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08. 冬将軍とみんなの微妙な勘違い |
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リースは海軍では「冬将軍」といわれるぐらい冷たくてすごい威圧感あるひとって思われている・・・という設定です。 11.06.01 【リース視点】 ここは冬島。 ここは雪がふぶく、とある丘の上。 すぐに雪は降るし、風も吹く。 吹いた風はゴウゴウと耳元でうなりを上げて、なんだかいつも以上にうるさく感じる。 あまりにうるさくて、もしかして自分の知らない間に背後で部下のみなさんが宴会でもしてるんじゃないかと背後をやるが、なんもみえん。 そういえば自分目が悪かった。 眼鏡をかけていて見えるのが、せいぜい色と微妙な形だけってどれだけ目が悪いんだろう。 思わず目を細めてなんとか焦点が合うよう努力してみるが、これといって部下達が楽しそうな宴会をしているわけでもないらしいので視線をもどす。 っと、今いる自分の丘の下に、不明瞭ながらも巨大なタコがいるのに気付いた。 さすがにあれだけでかいとオレの目にもタコだとわかる。 ってか、この丘、あと2メートルほど進むと崖だった。 どうりで波の音が大きいと。 というよりあのタコ、タコのくせに岩場にはまっているらしい。 おかげでちょっと殺気立ってる。 そのうちあの岩場を崩しそうな勢いで暴れている。 うん。これはみなかったことにしよう。 チラリチラリ ああ、また雪が降ってきた。 雪が降っているから、寒い。 たぶん。 事故にあっていこう寒いとか暑いとかイマイチ鈍くなっている自分には、こんなもんだろう。 けどここは空が澄んでいて気持ちがいい。 気付いたらこの世界でも空を見上げるのが癖になっていた。 医者いわく自分はあまり温度差がわからないらしい。 一定以上の熱さはゆだりそうでわかるが、寒さなどはさっぱりだ。 これも全て事故の後遺症らしいが、あの事故で生きているだけ、体を自由に動かせるだけましだ。 雪も降ってきたし、タコが暴れて崖まで崩れたらたまらない。 帰るか。 たぶんころあい的のもちょうどいいだろうし。 「風・・・でてきたましたね〜」 あ〜風が吹いてきたから帰らないと凍傷になるかも。 かかりつけの医者は風が吹いたり手が赤くなったら帰れと言っていた。 手を見ると若干赤いし、確かにうごかしづらいからそろそろ本格的に船に帰ろう。 そうしたらあったかい飲み物もらって、さっさと目的地に言って寝よう。 でも、帰ったら、また医者におこられるかも。 長居しすぎたかな。 まぁ、早く帰る区切れに気付かせてくれたタコには感謝しよう。 たとえ軟体動物で、目玉ぐらいの大きさの穴があれば抜け競るはずのタコが、はまっていたのだとしても――うん。みなかった。 そうしよう。帰ろう。 そう思って振り返ったとき、なぜか雪に半分埋もれるようにおっさんが複数倒れていて、離れた位置では部下の皆様が顔を青くして震えていた。 でも目だけはキラキラとしていて・・・。 え?あれ?そんなに雪は寒かったかな? それより、雪が振ったのが楽しかったのかな? 本当にオレの周りはよくわからない人たちばかりだ。 ところで、オレの周囲で倒れているこのごつい人たち・・・だれ? ********** 【第三者視点】 せっかくの休憩をかねた視察だったが、なんてことだ。 襲い掛かってきたのはこの近海で名をはせた残虐非道な海賊達。 どうやらこの冬島をねじろにしていたようで、偶然帰還した海賊達と自分たちはやりあうはめになった。 少し離れた場所では丘には、リース少将がいる。 一年ばかりあの人の部下をしているが、いまだに彼女か彼かいまいちわからない麗人は、眼鏡ごしに空を見上げている。 編み上げた黒い髪につけられた髪飾りがしゃらしゃらとこの北の風で音を立てる。 