12.波の国へ Lv3 |
(VolではなくLv。誰かの脅威レベルを示しています) -- side オレ -- 金色の「あ」という小さな声に続いて「いやー!なるくーんたすけてー!!」と小さな小さな小さな……‥悲鳴が遠ざかっていく。 すっかり馴染んだ暗部数名の気配も同時に感じることから、逃げ出してきたのがばれて、あの金色はまた捕獲されたのだろう。 「どうやらあっちも捕まったみたいね。シカマルじゃないけど、「めんどくせー」わあのひと」 「カカシ君が気付かなかったのに、さすがサクラちゃんだってばよ」 「…慣れだろ」 「そうね。慣れね」 慣れなきゃ、オレと同じ班で任務などできはしない。 はぁ〜とオレと同じようにため息をついたサクラちゃん、サスケ。 彼らは、本当にいい仲間だ。 協定を組み、夢を誓い合ったあの日から、二人はオレのために厳しい修行をし、強くなってくれた。 誓った言葉どおり、いまでは暗部も何のその。 火影に対抗できるにはまだ足らないが、確実に【打倒火影】への夢には近づいている。 金色の火影は現在進行形でピンピンしているため、すぐにでも力が必要だった二人は、時間的ゆとりがなかったため、時間の流れが現実とは違う精神世界で蒙特訓し、およそ三年分にあたる時間をすごした。 精神も術もいろいろ鍛えた。 現実世界でも時間がある限りきたえぬき、体術面ではオレの幼馴染である日向が全面支援してくれた。 自己紹介翌日からこの波の国編までは、現実世界ではそれほどの時間はたっていない。 しかしそれらの強化が祝とでもいうべき訓練のお蔭で、この短期間の間に二人はちょっとした上忍レベルまで発展を遂げた。 協力って素晴らしいと思う。 こんな七班をみていると常々思うことがある。 それは原作でのこと。 原作で七班のメンバー仲が悪かったのは、それぞれのプライドゆえだろうか。 わからん。 っが、今目の前にいる彼らが、オレの夢に賛同して食える協力者であり、大切なオレの仲間であることにはちがいない。 「ねぇねぇ〜。お前たち仲がいいのは十分わかったからさぁ。おれもまぜてよ」 タズナさんを囲んでヒソヒソ話すオレたちを気にするようにカカシくん…カカシ先生が、歩くのはやめず首だけでこちらを振り返る。 フクロウみたいだ。 「ねぇ、なんのはなし?おれ様は仲間外れなのかな?」 「世の中は知らない方がいいってこともあるって話だ。とくにあんたにはな」 「そうねぇ」 「夢を抱いて綺麗なまま大人になったひとにはよろしくない話だってばよ。ああ、金色怖い」 「…わし。なんとなくわかった気がする。がぁ、まぁ、あれだ。知らないままがいいことも世の中にはある。先生さんよぉ、超愛されとるの」 「タズナさんまで…。教えられないことが愛なの?本当にみんな何を隠してるのさ?」 「隠してるんじゃない。気付いたんだ」 「そうねぇ。気付かされた…って感じ?あの瞬間から、もう子供のままでいられなくなっちゃって」 「あの、瞬間?」 「「カカシ(先生)が大遅刻してきた最初の演習の日」」 「あ、あれは〜。でも遅れたのには深いわけが…」 「いいのよ別にもう。あの日のことはね」 「おかげで俺たちは強くなれた」 「ええ、そういうこと。過去は変えられないもの。 でも、遅刻はいただけないわ。依頼人を何時間も待たせるとか。里の信用も落ちて、結果としてナルトに迷惑がかかるのよ。カカシ先生、次からは絶対やめてよね」 「…えーっと、その、ごめ」 「あ、先生、前、見て歩いたほうがいいってばよ?」 「は?」 ドドドドドド!!ドス!ゴフッ!?ドン!ゴロゴロゴロ・・・ 「だから言ったってばよ〜」 オレにチャクラはないが、気配察知とチャクラコントロールだけは自他ともに認めるほど一級である。 そのオレが注意した途端、カカシ君はぶつかった。 サクラちゃんとサスケの話に夢中になっている方が悪い。 なに遅刻の言い訳しようとしてるんだか。 そもそも話しながらもサスケはしっかりタズナさんの前面に出てクナイ片手に臨戦態勢を取っていたというのに…。 猪にでもはねられたのだろうか。