君は白でオレは黒
[有り得ない偶然] × ポケモン BW2



08. 戦いを制する者





side ライバルな彼





お昼時、だれかのお腹がぐぅ〜っと鳴り、いったん休憩をはさむこととなった。
ここからポケモンセンターにいくには距離があり、おれたちは少し開いた場所で、今日は一時の休憩中をすることになった。
昼飯のためにがおなじみ自前の黒いエプロンを着て、自分のポケモンを引き連れ、さっそく調理に取り掛かっている。
さすが我らがおかんだ。
後姿が、もう「いますぐ美味しいご飯作るから待ってて」といわんばかりに様になっている。
料理だって手馴れている。

まぁ、このメンツで旅をするということは、がいないと間違いなくおれやともども飢えているだろう。それにはだれにもまけない自信がある。
いやな自信だが、だれしも好き嫌いはあり、食の進みもそれによって変わり、あまり口に合わないものだと体調を崩すことだってある――とは、の言で、その言葉に甘えて、今日も鼻歌を歌っているあの後姿に感謝を込める。

こういった待ち時間をおれやは、いままで戦闘以外にモンスターボールからあまりだすことのないポケモンたちを外へ出してやったりと、交流を深めるたり、彼らの世話をして過ごすのだ。

フワフワを愛するがゆえに、常に一匹は外にポケモンをだしておくのが好きななどは、こういった休憩のとき躊躇なく全部のポケモンを外に出す。

甘えん坊で進化を拒否したリオルは、指定席とばかりにの頭の上にのって、日光浴しつつうとうと幸せそうに惰眠をむさぼっている。
その細い首には、小さな銀色の鈴のついた赤いリボンがある。主人からの宝物だと喜んでいたリオルだが、おれが思うにあれはたぶん〔やすらぎのすず〕の小さいバージョンじゃないかと思う。
〔やすらぎのすず〕の効果として――持たせるとポケモンが1.5倍なつきやすくなるという。
トラウマにならないほうがおかしいと断言できるあのゲット騒動のひどさを思えば、リオルだけにそれを贈ったのも頷ける。
贈り物ということで喜んで、さらになついたリオルには、かわいそうだが、そのまま勘違いしていてもらおう。これもあれもすべてリオル、君のためだ。

そもそもあの事件があったというのにリオルが早々にを慕うようになったのは、の詐欺師が“アレ”を“波動”と称し、あげくなぜ人間でしかないお前が知っているとばかりの気の性質やら流れについて、リオルにとうとうと語って聞かせたのだ。
それによりの〔アレ〕は絶対波動なんてものじゃないと思うのに、リオルはを真実の波動使いだと信じ込み、そうして尊敬の眼差しで偽波動使いのを主と慕うようになった。
むしろ、本当になぜこの地域にはいない波動使いや波動について詳しく説明できるんだ。
おれはそれほど波動のこともイッシュ地方以外のことは詳しくないから、それが正しいのかそうでないのか、他の地域では波動使いは一般的で知っていて当たり前のことなのかさえもわからないけど、が偽物なのは断言出来る。
でももしもということもある。イッシュ地方以外(とくにカントー)のオタクの領域に足を突っ込んでいるなら、知っていてもおかしくないかもしれない。
このカントー好きの双子だからといってしまえば、それですむんだが。

――むしろリオルに教師ぜんとして語るに、がつっこんだ言葉が思い出された。
『あれ波動じゃないし!!チャクラ講座とか覇気の使い方って、どこの忍者で海賊世界だ!?』
…なぁ〜んて、物凄く遠くを見て乾いた笑いを浮かべていたあのときのが忘れられない。

(やっぱちがうんだあれ)

