オレと君とで“彼女”となる
- D .G ray-m an -



00.コルク栓のように





 死んで生まれ変わるのはこれで何度目か。
死を感じて目を閉ざしたら広がるのは闇。どこまでも落ちて堕ちて墜ちてオチテ――おちていきそうな感覚に襲われ、やっとこの輪廻を終わらせられるかもしれないと、安堵し闇に身を委ねた。
 人でなくてもいい。
ただ新しい生を望む。
それは普通の人生。
それは前世をいっさい引きずることなく真っ白で生まれてくること。
オレのように輪廻から外れず、白から色をつけていく人生。

あぁ、これでやっと・・・



そのときオレが最後に見たのは、暗闇の中、未来に絶望して泣く"こども"





 -- side オレ --





『あれ?』


こ ど も ?


 おいおいおい。ちょっとまてよ。
オレは今まさに、これ以上はないって環境で、まさに死にかけていたんだが!?
なのになぜにこども!?
なんでいるのよ?
 ここ暗いし、何もないし、絶対死後の世界だろ!?
今から魂が洗われて、オレは転生するんだろ!?

まじでなに!?


 思わずこどもに手を伸ばし――

『え・・・』

ガシッ!と、こどもに腕を掴まれた。

「いっしょにきて。ひとりはこわいの」
『え』





えええええええええええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!?





 どこからどうみても泣いていたし、死にかけていたはずのこども。
なのにオレの腕を掴む彼女は、なにかをやり遂げた子供のように満足げで、明るい笑顔は太陽のようで・・・

そして、オレは――。


スッポン!


ワインのコルクでも抜き取ったときのような音を立てて、彼女の魂に吸われた。というか、喰われた。



なんだそりゃぁ!?

ありえねぇー!!!!!











生まれる前の魂が死を望む未来。
未来をあゆむべきこどもが絶望する、その世界はどんな世界?

まだ僕らは序章にさえたどり着いていない
生とはそれほどに、残酷で・・・








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