ゴロゴロ転がっていくカカシ先生をみて、サクラちゃんが、「注意力散漫」とダメだしをして、飽きれたように大きくため息をついていた。 オレたちの背後で、タズナさんが「ダメなのは黄色いのじゃなくて先生さんの方だったか」なんてボソリともらしていた。 ああ、依頼所で会ったときの話ですね。 オレたち七班はできる子ですから、まかせてください。 とりあえずなにが飛び出て来たのだろうかと、カカシ君に激突して同じようにはじけ飛んだ白っぽい物体の方へ視線を向け――。 オレは頭痛をこらえるように額を押さえて、思考を放棄すべく視線を空へ向けた。 ああ、空は青くて泣けるほどいい天気だ。 太陽がまぶしいのは錯覚かな? 「錯覚ね」 「ナルト、船に乗っているときから一面霧が出てる」 「さくらちゃん、さすけ・・・そこは言わないのが優しさだってばよ」 そこにいたのは、何かから必死に逃げるように背後にだけ視線をむけていた人物。 そう、茂みから飛び出してきたのは、猪ではなく“人”だった。 そのまま互いに前を見ていなかったせいで正面衝突したというオチのようだ。 しかも相手もカカシ君同様に、前方ではなく背後の気配にばかり過敏になっていたようだ。飛び出て来た人は、相当焦っていたようで、気を抜いていた(なぜ気を抜く?)カカシ君ともども見事にはじけ飛び、そのまま地面に落下していた。 衝突した人物とカカシ君をみて、オレはもう一度ため息をついた。 「いたた」とのんびり頭をこすって尻餅をついたままのカカシ君と、とっさに立ち上がって警戒心むき出しに武器を構え威嚇する・・・・・・桃地再不斬。 もう一度言う。 桃地再不斬がいる。 あの金色とバトルしていたはずの――満身創痍の桃地再不斬氏がここにいらっしゃいます。それもめちゃくちゃ警戒心むき出しで――オレをみています。 「え〜。オレですか?」 視線の先はオレでした。 否、オレの顔か、髪をみています。 彼の顔は恐怖に引きつり、目がもう挙動不審にさまよっちゃって…しっかりお灸をすえられたようです。 どうもこてんパンにやられすぎて、再不斬氏はかなり怒り狂ってるもようです。 あ、怒りすぎて、タズナさんじゃなくて、オレをねらってくるんですが…。 あれ?任務はいいの? やめてよ、もう。 うん。神はオレを見放したな。 「貴様!!木ノ葉の黄色い閃…「人違いです!さっきぶりですってば。そんでもってオレってば、うずまきナルト。」…んこうじゃないのか」 「ええ、もうそりゃぁ、あまったくもって、関係ない赤の他人です。あの閃光とはオレってば無関係。え?顔が似てる?錯覚です。幻覚です。有り得ません。 ああ、それにしてもよくぞ、あの金色と遭遇して無事だったてばね」 「って」 ここまで似ていて、無関係なわけあるかぁ! 敵さんにすがすがしいまでの大声でつっこまれた。 やだ、なにこの爽快感。 どうしよう。もううちの班には、ツッコミ担当がいなくなってしまったのか。 これ以上ボケはいらねぇよ。 「へぇーーこりゃこりゃ、霧がくれの抜け忍“桃地再不斬君”じゃないですか」 「先生、その体制で言っても威厳も何もないないですから」 「「「「・・・・・・」」」」 まずは立ってから言ってくれ。 再不斬氏はきちんと立って忍刀とクナイを構えているのに…。 カカシくんはというと、いまだにしりもちをついたまま。 そもそも彼のターゲットは現在タズナさんからオレにうつってるみたいなんだ。ならば、オレが相手をしてやるべきじゃね? あわよくばそのままお持ち帰りだ。 あの親父と戦って無事に立って歩いている時点で賞賛に値する。 あの強力な修行のお蔭でサスケもすっかり使えるようになったけど、対火影に対しては数は多いに越したことはない。 捕獲でいうなら封印術が得意なオレの本領発揮だ。 そういえば再不斬氏をゲットするとオマケで、白なる凄腕の忍者がついてくるんじゃなかっただろうか。 よし。再不斬氏ゲットだ! そう思って足を一歩踏み出したところで、いつのまにか立ち上がっていたカカシ君が、オレたちを庇うように前にたっていて、オレの進路を手で止めてくる。 