勝利は誰の手に |
誰が事件を解決するか…というオハナシを作りたかったが、事件が発生する前段階までしか書けなかった。 しかも、なぜかいろんな話に会話が飛んでしまう。 場面ごとに勝利者か違うよなぁ〜ってハナシになってしまった。そんなハナシ。 ---------------------------- 【 side 山崎 】 部活も所属も同じだと、ほとんど一緒にいるぐらい仲良くなるものだ。 俺たち霧崎のレギュラーメンバーは、それにあてはまるとおもう。 原「はっな、みーやー!明日ひま?暇だったら遊ぼう!」 花『だきつくな原。明日・・・か』 原「だめ?」 花『かまわないが、どこにいくんだ?』 古「花 宮が行くなら俺もいく」 原「じゃぁみんなでいこう!」 瀬「古橋は相変わらずだな」 山「っで?どこにいくんだよ」 原「○○駅前からいけるモールあるの知ってる?でかいやつ。あそこで菓子の安売りしてんの!ガム買おう!」 山「お前は菓子が目当てか!?」 瀬「本屋もあったな」 原は菓子。 瀬戸は本屋。 俺はスポーツ店と、できれば日用雑貨。 古橋は家電製品。 花 宮は――ああ、あれはダメだな。相変わらずくすぐったそうに笑うその優しい目をみて納得する。こいつは俺らの保護者気分に違いない。 っと、思うに古橋よ。 お前、一番怪しい。家電って・・・そこで何を買う気だ? 古「なにって花 宮の記録があふれそうだから、そろそろ大容量で高画質のデジ・・・」 山「いや、もういい。おまえはしゃべるな」 いつものメンバーでいくことになったショッピングモールは、全体的に大きな店舗が多いので、それぞれがそれぞれの目的をいっぺんにかなえることができそうだ。 そんなこんなで決まった日曜日。 俺達霧崎は、どこぞやの強豪校とはちがって、花 宮の方針で適量適度に休んでいる。 土日までバスケをしたりしないし、部活の時も時間を区切って休憩が入る。 そのまったり感が、もう茶会と呼べるレベルだったりするがそこはそれ。 そうして今日も息抜きとばかりに遊びにきた。 花 宮の服センスが壊滅的なのを知っているので、俺は宮地さんになんとかしてくれと連絡を入れた。 たぶん、変シャツは着てはこないだろう。なにより体育館とは違って、外はまだ冷たい風が吹いている。Tシャツではないはずだ。 ・・・・・・ないと、祈ろう。 日曜日。 若干花 宮のセンスにおびえつつ、人ごみをかきわけて、待ち合わせの広場に向かう。 山「はよ」 原「あ。ザキじゃん!ナイスタイミング!一緒にいこー」 山「おー」 待ち合わせ場所につく前に、いきいきとした原と合流した。 待ち合わせ場所にいけば、すでに花 宮がいて、建物に寄りかかりながら本を読んでいた。 その本が、何語かわからない言語でかかれているのはいつものことだ。 山「きっちり10分前にはいるって、相変わらずだなぁ」 ああよかった。 今日はまともな格好だ。 これは宮地さんに連絡しといて正解だったかもしれない。 花 宮の恰好は、普段の怪奇Tシャツばかり着ている変人とは思えないほどおしゃれだった。 濃い灰色のジーンズに、黒と白のシャツ。薄手の臙脂色のロングカーディガン。 その上にふんわりとした白っぽい灰色のストールをこじゃれた風に三角巻きにしている。 花 宮に赤系統も似合うのだと知った。 それ以前に、あのカーディガン。ロングってどういうチョイスなんだろう。腰もすっかり覆うようにながいそれのボタンをしっかり前でしめているせいで、体格が分からなくなっていて、女性のワンピースのようだ。 しかもスカーフがふんわりと首元を覆うせいで、喉仏や襟元は見えない。 むしろ性別不明の粋を超えて、男らしさがかけらもみえないが。 少しボーイッシュな女性と言っても信じられる。 まぁ、いいか。 とりあえず、まともな格好に、俺の横からもホッとしたようなため息が漏れる。 原「よかったぁ。今日の花 宮まともだよ。俺、みゃーじ先輩に昨日の夜思わず電話しちゃった」 俺はメールだった。 