でもリオルは、あのの嘘っぱち波動口座により、波動をうまく使いこなせるようになってきたとかで。
本当にって意味わからん。


に騙されてる気がしてしょうがないリオルをぬかした他ののポケモンたちは、できる範囲での料理の手伝いをしていて、〔つるのむち〕で生地をこねたりのばしたり、食器を運んだり、火種として火加減を調節したり。によく似たトリッキーな芸の細かさを披露している。
それがすめば、彼等もまたおれたちの側によってきて、休憩を満喫していく。
木陰でやすむ者、技を出して競い合う者、会話を楽しむ者、水を浴びるもの、おいかけっこをしたり遊び始める者、昼寝を始める者たち。
おれたちの周りにポケモンが増えた。

綺麗好きな子は、ブラシで毛並みを整えてやるだけでもかなり違う。
一仕事を終えて集まってきたのポケモンも交えて、いつもと同じようにと手分けしてさっさと彼らをかまってやろうと声をかけようとして―――

ヒュ「どうしたんだよ、

なんだか心ここにあらずな感じで、ぼぉ〜っと宙を眺めながら、マイブラシでザングースの身体をなでていたに、おれは思わず心配になって声をかけた。
やはり意識が集中してないためか、に抱きかかえられているザングースはその巨体をたまに揺らしつつ若干不満そうに顔をしかめていたが、は気付かない。
もう一度「おい」と声をかければ、それでようやくと視線があった。
話を聞くに彼女は、自分のポケモンの容姿や属性について考えていたようだ。

「いやぁ…なんで自分は炎系を好きになるのかと。容姿が好みなんだろと言われてしまえばそうなんだけど。って、思ったの」

そんなは不満げなザングースがついにのそりと立ち上がっておれの目の前に来てどっかと座ったことで苦笑を浮かべ、「ごめんごめん。わるかったって。ヒュウくんその子のブラシお願いね」とおしつけてきた。
まぁ、おれとしては全員の調整を兼ねてあとでのポケモンもみせてもらおうとおもっていたし、いつものことだと、ブラシをまっているザングースに手を伸ばす。
は次に、ポカブからチャオブーとそして最終進化をとげたエンブオーに、ブラッシングをしていた。

の持つポケモンをチラリとみて、先程の彼女の言葉がよみがえる。
今の彼女の手持ちは、ザングースやヒヒダルマが主体で、体格が大きいものが多いのを六対揃えている。
彼女が欲しいというポケモンの名を挙げると、バクーダ、キュウコン…―――イッシュ地方以外だとバシャーモやヒノアラシやゴウカザルをゲットやら進化させたいと言っていたことがある。
なるほど、納得だ。
見事に炎系だった。

「カントーだと炎で好きなの少なかったのになぁ」
ヒュ「マジかよ。そりゃポケモン貰う日に草タイプがいいって言ってたし、大のフシギダネ好きは知ってたけどよ」
「うん。フシギダネすきだったよ」
ヒュ「過去形?」
「いんや。フシギダネはまだ好きだよ」

そう、の部屋にフワフワなポケモンのヌイグルミが多いのと同じように、の部屋はポケモンのプラモデルでひしめき合っていて、その一角にはフシギダネのヌイグルミから文房具、もちろんプラモデルと、フシギダネを中心としたフシギシリーズが出来上がっている。
それほどまでには、草タイプであるフシギダネが好きだったのだ。
そして――

「うん、フシギダネにスピアーにバタフリーにメノクラゲにフーディンにパルシェン…とか。思い出してみたら炎だけでなく虫タイプやノーマルタイプも多いな」

の好みはとはやはり真逆で、相変わらずトゲトゲしく外見的に可愛げがないポケモン名しか上げられない。

「ふぅ〜。カントー…いいなぁ」
ヒュ「なんでそんなに淀みなく他方のポケモンの組み合わせを決められるんだよ。カントー好き二号めっ」
「私はイッシュのポケモンも大好きだよ。
…カントーの151匹は歌にして歌えるけど(`・ω・)b」
ヒュ「ドヤ顔するな」

