02: 再会からの笑いを君に |
なぜにオレはマジバでこいつとお茶なんかしてるんだろう。 「はなみ・・・ぶふっ!!!」 『笑うな!!』 こっちをみてずーっと吹き出すのをこらえていたバカが、ついに噴出した。 それを持っていた本でチョップくらわせてだまらせたオレは悪くない。 しかもまだ肩を震わせて笑っているし。 ++ side花宮成り代わり主 ++ オレは高校二年生になりました。 誠凛と試合をしてから約一年。 それから、誠凛VS霧崎第一の試合も近づいてきたある日のこと。 直感どおり、オレは 〈レイ〉 と再会した。 しかしコートはコートでも試合ではなく、うちの近くの公園の中にあるストバスコート内でだったが。 あのときは、不良のような高校生が小学生に絡んでるのを見て、人間として恥ずかしいと、喧嘩を買って出た。 っが、そいつらはバスケ部だったらしく、やつらの願いによりバスケ勝負になったのだ。 別に拳の実力勝負でもバスケでも負けるつもりはないが、一人で戦うには5人を相手にするのは面倒だ。 でもいまはオレしかいないから、しかないかと諦めていたら、そこへ都合よく人があらわれたのだ。 コートのフェンスの向こうにいたのは、赤い髪の、身長が日本人のそれをかなり凌駕した青年。 こっちをみて「悪童?」っと、顔をしかめているところからして、オレをそう呼うということは、まちがいなくバスケ関係者だ。 あの筋肉のつきかたからして、選手であるのは間違いないだろう。 だから男たちに1対5は卑怯だと、フェンスの向こうにいた赤毛をひきずりこんだ。 なにより「大丈夫だ」という確証がオレにはあった。 容姿は勇ましい高校生の男子の姿になってしまって面影は何一つなかっただが、その赤毛の青年がオレの前世を知る友人であると直感的にわかった。 だから通りすがりのそいつが誰であろうと、そいつがオレに協力しないなんて考えはなかった。 だってあいつのオーラは、オレがはじめて死んだその前と何も変わっていないのだから。 なぁ、〈レイ〉。 「あんたがなにしようと関係な・・・」 『いやあるね。手伝え “カンザキレイ” 。こいつら全員をひとりで相手をするのは面倒なんだ』 「え?あ、えっとどちら様、ッスか。ですか。あの!どうしてその名前を」 『もう忘れたのか。オレは “字” だ。お前の先輩だろ』 「は?」 「え_ええええええええ!!!!!あ、アザナ先輩ですか!!うぉっ!?いままでできなかったのに正しい日本語喋れた!?」 わけがわからず呆然としたり、騒ぎ声をあげていたレイだったが、しばらくすると落ちついたらしく、 呼吸を整えると、「“悪童花 宮”の動きは知ってます。俺があばれるんでフォローよろしくお願いしまっす!」と目をギラギラと輝かせて拳を出してきた。 そのままオレも拳をだしてトンとぶつけ合う。 その後はこの世界で初めてあったとは思えない息の合ったプレイであいつらを圧倒してやりました。 ちなみに 「ちぃ!!お、俺は無冠の悪童“花 宮あざな”だぞ!!あとでどんな目にあうのかわかってんのか!」 「俺たちにラフプレーされたくなければ・・・・・・・」 っとか、なんとか。 腰が引けたまま叫びやがった。 それを聞いた 〈レイ〉 はおもいっきし「ぶふっ!」と吹き出していた。 そういえばレイには、連れてくるときに名を名乗ったが、それをこいつらにまで聞こえていたとは思えない。 なにより 〈レイ〉 はコートにいるとき、ずっとオレを「先輩」と呼んでいたな。 オレはイントネーションがおかしい感じで「あざな」を名乗る男を呆れた目でみやる。 人の名前を名乗るより、自分の名を名乗るべきだ。 名前というのは親が一番最初にくれる贈り物なのだから、名があることを喜ぶべきなのに。 