第6話 違和感 |
Hi!《TIGER & BUNNY》のバーナビー・ブルックスJrに憑依してしまったほう【神崎 零(カンザキ レイ)】です☆ …すみません。1度やってみたかった"クダリ"なので白い目で見ないで下さい(平謝り) とっとと本題に入るので石投げるポーズは勘弁して下さい。 -- side 夢主2 -- さて、上記のテンションからわかる通り、私は《TIGER & BUNNY(以下T&B)》というアニメの知識を持っている転生者というやつです。 私は何度もトリップや憑依を経験した。で、次にトリップしてこの世界に来て、今度は男の子に憑依していた。 《T&B》のバーナビーである。 ただ、今までと違って今回はイレギュラーなことが多い。 ひとつめ、いままでは常に"はじめ"から記憶があったのにたいし、私が【神崎 零】としての記憶を思い出したのが、バーナビーの両親殺害の事件後。それまで自分は年相応の少年として育っていた。いわゆる原作どうりのバーナビーだったわけだ。 この世界が《アニメのT&B》だと私が認識したのは、その記憶を思い出したときだ。 嫌なことを言うと、あのイボ!マーベリックのたらこ唇のイボやろうが《本家バーナビー》の記憶を改ざんした時である。 つまり4歳の時だ。 同時に私にはバーナビーとして生きた今までの記憶もしっかり残っている。 それは違和感なく身心ともに統合された感覚だ。 そのためか助かることに私もNEXT能力としてハンドレットパワーが使える。 マーベリックによって私の記憶がいじられたときのこと。 事件の改竄はされてない。いや、改竄は受けました。 どういうことかというと、やつが"記憶操作"なんていう能力を使ったせいで、"今見たものは「右手の甲にウロボロスの刺青を入れた男によって両親を殺害された」"ということに書き換えられた。 ついでに"別の記憶が呼び起こされた"わけで、その"別の記憶"というのが前世の記憶だったわけです。「憑依というかもはや転生じゃね」と内心思いながらそのままぶっ倒れてしばらく寝込みました。 これね、実は家族の死が原因の熱ではなく、前世を無理やり思い出させられたせいの、脳内キャパオーバーによる知恵熱でした。 っで、起きたら家族死んでいました。ですよねー。 そしてあのときに私は記憶がいじられていました。 なぜ記憶が改ざんされているにもかかわらずいじられたのかがわかったかというと、この世界のことを以前別の世界でアニメとしてみたことあったんだよねぇ。 しょせん、原作知識です。 げんに、じっさい事件が起きた時の記憶はあいまいでね。 ただし"前世の別の世界でアニメで見たシーン"は覚えてるんです。 第三者視点ではバッチリなにがあったか覚えている・・・というか、前世の記憶が生えてきたので、"ボク"だった私の記憶が改ざんされているのはすぐにわかりましたよ。 つまりイボ…マーベリックがこれから先何度"ボク"の記憶を消そうが、私の中から"アニメとしての《T&B》の記憶"を抹消しない限り、事件に関して私が犯人を忘れることはないというわけだ。 当然《この世界が別の世界ではアニメだった》なんて思いもしないだろうマーベリックが知るはずもない。 …イボで文取られたな。 なにはともあれ、私は無事にアニメ時間に突入した。 ちゃんとあこがれの"虎徹さんをお姫様抱っこ"をやりとげた! おちてくる人をキャッチするのほんと困る!めっちゃ焦ったからね!!! ああ、でもなんとか記念すべきアニメの第一話という名シーンを無事こなせてよかった。 というか、実際に生の虎徹さんと出会って思うのだが、本当に腰や足がスラッとしてた。 元・女としては羨ましいんですけど。 え、世のオジサンと言われる部類でプロポーションがいいとか聞いてない。 えろいぐらいプロポーション最高なんですが。 前世から押していたが・・・鼻血でそうです。 お姫様抱っこのせいか呆然として固まってる虎徹さんを優しく地面に下ろす。 そしてクイっとマスクを一部もちあげ、顔を見せた。 ら、虎徹さんに心配されちゃいましたよ!やだイケオジすてき。 「ヒーローが顔出しすんなって。あとで家にファンが押しかけて来たりしたら大変だろ?」 