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ss01. 使用人と王女の出会い |
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side 新米騎士は不運な門番 オレの名前は『 』。 ファブレ邸の某仕様人に成り代わった。 前世の名前はこの世界では発音できないらしく、仕方なく某使用人の名前を名乗っている。 ズバリ今のオレはガイである。 ********** ナタリアに会った。 あー。あれはね、うん、すごかった。 後に使用人(オレ)は遠い空を見上げて、そう、語る。 彼女はまさに猪のようで、人の話を聞かず、ファブレ邸に奇襲のように訪れては、記憶記憶と甘いたわごとを期待して騒がしかった。 初めて会ったその時でさえ、思わず「ルーク様は御気分がすぐれませんので」と、騒がしい来訪者が誰とか構わず、そのまま追い出そうとしてしまったほど。 このときオレがガイとして初めて彼女に会った瞬間だった。 っが、しかし。 彼女と出会った瞬間に、笑顔で見ないふりを決行し、追い返そうとした。 「主は気分がすぐれません。お帰りなさいませ」 気分がすぐれないのはオレだけどね。 そうしたら彼女ナタリアは、何て言ったと思う? あきらめたわけでも、出直すでもなく・・・さ。 オレは遠回しもなにも今すぐ帰れと言ったんだが。 一度城に戻る=ナタリアがファブレ邸をでる=またファブレ邸にくる=あとでまたナタリアがファブレ邸にくると【事前連絡】が来ているも同じ=ルークもオレも心構えも対策もねれる。 上のような思惑もあり、それぐらいしたら通してやってもよかった。 だから出直せと遠まわしに言ったのだが。 遠回しすぎたか、ナタリアには通じなかった。 「まぁ、なら余計に婚約者たる私が面倒を見てあげなければ! そこをとおしなさいガイ」 と、こうきた。 お前は医者かよ。お前は使用人かよ!! 面倒を見るのは使用人の仕事なので、お姫様は静かにしていろ。仕事をとるな。 そもそもいままで人様に面倒見てきてもらってヌクヌク育ったお姫様が、ちゃんと看病なんかできるのかよ。と言いたい 。 人の気持ちを顧みず、しつこく思い出せとルークに連呼するぐらいだから、どうせこのぐらいであきらめるわけはないだろうとは思っていたが、出直すこともしないで乗り込もうとするとは。 あきれてものも言えない。 せめてくるなら顔洗ってその癇癪抑えて出直してこい。 看病はやるべき者に任せて、オレの気分を悪くした謝礼として手土産でももってこい。 「聞いてるんですの。どきなさいガイ! 使用人の分際でわたくしの邪魔をするんですの!?」 そう。あんたはお姫様。オレらは使用人。 それだけ認識してもらえれば舞い戻ってこなくても結構よと思う。 あまりの強引さに、笑顔が引きつった。 周囲の目など気にもせず、騒ぐ彼女の首に手刀を叩き込んで意識を刈り取った。 「おやおや。興奮しすぎて貧血でも起こされたようですね。 だれか急いで城に鳩を飛ばしてください」 おもわず口調が某青偽軍人隠顕メガネやろうのそれになってしまったが、ひきつってもなお周囲の人を思って丁寧な言葉遣いでいただけでも誉めてほしいものだ。 周囲の使用人たちが騒ぐ前に、さもワタシナニモシリマセンとばかりに笑顔で応対。 ファブレの使用人は本当にしっかりしているので、あっさりオレの真意を組んで手際よく“貧血で倒れた”ナタリアは城から迎えが来て去って行った。 その後もいろいろあったが割愛しよう。 こんな王族ばっかでキムラスカに長くとどまりたいと思うかね? 答えは否。 そして彼女の暴走は、オレがファブレ邸にいる間だけでも両手の数を軽く超えてしまった。 あえていおう。 これはもう調教の仕様がない。 立派に自我も芽生えているし、いまさらねぇ〜。っと、いうかオレが何か言おうものならすぐに喚かれ、怒鳴られ、言葉を遮られ…。 毎回毎回オレの笑顔はひきつっている。 ひとはオレの笑顔を見てこう言う。 アルカイックスマイルと――― それは、常識を無視した人間に見せるオレがきれる手前の、我慢の限界の合図なのだそうだ。 |