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03. 非運命論者 |
ここは ――リーゼ・マクシア 『ふっ。神だなんだのと接触した時点で、こうなるだろうとは思っていたさ』 「アル?どこにいるのアル」 アルフレドとして生まれた元神は、青い空を哀愁漂わすまなざしで黄昏ながらみつめていたが、ふいに自分の名を呼ぶ声に意識を戻される。 振り返れば、心配そうに自分をみつめる母親の姿が視界に入り、何でもないと首を振る。 「あまり外に出ていては風邪をひいてしまうわ。さぁ、いらっしゃいなかでお茶でもしましょう」 『そうだね』 そのまま母親を安心させるように笑いかけ、室内へと戻る。 『本当に運命の女神って、ろくな奴はいないんだな』 オレはアルフレド。 元太陽神な、現在人間である。 オレも少し前まで太陽の神という神様の一員でしたけど。犬でしたけど。 運命の女神は、犬以下のクソだと思ってますが。 ソレがなにか? なぜって。 オレは転生空間において、たしかに、話を聞いてくれないのなら、オレにしゃべらせろ。と言った。 心が読めないのなら、しゃべるために口をくれと言った。 そのどれもが〈言葉〉という意味を持つ。 そして神がなぜかよこした能力は、その〈言葉〉がキーワードとなって発動する。 なにが言いたいかというと――。 カミサマとやらに無理やり渡された力とオレがもともともっていた能力が融合し、大きく能力が変質してしまった。 否、力が変質するまではいいのだが、どこをどう間違ったのか、神がくれた力がオレの〈言葉〉に宿ってしまったのだ。 まじ、有り得ん。 しかも前世では筆やら墨やらで〈書いたもの〉に力が宿って、太陽神としての能力が発動していたのだが、それが〈声〉に宿ってしまったからたまったもんじゃない。 おかげでオレが発する〈言葉〉には、とんでもない力が生まれた。 もうこれは、言霊の粋である。 〈言葉〉に力が宿るようになりまして、告げた言葉が実現するわ、しかも声の大きさによって能力効果が変わるという神からの初期設定までくわわったので、はっきりいって今世のオレはとんでもない生物兵器と化している。 たとえば普通に「あいうえお」と言ったとしよう。すると周囲のガラスやらが割れる。 これで普通の音量だ。 さらには声優さんの発声練習よろしく、少し大きめの声をだせば、地割れが起きた。 たとえば連続して言葉が紡がれる歌なんぞを歌ってみれば、地震が起き、津波までおきた。 そこまでなって、しゃべるのをやめた。 やったことはないが、たぶん絶叫を上げれば、世界が崩壊する気がする。 そんな能力持っちゃったオレが、人前でしゃべるなんてできるわけがない。 もちろんお友達もできない。 会話?知ってるか?会話っていうのはね、口でするんだよ? 口から〈言葉〉をだす!?とんでもない!! そんなことオレがしたら、世界が滅ぶよ。 オレと会話?死にたいのか?・・・って、話になるからね。 これさ、オレじゃないにしてもとんでもなくないか? 声の能力ってどんだけチートよ。 こんな能力を神に望んだっていう夢見る女が、ずげぇと心の底から思いました。 これだけの〈力〉をただの人間が制御できるとは思えないので、力の暴走でこれを望んだ女が死ぬことを、女神は望んでいたのではないかと疑いたくなるレベルである。 そんでもって、女を殺すわけにはいかなかったのか、はたまたただの間違いなのかは知らないが、そのでかすぎる〈力〉を見ず知らずのオレにおしつけるんじゃねぇよと言いたい。 もう一度言う。 『人違いだっつってんだろうがー!!!!!』 もちろん声に出して叫ぶなんてしてない。 心の中の叫びである。 こうしてアルフレドくんのひとりぼっちな友達いない歴の幕が開けたのだった。 神、マジうらむ。 |