その後、「飯だ」と、外見に不釣り合いな勇ましい口調で、が料理がこんもりのった食器を手にやってきた。
渡されたそれをテーブルに並べつつ、先程の話をにしたことで、ついには手を動かしつつも二人はなぜデュエットしはじめた。

「『ポケモン言えるかな?』って、…ああ、あれ。それならオレ全部歌えるなぁ〜」
「じゃぁは発音いいから《イマクニ?》のラップからよろしく!」

「OK!まかせて。ではでは――

"Hello Kids!
キミはもう、たっぷりポケモンつかまえた?
ポケモン151匹つかまえたキミも、まだまだのキミも、
『ポケモン言えるかな?』に挑戦だ!
How's your mouth rolling today!"」

「「ピ力チュウ、カイリュー、ヤドラン、ピジョン、コダック、コラッタ、ズバット、ギャロップ〜♪サンダース、メノクラゲ!パウワウ、カラカラ、タマタマ、ガラガラ、フシギダネ!アーボ、イーブイ、ウツドン、エレブー、カビゴン、カブ卜、サイドン、ジュゴン♪ポリゴン、ディグダ、ドードリオ、ゲンガー・・・」」

歌…ってる。
ポケモンの名前なのにリズムがあって、歌だってわかる。
ってか。え?なんだよそれ。自前?自作なのか?
どんだけマニアなんだお前らは。
そんでもってなんでそんなノリノリなんだよ。
っていうか、『イマクニハテナ』ってだれ!?
そのポケモンって全部カントーのだけだし。
カントーでCDでも売っているのか?



その歌は、異様なまでに、リズムともにおれの脳みそにこびりついてしばらくの間離れなかった。





**********





それは、また別のある日の夕方のこと。
その日の夜をこえるべく、おれたちがテントを張っているさなか、草むらをかき分けて二人組のトレーナーが現れた。
ひとりの男が、の目の前でニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。
格好からしてハンターとかプラズマ団ではなくただのトレーナーのようなので、これといって問題はないだろうと相手にせずにいたら…。
あいつらの喧嘩を買った人間がいた。
だ。
彼女と男たちは少し言葉を交わしたあとに、なぜか口論となり――バトルを申し込まれた。そしてはそれを承諾した。というわけだ。

ちなみにはひとりニコニコとポケモンの相手をしていて、バトルが始まる頃には、いつものごとく鼻歌を歌いながら夜飯の準備を始めてしまっていた。

「トリプルバトルはのおはこでしょー。なんでわたし?」
「〜〜♪ ユメは いつか ホントになるって〜 だれかが歌って いたけど〜♪」
「あ、だめだ。きいてない」
ヒュ「ちょうど夜飯時だったしなぁ。今は料理で忙しいんだろ。
ま、思うにお前がバトルを挑まれたのって、おれたちのなかで一番弱そうなポケモンをだしてきそうだからじゃないか?たとえばの理由で“女”だから――とかさ」

つまりやおれではなくをやっこさんが選んだのは、そういう理由から絶対勝てるとふんでだろう。

むしろそのヒラヒラにふんわりした衣装といい、おばさん似の外見だし。
“そういう系”の容姿だからこそ、よけいに“そういう”かわいい系のポケモンをあつめていると思われてもおかしくない。というか、ゴシック系衣装に身を包んだ可愛い女の子なんだから、同じようにかわいいポケモンをだしてくると、たいていのひとは思うだろう。
ゴチミルとか。
実際、のポケモンは真逆だけどな。

「あー。なる。大いにありえそう」

他人を見下す傾向の多い自意識過剰なやつらが多く、そういうやつらはほどほどにすべきだろう。
そういうのはこのイッシュには多いんだよな。風土の違いか?
一度彼らは痛い目を見ればいいんだ。


「じゃぁ行ってくるわ!ご飯ができるまでには終わらせるからね」
ヒュ「へいへい。いってこい」

たしかにトリプルバトルはの専売特許だ。
可愛い外見のポケモンのくせに、あくどく敵を葬り去るバトルをするのがだ。
やたら高すぎるLvでもって、相性もすべて覆すほどの攻撃力を持つ。そんなポケモンでバトルをされるのはたまったもんじゃない。

