有り得ない偶然 SideW
-クロバヌ 外伝-




03: 相棒は夢を砕く

※時間軸無作為
黒子のバスケ25巻特典OVA「バカじゃ勝てないのよ!」をベースにしています。
オマケはとくに関係ありませんorz
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++ side火神成り代わり主 ++





とある日、誠凛バスケ部は以前行われた中間テストの結果を確認していた。インターハイ前に誠凛高校は実力テストが行われるのだが追試が確定すれば、その日インターハイがあっても追試が優先され部活に出られなくなるのだ。

特に黒子と火神はスタメンだ。
二年先輩たちは一年後輩の学力を知るため、テスト結果を持ってくるよう指示を出した。

「火神くんって勉強出来るほうね」
「英語は流石に帰国子女っていうか…間違いは文法問題くらいか」
『日本の文は細けぇんだ、です』
「英語の答え含め…火神、お前案外字が綺麗なんだな」
『thank you』
「この中で点が低いの理数系か。といっても赤点ギリとかじゃないし今回は問題ないけど」


実はこのテスト、今より点数取れるんですと言ったら高校生を敵にまわすことだろう。

これでも2度高校生(本来の世界+P4で高2)をやって今回で3回目だ。理数系は元々苦手なのと、火神大我として赤ん坊から人生やり直した間に忘れかけた。その分、文系は強くなってる。

なら、何故こんな点数調整をするかというと目立ちたくないからだ。
可もなく不可もなく……部活に支障がない程度の点数を取る。

つまり追試・赤点・補習回避だ。

テストに時間取られるならバスケしたいと思うほどバスケ馬鹿になった自分がいる。インターハイは皆と出たいしな!

この世界の一番のイレギュラーにしてトリッパー女、●● ●●●が、しきりに「火神くん見た目通り馬鹿な筈なのに、私が教える気でいたのに、このお勉強イベントで私に火神くんは好意を持つのに、なんでこんなに頭良いのよ、漫画やアニメと違うじゃない、台無しだわ、私が主役なんだから空気読みなさいよ、ほんとはバカガミのくせに、体動かすくらいしか取り柄ない筈なのに」とブツブツ言ってる。
ぶっちゃけこわい。
その呟きを聞いた黒子とフリ達に冷めた目向けられているのに気付かず●●●は俺のテストの束を睨み付けていた。

●●●は神様とやらから特別な力をもらったようだが、いかんせんその効果は弱い。
しかし長くそばに居続けると離れても無駄のようだ。まるで皮膚呼吸で毒を吸っているかのように、洗脳される。
おれたち一年はまだ●●●といる時間が短いからか、彼女から少し離れれば、黒子などは催眠が解けたようにまっとうに思考できるようになる。

つまり●●●はおれたち一年から、警戒されているのだ。
本人気付いてないけど。

(まぁ、点数調整の理由がこの●●●の存在でもあるんだけど。)

恐らく●●●は二次創作でいう「夢小説の主人公」の位置なんだろう。

高得点取って俺が憑依者と感付かれるのも厄介事になりそうな気がするし、かといって●●●の希望通りな原作のように赤点採るのも苛立つし

そもそも俺って元は同じ女(感覚)のせいか、●●●からのapproachに気付かないほど鈍くはない。
俺だけでなくスタメン全員にapproachしてると言ったほうが正しいか。
俺(とアザナさんの魂)が居なければ●●●の理想である原作と同じstoryであった筈だ。
いや、違うか。
●●●が黒子のバスケにトリップして誠凛のマネージャーとなりモテ期絶頂の逆ハーレムとなるを加味したstoryだな。

(そもそも俺は●●●の願い通りになる義理はないよな)

俺もirregularなのだから

(あ、でも緑間特製のコロコロ鉛筆は欲しいな…原作火神と違って自分は素直じゃないからアニメのように発揮しないかもしれないけど)


今回の学力の余談だが
アザナさんが通う霧崎だった場合、話は別だ。あそこはハードルが高すぎる。
キヨ先輩(宮地清志さんのこと)やアザナ先輩いわく、霧崎は愉快犯とお祭り好きの集まりらしいけど。それにしても勉強レベルが高すぎる。
自分の学力に合わないことは目に見えてる。1回、アザナさんが霧崎の話してくれたが先生の出す課題がcrazyに思えた。
外国へ飛び出せるようにと語学に力を注いでいるようで、多種多様の国からほんばの外人さんが講師と招かれているほど。
霧崎さん達はhardな勉学をこなし更にバスケに打ち込んでスゴいと言うのが素直な感想だった。





 


:: オマケ ::

そういえば原作の花 宮さんは頭がよかった。
関東きっての進学校である霧崎にあのアザアさんも行っているぐらいだから、あのひともきっと頭がいいのだろう。
この際いい機会だと、俺は携帯をひらき、前世仲間である方の相方の番号を押した。

トゥルルル・・・
ガチャ

花『chao』
火『あ、ももしアザナさんですか?明日暇ですか?よかったら勉強見てください』
花『はぁ?断る』
火『えーどうしてですか!センパイ霧崎いってんじゃないですか。どうせ原作はなみゃーみたいに頭いいんでしょ。だめだなら瀬戸先輩とか山崎先輩よこしてください。ちょっと高校の勉強忘れてる部分もあるんで聞きたいんですよ』
花『バァーカ!明日は芋煮会があんだよ!』
火『は?」
花『だーかーら、芋を煮てくう会だって!明日はうちの学年は全員芋煮会にかりだされて、いま全員で下ごしらえ中だ! ちゃらんぽらんな原もよこせねぇ!むしろ原もザキもうちの戦力だ。包丁さばきのうまい奴と野菜の量があわなあくてな。 勉強なんざひとりでやってろ!あ、ちょっと待て火神。


・・・から!!!待て!おい!!それは砂糖だっつってんだろ女子!!ああもう芋はサツマイモじゃなくてサトイモ!!まだいれんな!!やめろ!だれだよワインいれようとしたの!必要なのは調理酒!ワインは別!ワインいれたいならハンバーグでもつくってそれにぶっかけてろ!!鍋たらねぇよ!あのでか鍋かきまぜんの重機いるだろうが!先先は免許ないでしょうが乗るなー!!明日には業者が来るから待て!ちがっ!!だから芋煮会は焼き芋を焼くんじゃネェよ!!さんまを室内で焼くな!!!地味に変なところで料理スキル発揮してんじゃネェよ!!なんで横でウナギのかば焼き用意してんだお前は!!大根おろしたの誰だこれ明日は鍋に入れるって言っただろ!!!

ああ、わるい。・・・・っで?なんだよ火神?』
火『あ、いえ。なんでもないです』
花『ああ、悪い。向こうでよばれてるからまたな!』

ツー… ツー… ツー…

火『え?芋?』

火『えーっと煮て食う、芋?え?芋?』

俺はしばらく、通話のきれた電話をもったまま動くことができなかった。




電話の翌日、霧崎第一は芋を煮て食う会、通称芋煮会を大鍋でひらき、せいだいに地域の活性化運動に協力したらしい。

あれ?
勉強がハードな進学校じゃなかったけ?





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