01.砂の国より任務だってばよ |
-- side オレ -- オレ、うずまきナルト。16歳。 所詮成り代わりの転生人間だ。 転生者だからか、オレはどんだけ頑張ってもチャクラが増えない特異体質。 その分は九尾から借りている。 九尾とは生まれる前に和解したので、オレのサポート役としてぬいぐるみのような姿で常に顕現している。 通称、キューちゃん。そのキューちゃんの指定席は俺の頭の上だ。 さらには前世クオリティーとでも呼べるものがいくつか付属されている。 半径1kmにおけるチャクラの動きを探れること。 殺気で人を殺せること。 チャクラを現実世界に目に見える形で具現化できること。 キューちゃんはこの応用で、目に見えているし、オレのぬいぐるみのようにいるわけだ。 外見も原作のナルトとは少し違う。 オレンジの忍服も青い目や金色の髪は同じ。だけど左前髪部分が赤いメッシュだったりする。 オレは原作ナルトとは異なり、“うずまき”の血が濃いから、オレのチャクラは鎖にもなるし、封印術とか得意だ。 額には木の葉の額宛をしているけど、首元には『渦の国』のマークの額宛がゆれている。 二つもあって邪魔じゃないかと思うだろうが、これは“うずまきミト”さんの形見だ。 オレが下忍になったとき、三代目と四代目火影から木ノ葉の額宛と一緒にもらったものなので、いまとなってはない方が結構気になるわけだ。 さてさて。 まったく原作とは存在そのものが違う“うずまきナルト”なオレだが、現在任務を与えられている。 現状を説明すると――四代目火影は、ただいま妻・うずまきクシナと【どんだけ休暇がないんだコンチクショウ。やっと引退バンザイ!念願かなったんだから誰も邪魔するなかれ、ボクたちの新婚旅行】なるものにでていて行方をくらましている。 そんな四代目火影に替わり、五代目が就任した木ノ葉の里に、砂から依頼がきた。 依頼内容は『龍脈』の保護。そして砂隠れの抜け忍ムカデを捕らえること。 『龍脈』とは、無限のチャクラのようなもの。 いわば力の原石だ。 それを狙う砂隠れの抜け忍ムカデを捕らえ、『龍脈』を守るが今回、砂影たる我愛羅から木ノ葉の里にあった依頼だ。 しかもやっかいなことに、その『龍脈』を封じているのが我が父・波風ミナトによる封印らしく、オレがその任務に加わるのは必然となった。 ちなみに五代目火影・綱手いわく 「封印が解けたら“うずまき”の血でさっさと封じてこい」 な〜んて軽くあしらわれて、悪天候の中、ムカデ討伐へと里から追い出された。 オレがチャクラほとんどないのわかってないから言うんだろうけど、そんなにオレの血筋は便利な血じゃないんだが・・・。 ちゃんとうずまき一族ならではの忍術があって、オレの場合はチャクラをキューちゃんから補給させてもらって、やっとそこで術式にチャクラを注ぐというプロセスが――いや、もう面倒だからその話はおいといくけどね。 どうせ父ちゃんの封印術は母ちゃんから教わったものばかり・・・のハズ! たぶんオレでもなんとか対処はできるだろう。 ********** たしかにオレはよくある二次小説のような転生者だから、NARUTOの原作知識は微妙にあった。 あったけど、20巻(少年編)までしか漫画なんて読んでないし、ましてや映画の内容なんて知らない。 「そ、それは四代目の!?」 「はっはっは!『龍脈』はわたしのものだー!!!」 ムカデを追っているうちに、砂の国の楼蘭という遺跡にたどり着いた。 ここ、空気が違う!? たぶんこの下にどでかい“力”――たぶん『龍脈』がある。 前世の記憶がある分人一倍敏感なオレの感覚がそうささやく。 だけど守るどころか、ムカデの操る傀儡に苦戦中。 チャクラの糸ってなんだよ!? 傀儡人形を壊しても壊しても・・・ 意味がない。 