そして忘れちゃいけないのが、はその半身たる存在ということ。
つまり同様っとんでもないバトルをしてくれる少女であるのだ。
この二人は、普通でくくれる兄弟じゃなのだ。

ヒュ「ま、相手にとっての救いは、にふっかけたバトルで、一人対一人のバトルの選択をしたことか」
「なんか言った?」
ヒュ「いや。勝ってこいよー」
「まかせて!」

彼女は彼女で、とは真逆の姿のポケモンばかり集めている。そのすべてのポケモンがいかつくごっつくでかいのだ。

が精神的に畳み掛けるのを得意とするのに対し、彼女は肉体的にみせつけるのである。


「ルールはそっちがきめていいよ」

彼女の言葉に、使用ポケモンを三体にしたのは、幸可不幸か。いや、考えるまでもなく幸運なのだろう。
六体バトルだったら、あのトレーナーたちはこれから「女の子不信」になったかもしれない。不信にはならなくとも、っていう少女のギャップによる精神ダメージをくらっていたことは間違いないと思う。
ゴスロリというものに『萌え』を感じなくなるかわりに、恐怖を焼き付けられたかもしれない。
何度も言うが、“あの外見”で、とんでもない外見のポケモンばかりだしてくるのだから。
双子VS2人。それの六体フルバトルの選手交代性なんかにしたら…。相手の精神ダメージはきっと計り知れなかったことだろうから。

ヒュ「おれたちのなかで“正攻法”で一番強いのはだし。ジムバッチ集めてるのもだけだし。ま、負けはしないよね」
「オレは誰かと競おうなんて思う時間があるなら、手持ちのポケモンに愛情を注ぐ方選ぶしな。やっぱ、強いのはだろうな」
ヒュ「おーか。なんだ、お前きいてたのかよ。応援ぐらいしてやれよお前の片割れだろうあれ」
「オレは忙しいから後でな。
あと、これ…パンの耳で作ったドーナッツ。というかただ揚げただけなんだが。まぁ、すきっ腹をうめるのはいいだろう?(オレの片割れ)が悪いな。あいつに合わせて少し時間を遅らせて作るから、しばらくこれで持ちこたえてろヒュウ。
砂糖がきれてるから甘くないけど。あ、塩ならあるが」
ヒュ「ジャムは?」
「ん〜。モモンの実風味と、ふつうの果物どちらがいい?」
ヒュ「モモンの実風味で」
「ん」

お。この揚げパン(の耳)美味いな。
朝も使ったけど、相変わらずこのジャムがうまいなぁ。

モシャモシャと揚げたパンの耳にジャムをつけてたべつつ、とトレーナーのバトルを観戦する。
審判をする気はない。現に不正でもする気満々なのか、それとも実力があるのか、過信しているのか――。向こう側から審判を出してくれたので、おれはのようにのんびりと鑑賞に専念する。

は強い。
――とはいえ、それは常識の範囲内でだ。

強いのレベルにをいれてはいけない。
あれは論外で人外だ。
人間のくせにポケモンに技を指導してしまう偽波動使いのチートなに適うわけもないんだけど。そこはだから、真っ向からのポケモンバトルというときに彼の強さを例としてあげてはいけないと思うのだ。
だって強いのは“ポケモン”とか“ポケモンバトル”のことじゃなくて、“本人”がチート級なんだから。いろんな意味で有り得ない。


さっそくはじまったバトル。
食膳の余興にはちょうどいいかもしれない。

ガラの悪い男の方がに一方的にバトルを仕掛けた。
このときのの手持ちは、エースであるエンブオーを筆頭にレパルダス・ゼブライカ・ザングース・ギギギアル・ペンドラーだ。

ああ、どれもの悲鳴しか出なそうなポケモンだ。まだ可愛げがあるのはレパルダスくらいか?

