大神サマの演練! 僕らは審神者だ |
※時の政府事情。審神者について。刀剣男士と霊力について。などにいろいろ捏造設定あり!! <あらすじ> 花宮成り代わり主が、審神者。 花宮成り代わり主の前世は、【大神伝】のチビテラス。【銀魂】の土方。 火神成り代わり主が、見習い「火凛」。 「六」という名の三日月は、火凛の初期刀。 なぜかレア刀しかでない花宮本丸。 花宮成り代わり主の神気が本丸という閉鎖空間にたまりすぎた結果、花宮は大神(犬)化してしまった。 それをさにちゃんにアップした投稿初心者鶴丸のせいで、ブラック容疑が加速(笑)。 なんとか自力で人間の姿にも戻れるようになった花宮だったが・・・ --------------- < side とある審神者 > 最近、演練で大きな白い犬を見かける。 周りに笑顔の刀剣がいるから、きっとあの犬も審神者なのだろう。 「猫耳はやしたひとや、髪の色が奇抜な人とか、翼をはやした人や、恐竜っぽいしっぽはやした異人審神者はみたことあるけど、まんま獣の姿の審神者って初めてだよ」 大の大人を四つん這いにしたよりもはるかに大きな白い犬は、赤い模様を身体の部分部分を彩り、尻尾だけは墨にで染めたかのように先端が黒い。 たまにものがかわるが、たいがいは背に炎を纏う鏡を背負っている。 歩いた場所では花が芽吹き、走ればその巻き起こる風が花びらを纏わせる。 ある種の審神者は、その巨大な犬を見て感嘆の声を上げて会えたころを喜び、笑顔で首を垂れる。 演練場を運営する別の付喪神たちもあの犬を見ると、傍に走り寄ってほおづりの挨拶を交わす。 「ああやってちさいきものには幸運をわけてるんですよ。さすが大神」 「大神は大神でもJrの方だって」 「ああ、Jrかぁ。あんなに小さかったのに立派になって」 「たしかゲームの製作者が、チビテラスは“前作のアマ公に比べると少々人間臭い所がある”って有名だったなぁ。 つまり初代より感情豊かだし、人間きらってないし。力はめっちゃつよいし、しゃべれなくとも人間の言葉は理解してくれるし・・・ってことで、この世界の政府につれてこられたと。 ・・・・・なぁ、この世界の政府ってやばくね?」 「無責任ではあるよね。自分の世界から誘拐して審神者にするのがダメになったとたん今度は関係ない異世界から、こっちの世界を守てくれって。ちょっとアレだよな」 小耳にはさんだ最後の話は、まぁ・・・・・まぁちょっと、うん。たしかにアレだけど。 と、とにかく。 つまるところ、あのワンコが演練に来ると、ゲームオタクたちの歓声がすごいわけだ。 どうもあの犬は、とある世界では《オオカミデン》というゲームの主人公らしい。 どうみても赤いペイントした巨大な犬だけどな。 《オオカミデン》というぐらいだ。あれは犬ではなく、きっと狼なのだろうな。 この世界とは別の世界では、漫画やアニメのキャラクターが生きる原作によく似た世界が存在しているらしい。 もちろんそんな別の世界から連れてこられた時点で、ふつうの人間であれ彼らは〈異界審神者〉とよばれるわけだが。 そういえば《くろこのばすけ》というスポコン漫画が別の世界にはあって、この世界の過去の平成あたりがその漫画に瓜二つの人間が多くいるのだとか。 その主人公の敵役のバスケ選手によく似た審神者をみたとか・・・・まぁ、チャンネルなどどこまで信じられるかわからないが。 だからあの白い犬が、別の世界ではゲームの主人公である――というのも、まぁ、うなずける。 そういえば、なぜゲーマー審神者たちは、白い犬にお辞儀をするのだろう。 おや。またひとり犬の審神者に声をかけている。 彼も一度首を垂れてから話しかけている。 「わふっ!」と声が聞こえたが、どうやらテレパシーか何かでやりとりしているようで、ふつうに犬に話しかけて、 人間の方の審神者は一喜一憂している。 「わーありがとうございます大神サマ!」 審神者が声をあげると、犬はしっぽをふって審神者の広げた腕にみずからすりよりモフらせている。 目を細めて尻尾をたくさんふっていることから、気持ちがよいのだろう。 うん。みてるぶんには和む光景だ。 「神様だからな〜思わずお辞儀しちゃうよな」 「あいさつしてもらえると幸運玉もらえそうで思わずしちゃう(笑)」 「刀剣男士たちにとっては、大神サマって“母親”ポジ?」 