つまるところ、結局、みんな考えることは同じらしい。 この調子だとみんななんらかの手段を使って宮地さんに連絡を入れてそうだな。 山「それにしても花 宮も"チャライ方"もどっちもよく気付かないもんだよな」 寄りかかりながら本を読んでいる花 宮は、長めの髪が顔を少しかくしていてあいまいな性別をさらにあいまいにさせている。 さらには本に集中しているため、顔はうつむき加減でトールで口元が隠れてしまっている。 そんな花 宮の性別を勘違いしたらしい男が二人、さきほどから花 宮に懸命に声をかけているのだ。 しかしそれに気づいていない花宮は、うさんくさい笑顔にも呼びかけにもいっさい応えず、反応一つ返さない。気づいていいないのだからしょうがない。 ・・・まぁ。そりゃぁそうだろうな。 だって花 宮は 原「あれってさ、花 宮自身は絡まれてることも気付いてないと思うんだよね〜おれ。 側に人がいるのは理解してるかもだけど。だって花 宮の奴、聞こえてないっしょ。髪の毛で隠れてるけど、いつものイヤホンしてるし。 それに気づかないでナンパしつづけるあいつらってなんなの?脳みそババロアじゃね?」 山「だな」 前髪でかくれていても原の表情がわかるようだ。 思わず俺も頷いてしまった。 花 宮は、赤と黒の二色からなるイヤホンをつけているのだ。 その色が髪の隙間から見えるから、ここからでも花 宮がイヤホンをしているのはよくわかるのに。 「ねぇきいてるの?」とか言ってる、あいつらバカだ。 花宮は聞いていない。 それに気付いてないとか。 本当に救いようがないアホだ。 「君、かわいいねぇ!」 「本なんか読んでないでさぁ。・・・うわーなにこの難しそうなの!?君って頭いいんだね」 「なぁ、いいだろ。俺達と一緒に行こうよ」 俺たちの学校が進学校すぎて会話の内容が高すぎるから相手が馬鹿に見えるとか、そういう問題じゃないだろうこれは。 これはダメなナンパだと思った。 あまりに強引すぎて、女性が嫌がりそうなことしかさっきからしていない。 きっと一度もモテたことがないだろうがゆえに、テンプレートの言葉しか出てこないのではないだろうかことがうかがえた。 花 宮を口説いていたのは典型的な、ナンパやろうだった。 その様は、いっそダメなナンパ師の見本のようだ。 にやついた馬鹿っぽい顔も。知性の欠片が皆無な会話も・・・すべてがあからさますぎて、頭の悪い女でも軽々とついていくのかが怪しいレベルの男たちだった。 これは絶対成功しない。ナンパだろう。 山「どうするよ原?花 宮の奴、またからまれてるぞ」 原「どうして花 宮って、変な服を着てないとよく女子と間違われるんだろ?」 花 宮がもてることなんか深く突っ込んではいけない。 そう思っていたら、ふいにズシリと肩に重さがかかった。 瀬「日本人は元来おたふくのような女性を美人といっていた人種だ。 平安時代は麿眉女性を愛していたらしいから。 日本人は本能的に麿眉にひかれるなにかが遺伝子にでも組み込まれてるんじゃないか」 前髪を下ろしたままの瀬戸が、少し眠そうにそこにいた。 なんで俺の肩によりかかるんだよテメェは。 おもいんだっつーの。 原「おはよー瀬戸」 山「おはよう。そしてドケ」 瀬「おはよう。そして断る」 原「まぁまぁ。それよりあれどうするの?助けなくていいの?」 肩にあごをおしつけてきて、今にも寝そうな瀬戸の頭を押しやってむりひきはがすのに格闘していれば、原がガムを噛みながら、 無言で読書を続ける花 宮とそれにだんだんいらだちをみせてきたらしいチャライやつらを指差す。 瀬戸は示された方向を見て、少し何かを考えるようなしぐさをした後、意味が分からないとばかりに首をかしげた。 瀬「助けるって"どっち"を?」 たしかに。 こういう場合、普通ならからまれてる方を助けるのがセオリーなのだが、いかんせん相手は 花 宮字 だ。 