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01.ポケモン館からの逃亡 |
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side 主人公 あ〜。 えっと。どうも。 邪神なるものを信仰する恐異の5歳児により、異世界よりつれてこられ、ミュウと魂を融合させられ、あげく声を奪われて“レッド”に憑依させられたと申します。 “レッド”に成り代わってからすでに十年近くたっているので、さすがに『』ではなく『レッド』として呼ばれるのもなれたころ。 うん。慣れはしたけどね。 そっちはいいんだよ。 オレが“レッド”なことは。 そうじゃなくて――問題はポケモンだ。 生きた世界の秘法ともいわれるミュウのくんとオレの魂が混ざってしまったせいで、人間のくせになんでミュウの気配がするんだ!と、こちらの世界のポケモンたちはオレを一目見るなり襲ってくるようになった。 おかげでオレは外に出るのが怖い。 すっかりポケモン恐怖症だ!!どうしてくれるこのやろう! ついでにいうとこの世界はゲームの初期・・・というかイエローバションに酷似しているらしく、《レッド》の持ちポコモンイコールピカチュウと周囲には思われている。 実際のところ、オレはピカチュウをもっていない。 ならばなぜかというと、オレの側にいるときミュウのくんが、日常においてピカチュウの姿に変化していることが多いためだ。 さらにいうとゲームに酷似しているというだけあって、トレーナーと視線があうとバトルをしかけてくる。 ぶっちゃけていおう。 本当はバトルなんて怖すぎて、家から外にも出たくないほどだ。 ポケモンは怖いし、人間は人の話を聞いてくれないし、オレの“声”は聞こえないし!! そんなオレが、このたび実はポケモンリーグのチャンピョンになってしまいました。 なぜこんなことになったかわからない。 なぜかセキ高原で道に迷っていたらリーグ戦が開催され、そのまま観戦していくか〜と、のんきにうろついていたら・・・・・・なぜかリーグ戦に参加させられたレッドです。 そのときのオレとくんは唖然。 だって名前呼ばれたからいったら、なぜか会場の中。それもリーグの上とか、本当に有り得ない。 オレはいつ選手登録をしたのだったかな? 側にいたくんも記憶がないというから謎だ。 とりあえず、どうにかして逃げようにもオレの足はガタガタと震えて言うことをきかない。 そのまま動けなかったオレは気が付いたら逃げられる状態じゃなくなっていた。 結局バトルをすることになってしまい――で、天下のくんひきいるオレの仲間が弱いはずもなく、オレがガタブル震えていただけなのに対し、ポケモンたちは勝手に圧勝してしまって、なぜかオレはチャンピオンなっていたのは随分前のこと。 その日から、ポケモンだけではなく今度は人にまで追いかけられたり、とにかく物凄く目立って困っているレッドです。 リーグ戦ね。 あれ以降、本当にいろいろありまして。 ただでさえポケモン恐怖症だったオレは、それにくわえ、人間恐怖症になった。 なにせそれでなくても人間関係がよくなかったオレは、いまでは人見知りも加わり引きこもりがちに。 そしてただいまリーグチャンピョンへの挑戦者とかから逃げるために、ジョウトのいとこの家で引きこもっていた。 っが、しかし。 世の中そうはうまくいかないものだ。 トゥルル トゥルルルル〜♪ ガチャ。 「はぁ〜い。どちらさま?って、あらぁ。れーくんじゃない。 まぁ。今日のくんはピカチュウなのね。 それよりどうしたの?」 ポケモン世界は変なところでハイテクです。 電話は音声だけでなく、必ず映像つきだしね。 まぁ、それのおかげでオレは助かっているので感謝だ。 オレは先も言ったように、とある脅威の五歳児のせいで、声を代償に取られてしまったので話すことができない。 