくれる。
ロジャーさんに提供されてる魔力は、そのままロジャーさんと魂経由で一心同体のオレに行きわたる。
結果として、つねに魔力が注ぎ込まれている状態なので、体にたまるだけの魔力があることでそれはきちんと普通の人と同じように循環する。
つまりロジャーさんが始から魔力をもらっている限り、ぶっちゃけオレはこの世界の普通の人と同じということ。

おかげでオレを消しにかかっている世界をだませているわけだし。
それに消される心配も恐怖も全く感じず、この年まで生きてこれたしね。

たしかに始っていう魔力供給源と出会うまでは、しょっちゅう存在維持が危なくなったり、ロジャーさんが本気で消滅しかかったり、長く起きてられないとかいろいろあったけど。
いやぁ〜さすがは始さま、王様って感じだよね(笑)


っと、いうわけで。

オレ、始が死ぬまでは死なないよ?



だからね。





『鼻水を人の服でかむんじゃなーーーーい!!!!!!』

























だいすきだよ

だいすき


たとえ世界がオレを嫌おうとも

オレはこの世界が大好きです

この世界の住人に紛れ込むようなことをしてでもまたいたいと思わせる
おもわせてくれる
この世界が――



オレはだいすきです






 だ  か  ら



もうすこしだけ・・・


みんなと







生きて い た い








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