05: こうして噂は広まった |
他人の不幸は蜜の味?なわけないだろう]←ココマデがタイトル(笑)―――なんてな。 清志と字の、会話だけの文章。 深い話ではないし、深いイイ話でもないけど、 夢主な花 宮の誤解の広まり方はこうして広がっていく。ってのを説明させたかっただけ。 ---------------------------- ++ side夢花 & 清志 ++ 「アザナ。お前さ、そうとうひねくれたやつだと勘違いされてるぞ」 『なぜ・・・オレはただ青春をみんなとまっとうしたいと』 「相変わらず爺くさいなぁ言い回しが。 煙が立ったのは、誠凛んときだな。 怪我した木吉のやつに“ご愁傷様”って言ったんだって?」 『言ったな』 「あ゛ぁ、なんだ。やっぱ言ったのかよ」 『そこで、いろんな偶然が重なり、ラフプレーをしたと日向が勘違いして叫んだ。それで周囲が一気にオレを警戒しだした――あのときは泣こうかなと本気で思ったな』 「あー荒れてたなあの時期のお前。そういえば誠凛のマネの子。あいつだろお前の悪口をあちこちで騒いでるのって。 実際原因はなんだったんだ?」 『ラフプレーの指示など出すわけないだろ。あのときは、こけたらいい音がして、それに驚いた先輩がタイミングをはずしたんだよ。 そもそも木吉鉄平には、オレは前々から治療しろよと何度も言ってきかせたんだがなぁ。 なのに人の善意を聞きもせず、木吉鉄平は“今できればいい”ってほざきやがった。それ以上足を酷使したら二度とバスケもできなくなるとは、忠告してやったのにもかかわらずだ。いまなら普通の医者でもかかっておけば、来年の試合には出れただろうにな。そのあとどうなろうと知ったこっちゃないがな。 あの試合は、無茶をしたあいつの自業自得の結果だ。 今か一生か。どちらを犠牲にする気だ?・・・そう、何度も言ってもだめだった。『自業自得だバァーカ!』と叫ばなかったオレをほめてほしいぐらいだ』 「だからの“ご愁傷様”か。 それで木吉の足は治るのか?」 『あそこまで強く痛めなければ見込みは十分だったはずだ。まぁ、いまは来年バスケをするのもあやういだろうなぁ。 とはいえ、まぁ、それは“世間一般的”にはだ』 「世間一般的には。か。 なら、“お前”なら?」 『治せと言われれば可能だろうな。多少の痛みか引きつりのようなものは残っても現代医学で不可能な奇跡をおこしてやるよ。っとはいえ、やるのはオレじゃないが。〈火神〉がこういう治療得意だと思うんだよなぁ。だからあいつにまかす。 ま、それもすべて木吉しだい。リハビリもやりすぎれば毒となる。あいつはきっとどこかで無茶をするんじゃないか?バスケバカだから』 「ああ、たしかにバスケバカだったな」 『あとで〈火神〉に連絡取ってみる』 「それがいいだろうな。 あとは、“他人の不幸は蜜の味”って観衆の皆様の前で言ったって聞いたんだけど。そのへんの真意はどうなんだよ?」 『言ってない』 「それはわかるが、ならなんであんな噂が流れんだ?」 『『他人の不幸は蜜の味だとか、その考えをする方が信じられないよ』とは、オレをやたらと目の敵にしてことあるごとにののしってくる〈誠凛のマネ〉になら、そう言い返したな。 ついでにそこでオレなりの解釈をひとつそえてみた―――“それ”がなんであれ、感情があるのなら、それを逆手にとって“もちあげてから落とす”。人間ならよりその作戦は有効だ。お前らが本当にオレの“敵”であるなら、オレはこんな生温いことはしない。“敵”をつぶすなら徹底的にする。 ――と、事実をありのままに告げたな』 「その方法だと最後に見えるのは他人の苦痛の顔だもんなぁ。なるほど。それを“他人の不幸は蜜の味”ってふうにとられたのか。 あとは最初に『他人の不幸は蜜の味ウンヌン』を否定系とはいえ語っちまったのが悪かったなアザナ。それと後半の話が混ざって、お前自身がそれを望んでると “そう”とられちまったんだろ」 『きよし、なに納得してんだよ。オレがやるわけないだろ』 「うーん。なんとういうか、やっぱおまえバカだな」 『オレなのバカって? そもそも常識的に考えるべきなんだよ。そんなあげて落とす作戦なんか、バスケには関係ないっての。相手に精神攻撃して勝ってもそれはバスケットじゃない。面白くない。人が狂うさまも面白くないから見たくないしな。 ハァ〜・・・なんでそれでオレらが好んでやってることになってんだか』 「・・・そりゃぁ、なんだ。 やろうと思えばできると?たとえばバスケの試合中であろうと?」 『え。誰でも普通にできるだろ? だってみていれば人の心の些細な動きなんてある程度みえてくるものだ。そこをただ言葉でつっついてやれば、人はあっという間に落ちる。 ・・・たぶん、灰崎ってやつもできるぐらいだしな。 あれの根本は “奪う”能力ではなく、コピー能力が本当なんだろうし。あいつは言葉で相手の心を誘導して、技をミスらせ、あたかもその技が使えなくなったようにゆさぶりをかける。そうして相手は灰崎の言葉に囚われ、技を奪われたと錯覚し、そのせいで今までできていたことができなくなる―――っという簡単な心理トリック。 そう考えると、態度や言葉一つが武器となる。 相手の感情をあげるも底辺に落とすもいわば、その言葉を発するタイミングってことだ。 な?簡単だろ』 「お前がとんでもない知将ってのはわかる。 でも、だからゲスって言われんだよ。やっぱお前バカだな」 『なぁ、 キョー兄 』 「ん?」 『オレ、お友達がほしいなぁ』 「お前はまず、ものの価値観から治せ」 U←BackUTOPUNext→U |