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01. 98歳の死 |
あと、二年。 それだけ頑張れれば、わしはめだたく百歳だったのにのぅ。 気力だけでは寿命には太刀打ちできず、どうにもいかんかったようじゃ。 もったいない。 もったいない。 まぁ、少々のボケ程度で、最後まで健康でいられたのは救いだろうて。 うむ。そう考えれば、よき人生であった。 :: side 爺さん :: 享年98歳。 本当におしい。 少々周囲にはボケてきてるとはいわれたが、少しばかり耳が遠くなっていただけだ。 まだ理性はしっかりしていたさ。 そんなわしはようやくテレビにカラーがつきはじめ、遊ぶ電子機械といえばファミコンがではじめたころに学生だった世代の人間じゃ。 幼い頃には、漫画やアニメなどそれほどなくて。 大人になってそれらがはやり始めた。 年甲斐もなく大人になった後で、わしもアニメにはまってしまったよ。 とくにジブリ作品が好きじゃったのぉ。 そういえば、わしの孫は、ジブリではなく、【かていきょーしひっとまんりぼーん】というアニメにくらいつくように見ておったのぅ。 孫の名前は、孫乃 (ソンノ )。 初孫じゃったからかわいくての。 あの子が好きだというたはなしはよく聞いてやったもんじゃ。 漫画やアニメの話が多かったのは、現代っ子ゆえじゃろうな。 あれの最終回はまだだったはずだが、わしは一緒にみてやれんのぉ。 一緒に見ると約束したんじゃがなぁ。 『・・ぁ・・・?』 孫に悪いことをしたなぁと思っていたら、ふいに目がひらいた。 おや?と思いつつぼやける視界を何度も瞬きして確認する。 視界の揺らぎは治らなかったが、温かいなにかが自分を抱き上げたのを感じた。 「ああ、起きたのね。愛しい子」 「おはよう僕らの “” 」 温かくやさしいもの。 ずっと聞いていたい響きは、はるかむかし、自分も我が子にささやきかけたそれを思い出す。 それで納得した。 どうやらわしは三途の川を渡る前に、別の河原にたどりついてしまったらしく―― 死んだと思ったのに生まれていた。 なるほど。 なるほど。 赤ん坊の視線というのはこのように面白いものなのだな。 生まれた手はまだ目が見えないというのは本当のようだ。 ああ、すまない よ。 わしはお前との約束は果たせそうもない。 約束自体は覚えているのだが、赤ん坊の身ではなぁ。 まぁ、また出会うことがあれば・・・。 次はお前の願いをかなえてやるさ。 一緒に―――――を・・・しようじゃないか。 |