「あーそうなるかもね」 よくわからない会話だ。 とりあえずやはりあの犬は、狼らしいってことしかわからなかった。 あと、あの狼に触るといいことがあるっぽい? 今度触らしてもらおう。 その日の試合では、狼審神者のキリリっとした三日月が、「このチカは、1番目ゆえ。主に恥をかかすわけにはいかぬのでな!」とめっちゃ無双して誉を勝ち取っていた。 なんだあの三日月の忠犬長谷部のような、それでいてハイスペックイケメン具合は。 うちの三日月なんて、要介護必須な、働きたくないでござる2号だぞ。通称「縁側の怪異。お茶がうまい2号」ともいう。 ちなみに働きたないでござる1号は明石国行だ。縁側の怪異お茶1号は鶯丸だ。 「あ、あの・・・主君。あのあちらの審神者様にご挨拶に行っても・・・」 うーむ。 うちの刀剣まで、なにやらもじもじしながら、チラチラあちらをみている。 みんなあのモフモフがいいのだろうか。 というかモフモフならうちの獅子王の鵺で勘弁してもらえないだろうか。 それともあれか。モテル要素はあの毛深さだったりするのだろうか。 ・・・それは、さすがに種族柄、勝てないなぁ。真似もちょっとできそうもない。 自分?自分は無理だ。 小狐丸ほどよい髪(あれは毛なのか髪なのかわからんな)質でもないし、たぶんあそこまで伸びないし。 人種の問題で、黒人さんの髪は固くチリチリチしてるからのびるまえにきれてしまうそうだ。そのためウィッグをつけて長く見せてるのだとか。 自分の顔を見てもらえばわかるが、顔の色は見事な黒。そんな自分であるから、残念ながら自分はあのモフモフ審神者のような毛てきななにかはもとめられてもきっとこたえられない。 自分と違ってあの犬審神者は毛が濃くとも、きっと悪い審神者ではないのだろうから、まぁいっかと「あちらさんがいいって言ったらだよ〜」と釘を刺して見送った。 ―――ら。 あら不思議。聞いてきたのは五虎退ひとりだったのに、短刀でもない太刀のこまでかけていってしまった。 審神者ひとりになった。ちょっとさびしい。 ところでなんで五虎退は「母様!」と嬉しそうにかけていった? 「そりゃー刀剣男士は神とはいえ妖怪寄りのしたっぱだからなー。すべての神の母である大神様を“母”としたってもおかしくないさ」 と、いつ戻ってきたのか。うちの薬研が横にいて解説してくれた。 はは? ああ、あのこたちもそれなりに、親子みたいなものにはあこがれていたということだろうか。 というか、犬がお母さん役でいいのか? まぁ、自分には大きな胸もないから母親役は無理だ。 モフモフな毛があるわけではないから温かくすり寄ってあげるなんて芸当もできそうもないし。 とりあえず少し会話して許可が出たのか、あのモフモフ審神者に抱き着こうしていたうちのこたちだったが、あちらの笑顔の堀川国広が笑いながら審神者をガードしていた。 聞こえてきた声からするに、「主がよくても。これ以上うちの主に触るのは僕がゆるさないよ」とのこと。 あ、あの堀川ちょっとガッチポイから帰っておいで〜。 ほら、五虎退泣いてるし。 「ねぇ薬研くんや。あの堀川君どう思う?」 「他の個体より“兼さん兼さん”言ってないな。あと、あいつからの殺気がやべぇな」 「堀川君らしくなく、こうてきびしい子だよねぇ〜。長谷部っぽい?というかあの堀川君は忠犬?いや、でもこうなると意味が変わってくる?犬っぽく尽くすっていみじゃなくて、犬に尽くす?」 「・・・大将。他のやつがいる前で、あの審神者を犬と言ったら殺されるぞ」 「なんで?」 「あの方はまんま“大神”。あんな姿をしちゃぁいるが、最上級の上位神だ。あの御仁はときに幸福を与える。さわりたがるやつらは基本その 幸福を分けてもらおうとしてるやつが多いな。いや、あのさっきの審神者はただのモフモフ愛好家の御仁らしいが・・・」 へぇーそうなんだ。 やっぱし、犬じゃなくて、“狼”らしい。 違いがよくわからないけど。 それから堀川君に追い払われうちの子たちがもどってきた。 短刀は堀川が怖すぎると泣きながら、太刀はとてもしょんぼりしていた。 せめて挨拶をしたかったとつぶやいている。 あの念話てきななにかを試したかったのかもしれない。 