その花は桃色ですか?



 04 夢に見る





ひょんなことから城を抜け出れば、〈エステリーゼ〉ははじめてで世界の毒だと言われ、真実を追求していけばそれがなぜか世界を救う旅に発展した。

しかし、それは今は昔のお話し――







 -- side エステリーゼ --







ふわりと意識が覚醒する感覚。

気付いたら、自分の頬が濡れているのに気付いた。
どうやら夢を見ていたらしい。

「どうした?また怖い夢でも視たのか?」
「ユーリ・・・いえ、もう大丈夫です」
「はぁー。お前の“大丈夫”があてになったことはないからなぁ。それで?」
「えっと。言わないとダメです?」
「あとでおっさんに俺が怒られんだよ」
「その・・・〈むかし〉のことを。世界の毒だと言われて、ビックリしたときの夢を見ました。フェローがいましたよ。自分の夢の中ではまだあの大きな鳥の姿をしていて」

精霊の姿からは想像もつかない姿を思い出し、思わずクスリと笑ってしまう。
だけどユーりは、呆れたように額に手をやって大きくため息をついた。

「おいおい“また”か。キャナリー、イェガー、騎士団の奴ら、ギルドのやつら、つぎはフェローかよ」
「“また”って言わないで下さい。自分もよくわからないんです」

自分が〈エステリーゼ〉の夢を見るのは昔からだ。それこそ物心ついたころには、もうその夢を見ていた。
けれどまた最近視るようになったそれは、誰かが前世の記憶を取り戻す時におこる。
インターネット上にはくろちゃんというものが世の中にはあるようで。その大型掲示板に、ここ数か月頻繁に『テルカ・リュミレース』の名前が出るようになったのだ。
レイヴンが検証してくれて分かったことだけど、自分が〈彼女〉の夢を見るのと、覚醒者たちの目覚めが同じ頃らしい。
だからユーリは自分の夢を警戒する。

なんのために自分が〈エステリーゼ〉の夢を見るのかもわからない。
なにかのしらせ?
それとも自分がさびしさのあまり、彼らを輪廻の輪から引きはがしてしまったのか。

ふいに頭にポンと手がおかれ、そのままぐしゃぐしゃと撫でられる。

「バーカ。そんなに全部自分のせいみたいに抱え込むなよ。お前のせいって決まったわけじゃないだろ?なにかに感化されてるだけかもしれないっておっさんも言ってだろ?」
「でも」
「“でも”はなし!フェローに関しては動物専門のラピードがいる。あいつがいればなんとかしてくれるさ」
「大丈夫です?」
「大丈夫に決まってんだろラピードだぞ」

夢と現実が重なることが、〈前世〉のように自分がなにかしてしまわないかと不安になってしまう。
けれどそれをみこしたように、ユーりが苦笑して手を引っ張ってくれるから、自分はまた“今”を歩き出せる。

「それより、ほら。いくぞ、XXXXX」
「はい、セト!」








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