「邪魔だ。さがってろ。 こいつは“さっきの鬼兄弟”とはケタ違いだ」 オレを睨んでたたずむ再不斬氏に、カカシ君は場違いな発言をした。 思うにカカシ君は、あの金色の襲撃を見た後でも、本当にオレたちをただの下忍と思っているようだ。 ((((“あれ”をみたあとなのにそれを言うのか)))) 思わずオレとサスケ、サクラちゃんが唖然として言葉をなくしてしまった。 たぶんこのときタズナさんを含めたオレ達七班の心は一致したに違いない。 「おまえたち、さがってなさい」 再不斬氏の再登場で、カカシ君がようやく先生らしく、子供たちと依頼人を守るように前に立った。 いやぁ、いままでもオレたちの前を歩いていたけどね。なんかうちの親父の過保護具合を見てからのカカシ君はあまりかっこよくなかったから、緊張感があるのはちょうどいいのかもしれない。 ようやくカカシ君が戦闘態勢に入りました。 「このままじゃ、ちぃときついか…」 そう言ってカカセイくんが片目を覆っていた額宛に手を当てる。 衝突した相手の髪をみて、再不斬氏が驚いたように目を見張る。 「写輪眼のカカシか…。 それほどの使い手でなくては“あれ”のガキをみるなんて無理だろう。やはり、そのガキいかしてはおけない!」 「…おい、ナルト。あいつまで奴を“あれ”認定してるぞ」 「オレってばそれほど凄い人じゃないってばよ」 「いやねナルト。あんたが凄いんじゃなくて、“あの金色”が変な意味で凄すぎるのよ。そうでなきゃ里でも有名な上忍が私たち下忍の担当になったりするわけないじゃない」 「そういうもんだろ」 「むしろ二人がカカシ君をちゃんと“凄い上忍”って理解していたことにびっくりだってばよ」 「「はたけカカシはアカデミーの教科書にも出てくる(わ)」」 有名人も大変そうだ。 「………はたけカカシ。わるいがじじいを渡してもらおうか」 「タズナさんはわたさないよぉ」 どうやら双方ともに本来の目的を思い出したようだ。 「卍の陣だ。タズナさんを守れ…。お前たちは戦いに加わるな」 「…」 「それが、ここでのチームワークだ」 ああ、なるほど。このままカカシ君を見捨てて、彼を餌に大物(再不斬氏のこと)を釣っておいて、オレたちはタズナさんをツレテトンズラすると。 自分にはチャクラがないが、九尾からチャクラを供給してもらって封印術をあつかえるようになったり、チャクラコントロールだけは一流なオレ。よって医療忍者で後方支援担当。 医療忍術も学んだため人体の急所を徹底的に理解し、なお聡明な頭脳と怪力の持ち主、サクラ。ただし前衛。 その目ですべてを読み取り、それをもとに策略を練り、あまたの術をコピーし、体術、忍術ともにスキルを底上げしたサスケ。前衛その2。 依頼人を守るには十分ですよね。 ひとりでウンウン納得していたら、たぶんお前の考えてることは違うと思うぞとサスケにつっこまれた。 心を読むな。 「再不斬、まずは…おれと戦え」 額宛が持ち上げられとりのぞかれあらわになったカカシ君の左目は写輪眼だった。 いや、原作で知ってるけどね。 「ほーーー。噂に聞く写輪眼をさっそく見れるとは…光栄だね」 「オレ様が霧隠れの暗殺部隊にいた頃携帯していた手配書(ビンゴブック)にお前の情報が載っていたぜ。千以上の術をコピーした男…コピー忍者のカカシとな」 「千以上。わぉ。うちの親父、火影だけど空間忍術専門だったからなぁ〜。千も術は知らないってばね。 みろよサスケ。カカシく…先生ってば、写輪眼。おまえんちとお揃いだってばよ。サスケもいつかコピー忍者になるんだってば?」 「一緒にするな」 「なるほどね。だからカカシ先生って、コピー忍者って言われてたのね」 「あのさ、お前たちが仲いいのはもうわかったら。うん、横槍はやめてくれるかな?」 「おまえら超警戒心ないのう」 「「「警戒心はある(わ)(てば)」」」 「…さてと。 お話はこれぐらいにしとこーぜ。 “あれ”みたいな邪魔がはいったが、オレはそこのじじいをさっさと殺んなくちゃならねぇ」 瞬間、再不斬氏から殺気が放たれる。 