なぜ人の名前を名乗るのか。 まぁ、理由はわからなくもない。 “無冠”という意を借る狐か。 はたまた“悪童 花 宮字”の評判をより下げてはめようという魂胆か。 後者だったら、困るなぁ。 これ以上悪名を広げたくはないんだ。 さて目の前の相手をどう穏便にやり過ごすかと考えて、助けを求めるように横を見れば、 〈レイ〉 が噴き出すのを懸命にこらえている。 オレはそれに溜息をつき、とりあえず今回のプレーで大活躍をしてくれた 〈レイ〉 の頭をお礼代わりに撫でておく。 『やれやれ。他人の名を名乗ってあとでどんな目に合うかは興味もないが。なにせ花宮くんとやらは特定の人間に酷く恨まれてるようでな。闇討ちとか、いじめとか、報復とかあるかもしれないぜ』 「そ。そんなのは俺の部下がゆるすはずが!俺には霧崎のやつらがい…」 『いや、部下ってなんだよ。霧崎のやつは部下ではなく部員だろ。部員を部下とか言うなんて、お前最低だな』 「い、いや!あの!、部員です!部員がだまっては!」 『お前の部活生活に興味はない。だが、ひとついいか?』 『イントネーション間違ってる』 「は?」 「え」 「あれ。先輩名乗っちゃうんですかぁ?せっかく面白いことになってるのに」 『オレの名は花宮アザナ。 ひとの名を語るなら、イントネーションもちゃんと把握して素性を徹底的に調べ上げたうえで成り代われ。そうじゃないなら名乗るな! いいか、ちゃんとした発音はアザナ!“あざっな”じゃない!!』 そう言った瞬間、男達は一気に顔色を変え、悲鳴をあげて逃げて行った。 捨て台詞が「すみませんでした」「どうか覚えていないで下さい!」というのには、斬新で笑えた。 ********** あんな出会いがあってから、きっちり話し合おうということになって、オレたちはアドレスを交換し、日時を合わせこうしてマジバにきたわけだ。 目の前の相手は、あの誠凛のエース。火神大我だ。 名前は大我だが、こいつは 〈レイ〉 だ。 オレの前世仲間というやつだ。 オレは転生仲間なら、みただけでそいつが誰だとかわかる。 これはただの勘だが、はずれたことがないからそういう第六感はいいほうなのだろう。 相手は「この世界のどこかに仲間がいるかも?」程度にしかわからないらしい。 まぁ、前世の記憶があるとは限らない。 この世界に生まれたのだから、それぞれの生活というものがあるだろうし。 だからなにかない限り、オレから話しかけようとはおもわなかった。 けれどこのまえ、それがちょっと不測の事態で、 〈レイ〉 にオレが 《字》 であるとばれてしまった。 いや、オレ自らバラしたともいうな。 そんなわけでこうやってちゃんと向かい合って一度話をしようということになったわけだが、 〈レイ〉 もとい火神は、同じバスケ部ではあったがオレの学校に物凄い敵対心を抱いている学校の奴なので、みつかったらまずい。 そう思って、霧崎第一高校寄りのマジバに奴を呼び寄せた。 誠凛のやつらは霧崎に近づかないし、ましてや霧崎のやつらは、オレの味方だ。 みられてもここなら問題ないことと、日曜の人ごみの多い日なら紛れるのもたやすい。あとは学生の金銭面を考えるにマジバが一番妥当だろうと判断し、奴をここに呼んだ。 っが、チョコパイ食べながらのんびりコーヒーを味わいつつ火神をまっていったら、横に影ができたと思ったとたん「ぶふっ」と笑いやがった。 『なにしてんだよおまえ』 「あ、すんませんアザナ先輩。えっと、俺もちょっと飲み物たのんできま・・・ぐふ!」 『おい!』 こっちをちらちら見ながら笑いをこらえるようにして、去っていく火神に思わずつっこみをいれたくなった。 