チャライ奴らがへたなまねして手を伸ばせば、まちがいなく一本背負いでもされて投げ飛ばされるか、足払いされたうえで蹴り倒されるのがオチだ。 その場合はまだいい。花 宮も子供のいたずら程度の認識で、説教をかまして放置するぐらいで解放されるのだろう。 しかしもしあいつらが、花 宮の禁句を言ってしまったら・・・。 ああ、そうしたら、花 宮、きれるだろうな。 きっと派手に頭突きとかをされるんだ。 そのあとに口でもって精神攻撃でもってプライドとかなにそれとばかりに地の底まで落とされるにちがいない。 考えても花 宮にやられるチャライ奴らの姿しか浮かばない。 だってあいつらなら、余裕で花 宮の逆鱗に触れそう。 無意識に言うに違いない。花 宮の禁句を。 きんくを・・・ 「君、"小さくて"かわいいね!ほら!俺の腕にジャストフィット!だからさ」 言った。 完全に無視されているにもかかわらず、抱きつきながら見事に"禁句"を言った。 俺と原と瀬戸は思ったね。 ああ、こいつらバカだと。 突然のことに驚いたのか花 宮が顔を上げ・・・。 ああ、あの顔は驚いてないな。 なんというかバカな子供にお小遣いを請求されてしょうがないなぁと苦笑するような。 原「まって花 宮!!それはお小遣いをねだってまとわりつて来る子供じゃないから!!」 瀬「ボディータッチぐらい想定内ということか?」 山「なぁ。いま、禁句・・・」 男たちにまとわりつかれ、ついに顔を上げた花 宮は、ニッコリと笑って、何かを言おうと口を開いた。 その口から何かが紡がれる寸前―― 「ぐふぉっ!?」 「あ!かっ!ぐっ!!」 「俺の花 宮に触るなぁ!!」 っと、死んだ魚の目を光らせて、俺たちの脇を風が張りぬけ男たちに向かっていった。 のだが。 花『誰が小さいだと?そう思うなら身長よこせよ。お前ら縮めよ』 地の底から響くような低い声がその場の空気を一瞬で凍らせる。 憎々しげに顔をゆがませた表情は悪童という名が可愛いと思わせるまさに魔王のごとき。 古橋が男たちと花 宮の間に割って入いるころには、ふたりの男たちは腹を押さえて悶絶して倒れていた。 その場には花 宮と古橋だけがたっていた。 どうやら笑顔は嘘だったようで、あのいらだちにあふれた表情は恐ろしい以外の何物でもない。 視覚できそうな殺気がピリピリと肌を焦がす。 痛い。 古橋は「さすがは花 宮だ!」と目を輝かせていたが、俺達は思わず顔が引きつって近寄れなかった。 ちなみに花 宮の側に火神がいるとよく「痛い痛い!」と悲鳴が聞こえるのは、花 宮からむけられる殺気のせいである。 だから言ってんだろ。 身長差は禁句です。と。 物理的に痛い目を見るのは言った側なんだ。 思わずこっちが理不尽だ!とさけびたくなるくらい、花 宮の身長へのコンプレックスはひどい。 花『ハッ!カスが!!身長縮めてから出直してこい』 安定の口が悪い普段の花宮だった。 黙って立っているときはもはや別人である。 古「さすがだな花 宮。俺としては華麗な花 宮の背負い投げがみれるかと思ったんだが。いまの掌底はこのあいだ火神にきいたという誠凛の11番の技の模倣だな。 火神の説明にあったような威力は出ていないな。改良の余地があるんじゃないか?だが花 宮には向かないと思う。手を痛めてしまう。やるなら、と・・・・・」 掌底か。 掌底なのかいまの。 眼にもとまらぬ速さというか、本気で見えなかった。 っで。男たちがたおれるとほぼ同時に、頭上からさっきまで花 宮が読んでいた本が降ってきた。 その軌道を見もせず片手でキャッチした花 宮は、何事もなかったようにパタンと本を閉じてそれを鞄へとしまう。 原の風船ガムが、前髪で隠れて見えないその感情を表すようにまたパァン!と割れた。 古橋が駆けつけたときには、本がないなとは思っていたんだ。 一瞬で本をしまったか古橋にでも投げたか、はたまた小脇にはさんで持っていたかと思ったが、そんな動作がなくて不思議だった。 そりゃぁそうだよな。