17:幽霊は見えるんだけどな |
原「花 宮って意外と目がわるかったりしない?」 ことの切っ掛けは、原によるこの一言からだった。 「そういえば・・・」 原の言葉に、なにか思い当たるところがあったのだろう。 その場にいた全員が、可能性は高いと頷いた。 * * * * * 山「目が悪いといえば、そういえばさ、花 宮ってよく穴にはまったり、こけたり、ぶつかったりしてるよなぁ。 俺は、あれ、不幸体質の延長かとばかり。もしかしてただ目が悪かっただけとか?」 瀬「いや、いちがいにそうとは言い切れないよ。 さすがに目が悪いことと、水道管破裂とか、空からタライとか関係ないでしょ」 原「う〜ん。瀬戸ちゃんが言うのもわかるんだけど。だけどねぇ」 古「原はどうしてどこまでそれにこだわるんだ?」 原「ん〜とね。花 宮って試合のデータを集めるのもビデオでは見ないんだよね。しってた?」 山「生が一番わかるとかいってたな」 瀬「てっきり。より正確なデータをとるためかとばかり」 原「しかもね。花 宮にファッション雑誌みせたときのこと覚えてる?集合写真とか」 山「ん?なんだっけ?」 原「モデルを全員同じ顔って言うんだよ。 冗談だと思って、そのときは流しちゃったんだけどね」 山「そういえばさ、花 宮って人の顔とか覚えんの苦手だよな。よくクラスのやつも間違えるし」 瀬「花 宮って、花 宮字っていう人外の生き物だからって・・・それで納得してたわ。クラスのやつもみんな」 山「な、わけないだろ。人として生まれたんだから、あれでも人だろ・・・・一応」 原「そこは断定してあげようよザキ」 瀬「それにほら・・・顔を覚えないのは本当だ。相手チームの選手のこと背番号で呼ぶだろうあいつ」 古「試合観戦もビデオ(録画)だといつも渋い顔をしているな。 なにが気に食わないのか、機械をとおすより自分の目で見たものしか信じないとばかりに、いつも空いているかぎり試合には自ら足を運んでいたな」 原「うん。それでね。もしかして目が悪いのかなって」 古「だが花 宮は裸眼とも2.0に近かったはずだ」 原「えーでも。こないだキセリョと、あの宮地さんの写真を並べておいて、どっちが宮地さんかわかんなかったんだよ」 山「まじか!?あのブラコンが」 古「そんなことが」 山「あ、もしかして勘で視力検査ごまかしてるんじゃ」 原古「「ありえる」」 瀬「これは、確定・・・かな?」 古「そういえば以前、名前と人の顔を覚えられないって、ムネをはってドヤ顔をしてたが」 原「なんでそこでドヤ顔したしおはなぁ〜」 山「記憶力悪いからじゃないのか?」 「「「「・・・・・」」」」 山「え?あれってもしかして覚える気がないとか、不得意ってレベルの話じゃなくて・・・本当に人の区別ついてないんじゃ」 古「どういうことだ?」 瀬「ん〜そうだね。価値観の違いで、人の顔を覚えずらいのかと思ってたけど。 一緒に育った宮地さんはまともな価値観してることを踏まえると。 相貌失認・・・・とか?」 原「あーなんだっけそれ?きいたことあるよ」 瀬「のっぺらぼうにみえたり、紙がはってあるようにみえたり。部分的にずれていたり。 とにかくなんらかが原因でそこにあるのに“みえてない”んだ」 原「え!?じゃぁさ、じゃあさ。花 宮ってどうやって俺たちのこと見分けてんの?」 瀬「声・・・かな?それでも限度ってものはある。でも間違いなく顔では判断してないよね。 だって花 宮って、目を閉じていた方が動きがいいし。側に誰がいるかってのも目を閉じてた方が的中率高いし」 「「「ああ、勘か」」」 瀬「半分はそれで補ってる気がしなくもないね」 原「・・・おはな、やっぱみえてないんだ」 花『いや、見えてる。ただ差がわかりづらいだけだ 。簡単に言うなら、日本人からしたら外人なんてイタリア人もアメリカ人も同じに見えるだろ?それと同じようなもんだ。 個人のみわけは、おまえらがまとってるオーラの色を基準にしてる」 「「「「花 宮!?」」」」 原「びっくりしたー。いつからいたの?」 花『いまきた』 瀬「それで花 宮から見えるのはどんなものなんだ?」 花『オーラと人の形した物体。 ちなみにオーラとか霊体?ああいうのは、ガラスや、カメラ。機械を一つでも通すと、そういうの見えなくなるんだよ』 原「あ、だから。外を歩いていても幽霊みえちゃったりとかないのか」 花『大概建物の外を見るときは窓越しだろ。人口が多くは視えたりしネェよ』 花『ま、そんなんだから。録画とか写真てオーラがみえないから、だれがだれだかわかんなくなるんだよ。 とくに写真だと遠近感ないから、清志と黄瀬なんか似たよな髪色を横に置かれると、もうだれがだれだかわからない。 録画の時はせいぜいユニフォームの色と数字がたよりになってくるな』 原「でもね花 宮」 花『なんだ?』 原「普通の人はオーラとか幽霊の方が見えないからっ!!」 :: オマケ :: そのひとの側には いつも 蝶がいる 俺たちには その蝶は 墨を流し込んだように まっくろにしかみえない けれど彼にとっては どうやらちがって見えるらしい 青く光をまとっている それが普通の黒揚羽と その蝶の 見分けかただと 以前そのひとは言った 俺達にはさっぱりわからなかった 見えちゃいけないものは見えるけど 見えなきゃいけないものが見えない U←BackUTOPUNext→U |