なにがおかしいんだ? そうおもってしばらくすれば、バーガーセットをかかえて戻ってきた火神がもどってきて、笑顔でオレの前の席に座る。 っで、あいつがオレの名前を呼ぼうとして 「本当に先輩が、はなみ・・・ぶふっ!!!」 『笑うな!!』 そのまま盛大に噴き出した。 どうやらこいつはそうとうな笑い上古に進化を遂げていたらしい。 そして冒頭に戻る。 『おい、 〈レイ〉 ?』 「だ、だってアザナ先輩がちっさ!ってか、原作よりちっさい気がする!あの先輩が!先輩がオレより小さいとかありえ!ぶふっ!あはは、は、は、腹がいた・・!!」 『Non prendere in giro!』 「あっはっは!い、意味が、わからない。です。俺、火神になってから英語得意になったんですけど、先輩、何語ですか?」 『 “ふざけんな” と言った。イタリア語だ。 前世のオレは【復活】のXNAXAS成り代わりだったんだよ。おかげでイタリア語がぬけねぇ。おまえは?』 「あ、わたしはですね【P4】からきたんですよ。さぁ、ゲームシナリオクリア。転校だ。電車に乗って引っ越しだ。と思って電車の中で転寝したら、赤ん坊でした。アメリカ帰りの帰国子女で火神大我です、よろしく! ちなみにその前は【モノノ怪】世界で、薬売りさんの弟子をしてました。薬づくりならまかしてください! 先輩は・・・相変わらず名前は変わってませんね。うらやましいです。わた、じゃなくて俺は大我に変わっちゃいましたからね」 『うらやましいか?おかげで中学時代のニックネームが “花字” とかいて “ハナヂ” だぞ。鼻血のお花ってふざけんなよとおもった。はっ!全員そのひねくれた根性をたたきのめしてやったがな』 「Oh!Scary scary」 『こわいって・・・笑いながら言うセリフか?』 「まぁまぁ、それにしても。ずいぶん小さくなりましたね」 失礼な後輩だな。 163cmだけど、それがどうしたチクショウ。 これでも本来の日本男児の平均ぐらいはあるんだ。 そもそも転生するたびに思うんだけど、オレってなんで成長速度が落ちるんだろう。 そこまで成長するにもかなり遅いのに、たいがい20歳には成長が止まる気がする。 解せぬ。 そもそもさぁ。目の前の平均オーバーには言われたくないよな。 そう考えたら腹が立ってきた。 『Stronzo! お前がでかいんだよ』 「・・・雰囲気的に、いまのはもしかしてXANXASの口癖の “カスがっ!” ってアレっすか?生で聞くと新鮮ですね。できれば池○さんボイスで日本語でののしってほしかった」 『バカか? まぁ、いい。いちいち翻訳が面倒だ。おまえ、ニュアンスで悟れ』 「あーはい。何となく了解。っす」 『そういえば原作がどうとか言っていたが、ここはもしかして 《存在する》 世界か?』 「exactly!(そのとおり)。先輩は【黒子のバスケ】ってしってますか?」 『しらね』 「でしょうね。まぁ、ずばり青春バスケ漫画です。私がしってるのはアニメだけですが。 内容としてはタイトルどおり黒子が主人公。メインは黒子を取り巻く環境と “キセキの世代” について。ですがスラムダンクのようなものではなく、人間を凌駕した人たちが特殊能力という才能を繰り広げるチート感あふれる感じなので、先輩きっと読んでないですよ。ネタとしては面白いでしょうが」 『ああ、そういうの嫌い。納得した』 ワンピースのように完全ファンタジーものなら許せるのだが、オレはテニ○リのような、現実世界の話なのに、ありそうでない非現実的なちょっとした能力持ちという設定が嫌いだ。 天才は存在してもおかしくないから問題ない。 でも絶対ありえないだろう!!っていう技を平気で繰り出すスポーツ漫画とか嫌いだ。 