だけどこういったテレビ電話だと文章を書いてみせることができるので最高だ。 ちなみに家族にはペンも紙も必要ない。 なぜか電話ごしでも血縁者にはオレの“声”は通じるのだ。 母親が出たのをいいことに普通の人がしゃべるように口をパクパクとして、受話器に抱きつくようにしてオレは泣く。 『かあさん!!もうだめだ!!伯母さんがまたポケモンを増やした!!ごっくんいないし、オレもうだめ帰る!!』 「あらぁ〜。でもマサラのポストもまだ凄いことになってるわよ?」 『グリーンがジムリーダーになったんだから!オレもそっちにいることにして、挑戦状も連絡も全部グリーンにまかせてよ!!』 「もう、だめよれーくん。幼馴染みだからってグリーンくんにばっかおしつけちゃ。 自分で断るぐらいしなさいな。 あ、そうそう。帰ってくるならジョウトの【焼けた塔饅頭】買ってきてね。あの焼いたらたまらないお饅頭大好きなのよ。よろしくね」 『って、かあさん!?息子のピンチだよ!!』 「じゃぁ。お饅頭ヨロシクね。あとくん、いつものとおりれーくんをよろしく〜」 っと、あっけなく電話はきられた。 オレがそれにがっくりしていると、ピカチュウの姿で頭の上に載っていたくんがピクリと肩をこわばらせたのを感じた。 『れ、れっど・・・』 ペシリと小さな手でたたかれ、しめされたのは、オレの背後。 そこには―― 「ふふふ。なぁ〜にしてるのかしらレェ〜ッドォー」 『ヒィ!!伯母さん!!』 「ほらほらみてよレッド!かぁわいいでしょう!新しい子よ!」 「ピカァッ!?(またかいっ!?)」 「リルル?」 『ぎゃぁ〜〜〜〜〜!!!!』 背後にいたのは、嫌な笑みを浮かべて、でかいマリルを抱いた伯母さんの姿。 その後、オレは案の定くんとの関係を知ったマリルによって《水鉄砲》をかけられ、《たいあたり》をくらった。 その日は、一日死んだ。 オレはその日を境に、決意した。 この恐怖の館を出ようと。 ********** ゴールドが十歳になりました。 彼は世界の常識にのっとってついに旅に出てしまい・・・・・・あれから一ヶ月。 オレは相変わらずジョウトの伯母の家もとい“ポケモン屋敷”にいたが、オレに対する彼女の態度に限界を覚え逃亡を決意した。 ぶっちゃけ、何があったかというと――。 通称“ポケモン屋敷”。その主でもあるあの豪快な伯母は、オレがポケモン恐怖症であるのを知っていながら、家に住まわすポケモンをそれはそれは楽しげに増やしていくのだ。 あの楽しそうな笑顔は間違いなくオレへのあてつけだろう。 今までの先住民達とは、はったもんだの末なんとか仲良くなったが、こうすぐに増やされてはもう説得する時間さえもなく、仲良くなれる自身はない。 “なれそうもない”ではなく“なれない”という断定だ。 弱虫で悪かったな。 そんなこんなで、ゴールドに遅ればせながら、ゴールド邸を逃げるように飛び出たオレことレッド。 二回目の家出を決意。 ********** ジョウトに在宅中に新しく新調した(伯母手製)の服と帽子をかぶって、冒険の旅へいざ――な〜んてことはあるはずもなく、さっそくですが実家に帰らせてもらいます。 本当は、カントーとかマサラには帰りたくないんだ。 だってあそこには『ポケモンリーグチャンピョン』に対する挑戦者がくるし、オレテレビで放映されちゃってるから目立つし! あれだよ。オレは本物のレッド(もうこの世界にはいない“あいつ”のこと)のせいで完全人見知り。 魂がくっついちゃったミュウのくんとは離れられないから、ミュウという存在を慕うポケモンたちに日々いじめられるわ・・・。 つまり、オレにとってマサラは怖いところなんだ。 ああ、本気でマサラ帰りたくない。 結局のところカントーに戻るべきか、このままジョウトをぶらつくべきか。 オレは船着場にて究極の選択を迫られていた。 母さんなら間違いなく旅を選ぶだろう。 ゴールドしかり、うちの家系はそういうのが多い。 そしてオレは―― 『ピカ!?(レッド!?)』 |