花 宮バスケやってるときとかパス回しが得意で、手首の動かし方や使い方は俺らの中でも一番わかってるだろうし。 3Pきめるのうまいし、ティアドロップとかできちゃうし、なんだかんだいってボールを上に投げた方が早いけど。 だけどなぁ 原「なげた。なげ・・・みないで本を・・」 山「ああ、とったな」 掌底を食らわせる前に投げたのか!? 本を!? 投げたんだな花 宮!!! もう、お前いっそのことバスケやめて曲芸師に転職しろよっ!! なんでも投げるのやめろよ花 宮! 「投げるならボールを投げろ」と言い聞かせたっていう宮地さんの気持ちが今ならわかる。 古橋はっと・・・いまだ花 宮に何かを語りかけている。 長い。長すぎる。 花 宮だって、さすがにあれの半分は聞いてないだろうに。 瀬「・・・相変わらずの花厨だなあいつ」 山「あれを息継ぎせず一息で言い切る古橋って何者だよ?」 瀬戸が呆れたような目で、古橋と花 宮を見ていた。 俺の顔はさらにひきつった。 古「・・・・っと。そうだ。忘れてた。 ――おはよう花 宮」 花『ああ、よやく話しかけてきかいつまでそうしているつもりかとおもった。Buon giorno. これで全員そろったな、いくぞ』 ああ、気付いてらしたんですね。 さすが勘だけがいい花 宮字です。 原「ほ、ほらザキ、瀬戸。俺らもいこ」 それから原に引っ張られて、こちらをみて早く来いと視線を送ってくる花 宮と古橋のもとに駆け寄る。 その際に、花 宮の足元で悶絶中の男二名が視界に入ったが、軽くスルーさせてもらった。 だって宮地さんが言ってた。 花 宮一家とつきあうなら、こころをつねに正常にたもつ努力(スルースキル)が必要だと。 ナンパ男たちは、自業自得と言えど可愛そうに。 花 宮より身長が低ければ、たとえ禁句を言ってもこんな目には合わなかっただろうに。 そんでもって、勘にたけ、運動神経のよい花 宮の掌底でこの惨状なのに、これよりも誠凛の11番君の掌底の威力がすさまじいという話に恐ろしくなる。 試合でこんなのでパスだされたらどうしてくれるんだよ!! なにそれこわい。 こわすぎる。 もう、それバスケじゃねぇよ!! そう思った俺は絶対悪くないはずだ。 ポン。 山「瀬戸?」 瀬「考えるな」 顔に考えが出ていたのか、なにかを諦めるように達観した瀬戸の目と視線が合う。やつをみやれば、そのまま首を横に振られた。 ああ、これは・・・。 いや、もう考えまい。 + + + + + 花 宮と古橋と合流した俺たちは、とりあえず哀れなナンパやろうどものことから話をそらすべく視線を動かす。 そこで花 宮の頭の上で羽を休めている黒い蝶が目に入る。 山「おー。今日はロジャーさん、めちゃくちゃがんばったんじゃねぇの?」 花『帽子かぶぶろうとしたらとめられたのは、それが原因か』 原「ないわ〜それ。お花、ロジャーさんの苦労を水の泡にする気とか・・・」 古「今日のは少し髪を取って、編み込んであるよ。あとはいつもみたいにおろしてたから花 宮が気づかなくても仕方ない」 原「ほんと、芸が細かいよねロジャーさん」 どうやら原たちも俺の考えが分かってか、話をそちらへと持って行ってくれる。 それに話題にするだけあって花 宮の頭は、けっこうすごいことになっているのだ。 横の方から取った髪を反対側にもってきて反対側の髪を大幅にとり編み込んでいるので、 横から見るとちょっとカチューシャのようだ。 その髪の先端は、ピンでとめられているようだが、ロジャーと名のつけられた黒い蝶が、いつもどおり髪飾りのふりをしてくっついている。 これは男がやる髪形じゃないな。 ナンパやろう側からは蝶ごと編み込みがみえただろうから、完全に女子だと思ったのも納得がいける。 山「ぶっちゃけロジャーさんすごすぎ。ここまで自分の容姿や服に無頓着な花 宮の世話大変だなぁと思うわ」 古「むしろ宮地先輩のセンスがよすぎだろ」 原「あのひと、将来ファッション系の仕事が似合いそうだよね」 花『ああ、それね。