有り得ない偶然
++ アルナシセカイ ++
[ツイッター・ツキアニ軸] 01話 日常編
「春」成り代わり夢主1の世界…『漢字名』。
「隼」成り代わり夢主2の世界…「カナ名」。
―――ここは魔法が存在しない、ごくありふれた地球の、さらにそのなかでもせまいとある島国の上。
今日も月の女神に見守られた地球で小さな出来事が起きている。
【SS オシャレ事変より】
〜side 春 成り代わり世界〜
春がその部屋を開けると、恋と陽がもめていた。
陽『シュシュ!!』
恋『ヘアピン!!』
なるほど。
わからない。
なぜか王冠をかぶった魔王な隼・・・否、側らにいた通りすがりの存在Sということにしておこう。白い彼Sに事の顛末を聞けば、この言い争いの原因は至極くだらないではないか。
事の発端は、のびた始の髪の毛をいかにして邪魔にならないようにするか。ということらしい。
その結果、プロセラとグラビ内で最もおしゃれな二人が、シュシュでまとめあげ『セクシー』にしたい派と、ヘアピンでとめて『かわいく』したい派で、もめにもめているという。
なお王冠の主もはじめのころに参戦したが、始当人に『さすがに王冠はない。重い』といわれてしまったため自分でかぶることにしたのだとか。
当の始はというと、髪の毛が邪魔にならなければいいようで、どちらかを選べと恋と陽にしつこく言われているが返答ができないでいる。
そこで涙がやってきて、のびた始の髪型をみて『おそろい』と告げ笑った。
なごんだ。
しかし、それはそれ。
決着は尽きず、いまだ恋と陽が、当人たちを無視して声を荒げて喧嘩しているというのが現実。
『春さぁん、なんとかしてください!』と年少・年中組に頼られてしまった春は、いまだ騒がしい二人のおしゃれコンビをみて深くため息をついた。
春『まぁまぁおちついてよ。もうやだなぁふたりとも。そんなことでもめちゃって。ねぇ陽、恋・・・』
始の髪を巡って起きたこのくだらない争いに、春はいつもと同じようなニコニコとした穏やかな雰囲気で近寄り、ポンと二人の肩を優しくたたく。
そんな春に、つい勢いのまま『邪魔をするな!』と声をそろえた二人。
すると春はさらに笑みを深めた。
っが、同時にギリギリギリと音がしそうな力が、恋と陽の肩をつかむ春の手によってかかった。
悲鳴を上げて振り返った二人と視線が合うと、春はニッコリと微笑み――
春『邪魔』(真顔)
恋陽『『ひぃ!?』』
瞬間後には見事なブリザードをふかせるような真顔と超低音ボイスでもって、一言つぶやいた。
眼鏡の奥の目がギラリとひかったとかそうでないとか。
隼『おや。春の本気だ。こわいこわいwww』
涙『春、って、二重人格?』
駆『たまに春さんこわいんだよね〜』
始『普段怒らないやつほど怒らせると怖い・・ってな』
春『もう、遅い時間だし、さわいじゃだめだよ。ね?』
その恐ろしい雰囲気を漂わす春の真顔を目のあたりにした二人は目に涙をためて、今は、ほんわかと告げる春に、先程の恐怖を思い出しキツツキのごとくブンブンと首を上下に振ったのだった。
わかればいいんだよ。と言いのこし春は、恋からヘアピンをあずかり陽から櫛をかり、涙と始を手招きする。
春『涙くん、始。こっちおいで〜(ニコニコ)』
キョトンとした涙と、あきれたような表情の始は、指示に従いすぐにかけよれば、二人そろって椅子に座らされる。
春『ふふ。ふたりともお揃いだもんね』
結果、春によって、涙と始の髪はおそろいになるようにあみこまれた。
それからしばらく、寮内では春による美容室ごっこがはやった。
-----------------------
