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05.鹿が助けられた件について |
side [有得] 前世鹿な 夢主1 とりあえずエルレインちゃんのはいっているリュックをしっかり握って、タクシーでもつかまえようと決意。ホテルの場所はわからないから、牛丼のおっさんがいるところか、ベンさんあたりをたよればきっと大丈夫に違いない。 そう思っていざふみださんとしていたら、突然身体が浮いた。 なにとだと目を見張っていたら、がしっとつかまれてなぜか運ばれている。 同い年の子に比べると運動量が少ないから小さいけどね。ぶら〜んって足が見事に浮いている。 オレ、俵じゃないんだけど、どうやら小脇にかばんのようにだかれているらしい。 チラリとみやればオレを脇に抱えているのは、腕とかめちゃくちゃ太くて、ひげで顔が覆われたような男。 おっさんはなぜかオレをだきあげると、優勝杯でもかかげるようにオレをかかげて、上に向かってさけびだした。 首に冷たくて痛いのが当たっている。刃物かな? 「こっちにくるんじゃねー!!こいつを殺すぞ!」 うるさい。 耳元で騒ぐなら一言、声をかけてからにしてほしい。 両手はさすがに空いていたからとっさにふさいだけどさぁ。 あ、スカイハイだ。 おーい!おれこっちよ〜!あとでサインくれないかなぁ。 というか気づいてないよスカイハイ!なんでおじさん体格には無理そうな細い道はいっちゃうかなぁ。 これじゃぁ、あとでサインねだれないじゃん。 っで。 ところでこのひとだれ? ふわっとしたと思ったらごっついおっさんに抱きかかえられてナイフを突きつけられてます。 しかもおっさんはオレを抱えたまま走ってますぜ。 あらら〜。 足が浮いちゃってるよ。なにこれ。片腕の筋肉だけでオレのことだきあげちゃってるの? おじさんメタボなのに、意外と力持ちだね。 わぉ。どうやらつかまったのオレみたいだよ。 オレ人質なんて始めて。 オリエンタルタウンはのんびりした田舎だから、事件に巻き込まれたことなんてなかったんだけど。 さすが都会。 こんなこと考えてるのばれたら、楓ちゃんにまた椛は状況理解してるの〜とか怒られちゃいそうだけどね。 心配?ないない。だって大丈夫だもん。 お父さんがたすけてくれるさ。だってお父さんはヒーローだもん。 他人を当てにしすぎっていわれても、自分ひとりで逃げ切れる自信ないもん。 オレNEXTだけど、触れているその温もりと引き換えに発動する能力だけど、攻撃型じゃないんで無理〜。足遅いしね。 とか思ってたけど、なぜかヒーローがこない。 周囲も騒ぎはするけどヒーローTVがでるほどじゃない。 まさかの能力者ってオチだったらこまるわ。 壊れて砕けた前世のオレ。その前世と同じ行動をすれば経験ごと記憶が戻るオレだけど、だっこされてる状態だと刀技も何も使えないし、それらしい武器になるものを手にすることもできない。 前世の記憶があっても役に立たないので、そのままゆられているしかなくて。 開けた場所まで着いたとき、ようやくおっさんがとまり、そこには先回りしたヒーローとヒーローTVのヘリがいた。 ありゃ。やっぱりもう放送されてたんだね。 チラっと巨大モニターをみるもヘリもいまついたばかりで、ナレーションはまさにいまはじまったばかりのようだ。 最初に駆けつけたのは牛。 次は炎のひと。 あ、牛だ!とオレはあいている手でアントニオに手を振った。 しばらくオレがだれかわからなかったようだが、すぐに「くるの今日だっけ!?」とよろいの下からあわてたような声が聞こえたから、オレがだれかわかったのだろう。 それからなにかいろいろな不思議なアクションをしたアントニオに、首をかしげていたら、「そうだ!」とばかりにアントニオが「またピクニックいこうぜ」と言ったから、「うん!いきたい!」と頷いた。 楽しいことを思い出してニヤついたら、うっかり能力が発動。 光ったオレにびっくりしたおっさんがオレから手を離したすきに、牛がつっこみ銃弾もはじいて無事犯人確保。 びっくりしたところわるいけど、残念でした〜。オレの能力は光るだけです。 逃げようとしたおっさんは炎の人が器用に服だけ焼いて、まっぱだから逃げられなくて、スカイハイが到着するころにはすべて終わっていた。 結局もの三分もたたずに終わってしまったため、他のヒーロがくることはなかった。 残念。 事件があっけなく終わって、ヒーローの取材も終わり、オレは「迷子になって、ふわってしておっさんにつかまったの」と告げただけで事情徴収も終わり、帰り道はわかるかいと聞かれ、牛がつれててくれるのとアントニオをさせばファンのこどもだと誤解されヒーローはひとをたすけるけど、それいこうのアフターケアはしないんだよ。相手は素性もばらさないヒーローだからねと苦笑された。 失礼な。オレはタイガーファンだぞ。ちゃんと迷子札の欄とアントニオの会社名を指し、トップマグの会社名とベンさんの名前も見せる。それでヒーロー関係者かとなら大丈夫だねと警官の人に解放された。 そのまま「牛ー!ありがと!」って、牛に駆け寄って飛びつけば、いつものようにアントニオがだきあげてくれる。 「いや、ほとんどおまえがひとりでたおしたようなもんだろ。ってか、なんでひとりでいるんだよ椛(もみじ)。 すぐ迷子になるんだから気をつけろよ」 「ん。でもね。でも、ね。明日はね、楓ちゃんの大会だよ!おばあちゃん、あとからくるの。オレ、と、楓ちゃん。一日早く来たの。 ベンさんがひろってくれるはずだったんだよ〜」 「つまり、その前にまた楓とはぐれたのか」 「そう。なの」 「虎徹はしってんのか?」 「ん。お父さんの家あぶないからまっすぐホテル、いくようにって。おれたちぐらいのこも選手用のホテルに皆泊ってるからそっちのほうが安心だって」 「ホテルにいくまえに事件に巻き込まれちゃぁいみないがな」 「場所、忘れた」 「待ってたら楓ちゃんくるだろ」 そんなわけで楓ちゃんが来るまで、よくアントニオと一緒にいるせいですっかり顔見知りになった、クロノスフーズのみなさんにかまってもらってました。 楓ちゃんはすごいんだよ! なぜかオレが迷子になっても必ず見つけてくれるんだ! 今日もアントニオのトランスポーターでまってたら迎えに来てくれたんだ。 |