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02. 緋色は零崎だったというだけ |
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うん。わたし。 お母さんもお父さんも大好きだったのよ。 でもね―― 「お母さんもお父さんもしょうがないなぁ。だからダメっていったのに」 ―― side 名のない緋色の零崎 その日、おさえていたものが壊れる――そんなきっかけが起きた。 あのときの始まりはなんだったかしら? そう。たしか、お母さん。 「一緒に料理をしましょう」と、お母さんがさそってきたの。 断ったんだけど、包丁を持たされて、気が付けばわたしは目の前のきゅうりじゃなくて、お母さんを切りつけていた。 わたしは小さいから、台にのっていたの。 そうすると横に立っているお母さんの首が、わたしにはよく見える位置になるの。 手を横に動かすだけ。 それだけで、ちょうど横にあったお母さんの首に包丁は刃を滑らせる。 ぐっさりささった。 のどからたくさん血が出たけど、喉を切ってしまったからかな?お母さんは声ひとつたてずに倒れた。 たおれたお母さん。 血が付いた。 まないたにはきれてないきゅうり。 床が赤色で水たまりができた。 とりあえずお母さんのところに刺さったままの包丁をぬいておいた。 さらに血が出たけど・・・ これはどうしたらいいのかな? わからないからお父さんにきくことにしたの。 でも、ソファーに座って、テレビをみているお父さんの後姿を見たら、そのまま手にした包丁をふりおろしていた。 真紅、緋色。赤色。あかいろ、あかいろ、あかいろ・・・。 まっかな――赤。 夕日のような赤色は、わたしの前に広がって。ひろがっていく。 「うっかりうっかり?」 そのあとふたりは死んでしまったのを知るけど、そのときは何も思わなかったんだ。 ただ小さかったわたしは、眠くなったのでそこで寝てしまっただけ。 血とか刃物とか、わたしにはなにも考えず、あくびをひとつして、ソファにいるおとうさんの横に座った。 次にわたしが目を覚ましたとき、いろんなひとたちがいた。 泣いているひと。 わたしをあわれむ人。 よくわからないけど、わたしの家に強盗が入ったことになったらしい。 わたしが殺したんだけど、テレビではそういうの悪い事だっていってたのを覚えてたから、わたしは知らないフリをした。 わたしがお昼寝してる間に、両親は赤くなっていたと告げる。 都合よく、周囲は勝手に誤解し、犯人が殺した後、気絶したわたしに罪をなすりつけようと包丁を持たせた――っと、いう設定を作って、“そう”だと思い込んだ。 四歳の子供が親を殺すはずないというそれが思い込みだと気付かずに。 そしてわたしは親戚のおうちにひきとられた。 新しいわたしののうちには、ひとつうえのお兄ちゃんがいたの。 わたしはお兄ちゃんも新しいお母さんとお父さんも大好きになった。 だから決めたの。 わたしはこのひとたちだけは、“うっかり”殺してしまわないようにしようと――。 |