今回は3匹同時バトル。
以前がみせてくれたのと同じトリプルバトル。がもっとも得意とするバトルだ。
つまりそれにひきづられて、訓練と称してもよくとトリプルバトルをしているわけで――





「エンブオー、ザングース、ペンドラー!頼むっ」
「「えぇ?!」」

ズンッ!!――とガタイに見合った地響きとともに現れた大型ポケモン三体。
それに二人組から驚きの声が上がる。

「こ、こんなやつらが相手なんてきいてないぞ!」
「なんて威圧感…」

そりゃぁそうだろうな。予想外もいいところだろう。

の華奢な姿とポケモンのガタイのギャップは、大変怖い印象を与える。しかも旅に出て特訓を始めたことで、彼女のポケモンがもつ威圧感はハンパナイ。
男達は、大方、フリルやリボンのあしらわれた服装の10歳の少女から相応のチラーミィやプリン、ゴチミルあたりを出すと想像していたのかもしれない。ああ、気にすることはないのに。“みんな”そうだったから。
そうそう。残念だけどね、が持ってるポケモンで、まだ可愛い属性に入るメリープ・ロゼリア・ミツハニー・タマンタは、現在ボックス内だ。
期待外れと予想外の事態に精神ダメージははかりしれない。しかもレベルもそうとう高く鍛えられてると知ったら、もっと精神は削れていくに違いない。
かわいそうに…。





「交換性の六対フルバトルじゃなくてよかったなあいつら。のポケモンは視覚的にトレーナーにダメージを与える。
キアッキエレたべるか?」
ヒュ「おれもそう思う。
おー食う。って、さっきのパンの耳といい、これがあるってことは今日の晩飯は揚げ物系?」
「全部が全部じゃないがな」
ヒュ「今回のの選んだポケモンの感想は?」
「…は意識してないだろうが。あいつがまだ女性が好む部類にあたるレパルダスを初手に出さなかったことを感謝すべきだと思う。出された日には、相手に同情する」
ヒ「一対一のバトルよりマシじゃね」
「たしかに一番初めの一匹目を抜かして、次々繰り出される凶悪面で、トドメにザングースが現れた時は――オレの精神的HPが削られる気がしたよ」
ヒ「ああ、とやった初戦のフルバトルなぁ〜。なつかしいな。
ま、今回はそれと同じ組み合わせってわけじゃないが、の場合は大型フルなんて組み合わせもできるしなぁ…」

ウキウキバトルが一気にどん底に落ちいったのだと語るは、当時フタチマルだったミーと、他全て草タイプしか手持ちにいなかった。
それに対し格闘タイプや炎系でせめてきた
当時のの「死ぬ!」「負ける!!」なんて、顔を青くしてあげていた悲鳴が今でも思い出せる。そのあとマラカッチ一匹で大逆転した時点でいろいろおかしい気もするが。


そういえば、このあいだ、がメブキジカを進化させた。
四季で存在すると知って『メブキジカ』をコンプすると目標にしていて、こいつまたごついのをと思ったものだ。

ヒュ「鹿好きでもシキジカじゃなくメブキジカが良いというあたりらしいな」

そしてはその後本当にコンプしやがった。





「ひるむな!いけ!ブラッキー!〔たいあたり〕!!」
「ザングースかわして!ペンドラー 〔まるくなる〕!エンブオー〔スモッグ〕!時間を稼いで!ペンドラー〔ころがる〕!」
「ひ!?シンボラー〔かぜおこし〕だ!ナゲキは、えっと、あ、〔あてみなげ〕!」

思うに。ひるんでるのトレーナーじゃね?
ちなみに日々なんかとバトルを繰り広げてるだけあって、トリッキーなバトル(慌てすぎて支離滅裂になりつつあるトレーナーの指示ゆえに)にもは冷静だ。

