有り得ない偶然
++ 花火乱舞 ++




乗っ取られたのはなにか?
※時の政府事情。審神者について。刀剣男士と霊力について。などにいろいろ捏造設定あり!!

<あらすじ>
・審神者は転生者【モノノ怪】薬売りの弟子→【P4】主人公→【黒バス】火神。
・火神成り代わり主の審神者名「火凛」。
・「六」という名の三日月は、火凛の初期刀。
・前話ブラック容疑から数年後。
・現在の火凛の本丸には、刀剣男士が全振り揃っている。
・高官のお嬢様が火凛のところへ見習いへやってきたゾ。
・見習いお嬢のっとる気満々(笑)
・しかし火凛の刀剣は呪具に掛かってない(本丸に【モノノ怪】仕様の札が貼ってある)
・見習いに来る流れからのっとり宣言まで割愛
・一部、三日月のセリフに!と?の乱舞が出ます。ご注意下さい。

◇霊力差、( )は霊力の喩え
・字→元神様だから霊力+神力言わずもがな(奥地の清められた川)
・火凛→前世のトリップ云々で霊力が豊富(どっしりとした山の空気)
・見習い→“慢心せず磨けば”かなりの霊力。現状は標準な審神者の霊力値(ダイヤモンドの原石)
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高官の、お嬢様が、審神者《火凛》の本丸にログインしました。
ゲーマーが目を輝かせてスタートボタンをおしたようです。

ゲートをくぐった麗しい女性は、その豊富な胸をボヨヨンとゆらしながら、胸を張り宣言しました。

見習い「今日から此処は私の本丸ですわ!とはいえ、私には慈悲の心というのがあります。火凛様、貴方は見目が宜しいから私の小間使いとして本丸に居させて差し上げます!」







< side 火神 成り代わり主 >







唐突で申し訳ないが結論を言う。

巷で噂ののっとり宣言されました!!!

ゲートから一歩はいり、ゲートが閉じた瞬間の宣言でした
はえー。
乗っ取りとかって、普通は、刀剣男士をたぶらかしたり懐柔したり、本丸の主を追い詰めたりとかそういう前置きがあるんじゃないのか?!
初っ端からって、なんて堂々としてるんだ。

ありすぎる胸を張って意気揚々と俺に宣言する見習い。
いやー、まさかのテンプレのっとりがやってくるとは。本丸運営はや数年。自分も有名になったものだ。
ああ、でも・・・難民にならなければ、たいがいは数年経てば、刀剣男士がひととおり揃うからなぁ。俺もその部類だし。まぁ、結局全部そろってるから、そこを狙われたのは間違いないよな。

ただ、周りが見えてないのか鈍いのか…このお嬢さん、一瞬で空気が氷と化して俺の刀剣男士達の視線が鋭くなったのだが、その視線を真っ正面から浴びているのにもかかわらず、どうやら彼らの変化に気付いていないようだ。
そんな空気の中、誰よりも先に言葉を発したの、俺の初期刀の三日月宗近“六”だった。

六「愚かな」
習「三日月様?」
火「六……」

六「おぬしのその思考、断じて許せるものではない」

六はユラっと立ち上がり、愚かと吐き捨てた六は苦々しく見習いのお嬢さんを見やる。
見下ろした六はさぞかし威圧的だろう。
なんか迫力がハンパナイ。
真顔だし。

そして――


六「最初から刀剣が揃ったものなんてどこが良いというのだっ!!


習・火「「は?」」

思わず俺と見習いのお嬢さんと声が揃った。
いや、だって。予想外だぞその言葉!てっきりお前なんか主じゃない!火凛だけが俺の主だ!!とか言ってくれるものとばかり。
なにがどうしてそうなった!?