ここは現実だ!有り得ネェだろ!っといつもツッコミたくなる。 金田一少年の事件簿は許せても、コナンは許せない。あのレベルである。 めんどくせーことに、どうやらオレはその有り得ないスポーツ漫画の世界に来てしまったらしい。 ここで重要なのは、原作における自分のキャラのポジションだ。 もちろんオレの希望は―― 『おい、火神。オレはモブキャラだよな?』 「・・・えーっとですね。脇役でさらっと登場するキャラに、先輩そっくりな奴がいたようないないような」 『いたんだな』 「やっぱごまかされませんか。まぁ、いるにはいたんですけど。貴方とはちょっと違うかなって。 第一に身長ですよ。アニメの火神とそのキャラとの身長差はそんなになかったのに、俺とあなただとけっこうあるな〜と。こうして本物の“花 宮”を目の前にして違和感がありまして」 『うわーい。脇役万歳』 「棒読みですよ」 『脇役で名前も出ないようなキャラだから、 “オレのまま” の名前で影響がでないんだろうな。名前だけじゃなくてオレの体質も大した問題はないと。 だから世界はまたオレの成長をおそくして、だからオレの身長はまた低いのか。 脇役だからか。 だから世界の流れに問題ないと判断されたのか。オレの体質は。 くたばれクソ神が』 「はは・・・(本当は花 宮真っていうちゃんとした有名キャラなんだけど。しかも平均以上の身長ハズ。だなんて言える雰囲気じゃない)。 むしろその呼び方だと、今の俺がくたばれって言われてる気分になるんですが」 『 “火神” だもんな。ドンマイ火の神様』 「それだけ!?」 『可愛がってほしいと思うならその身長をよこせカスが。オレより身長低い奴以外は庇護対象外だ』 「あんたは黒子か!!」 『クロコ・・・』 黒子テツヤ。たしか誠凛の無表情のやつ。 影が薄いと言われているが、普通に見えてるオレには周囲が言っているその意味がよくわからない。 そしてあいつの身長が、168cm。 今のオレより5cm高いが、この時代の男子高校生としては平均のハズ。 平成っこは外人のように背が高い奴らばかりでいやになるこのご時世、あいつは仲間だ。 『クロコ君はとてもイイコだよ』 思わずニッコリと満面の笑みが出た。 正面の190cm越えの火神がげんなりと机に突っ伏していた。 「・・・身長が近いからって」 『平均身長オーバー全員縮め』 「そこで “死ね” って言わないのが、先輩らしいですよね。最近の現代っ子はすぐに死ねとかいうのに」 『だれが言うか。死んだらそこですべてが終わりだ。 やるなら生かすよ。死なせてなんかやるもんか。 生きてるからこそ、痛みが分からんだ。だから存分に精神狂わせてやるよ。そんでもって徹底的に苦痛にのたうちまわればいい。仕返しってそういうもんだろ?ちなみに精神を壊すなんてまね、オレはしません。それじゃぁ、死んでるのと同じだし』 「・・・ゲスい。原作の花 宮よりめちゃくちゃゲスい!! けど、死んだらそこで終わりって、先輩が言うととんでもなく重く聞こえる!?」 『そもそも絶対に暴力はダメって言われてんだよ。 スクアーロに辞書とか身近なものを投げまくっていたら、山本とタメをはれぐらいの投球コントロールを前世のおかげでみにつけたんだけどな』 「ヤマモト!?ってあの【復活】の野球バカといわれたあの山本武ぃ!?まじっすか!?さすがXANXAS様!憤怒の炎は健在ですか?」 『あー・・たぶんできる。幼いころは、無意識に霧の死炎つかってたみたいで、たまに姿が前世のもんになってた。 大空の炎は使ったことないけど、霧の炎は使えたな。憤怒の炎なぁ、あれはわからん。