有り得ない偶然Side1
〜HUNTERXHUNTER〜



01.死×喪失×流転





わたしが『オレ』となったとき

わたしは死んで
オレは生まれた

それは漫画の世界によく似た――異世界でのこと








:: side 夢主1 ::








 わたしは ―― 字 (アザナ)。

 わたしはきっともうこの世にはいない。
だって、あのときわたしは死んだのだから。


 死んだ。

 ――そう理解したのはずいぶん後のことだったけれど、それはきっと間違いがない事実。


 “そのとき”わたしは、大きなデパートにいた。
たまたま買い物にきていたのだ。

そこで。
突然光が目を焼いたのを覚えている。

 光が視界を焼き、それとともに激しい痛みと熱さが一瞬で身体を覆った。
光と音が同時に聞こえた気がしたら、爆発かもしれない。
それでわたしの意識は途切れたの。


 暗転。

アンテン
あんてん
あ ん て ん…








 次に意識が戻ったき、わたしの意識は暗闇の中を漂っていた。

 上も下もわからない真っ暗な空間。
体の感覚はあるようでないような感じで、とてもあたたかくて、なにかに包まれているようで、守られているようなそこは居心地がよかった。
意識ははっきりしたものではなく、夢うつつで、常にまどろみの中にあった。


 そこにあったのは、温もりと、音だけ。
聞こえてきたのは声。
それにより、わたしがいまだれかのお腹の中にいて、あの瞬間にやはりわたしは死んでいて、そうして生まれ変わったのを理解した。












わたしは あの時 死んだの
もう
どこにも
わたしは いない








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