六「最初から刀剣全振揃い、尚且つカンストを求めるなどぬるい!!ぬるすぎるぞそなた!!
なぜスタートボタンを押す前に裏技攻略サイトを見てしまった!!!そんなゲーマーとしてはありえないことだ。ああ、なんてつまらなすぎる人生か!!
全て揃ってるのが私に相応しい?それこそ否やっっ!!!!
一から育てて他の本丸と違う自分の刀剣男士が居るのが醍醐味ではないのかっ?!
初期刀を悩みながらも選び、初鍛刀でどの刀剣が来るかのドキドキ、ゆっくりと絆を深め己の色に染め上げてこそ面白いというのに!
狐難民っ鶯難民っと嘆きながらの力を合わせて出陣周回や鍛刀も良い思い出!
その苦難から目当ての刀剣が来たときの歓び!
勿論ブラック本丸は除外だがな!あれは参考にするな。
ごほん。話は逸れたが、最初からお膳立てされてはこれからの楽しみがなくなるであろう!!
レベル上げも呪具で好感度も最初からMAXでは、やることもない作業ゲーではないかっ。
そもそも、そなたの本分は何だ?呪具で意思を縛り付けたイケメン人形遊びが好みか?それとも好感度MAXから徐々に刀剣男士の好感度下げるのが目的と申すのか?( ゚д゚)ハッ!それはなんと斬新な乙女ゲーーーー」

火「お前に育てゲーとかやらせていた俺が悪かったから、その容姿で熱弁すんな!お嬢さんどころか他の刀剣が引いてんだろ!あと、俺とお前達の本分は時間遡行軍(検非違使)との戦いだからなっ」
六「育てる観点では、俺は光源氏を尊敬するぞ?」
火「思い出したかのように平安刀主張されてもなっ。ほら、育てるって言葉で他の刀剣男士が震えてんだろっ!」

見習いのお嬢さんも六を除く俺の刀剣男士達も、震えながら静まり返っていた。
本来の三日月宗近像とかけ離れ過ぎていたのだろう。
見習いのお嬢さんは「え?」としか言葉にしていない。
思考処理が追いつかないんだろう。
なんだか申し訳なく思う。のっとり失敗にするとしても想定外だろうからな

審神者になって数年、とっっくにカンストして近侍以外はゲームに時間を充てていた六は、最近育成ゲームにはまっている。
ポケモンやら牧場(内番の畑仕事含み)やらジャンルは手広くプレイしていたらしい。
それがこんなところであだとなろうとは。

見習いのお嬢さん胸大きいし、化粧濃いゲフン・・・おしゃれだから、たぶん美容とかは興味あってもこういうオタクっぽいの嫌いだろうに。
なのにこんな三日月にせまられちゃって。
おかしな育成論をかたられちゃって。
そりゃぁ、ひくわな。

六は一息つくと、先程よりはトーンダウンしながらもうつむいてふるふるしている見習いのお嬢さんに忠告をはじめた。

六「どちらにしろ主の今の本丸だと検非違使が当たり前のように出現するが、審神者レベル初心者のおぬしが戦えるのか?
今から新規の本丸を貰うほうを初心者には奨めるぞ。
検非違使が出ぬからな。
おぬしはゲームの説明書読まないでハードモードから突入するのを好むタイプか?
それは何と猛者なプレーヤーだ… いや、すまぬ。余計な進言だったか」
習「え?けいび、いし・・・」

六の言葉にさげていた顔をガバリとあげるお嬢さん。
その顔は青い。
そういえばもううちのマップだとほとんど検非違使が出没するな。

今更過ぎるが、六よ。
真面目な顔して、普通の三日月らしいおっとり爺を演じても遅いぞ。


その後、六は検非違使についてあることあることを正直におしえこみ、見習いに恐怖を植え付け――
そんな怖い目に合うのはかわいそうだと親身になりながら・・・熱心に育てる醍醐味を朗々と語り続けた。
いつから話はゲームの話にそれていたのだろう。
もう俺には六がわからないよ。

それからすっかり六に洗脳されたお嬢さんは、六にてをひかれ本丸へ。
え?研修の間付き添うって?
どうしたんだ六!?お前らしくないぞ!



っと、おもっていたら。

六は自室へ彼女を誘導すると、(六の自前の)ゲーム機をとりだし、なかから選り抜いたゲームを見習いお嬢さんにやらせていた。
おいぃ!どこまで洗脳するつもりだお前!