とっさに全員が“卍の陣とやらも忘れて”タズナさんを庇うようにクナイを手に構える。 …そもそも卍の陣ってカッコよく言ってるけど、なにそれ? 「つっても、カカシ!おまえを倒さなきゃならねぇーようだがな」 「あ、消えた」 「あそこ!水の上!」 見事な決め台詞と共に地面を蹴って瞬間的な速度で移動した再不斬氏は、近くの水場にたたずんでいた。 こういうのみると、やっぱり忍者ってすごいなーとか思う。 「忍法…霧隠れの術」 「見事に消えたってばよ」 「まずはおれを消しにくるだろうが…。 桃地再不斬。こいつは霧隠れの暗部で無音殺人術(サイレントキリング)の達人として知られた男だ。 気が付いたらあの世だったなんてことになりかねない。おれも写輪眼をすべてうまく使いこなせるわけじゃない。お前たちも気を抜くな!」 カカシ君が先生らしく抗議のような見事な説明をしてくれる。 ふと思ったんだが、暗部事情がここまで公開されてていいのだろうか。 あ、もう抜け忍だったからいいのか? どちらにせよ。 音も気配もなく近づいてくるのと、突然背後に金色に立たれるの・・・どっちが凄いんだろう。 むしろどっちが怖いんだろう。 「どんどん霧が濃くなってくってばよ」 『八か所』 「え?なんなの!?」 「おちつけサクラ!」 『咽頭・脊柱・は…「ああ、そうか。それってば急所だってばね。あとは、肺・肝臓・頸静脈、鎖骨下動脈、腎臓、心臓。計八つってとこか。オレってば死ぬなら老衰で眠るようにがい…あ……」…‥……』 「「「「『……』」」」」 「…そ、その…ご、ごめんってば」 濃くなった霧でほとんど何も見えなくなってきた中に響いた声に、思わず医療忍者を目指すオレの知識欲がうごめき言葉を奪ってしまった。 サクラちゃんも医術を学んでるから問題の内容を理解できればすぐに答えにはいきついただろう。 あ、やべ。 やっちまった。 オレが再不斬氏の言葉を奪ったせいで、周囲が静まり返っている。 っと―― 「「「「!!!」」」」 物凄い殺気がおしよせてきた。 自分の命を握られているような感覚。 いっそのこと死んで楽になりたい。そう思わせるような濃厚な殺意。 それにタズナさんが顔色を悪くし、カカシ君はなにやら構えるように印をくんでいる。 「案しろ。お前たちはおれが死んでも守ってやる」 オレたちに振り返り、カカシ君が一筋の傷が入った左目を細めて笑う。 「おれの仲間は絶対殺させやしなーいよ!」 『それは、どうかな?』 カカシ君の言葉に、場も忘れて一瞬緊張が緩みかけたが、再不斬氏がタズナさんとオレたちのどまんなかに突如現れた。 「終わりだ!」 再不斬氏がタズナさんをねらい、カカシ君が動いた。 そのとき―― 「なによ。このくらいの殺気なんて、ナルトの殺気に比べたら屁も同然よ」 「まぁ、否定はしない」 「尾獣の殺気と人間後ごときの殺気が一緒なわけないだろ。ってか、九尾の殺気になれる二人がおかしいんだってばよ。って、あ、ちょっとサクラちゃんてば、またそんな勇ましいことしちゃって。カカシ君に任せればよかったのに」 「なによぉ。ナルトだって足止めしてるじゃないの」 「あ、あれぇ?おれ様の出番はどこいったのかなぁ?」 別に殺気が来たからって怯えていたわけでも警戒を緩めたわけでもないオレ、サスケ、スクラちゃん。 あの金色との瞬間的な鬼ごっこに慣れているオレ達にしたら、残念ながら再不斬氏の行動は遅い。 たとえ霧に隠れて気配も尾とも消しても、少しの空気の揺れでバレバレだ。 瞬時に振り返ったサクラちゃんが、両の掌にチャクラを集中させ、それでもって再不斬の首切り包丁の長めの刃を見事な真剣白羽取りでもって柄を抑え込んでいた。 まったく、どのNARUTO世界の意外性ナンバーワンのナルトにもひけをとらない大胆な行動です。むしろこれで暗部じゃないのが驚きな、たくましさ。 いやぁ〜女子は強いね。 ボンと音を立ててタズナさんだったものが丸太にかわる。 刃物の方はタズナさんにむけられていたが、そこにはもうタズナさんはおらず、再不斬氏が忍術を使った時点でこちらも霧を利用させてもらい、霧に乗じてサスケがすでに身代わりの丸太を置いて非難していたのだ。 