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09. 貴方と付き合うには心構えが必要です |
side ティア成り代わりな『夢主2』
私が知っている先輩は、いつも刀か武器をつかわず体術だけで敵を倒していたから、それが先輩の戦い方なんだと思ってた。 この世界に来て何度か銃を使っているのを見たことはあったけど、脱いだ外套の下から出てきたのは、ちょっと短めの剣ぐらいあるのではないかと思える譜銃と、XANXASが使っていそうな銃の二つ。え?あんなのがコートの下に隠れたの?まじどうやって? 二つもあったことにも、むしろ片方がスナイパーかお前は!といいたくなるほどでかいのには驚いた。 ルークに手渡された刀を受け取っていたからそれも使うんだろう。 あれ?遠距離と近距離両方可能だよね。 なにそれ。先輩最強? そう思っていたら、トリッパー少女が悶え始めた。 悶えて悶えて・・・ 先輩が固まった。 しかも武器であるはずの日本刀を落としてしまっている。 ああ、このまま決着がついてしまうのだろかと思っていたら、我に返った先輩がそれはもう――どこからだしたんだ!?とおもわせるほどに――なめらかな自然な動作で腰にささっていた小さい方の譜銃をひきぬき、そのまま遠慮なくトリガーを抜いた。 その動作がなぜか【復活】のXANXASを思わせた。今の先輩の外見は、どうみても長髪な金の髪碧眼、童顔美少女にしかみえないのにだ。 そういえばこの世界であった先輩の口調はどことなくXANXASのそれだ。 ガイになる前は、XANXASにでも成り代わっていたのかもしれない。 姫「いや!きゃぁ!ちょ、ちょっとやめてよ!どうして剣じゃないの!?ずるいじゃない、わたし近距離派なのに!」 1「オレは中距離型だ!」 ごもっともで。 ガウン!と譜銃が火を噴けば、トリッパー女の足元に銃弾が連続してとび、地面がえぐれ砂がはじけ飛ぶ。 それにヒメコがキャといってさわぐ。 おかげで足をバタバタさせているトリッパー少女は、釣り糸でつるされて踊るあやつり人形のようだ。無様にバタバタしている。 容赦ないな先輩――っと、先輩の顔を見れば物凄い必死の形相で蒼い顔をしていた。 ああ、なるほど。自分の貞操の危機を感じたんですね。 でもさすが先輩。優しいよね。 一撃で殺せるのにころさないし。むしろライフルを取り出さなかった先輩の良心をほめてやりたい。 なにせあの先輩だ。 間違いなくライフルも使いこなすのだろう。 ![]() 不遜な笑顔で倒れて死にかける人間を見て、思わずため息をつきそうになった。 なんだこのやりとげたような「ざまあみそらせ」のような素敵笑顔はなんだ。 心配して心臓が縮むかと思った私の心を返せと言いたい 先輩は途中から冷静さを失っていたか、なんかこの戦い自体がどうでもよくなっちゃったんじゃないだろうか。きっとかわりにあのトリッパー女をギャフンと言わせることしか考えてなかったんじゃないかなぁ。 ありえる。 ありえすぎて笑えないんすけど先輩。 無茶苦茶なやり方に思わずため息をついた。 トリッパー女の手にかかって血を流して倒れた先輩に、あわててかけつけて、思わず私はペルソナを使ったし、ルークも必至に治癒術使っていた。 続いて隅に控えていた医療班が駆けつけてきた。 ナタリアは一度息を飲んだ後すぐに我に返ると同じように治癒術を使い始めた。 敵でもけが人はけが人と言う考えを持っているナタリアはまだましだ。 ただしティアはまるでなにがあったか理解していないように呆然とたたずんでいるだけだし、「あんなひとになぜ手を貸すの?」とか呟いているのがむかつく。 治癒術をも使えるであろうトリッパーは、目をかっぴらいて「そんな。うそよ」とわなわなふるえている。 先輩の言葉を借りるならあれだ「うぜぇ」という感じだ。 先輩の血で染まった己の手をみてついには、狂ったように「私じゃない。ころしてない」とか「ガイはしなないわ!だって主人公のパーティだもの!シナリオにもないわ!」「これはゲームなのよ!」とかとかとか。 叫んでしまいには「いや」とか絶叫を挙げている。 いや〜。なんというかあの姿を見て思ったね。 先輩、恐すべし。 こいの場には死ななにようにと医療班が手配されているし、数が少ないはずの治癒術を使える第七譜術師が山のようにいる。 どうやらこの世界のルークはしっかり第七譜術師としても腕を磨いていたようだ。 つまり、この状況も何もかも先輩の思惑通りってこと。 あのひと、はじめから死ぬつもりなんてなかったんだよ。 こわいこわい。 掌の上で転がされてるのはこの場にいる何人だろうか。 生きた時間が違うとここまでたちが悪くなるとは…狸ジジイってああいうのをいうんだな。 とりあえず。 先輩はやっぱり無事だった。 追記。そういえば先輩が死にかけた時、物凄く異常なまでに第七音素が集まってきたらしい。 そのとき「今のは私のせいじゃないからな!ってか死んでこっちこないで!!音素に戻るくらいなら生き返れ〜!!死ぬ気の炎こわい死ぬ気の炎こわい死ぬ気の炎こわい死ぬ気の炎こわい死ぬ気の炎こわい死ぬ気の炎こわいぃ〜!!!我はまだ消えたくないのだ!!死んで我のもとにきたりしないでくれ!いきかえれー!!!!」なんて幻聴がどこからか聞こえてきて、ルークが眉をしかめていた。 いまのなにっていうより…え?死ぬ気の炎? そういえばついさっきも先輩ってXANXASのようだと思ったばかり。 まさかマジで先輩は以前XANXASに成り代わっていたのか。 ってか、ルークが言っていた第七音素の悲鳴ってなんなんだろう。 まさか…まさか。いや、あるわけないよね。 え?いまの【ローレライ】とか? やだなぁ。まさかと思うけど、先輩ってばもうすでに【ローレライ】を攻略済みだったり? いや、ね。まさかねぇ。 いや、でももしかして…。 ありえるのか。 もしかしてのもしかしてで、もうローレライに接触していたりするのだろうか。 しかもすでに脅したあとだったり? やだ。なにそれ。 あんたまじ何者? ********** 「第七音素の振動がうぜぇ」 「起きがけの第一声がそれですか」 あの珍事から数日後。 私がのんびり横で本を読んでいると、ベッドの上から声が聞こえた。 のぞいてみれば先輩が眉をしかめて、天井のあらぬ方向をにらんでいる。 ・・・ぶっちゃけ、なんか見えるんでしょうか。 いや、なんかいるのかもしれない。 たとえばローレライとか。 「先輩。なにをみてるんです?」 「ローレライの残滓」 「・・・・・・ああ。やっぱりみえるんですか」 「やっぱり二年前のあのときにたたき起こして、とっとと地殻からひっこぬいてかっけせばよかったか。うるさくてかなわん」 「・・・・・・・・・・」 先輩って昔から幽霊とか見えてたからなぁ。 ジェイドみたいに譜眼がなくともみえるんだろうなぁ。 とりあえず 「おはようございます先輩」 「ああ、おはよう。レイ」 |