そこまで覚悟するような事態に今までならなかったし』 前世ではXANXAS成り代わりだったけど、オレには霧の属性もあって。 だけどオレは記憶力がそれほどいいわけでもないためイメージ力が持続できない。そのため、 “自分がなったことのある姿しか” 幻術はつかえなかった。 つまりクロームたちみたいに他人を隠したり、姿を消したり、植物をはやすとかできないのだ。 でも大神の姿に戻ればまた植物ぐらいはやせるかもしれないが、まぁそれはおいおい試そう。 『頑張れば、ムクロたちみたいに植物の幻覚をだせそうな気もしないでもない。あ、狼とか猫とか九尾とかなれるぞ』 「幻覚使えるだけでこの世界では十分チートですから!!そもそも狼とか猫とか九尾ってなに!?」 『ああ。XANXASになる前は、ほとんど人じゃなくてなぁ。筆の付喪神だった時もある』 「ガチの人外だと!?やだこのひとチートだ!!ひどいチートがここにいる!!」 ナナコ助けて!と叫ぶレイに、こいつバカだろうかと冷めた視線を向けてしまった。 だって、薬売りの弟子で妖怪退治していた奴に、チート扱いされたくないわ。 さらには今の火神の肉体も普通の日本人高校生の物とは思えない。 お前の方が十分チートだと思う。 そもそも転生をたくさんしたからといって、それほどチートなわけでもない。 体力や筋力が人以上あるわけでも記憶力がいいわけでもない。前の技が使えるかと言えば、死ぬ気の炎も些細なことにしか使えないし。忍者だった時の技は皆無だ。オレの場合はただ経験値が多いから、いろんなことに臨機応変に対応できるってだけで。 だからそんなにさわがれてもなぁと思うんだ。 前世がいっぱいあるのはいいことだろうか? 記憶があればだれでもチートになりうるのだろうか。前世の能力なんかほとんど引き継いでないとしても? そもそもオレは火神のように、医者いらずなわけではない。 薬草から薬を作れてしまう方がすごいと思う。 人の役に立つしさ。 ずー。っと、コーヒーをすすりながら、火神の姿のレイを観察する。 いい、筋肉だよな。 あの腕で、薬とか作れちゃうんだぜ。 すごいよなぁ。 レイって、自分を下にみすぎなんだよ。 オレなんかじゃできないこといっぱいできるんだから、もっと自信持てばいいのに。 『・・・ま、でも。前世の記憶があるってのも微妙だよなぁ』 「先輩?」 『それでつい今世も口癖が「カス」だし。キレたときXANXASのときみたいに、側にあったものを投げちまって、怒られたんだよ。 ものをなげつけるのはよくないって。 “きよし” に言われた。投げるならこれを投げろとバスケボール渡されたのがそもそもバスケやるはじまりだったかな』 コーヒーをするりながら、子供のころを思い返していれば、目の前の火神がキョトンとした顔をしている。 どうした?と首を傾げれば、ハッと我に返ったらしい火神がわたわたしはじめる。 オレ、なんか変なこと言ったか? 『レイ?』 「・・・・・・は?え?あ、すんません。ぼーっとしてました! えっと、あの・・いま、いろいろツッコミたいところがいっぱいあったんだけど・・・とりあえず、 “キヨシ” って・・・まさか誠凛の?木吉先輩のことですか!?」 なぜそっちの名前が出てくる。 あいつの顔を思い出すだけで、ムカツク。 思わず顔をしかめたら、レイがヒィー!と悲鳴を上げて縮こまる。 「先輩やめて!!怖い!いたい!殺気イタイぃー!!」 『フン』 青い顔をして泣きそうな顔をしてくるので、殺気をおさえ、でもまだ虫の居所が悪くて、ほっと息をついている火神から視線をそらしてやった。 そのまま視線を合わせないようにそっぽをむいて、コーヒーにくちをつけてごまかしてみる。 「っで。どういうことなんです?