オレはというと、そこにつたったままだが、うずまきの血特有の鎖状のチャクラをあやつって、再不斬氏の足にまきつけていたりする。 一応術名もなければ印も組む必要がないけどこれでも忍術です。血継限界って便利だね〜。 そんなオレ達の行動をみて、カカシ先生が顔をひきつらせて呆然とたたずんでいる。 「くそ!こんなガキにとめられるだと!!!このおれがっ!!!!」 「っしゃーーー!」 「へ?さ、さくら!?なにその“気合ためてます”みたいな掛声?」 「あ、カカシ君いまのうちに逃げといたほうがいいってばよ!サスケのいるあたりまでいけばなんとかなるかも!?」 「え?ど、どういうことナルト!?」 「ッチ。いいから早く逃げろウスラトンカチが!」 「ちょ、ちょっとサスケまで…え?えええ?」 「んな」「あ、ちょっと待ったサクラちゃ」「―――――――ろうっ!!!!」 バキッ…。 ドコッ!!! 止める間もなくサクラちゃんの拳が振るわれ、バキっとみごとな音を立てて再不斬の首切り包丁が折られた。 クレーターをつくる彼女の拳は、刀の刃を追っただけではあきたらず、衝撃波となって刀の持ち主である再不斬氏にまで直撃して吹っ飛ばした。 地面にオレがチャクラの鎖で縛りつけていたせいで逃げられなかった再不斬氏は、それを見事に喰らった。 へこんだ彼の腹といい、血を吐いていたことといい、そのままたたきつけられた再不斬氏の周辺が見事なクレーターとなっていたことから、死ぬ寸前までのダメージを受けていると思われる。 本当に容赦ない。 「ヒィィィィッィィィーーーーー!!ちょ、ちょっとなんなのあれ!!死ぬでしょふつう!!ってか、君たちまだ下忍だよねぇ!?おれと鈴取り合戦した時はこんなに強くなかったよね!!本当にあれサクラなの!?どうなってるの!!!」 「…あれから俺たちは強くなったんだ」 「なるにしても限度があるでしょうが!!」 短期間で強くなりすぎだと突っ込まれた。 サクラちゃんの攻撃から、オレは自分の身は自分で守った。何が起きるか理解してなかったカカシ君はとっさに動けず、サスケがひっぱって逃げたので無事だった。 だけどサクラちゃんの「しゃーんなろう!」のあとにできた巨大クレーターをみて、顔を青ざめて震えあがらせた。 あの技、綱手のばあちゃんの十八番(オハコ)だから、さすがのカカシ君なら知ってると思ったけど、それを下忍がやるとは思っていないためか、それとも焦りすぎか、そこまで思考が追い付いてないらしくサスケを質問攻めにしていた。 「短期間で強くならざるを得なかったんだ。 俺たちはあの金色の正体を知ってからずっときたえてきたからな。サクラは俺たちの中で一番上達が早い。サクラの場合気配察知や医術知識、封印術はナルトにまけるが、それ以外は群を抜いてすべてサクラの方が上だ」 「いったいいつの間に」 「任務後だ。時空間忍術の応用で作られた結界の中で修行をすれば実際の時間よりも長く鍛えられたからな。 組み手はナルト信者な日向一族と、術や体力はナルトの中にいた九尾。そして事情を知った大蛇丸や綱手から修行をつけてもらっていた。 あちらで三年分に相当するくらいの修行は積んできたつもりだ。 カカシ、俺たちを普通の下忍と一緒にすんなよ」 「……はは。おれ、もうこの班やめたい、かな?だめ?」 「弱気だなカカシ。ナルトを含めた俺たちの事情を知ったからには逃がさないぜ。お前もあの金色の本当の姿を見たからには鍛えてもらうからな」 その後、血相を変えた白が飛び出してきて、「追い忍でおいかけていた〜ウンたら」という演技をしつつ、ぐったりした再不斬氏はお持ち帰りされていった。 後を追っかけたりしませんよ。 たとえ頭の回転が速いサクラちゃんや、暗部事情に詳しくならざるを得なかったサスケが顔をしかめようとも。 あ、治療…。 ま、いっか。 オレがあとでお持ち帰りできるようにセッティングする必要があるけど、それはあとででいいかなぁ。 とりあえず。 まぁ、なんというかさ。 ――お疲れ様です。 |