朝起きたら清志家にいてさー。お前らなんか言った?』 原「はーい!はいはい!俺、みゃーじ先輩に連絡した!」 山「あ、おれも」 瀬「今日でかけるって言ったな」 花『それか。朝から母さんと清志が服について言い争ってるから何事かと思った』 花 宮の言葉に、あの花母に勝った宮地さんに心から感謝した。 花 宮のおばさんって、本当に人の嫌がる顔見て喜ぶような人で。妖怪と言われる今吉さんさえ笑って手ごまにするような人だ。 おじさんはそれを理解していて、絶対とめないし。 だから花 宮も歪んだ性格になるんだろうが。 ああ、本当に宮地さん感謝!! 宮地さんが花 宮の側にいてよかった! 常識人最高。 花『だからスーツか制服でいいって言ってんだろ』 原「だめだったら!確かに制服は正装だけど!それはこういうときに着るのは違うんだって!」 山「そうそう。そうやって花 宮さ、制服とかスーツとか選ぶのも着こなすのもできるくせに。・・・・・・私服ダメダメだろ。ひとりで服を選べるようになろうぜ」 古「・・・こないだ。いかにもひとむかしの前の旧オタク風なダサダサな恰好をして、《みゆみゆラブ》とかかれたTシャツをきて、リュックからは巨大モフモフ人形が顔をのぞかしていた時の、 そんな花 宮を目撃した俺のダメージ具合を想像してくれ」 花『あ、あれは清志がイベントにいくからって着せられたTシャツで。リュックのはゲーセンの戦利品だし。上着はイベント会場の冷房が寒かったから清志からむしっただけだし。いつもあんな恰好してるわけじゃ・・・』 瀬「いや、普段から似たようなものだ」 山「俺なんか、俺なんかなぁ。アロハシャツにグラサンをかけた花 宮みたし」 原「ごめんね花 宮。俺たち、《弱肉強食》の文字背負った花 宮と一緒にネズミーランドとか行きたくないし、《いかにもさされたような絵がプリントされた血みどろシャツ》の花宮と町中を歩きたくなかったんだ。絵がリアルすぎて、あのシャツ着てると警察呼ばれるし、あれ」 花『人間の感性ってわかりづれぇんだよ。おしゃれってなんだよ?もうみんな制服でよくね?同じデザイン着回ししてるアニメとか羨ましい』 原「花 宮も人間だからね!!」 花『オレ、私服とかわかんねぇし。持ってるやつは全部母さんと清志が選んでくれたものだし』 ああ、本当に頭痛い。 花 宮ってたぶん頭いいはずなのに。 なんかずれてんだよなぁ。 むしろ自分が人間とは違うみたいなあの価値観はどこからくるんだ? 原「だーかーらぁー!今日は俺たちと一緒に洋服見に行こうって!」 花『めんどくせぇ』 瀬「しっかりしてくれ花 宮」 古「花 宮!俺がお前に似合う服を選んでみせる!」 花『めんどうだが、承知はしてる。 だからきっちり清志にこういうのがいいと、見本に服着せてもらったし』 山「あ?今日のかっこうって見本なんだ」 古「さすが宮地先輩」 そういえば今日の花 宮の服は、物凄くまともだ。 むしろちょっとおしゃれで。花 宮によく似合っている。 だけど花 宮本人にも花 宮母にしてもこんなよいセンスは持ち合わせていない。 やはり宮地さんあたりが奮闘したのだろう。 なるほどと納得しつつ聞いていたら、花 宮が不服そうに視線をそらし、うらめしそうに自分の服をひっぱってみつめていた。 服になにか問題でもあるのだろうかとみていれば 花『清志が・・・洋服を買って帰らなかったから、誠凛を家によぶっていうんだ。ありえぇねよ』 なるほど。なるほど。 嫌がった花 宮に、宮地さんも最終手段に出たというわけだな。 脅されてしかたなく洋服を選ぶとか、どんだけ人間を放棄しているんだよお前は。 原「・・・花 宮、あいかわらず木吉やあっちのマネ嫌いだよね」 花『ああ、嫌いだ』 山「さすがにあのマネはちょとな」 瀬「そこらへん歩いてるギャルの方がましだろ」 山「そうそう、マネの子よりカントクの方が可愛いよな」 原「あ、なにザキってば、ああいう子が好み!