【眼鏡だからってそれは偏見です】
〜side 春 成り代わり世界〜
『春さんて街中歩くとかなりの確率で声かけられるよね』
『いわれてみるとそうかも』
『そういえばそうだね。やっぱりアイドル!って感じのオーラがでてるせいかな』
『春さんも始さんもまとうオーラがただ者じゃないって感じするもんね』
『やっぱカッコイイってうらやましい!おれもいつかはあんな大人に!!』
『・・・でも』
『『『マッチョ率高いよね』』』
『え?そうなの?』
『うん』
『なんでだろ?』
『春、に、街中で声を掛ける人って、みんなごっついよ』
『wwwなにその嬉しくないような限定客はwww』
――っと、いうわけで、突撃インタビューをおこないました。
海『ありゃ。年少組はしらなかったか?あいつバスケやってるんだよ。どこぞやの企業がサポートしてるチームに所属していて、そっ地方面ではそこそこ有名♪』
『は?』
『なんですとー!?まじっすか!?』
海『あいつバスケやるとき性格変わるからなー』
始『正確にはあっちが素だ。子どもらしくないって言われたのを気にして小さいころに親父さんの口調とかまねるようになったんだよ』
海『ということらしい。まぁ、口調も違うし眼鏡も外しちゃうし、最近では髪もバスケのときは染めちゃうし、もはや別人だなあれは。そのせいかアイドルってイメージを周囲にもたれてないらしいんだよwww』
始『・・・・・あと』
始『いまさだが、《春》って芸名だ』
『『『え』』』
海『だからアイドルの“弥生”と同じやつだって、そのマッチョ?なやつら気付いてないんだろ』
隼『あのこの名前ねぇ。なんというか魂に縛りがされてるらしく、聞き取れない人は聞き取れないんだよね。不思議だよね(^ ^)
だから魂の性質からはずらして芸名を『弥生春』にしたんだ。本名は《弥生花》だよ。まぁどちらにしてもほんわかした感じの名前でかわいいよね』
『ああ、もう!どこからつっこめば』
『初耳』
隼『うん。言ってないからね』
『・・・あ、でも。だからかぁ』
『?なにか、わかったの?』
『ごっついひとがみんな“アイドルの弥生春”=“バスケット選手の弥生さん”と連結できないのって、性格も名前も違うからってことか!』
『いや、それはいいけど。春さんって何者!?』
海『何者って(苦笑)そんな大げさなもんじゃないって。ただのスポーツ少年だろ?』
隼『うん。大学でもすごいよ。僕や始は、芸能活動の関係で声かけられるけど、春はスポーツ少年たちにしか声かけられないから』
始『しってるか。あいつ大学で鬼って言われてるんだ』
隼『始。そんな本当のことを言ったら、こどもたちがコワがってしまうだろう』
始『だって隼。あれは“策略の鬼”だろ』
隼『策略ね。アイドルだと参謀だけどね。まぁ、まさにそれをそのままバスケでいかすと・・・うん。あれはやっぱり鬼だねぇ』
始『悪童らしいぞ。本人いわく』
隼『え。どこがいたずらっこ?』
始『もはや悪人でいいと言いたくなる面だよな』
『え。眼鏡なのに?』
『だって春さんといい、SOARAの在原さんといい眼鏡の人ってみんな穏やかそうじゃないですか』
春『やだー。眼鏡の悪人。なにそれ(笑)オレ、妖怪サトリじゃないよぉ』
始『おい春。お前いまどこからでた』
隼『どうしてサトリが眼鏡の悪人面なんだい?』
春『フハッ。いえいえ、一つ上の先輩が眼鏡キャラでして。しかもそいつは妖怪サトリのように人の心を読むんだよ』
始『そんな凄まじい個性の先輩いたか?』
隼『大学にはいないよね』
春『うん、もちろん。夢の中でだよ』