もしかして幼馴染フラグか無冠は仲良しとかそういうオチですか?」 『アニメはでてこなかったかのか “きよし” のこと』 しばらくたっておちついたらしい火神から、話を蒸し返された。 というか、“キヨシ”だと名前を連呼しているのに、火神に通じない。つまり清志は、原作ではオレと同じモブということだろう。 あるいは、原作では清志と“花 宮”との関係が、なかったということだろう。 しょせん、モブはモブでしかなく、主人公のように細かくは紹介されはしないよな。 『ま、オレってモブらしいから当然か。 っていうか、お前んとこのあいつと一緒にすんじゃねぇ、胸糞わるい。 きょー兄 ってオレは呼んでる。オレの幼馴染みで宮地清志。 あ、でもアニメだと、黒子が主人公なんだよな。なら、きょー兄 は、モブの友とではなく、誠凛の敵か、“キセキ”収得した学校の先輩ってポジションかも。 ま、いままでの世界でも原作とかいたるところでぶっ壊してきてたみたいだから、今回もどうせどっかで《世界のシナリオ》とか壊れてんじゃね?オレがいると 《世界のシナリオ》 は崩壊するらしいし? それに原作とか興味ないし。オレ的にはどうでもいいけどな』 「え?」 『だから “きよし” 。宮地清志。オレより1個上の秀徳のやつ』 その後、火神な 〈レイ〉 が、雄たけびをあげたので、手元のチョコパイを奴の口につっこんでだまらせた。 ほおをリスのようにふくらまして、それをモゴモゴ食べるあいつ。 そのまま奴を席につかせ、口のものを消化するまでに、暇だからとオレは当の きょー兄 をメールで呼び出した。 キラキラした蜂蜜色がきて、定例挨拶のごとくオレの頭をワシャワシャと撫でる清志に、また火神が絶叫を上げて驚いていた。 それに清志が「うるせぇ轢くぞ」と、火神をだまらしていた。 火神がそれをみて「原作キャラキター!」とないて喜んでいた。 もしかして原作では、オレはモブだけど清志はとてもよくでるキャラクターだったりするのだろうか。 なにそれ。さびしい。 ま、どうでもいいけど。 とりあえず。 清志も交えて、作戦会議となった。 議題は、どうやって霧崎にかけられた誤解をとくか。だ。 だって誠凛との試合が近いしー。 レイに事情を説明したら、あいつ思いっきり噴き出した。 「せ、先輩。不幸度がアップしてる!!!うけるっwwwwwす」 『・・・・・』 お前はニンジン色ジャージの緑の相方か!? 声には出さず、視線だけで突っ込んでおいた。 そうしたら、目つきが悪い。人を睨むんじゃネェと清志に頭をはたかれた。 理由がたくさんの勘違いだと知っていながら、火神はオレに「ラフプレーはしないほうがいいですよ」と笑いながら言ってきた。 なぁ。 なんかいろいろさ 解せぬ。 :: オマケ :: 清「あまえたがりやなんだよ」 火「アザナ先輩が?」 清「そう」 火「・・・・・・ああ、そうか。明日は槍が降るのか」 清「火神。目が死んでる。アザナ、お前こいつになにしてきたんだ?」 字『あげておとす遊びに付き合ってくれたいいおもちゃ』 清「ほどほどにな」 火「いやいやいやいや!!とめろよ!あ!ください!!お願いですキヨ先輩とめてください!このひとの悪行は悪行に見えないところなんです!精神的に来るんです!俺をいじめるのが好きなんですこのひと!」 清「なに、おまえ。そんなことしてたのか」 字『した、かな?覚えてないな。まぁ、レイっていじくりがいがあったから』 清「ああ、それはわかるわ」 火「!?」 清「日本に帰ってきたそうそうアザナと再会するなんて大変だろうが、コッチにはこいつを上回るサトリという妖怪がいる。ガンバレよ火神」 火「もうやだ・・・アメリカ帰りたい」 U←BackUTOPUNext→U |