やるねぇーヒューヒュー」 山「はぁっ!?何言って!ちょ!ふざけんなよ!そういんじゃなくて」 古「ああ。そうだとも!誠凛の女子の不細工率は目に余る。とくにあのマネの匂いは、オーデトワレを超えてる。花 宮の方がいいにお」 山「お前はだまれ古橋」 原「おーでなんとかって?」 瀬「香水の種類だな。オーデコロンは持続時間が1〜2時間。オーデトワレは2〜5時間。オーデパルファンとパルファンは…たしか5〜12時間くらいだったか。 香水はどれだけにおいが残っているかの濃度がすべて違うからな」 瀬戸が頭がいいのは知っている。 古橋も・・・まぁ、花 宮のことをぬかせばまともだともうし、頭もいい方だと思う。 だけど男でそこまで香水について詳しいって、お前らの頭の中、どれだけの雑学知識が詰まってんだよ。 普通の男でそこまで香水に詳しい奴はいない・・・はずだ。 花 宮にきいてみろよ。 あいつだとてそんな雑学知識あるとは、到底思えない。 そもそも花 宮のことだ。 名前のごとく頭の中まで花畑でできていそうな、そのくせテストはすべて勘で挑むような奴が、まっとうに返事するとは思えない。 大丈夫だ。花 宮なら答えてくれる! 俺の考えに気付いたのか、瀬戸が自信満々の目で返してくる。 いや、なんなの、お前らの花 宮に対する過度な期待は? 絶対お前が思うより花 宮頭良くないと思うぜ。 とりあえずきいてみれば?と顎でうながせば・・・ 瀬「花 宮だって香水の知識ぐらいあるだろ?」 まじで聞いたよ瀬戸の奴。 べつにいいけどさ。 花 宮はそれに特徴的な眉を寄せ、意味が分からないというような表情だ。 花『時間とか名前はわからなくても。くさいかそうでないかの、匂いの差ならわかる。 人間の作った香水って、猫とかにはすげぇきついんだ。香水、あんまりつけないほうがいいぞ。猫かわいそうだし』 霧レギュ「「「「・・・・・・」」」」 猫かよっ!!!! 花 宮!お前、人間より猫を取るのか!!! ああ、そういえば、いつだったか公園で猫と戯れてたよなぁお前。普通の動物には結構な確率で逃げられる癖に。 あれ?あのとき猫としゃべってたか? ・・・・・なぁ。花 宮って。 原「は、花 宮さ!これから洋服買いに行くじゃん!?ちゃんとお金持ってきた!?」 どもりつつも原が頑張って会話の修正をはかった。 花 宮はどこか人間を逸脱した思考回路だから、こうやってたまに軌道修正しないとどんどんずれるんだよなぁ。 とりあえず。 ナイスだ原ぁ!! お前にはあとで菓子を奢ってやろう。 原「お金はある?」 花『食事や本よりも高いんだろ?それぐらいしってるっての!』 山「昼飯代もったいながってパンとかめったに買わず、いつも手製の弁当を持ってきてるやつが・・・よくやった花 宮!」 古「花 宮、こういうときぐらいケチるなよ。洋服は高いものだ」 瀬「そうじゃなきゃ、ケチな花 宮が出費するとも思えないよ」 花『大丈夫だ。事情を説明したところ、昨日母さんが小遣いをいつもより多めにくれた。 オレはともかく。ザキは大丈夫か?』 山「え?なんで俺だよ。今日は花 宮の買い物のつきそいだろ」 花『いや、なんとなく?勘だ』 霧レギュ「「「「・・・・・・」」」」 瀬「ザキ・・・サイフ確認した方がいい」 原「ザキ、財布持ってる?サイフの中にお金はいってる?」 古「花 宮の勘はあたるからなぁ。確認した方がいいな」 山「・・・・・・サイフはあるが、中身が心もとないな。今日の夕飯の買い出しも頼まれてたのにこれじゃぁ無理だな」 原「まずは銀行だね」 山「わるいな」 本当にな。花 宮の勘ってあたるから怖いんだよ。 ああ、俺のサイフは花 宮の予言通り、スカスカしている。 心もとなさ過ぎだろ。 ってか、花 宮ってさぁ。 本当に何者なんだろうな? 「勝利は誰の手に2」へつづく→ 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