06.手を伸ばした |
神崎(カンザキ) です。 仲の良い先輩(女性である)と一緒に、遊びに行った日。 突然、音が耳の鼓膜をゆらした。続いて体に走る衝撃。 何があったのだろうと思う前に、周囲から聞こえる悲鳴と熱。 目が、あかない。 どうして? ふいにあたたかいものが自分の視界をおおった感覚がして 『日本でテロとか、ありえないだろ』 相変わらず漢前な先輩の苦笑じみた声が聞こえた気がして、わたしの意識はそこで途切れ――― 目が覚めたらそこは、時代劇でありそうな過去の日本の世界とかどうゆこと? ::: side 夢主2 ::: 神崎こと、わたしです。 目を覚ましたら知らない場所にいて、しらないひとに拾われました。 だれにって、「薬売り」と名乗る―――某アニメにでてきそうなおもしろ着物を着た御仁にです。 そっくりさん? コスプレイヤー? そう思ていたこともありました。 いいえ、むしろそのひと本人にです。 はじめは男と勘違いされたんですが、女です!わたし!! いや、ですが、傷の治療のために服を脱がされたので、あっさり女だとばれました。 もちろん、隠していたわけではないのですが・・・。 傷だらけで道端に倒れていたわたしを薬売りさんが助けてくれまして。 あー・・・もちろん無償ではありませんよ。 治療代のかわりにと、弟子に認定されました。 強引ですね。 まぁ、こんなしらない世界のしらない時代をひとりで生き残るためには、条件付きとはいえ養っていただけるだけありがたいです。 そんなわけで、ただいま江戸の町を薬売りさんこと師匠と旅しながら、弟子として薬づくりをしながら。 あと・・・ 怪退治をしながら。 日々まっとう・・・でない時間を過ごしています。 この世界に来るまで、霊感なんて零感だったわたしですが、この世界では魑魅魍魎の類がよく見えます。 なんでだ!?チクショウ!! そういう非現実的なことは、先輩だけで十分です!あのひと、普通では見ないものが視えてましたからね。 彼女の仲間になりたくなかった。 とはいえ、今ではすっかりゴーストバスターズな師弟ですがね。 なんですか? え?江戸にいく? はいはい師匠。懐刀な破邪の剣は持ちましたね?んなっ!?忘れた?どこにですか!! 金色さんに変身できないじゃないですか!あんたバカですか? いいから、さっきの宿に戻りますよ! そんなこんなで、旅して分かったのですが、どうやらここはわたしがいた地球とは別の地球で、【モノノ怪】というアニメによく似た世界に来てしまったらしいです。 “似た”と表現するのは、アニメのような色が混ざったような色彩にあふれた世界ではないから。 普通の人間の色合いをした人美のいる世界です。 なので、あくまで“似た世界”という表現をさせてもらった。 わたしがこうして別の世界で生きているのだから、最後に一緒にいた先輩もどこかで生きてるだろうと思うのです。 師匠と一緒に旅をしながら、先輩っぽい人はいないかなぁと探してる。 だけど、ふと思うことがある。 奇想天外ビックリ人間でもある漢前な先輩のことだから、もしかして別世界にトリップしてたり、この世界にいても容姿が違ったりしないだろうかと。 死んだっていう感覚は、あまりない。 むしろあの先輩が死ぬとか、想像できないから、たぶん生きてる。 うん。間違いない。 きっと生きてるはずだ。 ところで。 わたしはこのあとどうしたら? -------------------- ハローハロー。 こんにちわ〜。 トリップしちゃったんですがどうしましょう。 どうやったら元の世界に帰れますかね? 妖怪退治の方が最近慣れてきたんですが、このまま元の世界に戻ったら、わたしヤバイ人になりそうなんですが。 たすけて先輩! 妖がわたしを見てる!!! |