崎穹識の日常
- 復 活 × 零 崎 -



01. 空色の預言





「もしも『ボンゴレ』が接触してきてもオレが絶対にヒオリもツミキちゃんも守るから」


 血に宿る驚異的な直感力が、彼になにかをうったえかけたのか
蒼を名に持つ殺人鬼は、半身と親友に穏やかに笑った。

「『ボンゴレ』ってマフィアだったよね。殺さないのかい穹識(ソラシキ)。
あいつらのせいで君は何度命を狙われたのかもわからないのに?」
「うん。殺しは・・・だめ、かな」
「君は殺人鬼だろう。
それも“殺し”を息するようにおこなう殺人鬼の中の鬼たる【零崎一賊】らしくない発言だね」

積葵(ツミキ)と呼ばれた蒼色の殺人鬼の親友は、不思議そうに首をかしげる。
困ったように微笑む穹識(ソラシキ)に、積葵の横にいた目の大きな淡い色の髪をした少女はパチクリと瞬きを繰り返す。

穹識は積葵の言葉に「それもそうだね〜」と頬をかく。

「ねぇソラ」
「なぁにヒオリちゃん」
「それって『うっかり』もだめってことだよねぇ?」

首を傾げて問うのは、少女――緋織(ヒオリ)。
蒼穹の殺人鬼の片割れたる少女だ。

「そうだよ」
「どーしても?殺しちゃだめ?」
「うん。ごめんね」
「う〜ん。難しいかも。うっかり殺しちゃうことはわたしにはどうしようもないし」

「でも、ダメ」


 無意識に
ただ呼吸をするため
息をするように

殺人に何も思いいれもなく――殺す

それが【零崎一賊(ゼロザキ)】


ゆえに緋色の名を持つ殺人鬼の少女は、半身たる蒼穹色の殺人鬼の少年の言葉に戸惑いを隠せない。
なぜ“殺すな”というのだろうか。

少しだけ我慢してねと、柔らかくいわれてしまえば、緋織が何かを言うことはできない。



「・・・“それ”は、君の勘かい穹識?」


 ふいに響いたのは、武器商人の子にして二人の殺人鬼の親友たる黒髪の青年。
積葵は、始めの問い以降何かを考えるように口をつぐんでいたが、その顔は酷く真剣で、真意を東洋に真っ直ぐと相手を見やる。

“殺すな”とは、勘が何かを訴えかけているのかと――

しかし蒼色の【零崎】の子供は、それに言葉で答えることはなく、ただひどく大人びた笑みを深めた。
双子の片割れにして緋色の少女は、そんな半身に納得したように悩むのをやめてニコニコと笑みを浮かべる。

 緋織は穹識の言葉を疑わない。
穹識がもつのは、未来予知にも等しいものだからだ。

「ふふ。わたしはソラがいいならかまわないの。
ソラが笑える未来を“視た”というのなら、それでいいよ」


 あなたが幸せならそれでいい。


 緋織は、穹識が嬉しそうに笑っているのを見て、幸せそうに同意する。
穹識が選んだ道なら文句はないと――。
その背を支え、穹識が行きたい場所へ背を押すのが自分の役目だと。

「ソラがね。笑えるならどんな世界もわたしは愛せる。できる限り我慢する。殺さないよ」
「僕はお嬢ほど、そこまで君にお熱ではないけど・・・興味はあるかな。
君がそこまで楽しそうに笑って、“壊すな”という未来っていうのにはね。
いいよ。協力してあげる」

「ありがとうヒオリ、ツミキちゃん」


「っで、穹識。君はどんな未来をみたんだい?
今の君は僕らや家族と居るときと同じように優しい顔をしているよ」
「ん〜たぶん、もうすぐわかるよ」

 きっとあの未来は幸せ。
たとえつらいことがあったとしてもきっと乗り越えられる。


だから――「ねぇ、ふたりとも」

「「なぁに/なんだい穹識?」」



「いかにもさ、そんな無粋な奴ら“うっかり”事故に見せかけるなりして殺しに行こうとか、咬み殺そうとかさ。
武器を手に席をたつのやめてよ二人とも!!」



 とある大なく小なく並がよく似合う街の一角で、盛大な悲鳴が上がった。

 その後、穹識は必死で半身と親友を止めるのに一日を費やしたとか・・・
途中で【人類最強】と呼ばれる赤い女性が爆笑しつつ乱入してきたとか。

それはまた別の話。










 その言葉
その悲鳴
その来訪――

すべての始まり(ゼロ)の序章
それが“ひとり”の世界が変わる数日前の出来事――








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