念話、テレパシーってやつだよね。・・・うーん。それはいいなぁ。できれば自分もやってみたいなぁ。 今度、そういうのできそうな友達の審神者がいるから、次に会ったときにでもやり方を聞いてみようかな。 その後、うちの子たちがあの狼審神者と当たることはなかったが、まぁあたらなくてよかったんじゃないかって今なら思ってる。 だってブラック審神者だと思う三日月狂いっぽいやつが、「犬なんかに三日月を持たせるなんてとんでもない!俺がもらってやろう!」って言って、狼審神者から三日月をひきはがそうとしたんだ。 瞬間、狼はぶわりと毛を逆立てとびあがると、その一回のジャンプで距離を縮めたかと思えば――審神者めがけて尻尾をふった。 お尻向けて尻尾だけむけたっていみだよ。べつに犬がお座りして尻尾をうれしそうにふるあれとはちがうからね。 まるで尻尾かは刀のように空をきりさき鋭い音をたて―― 相手の審神者を横一文字できりつけたようにみえた。 尻尾から墨が斬撃のような音をたててとび、審神者をきりさいたかにみえた。 瞬間、審神者から悲鳴があがり、じゅわ〜ってなぞの黒いもやがその審神者からあふれ出した。 狼はさらにシッポをふるい、今度は審神者を囲むように宙に墨の円陣がえがかれ、その円の中心にいた審神者からでていた靄が苦しみうねるようによじれ・・・そしてぱぁ!と光となって消えてしまった。 あとにのこされたのは、まるで憑き物でもおちたかのような審神者が、ポカーンとすわっているだけ。 狼はそれをみて満足そうにワォーンとひとつ立派な遠吠えをすると、刀剣男士たちを引きつれ去ってしまった。 「浄化かな?なるほど。あれはたしかにゲームキャラらしい能力だね。それにしても凄い審神者だ〜。うん。だって審神者が犬とか。 ああいう特殊能力を持っていて容姿もいろいろ違うようなのが、次元が違うって感じだよね。あれこそまさに“異界審神者”っていうのだろうね」 『犬じゃない狼だ』 『――つか、あんたも十分“異界審神者”だからな』 さて、おもしろいものもみれたし、やることはやった。僕らも帰ろうかと思っていたら、ふわりと花びらが視界をよぎる。 刀剣男士の誉桜とはべつの花弁。それとともに、白い面布をし花の飾りをつけた審神者が背後から声をかけてきた。 ああ、この花びらは、先程いっていた“そういうことが得意”な友達の審神者のものだ。 「おや“花の宮”。久しぶり〜」 ふわりと周囲に花びらをまとわせて、着物がよく似合う彼は、花の宮。 花の飾りと周囲に花をまき散らしていることから、人間たちにはそう呼ばれてる。 すごい神気も強く、あふれ出たそれが花びらとして一瞬形どるほど。 もちろんその神気をそそがれて顕現している刀剣男士たちもつねに花びらを纏わせている。 僕としては、彼は花の木精じゃないかと思うんだけど。 まぁ、そんな古い友人の彼が、近侍らしい鶯丸と「見習い」とかかれた仮面の大男をつれて、気づいたら背後にいた。 彼ら、いつからいたのだろうね? 「ところで僕がなんだって?」 『あんたも十分“異界審神者”だ。と言ったんだ』 呆れたようにため息をつきながらもわざわざ一言一句たがわずに繰り返してくれるその律義さは意外と好きだ。 その言葉に笑ってみたけど。 さて、僕の筋肉はうまく笑えているだろうか。 だって――― 「しかたないだろぉ〜僕は牛頭っていう妖怪なんだからwww」 牛頭。牛の頭に体は人身の姿をした地獄で亡者を責めさいなむ獄卒のひとり。 っていうか、地獄が本当にあるかとか知らないし、僕は獄卒ではなくて、ただの妖怪だよ。 「そういう“花の宮”こそ異界審神者でしょ?普通の人間は、そんな神気をもってやしないよ?」 『顔が牛のお前に言われたくない』 「花をふりまいて歩いてるひとは人間って言わなくないかなぁ」 「『・・・・・・』」 お互い、やぱりどうみても人間じゃないって思うよね。 僕の場合、体は人間だけどね。 まぁ、花の宮も人間ぽい姿してるけど、足元から植物生えてますよ。それのせいで、素性というか人外だともろにばれてますよ。 あ、小さな花が咲いた。やっぱし、彼は人間ではなく花の木精の一種だろうね。 それにしてもポポポンとかわいい音を立てて咲いていく花は小さくて、可憐で、とても儚げだが美しい。 “花の宮”のゲスい性格や棘のあるような言葉遣いとは真逆で、彼が咲かす花は棘もなければ毒もないかわいげがあるものばかり。 あれ?もしかして“花の宮”ってもしかして、ゲスくない?この花、彼の心境表してたり―――は、ないよね。 『・・・・なぁ』 「ん?」 “花の宮”のお花は彼の内面。ファイナルアンサー!? なんてことを僕が考えていると、僕の考えとは全く別のことを考えていたらしい“花の宮”が、彼の背後の「見習い」青年と僕を見ながら、不安そうな声を出した。 『・・・"上"ってまじで頭大丈夫か?』 “花の宮”は長い気らしく、その分知識が豊富だ。僕の想像をこえる場所に目をつけるし、難しい話もよくしてくる。 今回の質問も予想外のものだ。どれくらいって――斜め上言って後ろ振りむいたら地面が抜けた。ぐらい? うえ。うえ?上か。ああ、それなら 「僕の頭が牛なのは生まれつきなので大丈夫だよ」 『いやそっちの“うえ”って意味じゃなくて。お前の頭じゃなくて、“この世界の政府”その考え方ってこと』 なるほどそっちか。 僕は人間じゃないからあまり言葉のやりとは得意じゃないんだよね〜。 「どうしてそうおもったんだい?」 『いや、よく考えてみろよ。別世界の神とか妖怪を審神者にしてんだぞ。 そんな異世界のやつらの気をまとった刀剣を過去へおくるとか、そっちの方が歴史改変しそうじゃね?』 「さぁ?細かい人間の考えは妖怪の僕にはさっぱりだよ〜。 僕がここにいて歴史が大丈夫かどうかはわからないね。そもそも僕は妖怪。君は別世界の神さま?だろ。さっきみた犬の」 『狼な』 「ああ、それ。そのモフモフ審神者は、ゲームのキャラだってね。 こんな僕らが刀剣男士という付喪神の主やってるんだよ・・・あれれ、そういわれると、なんだか突然、この世界の人間は何を考えてるんだか疑問に思えてきたよ」 『政府(トップ)がバカだと下の俺たちが苦労する』 「っていうか、関係ない時空の存在がどうでもいいやつのために戦争するのってどうなんだろう?」 『いえてる。が、あんたがそれを言うのか』 「うーん。だって僕は人間から妖怪という存在が忘れられたあげく消えかけだった。 あ、もうだめ消えるなっておもったときに、たまたま次元の穴に落ちて、この世界にきちゃっただけだしね。 もう元の世界には相方の馬頭もいなかったから、ちょうどいいといえばいいかなって。 それに、ほら。衣食住をくれるならどこでもいいかな〜って」 僕も異世界から来た審神者。“異界審神者”ってことさ。 けっしてドン〇とかで売っているような馬のかぶりものをした人間ではないので、他の審神者様はぜひともマスクをはごうとする動作をしないでください。 これ以外の頭は持ち合わせていない。 あとこれは被り物ではなく皮です。この皮は本物なので取れません。 『この世界、いろいろ問題が多いよな』 「うんうん。妖怪と神々の階級や価値観もあっちとは違うしね」 『それなー』 「問題は、刀剣男士という科学の申し子みたいな存在のこと」 『たしかに。こいつら科学の申し子だよな。エネルギーは霊力らしいが。あ、やべ霊力じゃなくて男士たちに神気そそいでんなオレ。まぁ、いっか。 っで、話を戻すと、この世界での付喪神の階級。こいつがやばいよな』 「そうだねぇ。なにせこの世界で付喪神は、立派な神様としてあつかわれる。妖怪よりというより、末端とはいえ神として扱われてるんだよね。 逆に妖怪という存在は、付喪神より下位てきなものとされてる。 僕の世界では、信仰、信じる力が妖怪にも力を与えていたから付喪神も僕らも神もあまり差はなかったけど」 『わかるそれ。信仰大事。人々の信仰心の量=オレの力の強さ。みたいなところあったし』 「っで、僕は妖怪の牛頭なんだけど」 『オレ人外生物(仮)』 思わず“花の宮”と顔を見合わせ、ため息が被る。 『ほんと、この世界大丈夫かって言いたくなるわ』 「だよね」 向こうの世界だと問題なかったけど。 この世界では、刀剣男士たちより存在価値が低い妖怪である僕が審神者とか。 これで本当に大丈夫だと思ってる政府って、おかしいよね? 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