『―――これは、諸事情で出さなきゃいけないんです』 アニメのバニーは結構虎徹さんのことを馬鹿にした返事をしていたのを覚えている。が、私――もとい僕は既に嫌味キャラは卒業していた。 あの歩み寄りの過程があってこそバニーと虎徹の信頼や絆になっているのはわかっているのだが、自分は演じられない。バニーの性格を維持したらストレスが溜まる。 これからバディとして組むなら最初から仲良くいきたいじゃないか。 っが、ここで最初の違和感。 なんか、虎徹さんが優しいんですけど。 あ、そっか。自分が嫌味なせりふを吐いてなかったのが良かったのか、逆に心配してもらっちゃいました。 役得です。 あれから第二話がすぐに始まり、ヒーロースーツに身を包んだファミマグリーンの虎徹さんを横に乗せてバイクを運転。 バニークオリティーに感謝して、道路をかっこよく走っていれば、横から物凄いため息が聞こえて軽く視線をむける。 今日は会った当初にもため息をつかれたが、何事だろう。 やっぱり原作通り、私、虎徹さんに嫌われてる!? さすがに虎徹さんの顔色を窺いたくても、そっち見たら余所見になる。 バニークオリティーでも運転中に正面見ないとさすがに事故るから無理だった。 てか、逆に虎徹さんがこっち見てる!? なんか視線を感じるんですが!?と焦りつつ、どうすればとか思っていたら「はぁ。こんなイケメンみるぐらいならカエデに会いたい」「帰りたいなぁ〜」とボソリと呟かれた。 なんかヒドイ。 ・・・あれ? そういえば、この後って確かフィギア大会の会場にNEXTの子が飛び込むよね。 そこってカエデちゃんいたよね。会えるよね。 ヤバいな…流石にいろんな世界回りすぎたわ。アニメ見てからかなりの年月が経ってる気がする。おかげでアニメの時系列が曖昧になっている。 『おじさん。そういえば今日どこへでかける予定だったんですか』 呼び出しされて私の前に登場したときの虎徹さんは、物凄くばたばたしてたよね?あれってカエデちゃんのフィギアスケートを見に行くからじゃなかったのか。 「ああ。あれは知人に楓、娘の雄姿をビデオでとってきてくれと頼んでたんだ。なんか今日は行けそうにない気がしたからな。案の定、事件発生だ」 『え』 「なんだよ」 『あ、いえ』 代理?勘? こんなシーンあったっけ?それともあれか?現実と二次元じゃ、やっぱり完全には同じにならないってことか。 それにしても虎徹さんからバニーへの絡みが少ない気がする。 もしかして私がバニーだから? それともお姫様だっこはやっぱだめだった?プライド傷つけた?それともバニーな私がツンじゃなくなったから、虎徹さんのお人よしフラグが立たなかったとか。 自分の虎徹さんへの態度が違う時点で返事など容易く変わるだろう。だってここは現実なのだから。 十分に有り得ることだ。 ちょっと心配になる。原作どうりにいくだろうかと。 未来が変わってしまって助けられないナニカとかでてきちゃうんだろうか。 そういえば、代理って誰だろう。 『う、牛さんですか?』 「は?牛?・・・あ!アントニオか?違う違う。うちの母ちゃんだよ。どうせ畑の仕事ばっかしだしな。暇なら頼むよって拝み倒した」 『は、はぁ。そうなんですか』 「まぁ、拝む以前に、あんたがこれようがこなかろうがはじめからついていく気だったって怒られちまったけどな」 「生きてるのなら、会っとかないと」 苦笑するおじさんにちょっとキュンときた。 う、う〜ん。アニメの虎徹さんのコミュニケーションを見なれていた分、静かな大人びた虎徹さんとか落ち着かない。 ってか、大人の色気がこんなところで発揮されてます。 違和感その2がこれです。 どこかまるい。体格の話ではなく、口調が穏やかで、浮かべる表情がとても重い。みえない感情が顔ににじみでているようで、愁いを帯びているような感じが・・・・・・・・・・こうねっ!もう!本当にやばい!!!!! 色気ありすぎ!って、どうなの!? 今なら、虎廃になるひとの気持がよくわかります。 すでにファンクラブに入会済みですが。なにか? イボの失敗により呼びおこされたるは夢主2の記憶(前世)。 夢主2は、ずいぶん前に憑依完了済み。 |