ヒュ「ブラッキー。たしかイーブイの進化系だったか」

珍しいポケモンやエスパータイプがいるから、勝てるとでも思ったのか。
のポケモン二匹がしまいには〔ころがる〕をしはじめ、フィールドをあちこち同時にかけまくる。
ペンドラーとエンブオーが転がっている隙間を華麗にぬって、ザングースが特攻をかける。
ペンドラーなんかは先の〔まるまる〕の効果で、威力が倍増した〔ころがる〕だ。
たまにエンブオーはそのペンドラーにぶつかるせいで、気付けばピンポンダマよろしく跳ね返されたエンブオーの〔ころがる〕威力も増している。
イイコンビネーションだと思う。

一番最初にたおれたのは、ブラッキーだった。
〔シャドーボール〕をだそうとしたところを、〔ころがる〕の合間を縫ってかけてきたザングースが〔シザークロス〕をはなったのだ。





そういえば。
イーブイというのは、最も多い七段階進化の可能性をもっているポケモンらしい。
ポケモンの種名である《イーブイ》は、《Evolution(しんか)》の「Ev」の頭文字を取っているともいわれている。
それで以前に、イーブイについて聞かれたことがあったな。

レ『イーブイを育てるとしたら、何に進化させる?』
ア『リーフィア』
レ『即決ありがとう。ってかやっぱり植物系!?炎タイプへの愛はどこに行ったの!?』
ア『……炎タイプ、好きだ、が。でも・・・選んでたら全員緑色だったんだぁ!!!なんでかなんてオレにきくなぁ!!』
レ『当人が一番戸惑ってんのね』
ヒュ『戸惑うも何も。の場合、外見に惹かれたの一目瞭然じゃん』
レ『そうね。それでヒュウくんは?』
ヒュ『おれ?おれは…イーブイじたいしらないからなぁ。そういうはどうなんだよ。どうせほのおタ…』
レ『シャワーズかブラッキーかな?』
ヒュ『ブースターじゃない…だと!?』

ああ。あった。あったわ。あいかわらず、炎タイプが好きだと宣言しつつ真顔で草タイプに走る奴とか。かと思えば、草か炎に行くかと思えば斜め上の選択肢をサラっとはいてくれちゃう子とか。





――――おれがそんな思い出に自分でどこから突っ込めばいいんだろうと思い始めた頃。
の圧勝でバトルは終了した。
てっきり「おぼえてろ!」とか言いながら逃げるのかと思ったが、相手の二人組は『orz』と膝をついてドンヨリした空気をまとってとんでもなく落ち込んでいた。

あの落ち込み様は、我が身のことのよう。痛みがよくわかるわ〜。
なんだか最近同じようなの見た…というか、経験したばかりな気がする。
デジャブだな。


っと、そこへ。

「みんな、ごはんだぞー。さっさとせきつけ〜!!」

どこのウェイターだとばかりに、頭、両手、肩と器用に大きな皿をのせたが、ニコニコしながらこえをあげた。

空気読めよっ!
ってか、物凄いバランス感覚だな。
むしろ、おいジャローダ。なんでお前までを手伝ってるんだ。
お前の〔つるのむち〕は皿を運ぶためにあるんじゃないだろう!?

が落ち込む二人をどうしようかなと、声をかけようとしていたその矢先のことだった。
ちなみ奴らが文句や不満を漏らそうものなら、おれがのように正論ぶつけておっぱらってやろうとしていた。――そんなタイミングでだ。

を自主的に手伝って、あいつが手にしていた食器類をポケモンたちがうけとってテーブルに並べていく。
みればなんだかいつもより多い量の食事が。
今日は和風ではなく、トマトの多いイタリア系からこのイッシュでよくみる料理まで様々だ。
パーティでもすんのかと思わず首を傾げたら