そうやってただたたずむだけでも相変わらず様になる人だ。 俺たちは、あのひとに焦がれて付いてきた。 だからこそよけいにあの方の手間を煩わせるわけにはいかない。 なによりこんなところで部下が海賊ごときにやられては、リース少将の面目が潰れてしまう。 俺たちは必死で、それぞれの武器を手に、中将をねらう外道なやからと剣を交えた。 海賊たちとの戦いは苦戦した。 はじめはいきごんでいた俺たちだったが、いかんせん数が少なかった。 もともとここへ視察のついでにたまたまよったにすぎない。 その数少ない仲間の多くは船の番にここにはいないし。 なにせ散歩に出たいと告げた少将の護衛なのだから人数は初めからいなかったのだ。 むしろそこをつかれたといってもいい。 「逃げてくださいリース少将!!」 俺たちは人数の差でボロボロになった。 そんな俺たちをあざ笑うかのように、がたいのいい海賊達は、離れた場所にいたリース少将の元に向かう。 少将は【冬将軍】と二つ名をもつほど名の知れた海軍将校の一人。 新聞でもそのいでたちはよく書かれている。 海賊達は、リース少将の首を取ってさらに名を上げようとしているようだった。 ボロボロになった俺たちなどもうどうでもいいといわんばかりに、海賊たちは俺たちを通り越して、ただひとりがたたずむ丘へとむかう。 「少将!!」 あのひとは呼ばれるほどの声が聞こえないのか、リース少将は微動だにしない。 聞こえない――その可能性はある。 事故にあったのだと聞いたことがあるから。 役立たずの自分たちが歯がゆくなった。 逃げてほしい。 生きてほしい。 傷つかないでほしい。 助けたいのに、間に合わない。 あのひとのたてになるために自分たちはいたはずなのに・・・。 握った拳から血が流れる。 悔しい!! ――そのとき 風が吹いた。 ゴゥと吹き荒れた風は、地面に積もった雪を一瞬舞い上げる。 視界が白で染め上げられ、その一瞬後には、20はいた海賊達が意識を失いそこに倒れ付している光景に目を見開く。 その場にいた全員が言葉を失った。 ああ、そうだ。 自分はなんてバカなのだろう。 あのひとは、リース少将は、【冬将軍】。 眼鏡の向こう側から覗くのは普段とは違う、なんだか祈るように眉間にしわを寄せたふせめがちのきつめの強い眼差し。 助ける――そんなことを考えた自分がなんておこがましいことをかんがえていたのだろうと、恥ずかしくなってくる。 突如あふれ出したリース少将の街殺気は、まさに冬将軍の名にふさわしく身を凍えさせる鋭利な刃物のように周囲に風のように渦巻かせた。 襲いかかろうとした海賊たちは少将が一瞥を向けただけで、その気にやられて倒れふす。 きっとあれが将校以上が使うという「覇気」というものなのだろうと、あまりの凄さに言葉を失う。 少将は海賊達を倒した後、すぐに視線を外しまた空を見上げていたが、やがて下を見るようにうつむくと、次には海賊に怒っているのかそれとも別の何かを考えているのか、己のの手をみつめ悲しげに目を閉ざし開いていた拳を強く握った。 自分の手が血まみれだと知って悔いてはいるがそれでも前に進もうとしているのだろう。 そんな哀しげでいて儚げな表情が、目に焼きついて離れなかった。 少将の傍に常にいるあの女医は以前言った。 よくひとりで空を見上げ少将に、彼女は「誰よりも生に執着してるのはあいつだ」と俺に教えてくれた。 だからこそ戦うことが嫌いなあのひとが、ダレよりも多く戦っているのだろう。 また風が強く吹きはじめた。 やがて風がおさまり、リース少将は髪飾りを揺らして、振り返った。 冬将軍は雪とともに訪れた。 リースの覇気? いいえ。タコの覇気です(笑) いい加減本編すすめろよって感じですよね〜。 すみませんorz 文才力ないので、すすまない(汗) 自分の脳みその妄想を文字にするのってむずかしいですね。 ゆっくりですが着実に頑張ってます。 |