ふざけんな!とか思うわけだこっちは。 しかも人一倍チャクラが(実は)ないオレにしたら、チャクラ刀って使いずらい。 だってオレの忍術は、九尾のキューちゃんの力を借りているのだ。 ちまちましたことは苦手だ。 そんなわけで、サクラちゃんやサイ、ヤマト隊長に傀儡から助けられているうちに、本当の標的であるムカデが地下へともぐってしまった。 本気でお前は名前のとおりの百足なのか!?と、地面にでかでかとあけられた穴をみて叫んだオレは、サクラちゃんに見事なチョップをもらった。 問題はそこからだ。 サイの鳥獣戯画の鳥さんに乗って地下へ地下へと向かい、やっとこさムカデに追いついたときには、ムカデは封印の目の前にいた。 なんやかんやでギャーギャー騒ぎながらムカデを止めようとしたのもむなしく、ムカデは四代目火影の施した封印式を自分の身体にとりこむというグロイまねをした。 おかげで『龍脈』は開放され―― 「うぎゃぁぁぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」 「「ナルトっ!!」」 オレは気が付けば、ムカデなんていう砂の抜け忍に巻き込まれて暴走した『龍脈』の光に取り込まれていた。 最後にみたのが父ちゃんのクナイって、あんたそりゃぁ、絶対やばいっしょ。 こういったとき、あんまりいい予感がしないのは波風ミナトの日頃の行いのせいだろう。 しかもこれは父ちゃんがした封印だという。 だから『今更新婚旅行(略称)』で行方不明な父ちゃんでなく、オレへの出動要請が出たのも頷ける。 だけど。だけどね。 「どうみても暴走してるってばよぉ!!!!」 「ぎゃー!離せナルト!!四代目の事件はお前だけで解決してくれ!!」 「キュゥキュゥ!(そうだそうだ!!)」 「一人でアレの後処理はイヤだってば!!」 「「「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!(キュゥ!)」」」 「ナルト君!」「ヤマト隊長!」 光の柱が立ち上がって、オレ一人、飲み込まれかけました。 いな、現在進行形で飲み込まれてます。飲み込まれてる!? 一人で飲み込まれるのはどうしてもイヤで、思わず、頭の上に乗せていたキューちゃんのシッポをガッシと掴み、さらには顔を引きつらせて逃げようとしたヤマト隊長の腕を無理やり掴んで巻き込んだ。 その際に、オレの“渦の国”の額宛が吹っ飛んだ。 両手はヤマト隊長とキューちゃんのシッポを持っていたので、つかめず、光の中でバタバタとあばれてしまった。 いや〜!!っていうオレの悲鳴と、こんなところで暴れるとな!というヤマト隊長の悲鳴が、時空の光の中で激しく響いた。 光の柱の外で、そんなオレたちの会話が丸聞こえだったらしく「相変わらずね」とサクラちゃんがあきれていたのは知らない。 光の中、オレはキラキラと遠ざかっていく二つ目の額宛に涙した。 さよなら〜。 さようなら、ミトさんの形見。 さようなら、まっとうな任務。 こんにちは。絶対まともじゃない任務よ。 そうしてオレたち(ヤマト隊長+キューちゃん)は、ムカデが四代目火影・波風ミナトの術式を体に取り込んだために起きた『龍脈』の暴走で―― 時空を超えてしまった。 目が覚めたオレの感想。 「ありえねぇってばよ」 「キュイ(同感じゃ)」 目が覚めたらどっかの地下で、どこだかわからない知らない場所だった。 なんのアニメ現象だこれ?とか思ったオレって悪くないはず。 ※映画「ザ・ロストタワー」のアザナルト編スタート! この話ではナルトの班のメンバーは皆、四代目の被害者です(笑) ギャグテンポのみなので感動の対面とかたぶんないです。 それでもいいかたのみお読みください。 |