始『ああ、春のいつものリアルな夢か』
隼『凄いキャラが出てきたんだね』
『『僕たち眼鏡を勘違いしてました!すいません!』』
春『わかってくれてよかったよ。ひとは見かけで判断しちゃダメってことだよ』
始『・・・お前のそれ(眼鏡=妖怪説)も十分偏見だからな』
-----------------------
【春さんが始さんの服をつかんで寝てました】
〜side 春 成り代わり世界〜
新『あれ?春さん・・寝てる』
恋『あ、ほんとだー』
海『うわーまじだ。っていうかこれ始さんのか?』
駆『・・・ねぇ、春さんていつも始さんの洋服掴んで寝てません?』
涙『なんでだろ?』
葵『《始さん離れ》できてないんですかねー』
涙『春が寝ると、ヤマトいっちゃう』
陽『そういえば。春さんネコに好かれてるな異常に』
海『そのわりには他の動物には逃げられてるぞ』
駆『え?ホケキョくんは?』
隼『あれは例外。僕の生み出した使い魔だからね。簡単にいうと疑似生命体ゴーレムって感じかな』
『『『え』』』
始『別に春が寝るのに俺は必要ないな。春にはロジャーさんが頼りなんだよ』
郁『は?ロジャー?』
恋『カタナカナ・・・えっとじょんさんならいますけど・・・え?ロジャーってだれ?』
陽『名前からしてオッサンな感じが』
恋『え?春さん、オッサンラブなんですか!?』
隼『すごい連想ゲームwww』
始『笑うな隼。ロジャーさん呼んで来いよ』
隼『ああ、うん。あれ?ロジャーさんって始は起こせなかったけ?』
始『無理だ。本人の意思がないと無理だな。おかげで最初のころは、ロジャーさんつけたまま服洗っていいのかめちゃくちゃ悩んだからな。今は本人の了解とったからそのまま洗濯機に突っ込んでる。まぁ、その間は春が洗濯機から離れないから困るが』
海『え?洗濯機?何の話、だ?』
始隼『『ロジャーさんの話だろ?/でしょ?』』
『『『『だからロジャーさんって誰だ!?』』』』
始『ああ、まずはそこからか。隼』
隼『まかして!説明するとね、春のだいている始の服に蝶のガラがあるのわかるよね』
駆『あ、そういえば。いつも始さんの服に蝶の柄がありますよね』
陽『え!?あれ意味あったのかよ!?』
始『意味も何もあれがロジャーさんだ』
隼『春の・・・うーんと。なんていえばいいのか。まぁ、あの蝶がロジャーさんで、あれ、春の魂(笑)』
『『『!?』』』
始『・・・を見守る守護霊なんだよ』
始『言い回しが(笑)こいつらで遊ぶな隼』
隼『ごめんごめんwwwでもあながち、まちがいというわけでもないんだよ。あの蝶が傷つけば春の魂も傷つく。蝶が死ねば、春も死んじゃうからね。ふたりは運命共同体さ。魂がつながってるんだ。いうなれば春の魂の半分だよ』
海『なにさらっと有り得なさそうな冗談みたいに、めちゃくちゃ重要なこと言ったんだ隼!こわいから!こわいからな!』
駆『春さんが・・・死ぬ!?』
恋『う・・・うっかり始さんの服破けてたとか思ったら・・うう!いま俺ゾッとしましたよ!!』
新『こわすぎる』
涙『・・・隼、事実?』
恋『事実でしょ。事実だからこのふたり真顔で語ってんでしょ!』
葵『そんな事実いらない!』
隼『あっはは。大丈夫だよ。ロジャーさん、もう何百回も洗濯機の中で回されてるし。いざ始の服がダメになったら僕が別の服にいどうさせてあげるし。あるいは自分で別の場所に移動するでしょ。
春の魂の半分とはいえロジャーはロジャーで、別の意識を持っているしね。
それに一度実体化してる時に彼の羽根を握ってみたけど、全くの無傷。もちろん春もね。だから安心て大丈夫だよ』