有 り 得 な い 偶 然
第4章 B L EA C H



22.これって重症なんですか!?





個人情報がこの世界に存在しない先輩を拾ってから、一緒に暮らしています。
こどもの姿だと、バイトもできないようなので、わたしがやしなっている状態です。
先輩としては、近所の浦原さん家によく遊びに行っている。
外見だけとはいえ、同世代の子がいたり、お菓子をもらえるのがうれしいようで、日々――
こどもっぽさがましてくんですが!?







::: side 夢主2 :::







 先輩との同棲生活から少しして、事件発生!
先輩の常識のなさに笑っていたわたしですが、そのわたしも“普通”でないくくりにはいるのだと言われる事件が起きました。


それはある日の学校でのこと――。





* * * * *





「危ない・・・っ!」

バンッッ

「い″っ?!」

声と同時に、頭になにかが当たる衝撃と音、転がるサッカーボールが・・・コロコロと地面に。

顔の斜めから来た激しい衝撃。
そして、唐突なのとゴミ袋を持っていたため、受け身が取れず私もボールと同じように流れに逆らうことなく転んでしまう。

くわんくわん と、頭の痛みに耐えていると「大丈夫ですかっ!?」と遠くから声が聞こえる。

あんまり大丈夫じゃない。
かなり痛い。
ってか、いったいなにが起きた。

「〜つぅぅ(な、なに?)」

少し痛みが和らぎ、衝撃の元を見ると・・・サッカーボール。

(・・・んな、王道な!)

場外に飛んだ勢いあるボールを顔で受けるなど、漫画みたいなの元の世界ですら遭遇したことないのに!
と、そちらに気を取られているとボールを飛ばしたであろう人(部員?)が駆け寄ってくる。
顔は青くなっていますし。

「いえ、茂みのほうへ倒れたのでそんな怪我してませんよ」

と言って立ち上がったら、その部員は殊更顔面蒼白させパクパクと口を開閉しだした。

「?」
「う・・・う・・・」
「う?」

「アンタの左腕、パックリ切れているぞ!!1」

「え・・・」

どもったまま言葉にならない生徒達。
それを代弁するようにふいに聞こえた第3者の声―――なんと黒崎一護がいた。

(は、初めて声掛けられたぁぁ)

とりわけ【BLEACH】の中でも一護が好きだから思わずココで嬉しさが混じりました。
最初の頃なんか、通学中に見るたびにストーキングしたものだ。

わたしのそんな気持ちを知らない一護は、再度「腕」と言って指をさす。

「あ・・・」

左腕は見事な出血。
ダラダラと血が垂れて―――確かに痛い。
茂みの枝で切れたらしい。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」
「だ、大丈夫ですよ。これくらいっ」

「いやいや・・・結構深いぞ。ソレ」
「え?そうなの?」

と、眉寄せてツッこまれて、この傷具合は“凄い傷”のレベルなのだと認識を改める。
今までのトリップ生活ではこのくらいの傷は日常で、すぐに治すことができていたので、怪我の度合いに関して感覚が麻痺していたらしい。
忍のひとたちからしたら、舐めて治るレベルでは?
医療忍者さんに会えばすぐにでも直してくれ・・・ん?

(これ軽傷じゃない――んだっけ?)

今までトリップした世界の中じゃ(特にNARUT0辺り)怪我の程度がこんなもんじゃなかった。
おかげで感覚が麻痺しているらしく―――確かに、トリップする以前の自分なら取り乱していただろうと思い返す。

「まず保健室いけ!」
「あ、はい。じゃぁゴミ捨ててから「捨てるなら俺がやりますっ」えぇっ!?ちょ!?かぶせないでよ」
「あ、すいません!」

とりあえず、「運ばせてください!お願いします!」と言われ、素直にゴミ袋を部員に任せた。


「――――黒崎君、指摘ありがとうございます」
「いや、部員が真っ青になってたから思わず」
「・・・・そ、ソウデスネ」

心配しすぎて蒼白だった先程の彼には可哀相なことをした。

「ところでえーっと?」
「神崎です」
「ああ、そうだったな。神崎は1人で平気か?」
「幸い腕だし大丈夫かと」
「そうか」

傷から滴る血に軽くタオルを当て、一護とは保健室に行く旨を伝え別れた。


これが、(個人的に)私と黒崎一護との出会いだった。





保健室の方向にある女子トイレに入り、誰もいないの確認して一番奥の個室に入る。

「薬。くすりっと」

ポケットをあさって、医療忍者さんお手製の薬を取り出す。

が、しかし。

瞬く間に傷が塞がるどころか、薬を入れていた缶がない。

「あれ?」

たしかトリップするとき持っていて、アザナさんにも薬の中身が正常か確認してもらったはず。
すっごいよく効く薬。
あのあと、わたし自ら調合し直したんだけど・・・。

「なんでないの!?」

軽いパニックに見舞われ、それぞれのポケットをさぐるが、小さな缶はかけらもない。

(もしかして落とした―――――!?(泣)








思考が止まっている間にトイレに血がボタボタ付着しているのに気付き、慌てて血を拭き取って保健室に向かった。

そして――

「神崎さん、あなたねぇ」
「・・・・・病院行きですか」
「その傷じゃぁね」

保健室の先生に、何を言っている?とばかりの呆れた目で見られる。

(やっぱり縫うことになるのか・・・っ)

大怪我で、久々に地道な自然治癒を頼ることになりました。





というか、怪我をしたのに、痛がるそぶりも見せず、驚かれた。
いや、だってこれくらいなめたら治るもんでしょう?
そう言ったら、「有り得ない!!」とつっこまれた。

その後?
ええ。もちろん病院にいきましたよ。
いきましたとも。

いかなかったら、先輩の非常識とイコールで結ばれちゃうところでしたからね。

え?
いかないで、完全に傷を治しちゃっていた方が今頃騒ぎになってた?・・・だと。
い、いわれてみれば!?
それじゃぁ、万能塗り薬がなくなったのは、意外と運がよかったってことかな。
ははは。そうだよね。
ここのひとたちは、忍じゃないんだ。
一瞬で治癒はダメだよね。



セーフ!!!









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「せんぱぁーい!どうしましょう!超特殊な忍の塗り薬おとしました!だれかに使われたら!ダイパニックですよぉ!」
『・・・それ、たぶん世界の修正力に反したものだったから、消されたんじゃね?』
「え?」

家に帰って先輩に泣きついたら、NARUT0世界から持ってきたものが、いくつか消えていると言われた。

そのときの先輩は、ちょっといつもと雰囲気が違って、とてもむっすりとしてました。
こどものほっぺは柔らかそうだったので、頬を膨らませている姿に。

思わず


『ほっぺをつつくんじゃない!!』

ほっぺプニプニしたら怒られた。
解せぬ。








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