――結果。

習「私が間違っておりました。
火凛様、此度の無礼をお許しください。
育てるのがなんと楽しいことか。早速一から出直しますっ」



そう謝罪して、彼女はここで一か月しっかり審神者としての研修を受け、新たな本丸へと巣立っていった。





後日談であるが、彼女は初期刀を加州清光にしたようだ。
そして六の洗脳が功を奏したのか、デロンデロンに愛情を持って育てているらしい。
しかし教えたのはなにもゲームバカではない、本性は刀を地でいく戦闘好きな六である。
そのせいか……彼女はしっかり審神者としてやっているらしく、甘やかすだけでなく、錬度上げ(レベリング)もきっちりとこなし、愛されたい刀の加州と良いコンビらしい。
短刀から薙刀まで部隊を組み上げ戦略を練る楽しさ、どの刀剣男士が来ても嬉しいとの文をくれた。
その一方をめにした六が、「今度見習いに“信長の野○”でもプレゼントするか」とつぶやいていた。
お前どんだけ昔のゲームにまで手を出してるんだよ。

なお、久々にお嬢さんに会ったときは、見違えるほど霊力も姿勢も研かれていた。



元見習い「加州マジ尊い。うちの子達マジ尊い」
火「……………変わったなぁ」






* * * * *






俺にもついに見習いが来たんですよーと。俺が見習いの時に世話になった花宮字先輩のもとに報告した。
ついでにしょっぱなからテンプレの乗っ取りでしたが、六が彼女の脳みそのっとり返してましたーと笑って告げておいた。

花担「ああ、火凛さんの刀剣男士ですねぇ」
花宮『お前らしい(真顔)』
火凛「解せぬ」
花担「花宮さんはイレギュラーとして。そんなのっとり事案の中じゃ聞かない解決法ですよ。いえ、六さんだけじゃなく、その彼女さんのこともです。
それにしても和睦…というか趣味仲間として引きずり込むとは、六さんの手腕が恐ろしいなぁ。
ふふ、こわいこわい。茶と饅頭がこわいってねぇ(笑)」
火凛「・・・いまは貴方のほうがこえぇーっす」
花宮『のっとり返しかー。しかも思考の乗っ取りとか。フハッ。ずいぶんおもしろそうじゃないか。
おもしろいといばあいつだな。おーい鶴丸呼べよ。あいつに伝授してやれよ』
火凛「お断りです!」
花堀「そうだよねーうちの鶴さんは言葉で説得するより、物理派だもん♪面白味がないよね」
花姥「主が乗っ取りをされたらその時点で見習いの命がないものと思った方がいい。長谷部よりひどいぞうちの鶴丸は」
花兼「はは。それにしても天下五剣としてではなく、ゲーマーとしての矜持で説き伏せるとは、六のじっさまもえげつねぇな。俗世の染まりっぷりが流石だ」
火凛「それ、貴方(銀/魂出身兼定)とホリさん(銀/魂出身堀川)に言われたくないっす」
花担「そういえば六さんは英語も習得したんだってねぇ〜。ヒアリングも完璧なんだって?こりゃぁ、まいりましたね。自分、刀剣男士に負けちゃいそうです。英語苦手なんですよねーもっと勉強すべきですかねぇ?」
花宮『黒井さんは黒井さんのままでいいだろ。
つか、それな。うちのツッキーズどもが笑顔と真顔で固まっていたな。チカなんか、主のために俺も勉強する!とか言いだして、三日後には抜け殻になってたわ。フッシーが苦笑してたな。
っで、お前のとこの三日月は国際派でも目指してんのか?』
火凛「目指してはいないっすけど・・・なんだろこれ。あれって俺の影響っすよねー(遠い目)」
花宮『だろうな』
花担「でしょうねぇ」

そっから、アザナ先輩とその担当の黒井さんが、何語かわからない言語で会話してた。
それ英語じゃないよな!?イタリア語?・・・え!?ちがうの!?
英語しゃべれないとか嘘だろ黒井さん!!

黒井「いや、英語しゃべれないってだけですよ」

「は」ってなんだよ!!
あの転生しまくってる字先輩の言語が分かるとか。それだけで十分だろ!

つか、やっぱり黒井さんって何者!?





ちなみに。
こんな謎言語で会話も可能にしちゃうハイスペックな二人を見て思う。
生粋の日本生まれ、ただし米国圏とのハーフの審神者さんにこの前会ったなんて。
その審神者さんが、うちの六に英語で話しかけられてタジタジ(涙目)だったとか・・・言えない(汗)
そのひとの名誉のためにも!!!

六「《おぬし、異人審神者か?ずいぶん派手な色の髪をしておるの》」
ハーフ「へ、へるぷみぃぃぃ!こんな三日月知らねぇっっっ」
六「はっはっは。help meだぞ。発音は」(ニコニコ)





 




< 注 釈 >
『』・・・花宮字の会話の特徴。意味はない
《》・・・英語








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