「ほら、そこの子たちも。泥も落して。お手拭はコッチな。ポケモンたちもみんなお疲れ」

ほわっとした柔らかい笑みを浮かべて、テーブルに一分前まで敵だった彼らまで招いたのだった。
ちなみに奴にとって年上であろうが子ども扱いであることは忘れてはいけない。だれかれかまわず(たとえ爺さんであろうと)“子”と呼ぶ。

そんなに「いいこだね」と頭をなでられ、地面にひざまづいている自分たちのためにわざわざしゃがんで視線を合わせて、慈愛に満ちた笑みを向けられ――

コロリと元敵なやつらは、無邪気な笑顔でうなずいた。

にげろのいつものごとき〔メロメロ〕攻撃(大人の色気)がバシバシただよってきてる!!!!!
ひとめで、ついあまえたくなるようなそれが、母親を慕う子供のように無意識にあいつの言うことをきかしてしまい、なんでも言ってほしいしもっと話を聞いてほしいとか思い、気が付けば奴の言葉にしたがってしまいたくなるという衝動に発展するのだ。
マァ、簡単に言うなら、あまりの優しい笑顔に、慣れてない奴は一目で落ちるのだ。
いまにもこちらまでピンクオーラーがとんできそうで、おれとは慌てて視線をそらす。

そうしてのばされたの手をあのトレーナーたちは素直にとってしまい、どこの貴婦人だとばかりに丁寧に優しく硝子でできた宝物でも扱うようににエスコートされた日には、やつらの思考回路は完全にマヒしていた。
ほうけたように、によってひっぱられるがままにテーブルについた彼らは、一瞬催眠術にかかっていたようにボーっとしていたが、テーブル上の豪華な料理を見てハッと我に返ったようだ。勢いよく首を横に振って理性を取りもどした後、戸惑うようにキョロキョロとおれやをみやる。

「お、おれたちが一緒にたべていいのか?」
「いいんじゃない?がそのために作ったみたいだし」
「おまえになら勝てるって…喧嘩売ったのに?」
「……年下だって、新人だって見くびってた」
ヒュ「なんだ。自覚があったのか」
「「……」」

「…え?食わないのか?」

「あ、
「でも作っちゃったし。…タッパー。は、入りきらないし。オレ、お腹すいたんだけど。……タッパーないから捨てないといけないんだけど。ごめん。……オレ、泣いていい?」

「「「「待て!!!食べるからっ!!!」」」」



「〜♪ きのうの敵は きょうの友って♪ 古いコトバが あるけど〜♪
きょうの友は あしたも友だち♪ そうさ 永遠に〜♪」

その後、みんなで団らん。
敵もポケモンも交えての、なんだか久しぶりのにぎやかな夜ご飯は、故郷にいた時を思い出して楽しかった。

食器を片づけるとき、楽しそうにが歌っていた歌がなんとなく耳に残った。





――なぁ。
これってさ、…勝者ってじゃね?










イタリア料理とか地名を言ってごめんorz
説明のしようがなくて仕方なく使った。
歌は【ポケモン言えるかな?(初期)】と【めざせポケモンマスター】より




さんのイタリアんレシピ!〜
【キアッキエレ】

◆材料
・薄力粉
・お好みのリキュール
・ベーキングパウダー
・バニラエッセンス
・卵
・砂糖
・バター
・揚げ油

◆手順
(※ページ数と文字数が多くなるので、一部省略)
1.バター切る。ポケモンに薄力粉とベーキングパウダーをあわせて振るってもらう
2.まぜる。こねる。寝かせる。
3.のばす。包む。ポケモンに〔つるのむち〕できじをひっぱってもらう。〔ハッパカッター〕で適度な大きさにきる
4.ポケモンに火力を調整してもらって揚げ油を170℃に温める
5.色よく揚げていく
6.油をきる
7.ビニール袋に粉砂糖を入れ、油をよく切ったキアッキエレを3,4枚ずつ入れ、口を閉めてから静かに振る
8.〔はなびらのまい〕で皿の上に彩りと飾りを用意
9.お皿に盛りつけます






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